AIに奪われやすい仕事とは?AI時代を生き抜くためにできること

かつては映画の中だけの話だったAIが、今では私たちの生活に身近な存在です。AIスピーカーや音声認識AI、文章作成AI、イラスト作成AIなど、AIは驚異的な速度で世界に普及しています。

その中で、私たちの生活・仕事もAIに代替され、10年後20年後には奪われてしまう仕事もあるとされています。

今回はこれからのAI時代を生き抜くために、奪われやすい仕事の共通点、仕事を続けていくために求められることを解説する内容です。

AI時代は本当に仕事が奪われるのか?

AI時代を迎え、本当に人間の仕事が奪われていくのか詳しくみていきましょう。

そもそもAIとは何か

AIとは「Artificial Intelligence」の頭文字を取った略称で、自律的に学習するコンピューターのことを指します。

一口にAIと言っても、大量のデータを分析して共通点・特徴を判別して学習する「機械学習・ディープラーニング」、画像や音声を読み込んでデータとして分析・生成する「画像・音声認識AI」、日常的な会話などを処理・理解して音声・文章を生成する「自然言語処理AI」があります。

日本では2020年以降にAIがビジネスでも導入されるようになり、現在では「人間の仕事を奪うのではないか」と言われるようになりました。

人間のように細かなミスをすることがなく、膨大なビッグデータから最適な答えを導き出せるAIは、2023年には人間の知識の総和を超えるとも言われています。

10年後には49%の国民の仕事がAIに代替できる

2015年、野村総合研究所がイギリスのオックスフォード大学との共同研究により、「国内601種類の職業、AI(人工知能)やロボットなどでの代替確率を試算」という推計結果を発表しました。

その内容は、労働人口の約49%がAIに代替できるとされており、日本国民の半分が失業するという衝撃の結果でした。

そしてAIに奪われる可能性が高いとされる仕事は、多くが単純作業で、特別なスキルや資格を必要としないものです。

また、人とのコミュニケーションが必要な仕事、創造性の必要な仕事は奪われにくいという結果が出ています。

参考:株式会社野村総合研究所 「日本の労働人口の49%が人工知能やロボット等で代替可能に」

なぜAIで働き方が変わるのか

AIが進化するとなぜ仕事が奪われ、働き方が変わると言われるのでしょうか。

その理由として、AIには次の強みがあるとされることが影響しています。

  • 膨大なデータを瞬時に処理できる
  • 人間に比べてミスが圧倒的に少ない
  • 入出力業務が早い

AIは単純作業ほど効率化できるツールであり、人間のように休憩や休日も必要としません。事務作業1つをとっても入力ミスがほとんどなく、人間の手作業よりも早く正確です。

AIのこうしたメリットは、従来は人間が行ってきた単純作業に代替しやすく、働き方が変わると言われています。

しかし、それが直ちに人間の仕事を奪うとは限らず、人間でなければできない仕事はまだまだ多いです。

ChatGPTの登場でAIの台頭が現実味を帯びている

2022年には画像・イラスト作成AIや自然言語処理AIの「ChatGPT」が登場し、従来のAIのイメージを覆しました。

まず、画像・イラスト作成AIはキーワードを入力するだけで、AIが自然処理してキーワード通りの画像・イラストを作成してくれます。

ChatGPTは対話形式のAIで、質問に対して回答すると同時に、キーワードに関連するデータをインターネット上から収集し、自動で学習していきます。

有料版・無料版によって情報の正確性は変わりますが、人間ではなくても素早く、正確な答えを瞬時に導き出すAIは、単純作業や事務作業にも十分応用できるレベルに達していると言えるでしょう。

ただし、AIを利用することによる画像・文章・創造物への著作権については、まだ法整備が追い付いていない状態です。AIを利用することで著作権が認められないケースや、逆に著作権侵害の加害者になるリスクがある点は理解しておくべきでしょう。

