人生100年時代とされる今、50代から転職を考える方は少なくありません。
年齢を重ねるごとに転職活動は厳しいものになりますが、50代はまだまだ働き盛り。
50代の方のこれまでの経験や実績を必要とする企業は多いものです。
転職支援サービスは様々ありますが、転職しようと思っている50代の方の中には、「仕事探しといえばハローワーク」と思っている方も多いでしょう。
そこで今回は、50代の方が転職でハローワークを利用することについて、メリットやデメリット、転職エージェントとの違いなどを詳しく解説します。
ハローワークは国(厚生労働省)が運営する総合的な雇用サービス機関で、公共職業安定所といわれています。
全国には500か所以上のハローワークがあり、雇用保険の手続きや仕事探しなど様々な雇用支援が実施されています。
求人の閲覧や応募は、インターネットからでもできますが、求人検索に慣れていない方や就職・転職に不安のある方は、ハローワークの窓口でサポートを受けることができます。
ハローワークでは、仕事探しで困っている方に向けて就職や転職をサポートする様々な支援が実施されています。
利用することで新しいステップを踏み出すことができるでしょう。
ここでは、ハローワークのサポート内容について、仕事探しの流れに沿って説明していきます。
ハローワークでは、雇用保険の手続きを行っており、失業中の方の再就職を支援するための失業給付を支給します。
基本手当を受給するためには、住所地を管轄するハローワークで求職申し込みを行い、職業相談や求職活動が必要です。
次の就職先が決まるまでの生活費の不安がなく、安定した仕事を探すことができます。
この流れから、「仕事探し=ハローワーク」とイメージされる方が多いでしょう。
ハローワークでは、仕事に関する様々な相談を受け付けています。
窓口で相談することで、求職に関するアドバイスを受けることができます。
また、求人票で気になることがあれば、直接企業に問い合わせてくれる場合もあります。
「仕事探しの第一歩は、自分自身を知ることから」として、これまでの経験や強み、将来の目標などを振り返り、自己分析のサポートを受けることができます。
ハローワークでは、パソコンを使ってご自身で求人検索できます。
一人での仕事探しが不安な方や、条件に合った求人がわからないといった方には、窓口で相談しながら希望条件に合った求人を探すサポートをしてくれます。
求人の内容や応募要項に不明な点や質問がある場合は、職員が求人企業に確認する場合もあります。
気になった求人があれば応募となりますが、その際に必要な書類は、履歴書と職務経歴書です。
履歴書や職務経歴書の書き方がわからない場合は、ハローワークで書き方をアドバイスしてもらえます。
また、面接でしっかり受け答えができるように個別相談やアドバイスのほか、セミナーも実施されています。
転職が初めてという50代にとって、心強いサポートですね。
応募したい求人があれば、ハローワークの職員が企業に対して、応募状況の確認や面接の日程調整などを行い、紹介状を発行します。
提出期限に間に合うように応募書類を送付したり、面接対策を行いましょう。
ハローワークでは、採用後の相談にも対応しています。
求人票と実際の労働条件が異なっていたという場合は、すぐにハローワークに相談しましょう。
また、不採用になった場合には、応募書類の見直しや希望条件の再検討なども相談することができます。
ここまでハローワークのサポート内容について説明しました。
次に50代がハローワークを利用するメリットをみていきましょう。
ハローワークに掲載されている企業は、地元密着型企業が多い傾向です。
このような条件を希望する方は、遠方まで勤務することは負担が大きくなってしまいます。
できるだけ地元で仕事を見つけたい方にとって、自宅近くの求人を見つけやすいというメリットがあります。
ハローワークは公的機関であるため、信頼度が高い求職支援サービスです。
また、民間の転職サイトや転職エージェントと異なり、企業側が無料で求人を募集することができます。
中小企業などは、採用コストを抑えるために、まずはハローワークで費用をかけず求人を募集する企業も多く、ハローワークにのみ掲載されている求人も少なくありません。
ハローワークで求職活動や応募をしているにも関わらず、なかなか就職に至らない場合は、失業給付が支給されます。
50代といえば、家族を養っている方も多いのではないでしょうか。
給付額は、働いていた頃の給与よりも下がりますが、経済面の負担なく就職・転職活動ができるのはメリットですね。
ハローワークでは、希望する仕事に就職・転職するためにスキルや知識を身に着ける公的職業訓練(ハロートレーニング)が実施されています。
学べる内容は多岐に渡り、事務、IT、建設・製造、介護、デザイン、Web設計など様々な訓練コースがあり、受講料は原則無料です。
未経験からやりたい仕事へ転職したい方やスキルアップしたい方が、実践的なスキルを身に着けて転職成功を目指すことができるでしょう。
ハローワークは、様々な就職・転職支援を無料で利用することができます。
スキルアップや資格取得が目指せる職業訓練についても、一部有料の場合やテキスト代は実費になりますが、基本的に無料です。
また、就職や転職に役立つセミナーやイベントも開催されています。
