第12回「職務経歴書の書き方12~廃業・リストラ退社編~」
この記事の目次
自ら起業して働いていた人の職務経歴書はこう書け!
ITインフラの整備に伴い、今や少資本で起業できます。
この世代でも、自身で起業する夢を追いそれを実現した、という人も少なくありません。
採用人事は、せっかく起業を果たしたのに、なぜ今、わざわざ雇われの身になるのか?という点を疑問視しています。
だからまずその理由説明を盛り込むことが大切です。
たとえば、事業がうまくいっていたのに再就職する場合。
「父親の借金問題があり、当座のまとまった資金が必要になりました。家族と話し合った結果、自身の会社を手放すことで資金を調達することを決断しました」
といった理由であるならば、採用人事も納得でしょう。
その一方で圧倒的に多いのが、事業に行き詰って、再就職活動をスタートせざるを得なくなったケース。
アメリカと違って、ルーザー(仕事、特に起業で失敗した人)には非常に厳しいのが日本社会です。
転職市場では更にその厳しさは増しますから、採用人事の懸念を一つ一つ丁寧に払しょくしていくことが求められます。
採用人事が懸念することを挙げてみましょう。
まず事業をこかしてしまったことから推測される、マネジメント能力のなさ、経営計画の甘さ等といったビジネスパーソンとして失格人材ではないか、という点。
事業失敗で借金を追ってしまっていて、金銭トラブルを抱えている、解雇したスタッフとの労務問題を抱えている、といった今も何らかのトラブルがあるのではないか、という点。
業務指示・命令を出してきた側の人間は、当社では使いにくいのではないか?という点。
当社のノウハウや顧客情報を吸収するなどして踏み台にして、また起業するのではないか?という点
などが代表的なものとして挙げられます。
こういった懸念を丁寧に解消していかないと、バイアスがかかった目で見られていることを絶対に忘れてはなりません。
ここは次ページの実例のように、「特記事項」欄を利用してフォローしておきましょう。
なお、最後は失敗しているわけですから、「職務詳細」欄や「自己PR」欄で、声高にその末期の内容を書いてアピールするのは、かえってマイナスになります。
ここはいい頃の情報か、もしくは粛々と事実を展開する方が無難と言えます。
自ら起業して働いていた人の職務経歴書 書き方のポイント
<自ら起業して働いていた人 応募者プロフィール例>
40歳男性。大学院で情報工学を修得後、システム開発職を経て、現在自ら起業した会社の代表取締役に従事。 今回はオープン・Web系システム開発エンジニア(マネージャー候補)への応募。 |
①「職務要約」
- 採用人事は今回の変遷を知りたいので、「時系列記述法」で書いておく方がわかりやすくなります。
- 自身の特殊な経験から導いた強みをここでPRしておくのは、いいでしょう。
②「職務詳細」
- 経験社数が2社なので、「編年式」・「逆年代順形式」で、定石どおり記述します。
- 転職志望理由欄に、今回の事態に陥った概要説明を明するのがポイントの一つです。
- 事業廃止の末期を書いても売りにはなりませんので、輝かしい時期のものを実績として盛り込んでおきましょう。
③「貴社で活かせるスキル・経験」
④「自己PR」
は、応募先企業に照準を合わせてPRします。
⑤「特記事項」
- ここが最大のポイントです。
このように少々長くなっても構いませんから、今回の事情説明をした後に、懸念材料を先回りして潰しておきます。
熱く入社意欲を語るのもいいでしょう。
自ら起業して働いていた人の職務経歴書のサンプル
※画像をクリックすると、フォーマットのダウンロードが出来ます。
リストラで退職した人の職務経歴書はこう書け!
この年代となると、リストラで退職を余儀なくされた人も少なくないでしょう。
この年代にとってはリストラという言葉自体、非常にネガティブで嫌な響きですが、企業人事を扱う立場からすると、何ら珍しくない、日常茶飯事の話です。
一時期、東証一部企業による何千、何万という人員削減のニュースが連日、報道されていていましたが、こういった報道は既に食傷気味で聞き飽きた人も多いはずです。
今や超大手企業でもリストラは当たり前の話ですから、その対象になったからと言っていちいち卑下する必要はありません。
それよりもリストラの事実を真摯に受け止めた上で、この先どうするのか?といった未来志向を語ることが重要です。
それなので、リストラになった経緯を客観的観点から説明しておくことは大事ですが、そこに重心を置いてしまうと、くどくなってしまいますし、採用人事の心証を悪くしてしまう危険性があります。
たとえば、
「前職では周りからリスクが高いと言われているのにも関わらず、当時のワンマン経営者であった代表取締役が○○事業に進出して失敗し、多額の損失を被りました。それに伴い会社の業績が急激に悪化し~」
というような自分の批判的な見識まで含めた詳細説明は不要ということです。
具体的な書き方ですが、「職務詳細」の中の「退職理由」欄で、リストラになった経緯を客観的事実に基づいて記述した後に、自身のリストラの捉え方、向き合い方、そこから得たこと、そして今後どうするか、といった流れで未来志向を表現します。
これがこのケースの最大のポイントです。
たとえば、「今思えば反省すべき点もあったが、リストラの憂き目に遭ったことで人間的に一回り大きくなれた」とリストラへの前向きな捉え方、「私に課された人生の試練であり、必ず乗り越えてみせる」というリストラへの向き合い方、「今回改めて働けることのありがたさを実感できた、次では周りに感謝の気持ちを持って、仕事に全力投球したい」という今後への取り組み姿勢などを適宜盛り込んでおきます。
そしてこれらは「自己PR」欄か、「特記事項」欄を活用して書くのがよいでしょう。
なお言うまでもありませんが、一番やってはいけないことは、リストラを行った恨み節、誹謗中傷です。これは絶対に書かないでください。
最後に他の項目については、リストラによって否定されることはありませんから、基本どおりに書いておけば大丈夫です。
リストラで退職した人の職務経歴書 書き方のポイント
<リストラで退職した人 応募者プロフィール例>
40歳男性。大学卒業後、JAとスーパーマーケットで店舗販売職に約17年従事。 企業買収により前職をリストラ退職。 今回は中堅スーパーマーケットの店長候補職への応募。 |
①「職務要約」
- 年齢から、ここは「一気通貫記述法」を用いてまとめておき、後半に求人に合ったPRを持ってくるのは、いい表現方法です。
②「職務詳細」
- 経験社数が2社なので、「編年式」・「逆年代順形式」で書きます。
- この直近の「退職理由」欄での表現方法が最大のポイントの一つです。
このようにくどくならない程度に客観的事実を中心にした理由説明をきちんと入れておきましょう。
③「貴社で活かせるスキル・経験」
- リストラを受けたこととは関係がありませんから、堂々と求人に合った内容を盛り込んでおけばいいです。
④「自己PR」
- 自身が一番自信のある「チームマネジメント力」にフォーカスして、その詳細を述べるのは非常に効果的です。
- 最後にリストラの憂き目に遭ったことについて、自身の心情を吐露しておくのは大事です。
このように悔しさをバネにして当社でバリバリと活躍すると宣言してくれると、採用人事も頼もしく感じることでしょう。
リストラで退職した人の職務経歴書のサンプル
※画像をクリックすると、フォーマットのダウンロードが出来ます。
>> 第13回「職務経歴書の書き方13~異業種・異職種編~」 へ続く
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