AIに仕事を奪われる仕事の共通点

将来的にAIによって仕事を奪われるとされている仕事の共通点をご紹介します。

単純作業や定型化された業務がメイン

AIは人間に比べて正確で、効率的に作業を進められる点が特徴です。

創造性の高い仕事はAIには難しいですが、資料や数字を使った単純作業やデータ入力、文書整理などの定型業務は得意としています。

また、データ入力や文書整理は人間でなくてもできる作業であることから、単純作業はAIに任せ、その分の時間で別の仕事をする方向に今後シフトしていくでしょう。

対人関係・コミュニケーションを必要としない

AIによる自動音声生成や対話形式のサービスはありますが、現段階では人間とのコミュニケーションには遠く及びません。

人間のコミュニケーションは7割が非言語的コミュニケーションであり、表情や口調、目の動きなどから心の機微を読み取っています。

AIにはそのような高度なコミュニケーションは難しく、対人関係や人とのコミュニケーションが求められる仕事は代替できないとされています。

逆に言えば、対人関係やコミュニケーションが必要とされない仕事は、AIに奪われる可能性が高いということです。

パソコンだけで完結できる

パソコン内で完結できる仕事は、AIによるオートメーション化やシステム化も簡単で、指示さえ出せばAIが自動処理してくれます。

そのため、事務仕事やコーディング、翻訳・通訳などもAIで代替可能と言われています。

実際に、AIにコーディングさせるプログラマーも現れており、ビジネスで活用が始まっていることは間違いありません。

これからのAI時代を生き抜くためには、「AIをビジネスでどう活用していくのか」を考えることが重要になるでしょう。

AIの発展で奪われる可能性のある仕事11選

AIの発展で奪われる可能性のある仕事11選と、その理由をご紹介していきます。

事務職

事務職はパソコンでのデータ入力、資料作成、数字の扱いなど単純作業が多く、AIに奪われやすいとされている仕事の1つです。AIは人間よりも正確性が高く、入力も早いことからAIに代替できるとされています。

銀行員

銀行員は現時点でもATMで一部の業務が自動化されており、他にもルーチン業務が多いことから、正確性の高いAIに奪われる可能性が高いとされています。
その代わりに、顧客への接遇やヒアリング、営業分野などに力を入れ、人間にしかできない仕事と区別されていくでしょう。

清掃員

以前からロボット掃除機を含む、一部の業務が自動化されている清掃員も仕事を奪われる可能性があります。細かいごみ程度ならロボットに任せられるため、それ以外の業務を人間が担当することになるでしょう。
また、施設等の利用者に対する臨機応変な対応はAI・ロボットには難しいため、コミュニケーション能力や気配りで区別化することが重要です。

スーパー・コンビニ店員

スーパー・コンビニのレジ打ち、在庫管理などの業務は、AIやロボットでも代替できる業務です。実際に無人のコンビニが設置されているところもあり、人間に代替している代表的な例と言えるでしょう。
ただし、全ての業務を代替することは難しく、盗難の問題もあることから、人間でなければ対応できない部分もあります。

タクシー・バス運転手

日本では自動車業界の技術進歩が進んでおり、自動運転技術も実用化に近いレベルまで来ています。既に東京都内では自動運転用に道路整備を行っており、タクシー・バスの運転手はAIに一部の仕事を奪われる可能性があります。
一方、移動に介助が必要な方もいることから、全ての業務がAIに代替される可能性は低いでしょう。

ウェイター・ウェイトレス

飲食店でお客様の注文を確認し、配膳・下膳を行うウェイターやウェイトレスもAIによって人員削減の可能性があります。現在でも注文をタブレット、配膳・下膳だけならロボット化している店舗もあり、AI化による波は訪れています。
人間はお客様対応などの付加価値にリソースを割き、AIに任せる業務との差別化が必要になるでしょう。

建設作業員

建設作業員は現場作業が多く、AIとの関連性がイメージしにくい職種かもしれません。しかし、重機や建機にはAIが搭載され、人間が操作しなくても動作したり、遠隔から操作したりする実証実験が行われています。
人間はAIを活用した工事の進捗状況の把握、AIでは難しい確認作業などを行うことで、作業効率を高めることができます。

電車運転士

電車や新幹線の運転士も、近年は無人自動運転によってAIに仕事を代替されると言われています。以前から運転士のなり手が不足していたことから、AIによる自動運転は積極的に取り入れようという流れができています。
現段階ではAI用の路線整備や実証実験が進められており、今後AIによって無人自動運転が実現する日も近いでしょう。

ライター

ライターはChatGPTのような自然言語処理AIの登場によって、仕事を代替される可能性がある仕事です。自然言語処理AIは必要なキーワードを入力し、作ってほしい文章を入力すればその通りに文章を作成してくれます。
処理にエラーが発生しやすいこと、外国製であるため不自然な文章があること、データが不正確な点を理解して利用すれば十分実用的なAIです。
ライターはAIを上手く活用し、自身の体験を交えた文章作りで差別化していく必要があるでしょう。

