中高年の面接対策9~応募動機・入社後の課題~

(Q36)当社を志望する理由を教えてください。

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • やりたいだけではなく、できることも聞かせてほしい
  • 使い回しの志望動機にはうんざり、聞きたくない
  • リアルな企業研究の成果をチェックしたい

 

解説、ポイント

 
ここは御社で働きたい、というWILL(~をやりたい)という説明をしつつも、御社入社後には○○ができる、というCAN(~をできる)にも必ず触れるようにしてください。

というのも、中高年に対しては、潜在能力よりも即戦力としての活躍を期待しているからです。

まず面接官は、ここで他社ではなく当社でなくてはならない、オンリーワンの理由を聞きたいと思っています。

社名だけ変えればどこの企業でも通用するような志望理由を多く目にしますが、実はライバル達もみんな同じことを言っています。
これでは面接官には響かないと心得ておいてください。

具体的に言うと、大半の方は、ホームページから拾った経営理念や社長のメッセージなどを引用して回答を組み立てています。

たとえば、

「御社の経営理念である「社会の発展に貢献」に共感し・・・」

 

「御社社長の「お客様に新たな価値を届け続けたい」というメッセージに強く惹かれ・・・」

 

といったような感じです。

これではその他大勢と同じで、取ってつけたような感じを否めません。

ここは長年の職歴を活かして、自分の人脈などを駆使してリアルな企業研究をした上での志望動機を盛り込まないと、その他大勢から抜きに出ることはできません。

あとはCANの部分。
応募企業で一体何ができ、どのような貢献ができるのか、志望動機と連動して述べる必要があります。

 

事例の前提となる人についての情報

40歳男性、大卒。
今まで新卒入社したアパレル企業で店舗マネージャー職として勤務中。
今回は老舗ブランド会社の同じ店舗マネージャー職への応募。

 

NGな受け答え例

「私が御社を志望する理由は、御社のグローバル成長戦略に惹かれ、私もぜひその一員として働きたいと思ったからです。」

「御社の経営方針にいたく共感しまして。特に「革新へのチャレンジ」というテーマは、まさしく私の仕事上のモットーと同じです。」

 

寸評:いずれもこのままでは抽象的で、オンリーワンの理由が伝わらずに、ホームページレベルの域を出ていないとみなされます。
 

OKな受け答え例

「御社の志望理由ですが、まず私のファストファッションのリーディングカンパニーで養った店舗マネジメントスキルを、御社のディフュージョンブランドで活かしたいと考えました。

特に私はこの10年間レディスセクションマネージャーとして店舗発注業務も行っていましたので、移り気な20代女性の売れ筋トレンドを読む力は、御社に一番貢献できると思っております。

レディス部門の最高級ブランドで名高い御社で働くことは、長年の私の憧れでありました。

懇意にしているファッションプレス曰く、他の老舗ブランドと違って現状に妥協しない攻めの姿勢が最大の強み、と聞き、より一層御社で働きたい気持ちが強くなった次第です。」

 

寸評:WILLとCANをバランスよく交えて連動させることで、単にやりたいというような自分勝手な思いだけではないことを証明でき、即戦力としての活躍を期待させます。

またプレスのリアル情報を追加することで、より納得感が増します。

 

(Q37)他社への応募状況と、その選考の進み具合を教えていただけますか?

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • 応募者の進むべき方向にブレがないかを確認したい
  • 他社の評価を聞き、自分の評価が間違いでないことを確認したい

 

解説、ポイント

 
転職活動経験が乏しい方は、御社だけ、と言わないと受からない、と思い込んでいらっしゃるようですが、今や何十社と応募するのが当たり前、他社を受けていても何ら問題ありません。
ここは基本的に事実を伝えればOKです。

ただし、応募企業と違う職種や違う業種に応募している場合、言いっ放しではなく、なぜそこを応募しているか、の説明が必要になります。

たとえば、

「私が経験を積んだ○○業界も、今回応募した△△業界も、目に見えないサービスを扱う点では一緒だから」

 

「現場での採用人事の経験が、キャリアコンサルタント職に活かせると考えたから」

 

