中高年の面接対策19~意地悪な質問~

(Q86)自己PRにあった「タフで粘り強い交渉能力」が微塵も感じられないのですが?

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • 感情的にならずに冷静かつ理路整然と切り返すことができるか、その反証力を確認したい
  • わかりやすくて丁寧な説明力を測りたい

 

解説、ポイント

 
この質問は、応募者が一番自信のあるPRを、敢えて全面否定することにより、ムッとしないで、冷静かつ理路整然と切り返すことができるか、その大人の反証力を確認したいと思っています。

よって、感情的になるのはもってのほか、面接官の思うツボです。
また「そうでしょうか?私は先ほど申したとおり~」と自己PRを再度なぞるだけでも足りません。

ここは圧力をかけられた中で、面接官を唸らせる、かつ丁寧な切り返しが求められます。

たとえば

「確かに私は饒舌な方ではありませんから、そのように見られることがあります。

しかし、仕事となると話は別です。

交渉事では妥協を許さず、相手から有利な条件を引き出すまで簡単には引き下がりません。
このPRを証明するエピソードを補足させていただくと、ある取引において16時間ぶっ通しで交渉のテーブルにつき、次々とこちらが用意していたレポートを提出して、根負けさせて目標額の1・5倍の値引きを勝ち取った実績があります。

このことで、山田さんは交渉の鬼だ、と取引先に感嘆されたことがあります」

 

といったように、先に述べた自己PRをまだ披露していない違うエピソードで「これでもか!」というくらい、分厚くフォローすることが肝要です。

ぜひ自身の豊富な経験から他のエピソードを見出し、動揺することなく補完してください。

事例の前提となる人についての情報

37歳男性、大卒。
今まで新卒入社した1社で勤務経験あり。
今回は2社目の転職で、同業種・同職種への応募。

 

NGな受け答え例

「そう言われると、確かにこれをアピールするには弱いかもしれません。」

「そう感じられるのは残念ですが、仕事になったら違います。ぜひ入社後の頑張りを見ていてください。」

 

寸評:これでは先の自己PR自体を否定することになります。

また、これだけでは説明不足です。
新しいエピソードを交えるなどして、丁寧に説明してください。
 

OKな受け答え例

「そのように感じられてしまったことは、ひとえに私の説明不足・力不足に寄るものです。大変申し訳ございません。

実は、仕事でもよく先方の担当者から初見で軽く見られることが多いのですが、それはおそらく私の「童顔で色白、メガネをかけている」という外見のせいもあるかと思います。

具体的な数値に落とせていないので、先ほどはお伝えしませんでしたが、私は相手の心理を読み、時間をかけて一つ一つウィークポイントを突いて、こちらの展開を有利に進めていくという交渉のやり方を得意としています。

だから事前に、徹底的に証拠固めを行い、相手の打つ手の3手先までを予測・準備し、常にあらゆる反論に対抗できるようにしています。

また、長時間におよぶ交渉も苦になりませんので、取引先にも「吉村が出てくるとお手上げだ」と恐れられているようです。

再度申し上げますが、私の売りは「タフで粘り強い交渉能力」です。」

 

寸評:指摘に対する客観的な分析を入れた後に、あらたなエピソードによりPRポイントを補強しています。

ここは自信を持って、揺るぎない姿勢でアピールしてください。

 

(Q87)さかんに「やる気」をアピールされていますが、働く以上やる気があるのは当たり前なのでは?

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • 動揺せずに「やる気」以外のPRをしてもらい、当社での活躍をイメージしたい

 

解説、ポイント

 
「やる気」ばかりをPRする場合、自分の経験やスキルに自信がない証左と面接官は見ますし、実際そうであるケースが多いことでしょう。

ここは他の圧迫質問と同じく、冷静さはもちろんのこと、年代的に「やる気」に偏っていたPRを即座に是正し、違う「売り」にシフトする臨機応変さ、機転が必要になってきます。

ここでの回答方法ですが、応募職種に対して充分な経験・スキルがある場合は定石どおり、
その経験・スキルに基づいていて応募企業、応募職種にしっかりとマッチした、他の「売り」をPRし直せばいいでしょう。

