第4回「職務経歴書の書き方4~事務・経理職編~」
この記事の目次
事務職の職務経歴書はこう書け!
前回では営業職、店舗販売職、コンサルティング職の職務経歴書の書き方について解説しました。今回は事務職と経理職になります。
まずは事務職について。
事務職で長年働いてきたけれども、自分には何ら特別なスキルや経験もないし、何をどう書いていいのかわからない、という相談を筆者はよく受けます。
確かに受け身の業務ですし、業績を数字では表しにくい職種ですから、なかなかうまく表現しづらい気持ちはよくわかります。
「業務フォローの見直し・改善を企画・立案し実現させた」、「業務ソフトの導入を図り、業務効率を約20%向上させた」、「若手社員の育成担当で延べ50人の社員を育てた」といった輝かしい実績があれば、そのまま書けばいいでしょう。
しかし、多くの人はそういった経験がありません。
この場合は、年齢相応の「安心感・安定感」をPRするようにしましょう。
「事務なんて若い娘でいいんだ」とうそぶく企業経営者が多くいますが、その一方で「茶髪でギャル語の若い事務員なんて怖くて採用できない。大事なお金も顧客も扱うのだから、安心して仕事を任せられる中高年がいい」という企業も多いのです。
これで違いを明確に出さないと、同じレベルならば、活気があってフットワークの軽い方がいい、という流れになってしまいます。
その他にも、電話応対や来客応対に始まり、データ入力、書類作成といったパソコン作業、DM作成、ホームページ制作などのマーケティング業務に携わったなど、自身が経験してきた業務の幅の広さをPRするのも非常に有効です。
そしてその企業独自の業務で説明が難しいものは別として、たとえば一般的な事務職の仕事の一環である「電話対応」、これはそのまま書けば事務職の世界では間違いなく通じます。
ただし、職務経歴書作成時にはこれだけで終わらず、一日100件の電話応対をした、といった定量的な表現や、その電話の内容、たとえばハードクレームが大半を占めた、などの中身の詳細を述べることが重要になってきます。
次ページの実例のように、長年培ってきたファイリング、整理整頓力を自分の一番の売りにして、ともすると凡庸になりがちな事務職の職務経歴書の中で、自身の特色を鮮明に出すのも非常に効果的です。
いずれにせよ、この世代は自身の豊富な経験やこの経験に基づいた独自の売りを前面に出すこと、これに尽きます。
<事務職 応募者プロフィール例>
短大卒業後、約18年4か月間、3社にて一貫して事務業務に従事してきた38歳女性。 今回は同じく一般事務職への応募。 |
①「職務要約」
- 18年超と職歴が長いために、「一気通貫記述法」を用いて、コンパクトにまとめます。
後半に自身の強みを盛り込んで、採用人事が最初に目にするこの項目で、先回りしてPRしておきます。
②「職務詳細」
- 「見積書・納品書・請求書の作成・発送(約1,000件/月)」というように、大量の処理件数の経験があればそれを盛り込んで、業務処理能力をPRするのは効果的です。
③「貴社で活かせるスキル・経験」
- 貴社で活かせるスキル・経験にて、自身の最も自信がある「ファイリング術」を最上位に配置するのは、売りに一貫性が出て際立ちます。
④「自己PR」
- 一般事務職に役立つ「整理整頓力」、「ミスをしないためのノウハウ」、「単純な業務でも集中力を維持できること」と3つタイトル出しして、その詳細説明を入れることで、一般事務職としてミスなく確実に処理してくれることを期待させます。
特に「整理整頓力」はこの応募者の一番の売りなので、ここで強力にPRします。
④「特記事項」
- 採用人事が間違いなく懸念する長期ブランクをフォローしておくのは、非常に有効です。
事務職職務経歴書のサンプル
※画像をクリックすると、フォーマットのダウンロードが出来ます。
経理職の職務経歴書はこう書け!
次に経理職です。
仕訳ができる、入出金データの取りまとめができる、といった補助的なレベルの経理業務を、この世代に求めはしません。
経理職としての豊富な経験で養った、業務範囲の広さや高い専門性を企業は欲しますから、これをわかりやすくPRする必要があります。
もちろん、ここも応募先企業でどのような人材を求めているのか、きちんと理解しておく必要があります。
たとえば、応募者に大企業での連結決算や有価証券報告書作成、国際会計基準対応などの高度な経理業務の経験があったとすると、これらは充分に誇っていいものには間違いありません。
しかし、求人情報の業務内容欄に「月次・年次決算業務(勘定奉行を使用)が主業務で、申告書は会計事務所が作成します」と掲載している中小企業に対して、この高度な専門性を一生懸命PRしても的外れになってしまうのはおわかりでしょう。
中小企業ならば、まさしく伝票入力から月次、年次決算といった経理業務全般から、融資調整・交渉、事業計画書作成や予実管理などの方がPRすべき内容に適していると言えます。
また経理なのか財務なのか、それとも両方なのか、が混在していたり、「経理・総務マネージャー候補募集」というように、経理がメインだけれども、他の職種の役割も果たさなければならない求人もありますので、経験豊かなこの世代だからこそ、どこに訴求ポイントを持っていくかを見極めて、それに合わせて記述するのが、一番の鍵になります。
作成方法ですが、次ページの実例のように、23年のキャリアがあり、転職回数が次で5回目、東証一部上場企業から中小企業、零細企業といった幅広い規模の企業を経験している場合、「編年式」を用いるとその記述形式や階層が合わなくなり、またオーバーフローの危険性があるので、「キャリア式」を採用するのが最適と言えます。
このスタイルだと強みもはっきり打ち出せます。
また今回はメーカーに募集するために、「原価管理」に光を当てるのも有効です。
この年代での経理職は、何よりも実務経験が重視される世界ですので、その経験の豊富さをしっかりと打ち出すことが最優先事項です。
経理職職務経歴書 書き方のポイント
<経理職 応募者プロフィール例>
45歳男性。大学卒業後、大学卒業後からの約23年もの間、経費畑一筋で4社を経験。 今回は同じく中堅メーカーの(財務経理マネージャー候補)への応募。 |
①「職務要約」
- 23年超と職歴が長く、4社の勤務経験がありますから、「一気通貫記述法」を用いて、コンパクトにまとめます。
最後に今回の応募先企業でも主業務となる「原価管理」をPRしておくのは有効な手段です。
②「職務詳細」
- 「キャリア式」の場合、時系列が見えにくいので、先に「職歴年表」を見せておきます。
- 経験業務の配置順については、応募先企業で求められているものを優先順位付けして、それに合わせて表記します。
- 経理職の場合、職務詳細を長々と説明しなくても専門用語も含め、言葉は相手にきちんと通じますので、体言止めでコンパクトにリズムよく書きます。
③「貴社で活かせるスキル・経験」
- 「部下の育成・指導の経験(課長職は約5年半経験)」とマネジメント力をPRするのも、非常に効果的です。
④「自己PR」
- 売りを一つに絞って一点突破主義で表現するのも、いい方法です。
特に「職務詳細」欄で書けなかった高度な経験やスキルを公開し、最後に「生産現場でのコストと資産を最小化して利益の増加・資金の効率化を図ること」を宣言すると、採用人事も大いに期待を寄せることでしょう。
経理職職務経歴書のサンプル
※画像をクリックすると、フォーマットのダウンロードが出来ます。
>> 第5回「職務経歴書の書き方5~技術・SE職編~」 へ続く
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