といった具合です。

面接官は自分の目利きが間違っていないか、常に選考評価に不安を抱えています。
特にキャリアを積んだ中高年の評価は難しい。

だから、他社の進捗具合を聞かせてもらって、自分の見立てが間違っていないことを確認したいのです。

たとえば、複数の企業から内定獲得済みで、今回の面接でも高評価を下そうとしていた場合は、面接官は自信を持って内定出しを進めるでしょう。

もちろん、受かってもないのに受かったと言うなど嘘になってはいけませんが、たとえば、既に落ちたところは触れずに、現時点だけに焦点を当てて「今は3社応募していて1社が一次選考結果待ち、2社は次が2次面接段階です」といったように、ここは自分に都合のいい情報だけ、切り抜いて伝えるようにしてください。

事例の前提となる人についての情報

42歳男性、大卒。
今まで新卒入社したシステムベンダー会社でネットワークエンジニアとして従事。
今回は初めての転職。

 

NGな受け答え例

(失業中であるのもかかわらず)
「いや、今のところ他社は受けておりません。御社だけです。」

「既に50社以上は応募したのですが、今のところ全てご縁がありませんでした。
しかし、私は御社第一志望なので、過去は気にせずに御社に賭けたいと思っています。」

 

寸評:これでは転職活動を真剣にやっていないように感じられます。

また、これでは面接官に与えるマイナス印象の方が強くなります。
嘘をつくのはNGですが、もう少し表現を工夫する必要性があります。
 

OKな受け答え例

「はい、現在のところ、前職と同じネットワークエンジニアを募集している通信キャリアを3社、そしてITコンサルタントを募集している外資系コンサルファーム1社に応募しております。

通信キャリアは3社とも一次面接のスケジュールを調整してもらっている状況です。

コンサルファームは、私自身、少々畑違いのように感じましたが、人材紹介会社様から勧められて、先方の話を聞かせていただいたところ、私の経験が活かせるのはもちろんのこと、多数のクライアントを回るので、日々の業務に飽きることなく知的好奇心が満たされる点に面白さを感じ、応募した次第です。

こちらは現在、最終面接まで進んでおります。

ただ、繰り返しになりますが、私は、御社のネットワークエンジニアになりたいという想いが最優先である、ということを付け加えさせてください。」

 

寸評:現在の応募企業の選考状況を正直に話すのは当然として、違う職種への応募した経緯や興味をフォローした上で、最終面接まで進んでいることをさりげなくPRできています。

最後に応募企業への入社意欲を念押ししておくと、他社に興味があるのでは?との懸念を払しょくできます。

 

(Q38)数ある同業企業の中で、なぜ当社なのですか?

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • 業界研究、企業研究の痕跡を感じたい
  • 比較検討して説明する力を確認したい
  • 他を悪く言わないか、チェックしたい

 

解説、ポイント

 
ここは、若手だろうと中高年だろうと、回答ポイントは同じです。

同業他社と応募企業の比較をした上で、だから私が志望するのは応募企業である、といった構成で回答を導き出さねばなりません。

このためには、応募企業の企業研究だけでは足りずに、その業界やライバル会社に関しても研究しておかないと答えられません。

特に中高年だからこそ、今まで築き上げてきた人脈や業界誌、セミナー・研修会などのリアルな情報元から語る必要があります。

また、他社と比べた場合の応募企業の優位点や魅力、独自性などをわかりやすく伝える説明力も重要です。

せっかく業界・企業研究をして豊富な知識を持っているのにも関わらず、対立軸を明確にしないなどの比較説明ができないのは、非常にもったいない話です。

中高年だから「人前で説明するのは苦手でして」では済まされません。
苦手ならば余計に事前にしっかりと練習しておく必要があります。

また応募企業に受かりたいがばかりに、他社を腐したり批判したりするような発言がたまにありますが、相手を下げてこちらを高める話法はよくありません。

このような話し方は、面接官にとっても非常に聞き苦しく、この年代ゆえに大人気ないと秒殺されてしまいます。絶対にやめておきましょう。

 

事例の前提となる人についての情報

37歳男性、大卒。
今まで2社のビルメンテナンス会社のマンション管理業務に従事。
今回は3社目の転職で同業種・同職種への応募。

 

NGな受け答え例

「他社と比べるまでもなく、御社は○○製品は世界的規模で普及しており、○○製品のトップブランドなので、私はそこに一番魅力を感じています。」

「御社の競合である△△社も受けていますが、2次面接時に専務から「うちは徹底した成果主義だから厳しいよ」と言われ、少し不安になりました。その点御社は、安定した~」

 