問題は、応募職種に対して経験・スキルが乏しい場合。

「御社で一生懸命頑張ります!」、「やる気だけは誰にも負けません」と「やる気」のPRに偏りがちです。

しかし、この場合は少し角度を変えて、この経験豊かな年代だからこそPRできる、「安定した業務遂行力」や「マネジメント能力」、「引率力」といった、応募職種に活かせるであろう汎用的なビジネススキルを伝えるようにしてください。

たとえば

「私は本職の業務経験はまだ乏しいのですが、前職では課長代理として3名の新入社員のメンターを任され、皆が単独で成約をとれるまでに育て上げることができました。

この人材育成力についてもPRさせていただきます」

 

といった感じです。

事例の前提となる人についての情報

42歳男性、大卒。
今まで新卒入社した2社でシステム開発職としての勤務経験あり。
今回は3社目の転職で、同業種・異業種(法人営業職)への応募。

 

NGな受け答え例

「応募職種での経験が乏しいため、今は何も誇るべきものがありません。やはり、私は「やる気」をPRするしかないと考えています。」

「やる気」こそが働く上で一番大切なことですし、近頃はこのやる気がなくて働いていらっしゃる人も少なくありません。この点で私は違うと思っています。」

 

寸評:ここは「やる気」一本で押さないで、違うPRを持ってきましょう。

また、指摘を素直に受け止めずに、こねくり回すような回答はいただけません。
 

OKな受け答え例

「年齢的に非常に厳しいのを承知の上で、異職種へのキャリアチェンジを果たしたいという強い想いから、「やる気」ばかりを繰り返しアピールする結果になってしまいました。大変失礼いたしました。

他の私の「売り」としましては、約15年間に及ぶシステム開発でのプロジェクトリーダー経験で培った「業務の進行管理力」があります。

進行管理のコツは、事後処理ではなく予防に重点を置くことです。
想定される事象を先回りして一つ一つ潰しておくこと、これに尽きます。

経験上、事後処理は事前の予防に比べて、約3倍の時間と労力がかかると考えています。
今回の転職で業務内容はガラッと変わってしまいますが、御社でも営業成績の進捗を管理することがあるでしょう。

その際はこの「業務の進行管理力」を活かして、着実な営業数字の積み上げに尽力したいと思います。」

 

寸評:「やる気」以外のPRを語るのは必須ですが、ここは全くの的外れではいけません。

応募職種で活かせるピンポイントなものがなければ、汎用的なスキルでも構いませんから、「やる気」以外のPRを行うことです。

 

(Q88)同じPRを何度も繰り返していますが、他に売りはないのですか?

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • 他の売りについてもアピールできるチャンス、ととらえてほしい
  • 応募企業、応募職種にマッチした、他の売りを聞かせてほしい
  • 「既に伝えてある売りと、新たにPRする売りを合わせて、更なる自己PRにつなげる」という戦略を瞬時に思いつくような、機転の早さを見せて欲しい

 

解説、ポイント

 
面接時にあまりにも1つのPRに偏ってしまうと、このように突っ込まれることがあります。

キャリアを積んだ中高年ですから、PRの引き出しが1つしかなく、それをリピートするのは薄っぺらい印象しか持たれず致命傷になりかねません。

だからここは、単調なPRに陥っていた点を改善し、その他の売りについてアピールするように切り替えてください。

ここも定石どおり、応募企業、応募職種で活かせるものをPRするのがベストです。
更に、先にPR済みであるものと連動させてアピールできるような内容であれば、説得力がぐんと増すことでしょう。

圧迫系の質問に対して、瞬時に「ベストな切り返し」を用意できるのか、その臨機応変な機転の早さを面接官は感じたいと思っています。

たとえば、先にPRした内容が「積極果敢な行動力」で、新しいPRはその逆の「石橋を叩いて渡る慎重さ」ならば、

「新規契約を獲得するために積極的に営業活動を行う一方で、その顧客の与信は大丈夫かという状況判断には、石橋を叩いて渡るかのような慎重さを忘れません。
このアクセルとブレーキの使い分けこそが〜」

 
といった感じです。

事例の前提となる人についての情報

42歳男性、大卒。
今まで新卒入社した1社で勤務経験あり。
今回は2社目の転職で、同業種・同職種(新商品開発業務のリーダー職)への応募。

 

NGな受け答え例

「他にと言われましても。やはり私は「行動力」が一番の売りで、これには絶対的な自信があります。たとえば〜」

「先ほど申したとおり「率先力」は、我々の年代なら絶対に身に着けておかなければならない力だと考えています。特にこのご時世、周りを率いて推進していく~」

 

