第4回 「履歴書の書き方~効果的な退職理由と志望動機~」

著者が教える、中高年の転職必勝法

退職理由欄の効果的な書き方とは?

前回は、履歴書の個人情報欄、学歴、職歴欄、免許や資格欄の効果的な書き方について解説しました。

第3回「履歴書の書き方~退職理由・職歴・資格~」

今回も前回と同様、履歴書の項目ごとに、書き方を解説していきます。

まず退職理由について。

この年代の転職者の場合、100%聞かれますし、採用人事が最も知っておきたい項目の一つであるのは間違いありません。
ここの記述に疑義があると、この先マイナス印象をずっと引き摺ることになりますので、ここの記述が履歴書選考の成否を左右するといっても過言ではありません。

この退職理由欄については、前職の退職した理由(在職中であれば現職の退職しなければならない理由)を書きます。

 
今回の履歴書フォームでは150字くらいは書けるスペースがありますし、他のものでもそれなりにきちんと書けるスペースが確保されていますから、具体的かつ納得性の高い退職理由を書くことが求められます。

もちろん、ブランクのままや「更なるキャリアアップを目指すため、退職を決意しました」的な抽象的でボリューム不足なものは論外。
ここは本音であっても、「人間関係が嫌だった」、「待遇に満足できなかった」といったネガティブな要素を一切排除して、ポジティブなものに置き換えるのがセオリーです。

ただし、この前向きな表現がたとえば、

 

「新卒入社以来、○○業界を歩んで参りましたが、ずっと前職のライバル会社である貴社に憧れ続けておりました。チャンスがあれば、ぜひ貴社で働きたいと思っていたところ、今回の求人情報を拝見し、応募した次第です。貴社に集中した転職活動を行うため、けじめをつける意味でも、退路を断つ必要があると感じ、前職を退職した次第です。」

 
といった記述をした場合。

確かに応募先を強く想ってこその退職と、一瞬ポジティブのように見えますが、「当社を応募するのに、わざわざ前職を辞める必要はないはず。何か大事なことを隠しているのではないか?」と勘繰られること間違いなしです。

このような歯の浮いたような、いかにも真実を覆い隠すような白々しい表現になってしまう場合は、多少ネガティブな要素が入っていても構いません。
もちろん、前職の不平不満や誹謗中傷、恨み節といったネガティブワードのオンパレードでないことが大前提です。

この理由として、現在の雇用有事の下、現状に多少厳しい状況に置かれていたとしても、中高年が高いリスクを負ってまで、わざわざ退職などしないことを採用人事は重々知っているからです。
 

退職理由のOK例(1)

【退職理由】

前職では入社以来、約18年間営業一筋でしたが、昨年末に市場調査部門への異動を打診されました。
私はこの先も営業にキャリアの軸を置きたい旨を申し出ましたが、異動の方針は変わらず、最低3年は営業には戻れないとのことでした。
営業職としてのブランクを開けたくない想いから、新天地を探すべく、人事異動発令前に退職いたしました。

 

前職の批判ばかりを展開したら当然NGだが、この例のように異動を受け入れられずに辞めた、というネガティブな要素が入っていても構わない。
逆に、この年代ゆえに全てポジティブな要素だけで塗り固めると、現実を直視していないと見られ、かえって怪しまれるケースも。

退職理由のOK例(2)

【退職理由】

東日本大震災で主要取引先が被災し、前職では前年度比売上50%ダウンと危機的な状況に陥り、徹底したリストラ策を断行しました。
今まできちんと成果を上げてきた同僚社員も次々と解雇され、次は私ではないか、と疑心暗鬼なまま働くのでは、モチベーションが保てませんので、一旦リセットして次を探そうと思い、退職を決意いたしました。

 

通常このような職場環境に追い込まれてのケースの場合、きちんと会社に残って経営再建に尽力すべきで、途中で逃げ出すのはよくない、と見る向きもあるが、曖昧なポジティブワードで本質を誤魔化すよりは、地に足が着いた理由で納得を得やすい。
 

退職理由のOK例(3)

【退職理由】

前職では管理職候補として採用されましたが、勤務した約1年間は一般社員レベルの業務しか任されませんでした。
そして管理職への昇格は数年先であることを知らされました。
この先、管理スキルをもっと伸ばしていきたい、と考えて前職に転職したのですが、このままでは貴重な時間を無駄にするだけと思い、退職を決意いたしました。

 

1年という短期間での自己都合退職であっても、入社前と入社後の話が大きく違った、というケースであれば、当時の状況が自分の想いや目標と合っていなかったことを実直に書くことで、採用人事に伝わりやすくなる。
 

志望の動機、アピールポイント欄の効果的な書き方とは?