これまで転職をしたことがない50代の方や、資格取得を目指したい50代の方にとって、無料で転職のノウハウを身に着けることができることはメリットといえるでしょう。
50代がハローワークを利用するメリットは多いですが、一方でデメリットもあります。
利用を検討されている方は、メリットだけでなくデメリットについても理解しておきましょう。
ハローワークは求人数・情報が多いことをメリットで挙げましたが、高待遇の求人の件数は少ない傾向です。
給与や労働条件などこだわりがない場合は転職しやすいですが、良い条件を求める場合は、なかなか求人が見つからないケースが多いでしょう。
また、「お金をたくさん出してでも良い人材に来てほしい」という企業は、有料の転職サイトや転職エージェントに求人を掲載します。
一方で、「採用コストをかけたくない」「経営状態が好調ではないため採用コストをかける余裕がない」という企業は、無料で掲載できるハローワークを選ぶ可能性が高くなります。
ハローワークのすべての求人が該当するわけではありませんが、転職サイトや転職エージェントに比べると、高待遇の求人はレアというのが実情です。
「ハローワークはブラックが多い」という噂を聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。
実際に、求人票の募集要項と採用された後の労働条件が異なっていたというケースも多く、事務員として応募したはずが、軽作業を支持されたという事例もあります。
ハローワークの求人は無料で掲載できるため、慢性的な人手不足の企業や業績が不調な企業が求人を募集しています。
一般的に人手不足で悩む企業や、業績が悪い企業はブラック企業になりがちです。
業績も好調でホワイト企業の求人も多いですが、中にはブラック企業が潜んでいる可能性もあります。
ブラック企業を回避するために、ハローワークの求人票だけでなく企業サイトや口コミなどもチェックしましょう。
ハローワークでは職員から求人の提案や情報提供、履歴書のアドバイス、面接対策など、就職や転職に関する様々な支援を受けることができます。
しかし、業界や企業の動向、専門的な知識に関しては得ることは難しいでしょう。
求人票をみて「どんな会社か」と簡単な説明があっても、職場の人間関係や実際の労働環境など内部事情については分かりません。
詳しい情報を知ったうえで転職先を探したい方は、ハローワークよりも転職サービスなどのほうが情報に精通しているためおすすめです。
ハローワークは、転職サイトや転職エージェントのように、求人情報を紹介するメールやスカウトなどはありません。
基本的に自分で求人を探し、仕事を見つける行動を起こさなければ、転職先を見つけることは難しいでしょう。
ハローワークは「仕事を確保する場所」で、「今すぐに働き口を見つけたい」という方以外には向いていない機関です。
近いうちに失業状態から抜け出す目的があるため、将来的に転職を考えている、なんとなく転職したいといった転職が明確に決まっていない人にとっては、利用しづらい部分もあるでしょう。
雇用保険の手続きや転職相談、紹介状の発行など、ハローワークでの転職支援は手間がかかってしまうことがデメリットです。
特に応募先企業へ提出する紹介状については、窓口で順番待ちをして毎回発行してもらわなければいけません。
さらに履歴書や職務経歴書は、応募する会社ごとに必要となります。
1回で転職成功すればいいですが、不採用が続くと何度も手間を重ねる必要があります。
転職サイトや転職エージェントでは、履歴書や職務経歴書を1度登録すれば情報を活用できるため何度も書く負担を減らすことができるでしょう。
それでは、ハローワークに向いている50代の方はどんな方なのでしょうか。
5つの特徴をみていきましょう。
50代からの転職は新しいチャレンジです。
ハローワークは求職者の転職をサポートする情報やサービスを提供しますので、はじめての転職、または転職経験が少ない50代にとって、心強い機関になるでしょう。
「仕事探し=ハローワーク」と思っている方が、どんな仕事があるのか求人検索する第一歩にもぴったりです。
ハローワークの求人数は非常に多いです。
様々な業界や職種だけでなく、雇用形態も多岐にわたります。
幅広い選択肢から自分に合った仕事を選びたい50代や、業種や職種、雇用形態にこだわりがなく転職したい50代にとって向いている転職支援といえるでしょう。
転職サイトや転職エージェントでは、正社員や契約社員の求人がほとんどです。
家庭の都合や体調面などを理由に転職する場合や働く時間に制約がある場合は、派遣社員やアルバイトといった雇用形態が多いと選択肢が広がりますね。
先述したようにハローワークは、地元密着企業の求人に強みがあります。
自宅から通いやすい会社に転職したい方や、通勤の負担を少なくしたい方に向いています。
また、地方では転職サイトや転職エージェントのサービスが対応していない地域も少なくありません。
オンラインでの面談ができるといっても、対面で相談し、転職支援を受けたい場合はハローワークがおすすめです。
ハローワークは全国に展開しているので、より仕事を見つけやすいといえるでしょう。