寸評:もっと具体的に他社比較から志望動機につなげないといけません。
また他社を腐して応募企業を持ち上げるのは、よくありません。
 

OKな受け答え例

「はい、まず御社は他社と違って、細かく工程を分社したりせずに、販売から施工、管理まで一気通貫で対応するようにしていること、そして住まいは売って終わりではなく、その後のアフターケアこそが大切である、という御社の行動方針に強く惹かれたから。

御社を第一志望とさせていただいております。

世の中にマンション管理会社はあまたありますが、この地域の同業他社でこの2つの点を満たしているところは皆無だと言えます。

私は2社で管理業務を経験しておりますが、どちらも管理費の内訳をちゃんと説明しない販売会社が悪い、壁のヒビは施工会社のせい、と住人の心情をくまないような、責任回避ばかりに終始していました。

こういった業界の常識を改善すべく、住んだ後のCSに比重を置いた社長の英断は素晴らしいと感じました。入社できましたら、購入者からの評価N0.1の獲得を目指し、気持ちを新たにして住人のための管理業務に取り組む所存です。」

 

寸評:他社との違いを明確に打ち出すのは、ここでは必須です。
自身の業界慣習への問題意識や応募企業の姿勢を重ね合わせると、より訴求力が高くなります。

最後に入社後の決意を盛り込むのもよいでしょう。

 

(Q39)当社の課題は何だと思いますか?

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • 課題が当社の認識とずれていないか確認したい
  • 評論家はいらない
  • 課題解決力を感じたい

 

解説、ポイント

 
超有名企業でない限り、その新聞やテレビといったマス媒体でその企業の課題が論じられることはないでしょう。
だから、通常の業界研究・企業研究で核心をとらえるのは非常に困難。

丸っきり的外れでは困りますが、ここは「なぜそれが当社の課題と思ったのか」という選択理由について、客観的な事実や具体的な数値等を用いて理論的に話を展開できるか、という点を面接官はチェックしたいと思っています。

たとえば、

「同業他社と比べてみたのですが、御社の公表されている数字を見ると、売上に対して従業員数が多いように感じます。
このことから私は営業社員一人当たりの売上額の低さ、間接人員の多さが想定されるため、生産性の向上を課題に挙げさせていただきました」

 

というような感じです。

そして課題指摘で終わってはいけません。
その課題を解決する方法を述べなければなりません。

この課題解決への道筋が甘いと、単なる評論家とみなされてしまいます。

応募者が入社したら一緒にその課題を克服していかなければなりませんので、後述のOK例のように、当事意識を持ちつつ課題解決の具体的な方法論を伝えてもらい、課題解決力を感じたいと思っています。

なお、ここで志望動機や入社後の取り組みにつなげていくと、非常に効果的なアピールができます。

事例の前提となる人についての情報

38歳男性、大卒。
今まで新卒入社した1社にて総合職として勤務。
今回は同業種・異職種への応募。

 

NGな受け答え例

「御社の企業データを同業他社と見比べたところ、海外拠点がちょっと少ないと感じましたので、今後の海外進出が課題かと思います。」

「この業界は規模を大きくしてスケールメリットを利かさないと、業界内での生き残りは非常に厳しいと分析されています。ライバル会社は多店舗展開や他社との吸収合併に盛んなようですが、御社は~」

 

寸評:ちょっと少ない、をちゃんとデータで示さないと、中高年レベルの回答ではないと見切られてしまいます。

また評論家的な回答に終始するのは、やめておきましょう。
 

OKな受け答え例

「はい、御社の課題ですが、特定企業との取引依存度が高いことだと思います。

公表されている主要取引先を見ると、有名な大手企業の名前が並んでおりますが、浮気をせずに大手企業とだけ取引していれば、安定した経営ができる、というのはもはや幻想となりつつあります。
鉄の結束を保っていた自動車メーカーが系列を超えて取引を行う時代ですから。

このままでは取引先の大手企業に生殺与奪を握られてしまい、逆にリスクが高いと言えます。

急には難しいでしょうが、やはりここは特定企業との取引依存度を減らすことを念頭に置いて、自社製品の付加価値を向上させるべきでしょう。

自転車業界のように、部品メーカーが完成品メーカーを凌駕し、立場が逆転している分野もあります。

御社に入社しましたら、今までの経験を活かして、自社製品の付加価値を向上することに取り組んでいきたいと思います。」

 

寸評:テーマ選定に対して、具体的な事例等を用いて、内容を固めていくのは、中高年として必要最低限の回答手法です。

また具体的な課題解決案について、その実現可能性や他の業界の事例を交えることで、より一層説得感が出ます。まとめとして入社後の想いにも触れておくのは効果的でしょう。

 

(Q40)当社に入社したら、まず何から着手しますか?