志望の動機、アピールポイント欄は、この履歴書フォームで最も大きなスペースを確保しており、採用人事の注目度が高い、最も重要な項目の一つであることは言うまでもありません。
実際にここは180字くらい書けますので、必ず具体的に詳細に書かなければなりません。

ここは「志望の動機」と「アピールポイント」と2つの要素がタイトルに入っていますので、ここでは分けて考えます。

まず「志望の動機」ですが、職務経歴書や志望動機書といった他の書類で志望の動機を語らない場合、この履歴書だけで応募先への熱い想いを語る必要があり、その重要度は更に増します。
この志望の動機を書く場合、「なぜ応募先企業の応募職種なのか?」、「そこで応募者ならどういった貢献ができ、どうしていきたいのか?」といった2つの観点を必ず盛り込むようにしてください。

年代柄、今どきの就活生でも書かないような抽象的で低レベルのもの、たとえば「貴社の “私達は地域社会に信頼され、成長する企業であり続けます”という 経営理念に強く惹かれました。社会貢献度の高い貴社でぜひ頑張りたいと思い、志望いたしました。」では、目も当たられません。

サンプル等を加工するのではなく、必ず応募者オリジナルのものを作成し、自分の熱い想いを端的に語るようにしてください。

次に「アピールポイント」です。

通常この内容は職務経歴書に詳細に書きますので、同じことをなぞるようならば、スペースがもったいないので、職務経歴書で書き切れなかった他のPRポイントを書くか、もしくは思い切って上記の「志望の動機」だけに絞るのも一手です。

このような記述の重複があるがゆえに、たまに「詳細は職務経歴書を参照願います。」とだけ書いてある履歴書を拝見しますが、著者は履歴書単独で一つの書類として完結させておくことをお勧めします。

中高年だと年齢制限に引っかかる危険性もあり、応募可能な求人ならば1名の応募に100名超の応募者が集まる状況です。

だから必ず履歴書・職務経歴書をセットで見てくれるという保証はなく、まず先に履歴書を見て評価を下した上で、次の書類をチェックするかどうかを判断する、という採用プロセスで臨んでいる企業があるのがその理由です。
 

志望の動機、アピールポイントのNG例

【志望の動機、アピールポイント】

職務経歴書に記載しましたので、詳細は職務経歴書を参照願います。

 

志望の動機、アピールポイントのOK例(1)

【志望の動機、アピールポイント】

競争の激しい金融商品業界において、私が現場最前線で培ってきた商品先物取引の営業のスキル・経験が、貴社で最大限に活かせると考え、また貴社の成果主義を重視する姿勢と私の志向がマッチしたのが最大の志望の動機です。
貴社が長年蓄積してきた信頼感や安心感を後ろ盾にしつつ、これに甘んじることなく着実に成績を残せる渉外営業社員になる自信があり、今回貴社に応募した次第です。

 

志望の動機、アピールポイントのOK例(2)

【志望の動機、アピールポイント】

貴社であれば前職と同じ業種であり企業規模も同等であることから、私が養ってきた約18年の経理経験、スキルを余すことなく発揮できると考えました。
また、生涯勤務するつもりだった前職の会社が倒産してしまったため、安定成長を続ける貴社には大変魅力を感じます。落ち着いた職場環境の中で、持ち前の迅速さ、正確さを活かすことで、貴社発展の一翼を担いたく、応募させていただきました。

 

志望の動機、アピールポイントのOK例(3)

【志望の動機、アピールポイント】

同じ○○業界で約15年間働いてきた私にとって、約30年間トップシェアを維持する貴社は特別な存在であり、また新しいヒット商品を次々と生み出す商品開発力には、一目置いておりました。私自身、この直近の5年間に商品開発業務に携わり、一昨年大ヒット商品となった△△△△の開発プロジェクトでは中核を担っていましたので、この経験・スキルを憧れの貴社で発揮したく、応募いたしました。

 