退職した後に少しゆっくり過ごしたい方や失業中で仕事探しに時間をかけられる方は、失業保険を受給しながら転職活動を進めることができるハローワークがおすすめです。
時間をかけて自分に合った仕事を探すことができるでしょう。
一方、転職サイトや転職エージェントでは、スピード感ある転職ができるため、退職から転職までのブランクを空けたくない方におすすめです。
キャリアにブランクがある方や、資格がない方が転職を成功させるためには、スキルを身に着けて転職活動を進めていくことが大切です。
ハローワークでは職業訓練を提供し、介護やIT業界などで即戦力として活躍できる資格取得をサポートしています。
未経験から新しい業種へ転職したいというキャリアチェンジ転職を希望する方にとっても、丁寧に知識とスキルを学ぶことができるため、ハローワークの職業訓練は活用できる制度でしょう。
ハローワークと転職エージェント、どちらも転職を支援してくれる機関ですが、どちらを利用すべきか迷っている方も多いのではないでしょうか。
ここでは、ハローワークと転職エージェントの違いについて解説します。
ハローワークと転職エージェントでは、保有している求人企業の規模や層が異なります。
ハローワークは無料で求人を募集できるため、人材不足に悩む企業や採用コストをかけたくない企業が多い傾向です。
一方転職エージェントは、求人を募集する企業側が費用を負担していますので、採用コストをかけていい人材を確保したい企業が利用しています。
ハローワークは地元で活躍する中小企業が多く、転職エージェントでは中小企業のほか、大企業や海外展開する企業の募集も多い傾向です。
そのため、年収や福利厚生など待遇や条件がいい企業が多く、前職からキャリアアップしたい方や年収アップを目指している方は、転職エージェントの方が希望に合った求人を見つけやすいでしょう。
また、転職エージェントのみに求人を出している独占求人や非公開求人も多いため、思ってもいないホワイト企業や高待遇求人と出会えるチャンスも広がりますね。
ハローワークと転職エージェントでは、どちらも求人検索や情報の提供、履歴書や職務経歴書のアドバイス、面接対策などを行っています。
しかし、両者を比較すると、転職サポートの充実度が異なります。
転職エージェントでは、専任のキャリアアドバイザーが、年収や待遇の条件交渉、入社日の調整、適性診断などもサポートします。
相談から入社後のアフターフォローまでフルサポートしてもらえることが特徴です。
キャリアアドバイザーには、「転職をしようか悩んでいる」「どんな仕事が向いているかわからない」といった気軽な相談もできるので、心強い味方となるでしょう。
ハローワークでは、基本的に採用までのサポートがメインです。
一人での転職活動が不安な方や転職に結び付けたい方は、転職エージェントの徹底したサポートを受ける方が安心ですね。
転職に関する企業情報にも違いがあります。
転職エージェントでは業界や企業情報に精通した専任のキャリアアドバイザーが転職に役立つ情報を提供してくれます。
例えば、会社の雰囲気や人間関係、残業時間など、直接企業に聞きにくい疑問についても対応してくれるでしょう。
企業とのパイプが太く、実際に企業訪問した情報をもとに、求人票に書かれた情報以外も充実しています。
一方、ハローワークは、基本的に求人票に記載された内容がメインの情報になり、企業からヒアリングした情報は少ないです。
入社後のミスマッチを避けたい方は、前もって企業の情報を知って入社後のイメージができる転職エージェントのほうが向いているといえます。
ハローワークの仕事探しは、主体的に求人を見つけて「働きたい」という意思を担当職員に伝えます。
一方、転職エージェントは、登録後にキャリアアドバイザーとキャリアカウンセリングを行い、これまでの経験やスキル、求職者の強み、希望など様々なことに考慮し、求職者に合った仕事を紹介してもらえるスタイルです。
客観的な視点で求職者に合った仕事を提案してもらえるので、入社後のミスマッチが少ないことがメリットになるでしょう。
また、転職エージェントによっては、スキルとマッチする企業からスカウトを受けることもできます。
求人を検索する手間を省けるため、仕事をしながらでもスムーズに転職活動を進めることができるでしょう。
マイペースに転職活動を進めたい方はハローワーク、キャリアアドバイザーから個別的な転職支援を受けたい方は転職エージェントがおすすめ
いかがでしたでしょうか。
50代の方が転職でハローワークを利用することについて、メリットやデメリット、転職エージェントとの違いなどを詳しく解説しました。
50代の転職活動において、ハローワークを利用することは様々なメリットとデメリットがあるということがお分かりいただけたかと思います。
ハローワークは公的な就職・転職支援機関であり、多くの求人情報を提供していますので、幅広い選択肢から自分に合った職種や条件を見つけることができます。
しかし、求人情報の量は多いものの、職種や業種によっては情報が限られている場合もあり、転職エージェントを利用した方が充実したサポートを受けながら、幅広い転職活動を進められるケースもあるでしょう。
年齢を重ねるごとに転職の難易度は高くなるため、早く転職先を決めたい方は併用する方法もあります。
ご自身に合ったサポートを選び、転職活動を進めていきましょう。