寸評:他のエピソードを用いるなどして、同じPRを再度強調する場合、非常に高度なプレゼン力が必要ですし、面接官によっては人の指摘を聞かない頑固な人だとマイナス評価される場合が高いので、やはりここは他のPRを持ち出すようにしてください。
 

OKな受け答え例

確かに、私の一番の売りである「沈着冷静さ」を何度も繰り返す結果になってしまいました、失礼いたしました。

もう1つ、私は「面倒見の良さ」に自信を持っています。

新商品開発業務には、品質を保ちながら顧客と約束した納期に間に合わせるという使命があります。
そしてチームリーダーは目標必達のために、日々変化する進捗状況に目を配りながら、その時々に応じて最適な手段を選択しなければいけません。
だから、まずは「沈着冷静さ」が必要なのです。

そして経験上、プロジェクトの成否は、リーダーがメンバー達に快適かつ安心して仕事ができる環境をきちんと提供できるかどうかにかかっていると認識しています。
だからメンバー全員に目を配り、困ったことがあったらどんな小さなことでも相談しろと、胸襟を開いてメンバーを受け止めてきました。

「沈着冷静さ」と「面倒見の良さ」、この2つの要素は、御社のプロジェクト推進でも必ずお役に立つと確信しております。」

 

寸評:先に述べたPRと真逆であっても、応募企業に役立つという視点を持ちながら複数のPR要素を連動させたエピソードは、訴求力が非常に高くなります。

 

(Q89)それだけはっきり自分の意見を主張できるとなると、敵も多いでしょう?

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • 自己主張についての、応募者自分の考えを聞かせてもらった上で、敵が多くないことを証明してほしい

 

解説、ポイント

 
面接でズバズバ質問を斬って自身が調子づいていた際に、面接官からはこのようなブレーキがかかる詰問をされる場合があります。
ここも他の圧迫系質問と同じく、動揺しないで、淡々と回答する必要があります。

ここは「敵が多い」ことを肯定すると、その後にどんなにうまくフォローしたとしても、マイナス印象は避けられないでしょう。
だからここは、まず指摘を真摯に受けた後に、そうではないことをきちんと証明しなければなりません。

たとえば、

「確かに私は自分の意見をはっきり言いますので、誤解を受けることも多いのは事実です。

ただ、私は何も周りのみんなと抗うためにやっているわけではありませんし、その原因が私の表現の仕方が拙さにある場合などは、必ず後にフォローを入れて、自ら進んで誤解を解くようにしてきました。

そのため、今まで根に持たれたり、絶縁状態に陥ったということはありません」

 

といった具合です。

また、これを逆手にとって、自分の仕事観やプロ意識をPRする方法も効果的です。

「自分の意見をはっきりと言わないのは、賛同したも同じ、と私は教えられてきましたし、私もそれは正しいと考えています」

 

「たとえ仕事上でぶつかり合ったとしても、これはあくまで仕事上の話です。仕事の土俵を降りたら、私はわだかまりを持ちませんし、相手もそれをよく知っています」

 

といった感じです。

事例の前提となる人についての情報

38歳男性、大卒。
現在まで2社にて勤務経験あり。
今回は3社目の転職で異業種・同職種への応募。

 

NGな受け答え例

「いや、そんなに多くはないですよ。たまたま今回、そのようにお感じになられたのではありませんか?」

「確かに自分の主張はきちんと伝える方ですので、特に意識したことはありませんが、多いのかもしれません。」

 

寸評:ここは多くない理由を丁寧に説明してください。単なる勘違いに起因するというレベルでは説明が足りません。

また肯定のままで終わってしまってはいけません。
 

OKな受け答え例

「はい、確かに自分の意見をしっかりと主張する方なので、それは言い過ぎだ、などと批判を受けることがあります。

私は外国人と共同プロジェクトで一緒に働いたことがありますが、コミュニケーションの基本として、自分の意思をしっかりと相手に伝えないと何も伝わらないこと、そして日本流の阿吽の呼吸はそこには存在しないことを知り、やはり仕事上での自己主張はやはり大事なことであると考えています。

もちろん、単なるわがままレベルではいけませんし、TPOをわきまえ、相手の立場を思いやることも大切であることは充分認識しています。

仕事上での意見の対立が敵ということではないと思いますし、そのような感覚で仕事をしている人は思い当らないので、敵というのは多くないと思っています。」

 
 
寸評:回答のポイントは、敵が多くないという証明をどのようにするか、です。
経験から導いてもいいでしょうし、仕事上のポリシーからでもいいでしょう。ここでプロ意識をPRするのも効果的です。

しかし、その場できちんと自分の意思や考えを述べずに、後から不満を口にする、という方が違和感を抱きます。

 

(Q90)いい年齢なのに、マネジメント経験がないのですね?