志望の動機は、「なぜ他の企業、他の職種ではなく、応募先企業の応募職種でなければならないのか?」、「そこで応募者なら具体的にどのような貢献ができるのか?、そして入社したらどうしていきたいのか?」を、自身の豊富な職務経験から具体的かつ端的に語ることが作成のコツ。
抽象的で曖昧なもの、どこの企業にでも流用できるものはNG。
必ずその応募先企業向けのオリジナルなものを作成すること。
 

その他の項目欄の効果的な書き方とは?①

今回取り上げている履歴書フォームの「希望職種」、「希望勤務地」、「退職時の給与額」、「希望給与額」、「出社可能日」、「健康状態」、「趣味」、「スポーツ」、「特技」欄について、解説していきます。

これらの欄はスペースが狭い関係上、1行で収めることが求められますので、非常に短い言葉で主訴を伝えなければなりません。
また書きにくいから、書き方がよくわからないから、という理由で、書くことを放棄してはいけません。絶対に空白で提出しないでください。

まず「希望職種」欄ですが、前述のとおり、求人情報に掲載されている正確な職種を書きます。

「希望勤務地」欄は「特になし」よりも、「求人情報の内容に従います」、「全国どこでも勤務可能です」といった内容を書いておくことが効果的です。

「退職時の給与額」は、採用となると源泉徴収票の提出は必須ですから、事実をそのまま包み隠さずに正確に書きます。

「希望給与額」については、求人情報などにターゲットプライスが掲載されていればその範囲で書く方法もありますが、ここは「貴社規定に従います」で明確な回答を避けるのが常套手段です。

いくらスキルや実力を兼ね備えていて、その金額を要求するにふさわしい人だとしても、ここで堂々と大きな金額を書くと、それだけで嫌悪感を示す採用人事がいるのも実態だからです。

「出社可能日」欄ですが、これは失業中と在職中では書き方が違ってきます。
失業中の場合は「即勤務可能」、「すぐにでも出勤可」でいいでしょう。在職中の場合は引継ぎ見越しつつ就業規則上の退職手続き期間などを勘案して、現実的な出社可能日を割り出して書きます。

「健康状態」欄は、通常勤務に何ら支障がなければ「良好」、ここ数年体調不良もなく病欠もないようならば、「極めて良好」とプラスアルファして健康状態をPRします。

「趣味」欄は「読書」、「音楽鑑賞」、「映画鑑賞」、「ゴルフ」といったごく一般的なもので構いません。年代上、ウケを狙ったり必要はありません。
また「ゴルフ(月に8回はラウンドし、ベストスコア72)」といったような、あまり没頭している姿をさらけ出してしまうと、「趣味人間」で仕事は二の次な人とマイナス評価になる危険性があります。

「スポーツ」欄は、特別なものがなくても、ウォーキングやジョギングレベルでもOK。

「特技」欄は業務に直結するものがあれば、それを書くのがベスト。
たとえば、経理職だと「暗算」や接客職・営業職だと「人の顔と名前を即座に覚えることができる」、事務職・総務職だと「整理整頓」などがあります。

図解<記載サンプルと解説>

記載項目 解説
希望職種
人事【教育・採用担当者】
求人情報に掲載されている内容を一言一句間違わないように転記
希望勤務地
貴社求人情報の内容に従います
希望だからといって、思いつくまま書くのはNG
退職時の給与額
45万円
ごまかしたりしないで、正しい数字を書くこと
希望給与額
貴社規定に従います          万円
ここでの駆け引きは不要、邪推されないように、汎用的な回答で
出社可能日
6月1日
物理的に実現可能な最短の日付を書くこと
健康状態
極めて良好(直近2年間、病欠はありません)
「良好」以上の場合、更に文言を加えてPR
趣味
読書(月に4冊程度、最近は心理関係中心)
頻度やテーマなどを具体的に盛り込むと、イメージしやすくなる
スポーツ
ウォーキング(休日に2時間ほど散策)
野球やサッカーなど、ハードなスポーツでなくてもよい
特技
プログラム作成(簡単なものなら作成可能です)
PCやITは今やビジネスに必須なので、このようなものでも売りにつながる

 

その他の項目欄の効果的な書き方とは?②

今回取り上げている履歴書フォームの「通信欄」、「通勤時間」、「扶養家族数」、「配偶者の有無」、「配偶者の扶養義務」欄について、解説していきます。
「通信欄」以外は特別に書く内容を工夫する必要がなく、書きやすい項目と言えます。