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • 入社後にやるべきことがわかっているのか、を把握したい
  • 自身の思い描いている事業計画も語ってほしい

 

解説、ポイント

 
即戦力性を強く期待される年代ですから、この質問も「短期的なキャリアプランを語ってもらうことで、その即戦力性を確かめたい」という意図が隠されています。

もちろん、そのキャリアプランが「応募職種における仕事内容」に沿ったものでないと、全く意味がありません。

応募ポジションで最優先にやらなければならない任務は、求人情報の仕事内容から読み取れますから、それに対して自身が保有するスキルや経験をどのように活かすか、を語らなければなりません。

そして、それをどのようにやるか、という具体的なやり方に触れることも大事です。

ただし、まだ入社していないので、全ての詳細が見えないところもあるでしょう。

だから、ここはわからないところ、見えないところは、後述のOK例のように、「おそらく~」とか「仮に~」と仮説を立てて、論理を展開していく力も必要になります。

よくある回答ですが、「まずしっかりと学ばせていただいて・・・」というのはNG。
即戦力を求められているのに、悠長に社内業務等を学んでいる時間的余裕はありません。

また「与えられた仕事をちゃんとこなすこと」といった指示待ち人間と思われるような回答もよくありません。

どんなに有能な人であっても、入社直後のスタートダッシュについて、具体的な絵を書けていないようでは、面接官は採用を躊躇することを忘れないでください。

 

事例の前提となる人についての情報

39歳男性、大卒。
今まで2社で人事職として勤務。
今回は3回目の転職で同業種・同職種への応募。

 

NGな受け答え例

「当面は与えられた業務に集中して、それを習得することに専念したいと思います。」

「まだ入社していないので、明確なことは何とも言えませんが、私ならまず所属長の話をしっかり聞いてから、具体的に進むべき方向性を決めていきたいと思っています。」

 

寸評:いずれも回答としては間違っていませんが、これでは即戦力としての活躍が期待できませんから、評価されません。
 

OKな受け答え例

「はい、私ならばまず現状の職場環境の実態の調査・分析に着手します。

前の会社でもこれを行ったことがありますが、その際に、会社と現場社員の認識に大きなズレがあったことにきちんと気付かされたことがあったからです。

ここは一般的な調査と同じように、現場社員へのヒアリングやアンケートから始めるつもりですが、なかなか皆さん会社に本音を言うのはハードルが高いようで、前の会社では何度も何度も本質をつかむためにやり直しことがありました。
おそらく御社でも同じ事象が起こるものと予想します。

しかし、これこそが調査の一番の肝ですので、御社では、「本音を言っても人事評価には一切反映させない、むしろ本音を言わないといけない」旨を明言させていただいた上で、客観的・定量的に正しいデータを測定し、その先の人事に役立てていきたいと考えます。」

 

寸評:できるだけ具体性を持って語らないと絵空事になってしまう点に注意です。

見えないところは、仮説に置き換えて論理を展開すると、多少認識にズレがあっても、面接官は寛容に受け止めてくれるでしょう。

 

>> 第10回「中高年の面接対策10~応募先への熱意~」 へ続く



 

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講師プロフィール

  • 著者写真
  • 中谷 充宏(なかや みつひろ)
  • キャリアカウンセラー、社会保険労務士

  • 実績、経歴

    同志社大学法学部法律学科卒。NTT(日本電信電話株式会社)勤務後、キャリアカウンセラーとして独立。

  • ●マンツーマンで転職を支援する日本トップクラスの「転職のパーソナルコーチ」。
    ●一流企業社員や米国MBAホルダーからハンデ層まで、幅広い方々の転職支援の実績あり
    ●社会保険労務士としての経験から企業側の採用心理や実情も熟知。

  • 運営サイト

    ●運営サイト:中高年の転職の悩み相談室http://www.chuukounen.com/





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