この質問に込められた、面接官の本音

 

  • 痛いところを突かれたと動揺しないでほしい
  • 類似体験があればそれをPRしてもらい、なければ将来についての前向きな想いを語ってほしい

 

解説、ポイント

 
ここは組織上・階層上の管理職に就いてこなかったことを鋭く突っ込んでいます。

中高年の場合、マネジメント力を発揮してほしい求人が多くを占めますので、この手の質問は頻出だと心得ておいてください。

さてここは応募者に公式なマネジメント経験がないことが前提ですので、この事実をさもあるように語るのは、もちろんご法度です。

しかし、非公式なマネジメント経験、たとえば、会社上の職位は平社員や主任クラスであっても、少数単位のプロジェクトリーダーとして、そのプロジェクトをまとめあげたといった経験があれば、それをPRするのが最も効果的です。

また○○課長、△△マネージャーと管理的ポジションに就いていても、実際はマネジメントなんて一切やっていない、という「名ばかり管理職」というケースが存在しているのも面接官はよく知っています。

このような事例を引き合いに出して、話を展開する方法もあります。
このような類する経験が全くないというケースも当然存在します。

この場合は、

 

事例の前提となる人についての情報

44歳男性、大卒。
現在まで2社にて勤務経験あり。
今回は3社目の転職で同業種・同職種(店舗販売職)への応募。

 

NGな受け答え例

「はい、残念ながら今のところは経験しておりません。」

「実は昨年、課長職昇格への打診があったのですが、これが流れてしまいまして。」

 

寸評:ないで終わらずに、非公式なものがあればそれを、なければ将来への意気込みを語るようにしてください。

また、課長職に一歩手前まで進んだエピソードはいいのですが、このままではマネジメント力の有無が把握できません。
 

OKな受け答え例

「はい、もう44歳になりますが、まだ私は企業組織上の管理職経験がありません。
そういった意味では、マネジメント経験がないということになります。

しかし、前職におきましては、明確な役職名こそありませんでしたが、店長不在時には私が店を切り盛りしておりました。

具体的な業務としましては、アルバイトや店員のシフト管理から仕入発注、売上管理までを、私一人でこなしておりました。

3年前ほどから、店長が他店の3店舗も兼任するようになりましたので、不在時の方が多く、私の役割は非常に重くなったと自負しております。
また、アルバイトや入社したての社員の教育も私が担っておりました。

特に若いスタッフには、それこそ「働くとはなんぞや」といったことから、店での立ち振る舞い、ディスプレイのコツまで、細かく指導しておりました。

この業界経験も豊富で、素養とやる気はあると思っていますので、御社でもし管理職への登用のチャンスを頂戴できるのであれば、積極的にチャレンジしたいと思っています。」

 

寸評:ないことを素直に受け入れた後に、オフィシャルではないけれども、マネジメント業務の経験を展開するのは、ここでの模範解答になります。

最後に管理職やマネジメントについて想いを語るのも有効です。

 

>> 第20回「中高年の面接対策20~退職理由~」 へ続く



 

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講師プロフィール

  • 著者写真
  • 中谷 充宏(なかや みつひろ)
  • キャリアカウンセラー、社会保険労務士

  • 実績、経歴

    同志社大学法学部法律学科卒。NTT(日本電信電話株式会社)勤務後、キャリアカウンセラーとして独立。

  • ●マンツーマンで転職を支援する日本トップクラスの「転職のパーソナルコーチ」。
    ●一流企業社員や米国MBAホルダーからハンデ層まで、幅広い方々の転職支援の実績あり
    ●社会保険労務士としての経験から企業側の採用心理や実情も熟知。

  • 運営サイト

    ●運営サイト:中高年の転職の悩み相談室http://www.chuukounen.com/





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