「通勤時間」欄は、最短の交通ルートで導き出した、ドア・ツー・ドアの時間を算出します。遠いとどうしても、採用人事はマイナスに見がちですので、後述する「通信欄」を活用してフォローする方法もあります。

「扶養家族数」、「配偶者の有無」、「配偶者の扶養義務」については、事実をそのまま書きます。ここは記載の工夫しようがありません。

なお、これらの家族構成欄については、日本独自のものであって、本来は企業が求める業務遂行力とは何ら関係がないはずです。
今は多様な生き方が許容されていますが、この欄の記載に基づいて、「男は所帯を持って一人前」、「40過ぎにもなって独身って?何か本人に問題でもあるのか?」と偏見にも似た視点で応募者を測る採用人事もいます。
欧米でこのような情報を書かせたら、プライバシー侵害の大問題に発展するでしょうが、日本には日本のルールがありますので、今はそれに従うしかありません。もちろん、理由は何であれ、ブランクや虚偽は絶対にNGです。

さて、「通信欄」の活用方法についてです。
ここは使い方が明確に定義されていないため、何を書いていいのかわからずに、空白で出す人も多いのですが、ここはマイナスととられてしまう点や言葉足らずの点などに対してのフォローや応募者の希望事項について、記載します。

たとえば、連絡方法の希望。
「現在勤務中ですので、平日のお電話でのご連絡は午後7時以降にいただけると幸甚です。」といったのが典型例です。

前述の通勤時間についても、「貴社本社に勤務する場合、約1時間30分かかりますが、前職では2時間通勤を約5年継続していたため、通勤には支障はありません。」といった採用人事が懸念される点を先回りしてフォローをしておきます。
その他、学歴や職歴上にブランクがある場合のマイナス点のフォロー、「平成6年4月から平成9年10月までは、司法試験の勉強に専念しておりました。」といった記述などが効果的です。
このように既定の項目では採用人事に伝え切れない内容を盛り込みます。
なお、このフォームは「通信欄」ですが、他のフォームでは「本人希望記入欄」を使って同じようにフォローします。
 

通信欄の活用事例1(連絡方法について応募者自身の希望を伝える場合)

【通信欄】

現在勤務中で、日中はお電話対応は難しいため、ご連絡はパソコンメールの方に頂戴できると、幸いです。
なお、パソコンメールは、朝と晩の一日2回、チェックしております。

 

せっかく採用人事が目を付けてもなかなか連絡がつかない、というケースがあるために、このように先回りしておくとよい。

通信欄の活用事例2(健康状態のフォローを伝える場合)

【通信欄】

現在、既往症について要経過措置のため、月に1度だけ通院しなければなりませんが、通院日は休日を含め柔軟に対応できるために、貴社での通常勤務に影響を与えないことをお約束いたします。

 
後から既往症が発覚して、採用後にトラブルになるケースも。
傷病・疾患は業務に影響が出るかどうか、が採用人事のチェックポイントなので、これを先回りしてフォローしておく。
 

通信欄の活用事例3(職歴上のブランクのフォローを伝える場合)

【通信欄】

平成24年4月から平成25年3月までの約1年間、ブランクがありますが、この間は求職活動を行っておりました。
雇用情勢の厳しさを身を持って実感したため、貴社にご縁があった場合は、働けるありがたさを噛みしめ、粉骨砕身の想いで業務にまい進する覚悟です。

 

職歴として書けないブランクは、このように書く。苦難を今後に活かすような表現は、この年代ならではで効果的。

>> 第5回「履歴書の書き方~印象UPさせる履歴書とは?~」 へ続く



 

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講師プロフィール

  • 著者写真
  • 中谷 充宏(なかや みつひろ)
  • キャリアカウンセラー、社会保険労務士

  • 実績、経歴

    同志社大学法学部法律学科卒。NTT(日本電信電話株式会社)勤務後、キャリアカウンセラーとして独立。

  • ●マンツーマンで転職を支援する日本トップクラスの「転職のパーソナルコーチ」。
    ●一流企業社員や米国MBAホルダーからハンデ層まで、幅広い方々の転職支援の実績あり
    ●社会保険労務士としての経験から企業側の採用心理や実情も熟知。

  • 運営サイト

    ●運営サイト:中高年の転職の悩み相談室http://www.chuukounen.com/


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