警備員・監視員

警備員や監視員もAIによって仕事がなくなるとされており、日本では大手警備会社が警備ロボットを実際に発売しています。海外では道案内機能を持った警備ロボットも導入されており、監視カメラの顔認識と合わせて、人間による警備が少なくなる可能性があります。
ただし、海外では警備ロボットを破壊したり、横倒しにしたりする事件も起きており、一部には課題があることも確かです。人間の警備員・監視員とAIをどう組み合わせて業務を遂行するか、その点が今後の改善策になるでしょう。

ホテルの客室係・フロント係

ホテルの客室係やフロント係も、AIの進歩で仕事が奪われる可能性があります。長崎県のハウステンボスではAIのフロント係が実装されており、人間によるサービスなしでも営業を続けています。
アフターコロナの時代は日本の観光・宿泊業も復活の兆しがあるため、AIの活用は急務です。人間がすべき仕事は顧客満足度やヒアリング、おもてなしの部分に差別化されていくでしょう。

AI時代に需要が高まる仕事とは

AI時代が始まりを告げる中で、今後需要が高まっていく仕事とはどのようなものでしょうか。それは次のようなスキルを必要とする仕事です。

  • 繊細な作業ができる技術
  • 対人でのコミュニケーション能力
  • 人に共感する力
  • 発想力・想像力
  • 豊かな感性

人間にあってAIにないものは、心や感性、繊細さ、想像力といったものです。

また、AIはどれだけ進化しても人間のような五感による体験をすることはないため、自身だけの体験、感情を表現することは難しいです。

また、人間は相手に共感することで信頼関係を築くことができるため、人間関係を基本にした仕事はAIの進化と関係なく需要が高くなっていくでしょう。

AI時代を生き抜くためにするべきこと

AIが今後も発展していくことを予測して、AI時代を生き抜くために何ができるのかご紹介します。

キャリアプランを明確にしておく

最初に考えるべきことは、AI時代でも活躍できるキャリアプランです。AIに奪われる可能性がある仕事は紹介しましたが、他の仕事もAIの進歩によって淘汰される時代が来るでしょう。

AIに奪われにくい仕事と、AI時代でも活躍できるキャリアプランを設計すれば、不安を抱かずに仕事を続けられます。

また、転職をする際には市場価値の高い人材として、有利な条件の仕事を見つけられます。

AIでは代替できない資格・スキルを取得する

AIはビッグデータを基に様々な作業を行うことから、専門性の高い仕事には不向きです。

インターネットや文献で一般化された情報に比べ、専門資格や専門スキルはAIで代替できません。

また、カウンセリングなどのメンタルヘルス、チームのマネジメントなどもAIにはできないことから、これまで以上に専門に特化した資格・スキルが必要になるでしょう。

自分の働いている業界、興味のある仕事をリサーチし、AIでは代替できない資格・スキルがないか知ることが重要です。

コミュニケーション能力・問題解決力を鍛える

人間にしかない能力として、言語的・非言語的なコミュニケーション能力と問題解決力があります。

コミュニケーション能力は仕事を円滑にするうえで欠かせないスキルで、目の前の相手のニーズを把握するために重要な能力です。

また、人間社会が発展してきたのは問題解決力があったからこそで、この力はイノベーションにも関わってきます。

AI時代を生き抜くためには、人とのコミュニケーション能力を磨き、多くの知識を得ることで問題解決力を鍛えることが重要です。

創造性や倫理観を大事にする

AIは急速に進化していますが、あくまで人間のこれまでのデータを基にした内容が基準で、創造性は生まれていません。

全く新しいものを作り出す創造性は、人間の経験と感性があってこそのものだからです。

また、「これをやったら相手に失礼かな」「人間として許されないこと」などの倫理観は、AIには備わっていません。

そのため、AI時代を生き抜き、活用するためにも人間の倫理観は必須で、ビジネスマンとしての常識や倫理観をしっかり持つことが大切です。

AI時代が来たとしても人間の価値は変わりませんから、創造性や倫理観を含め、自分の価値を見誤らないようにしてください。

AIに影響されにくい業界を把握する

最後に、基本的なことですがAIに影響されにくい業界を把握することです。

どれほど優秀なAIが生まれても、全ての仕事がAIに代替されるわけではありません。

人の手でなければできない仕事は残ることから、AIに影響されにくい業界、その中でも自分自身が興味のある業界を調べてみてください。

人間とAIが上手く共存しながら、効率的な仕事を進める方法を考えていくことが大切です。

まとめ:AI時代は人間にしかできない価値を高めていく時代

AIは日々進歩しており、私たちの想像のはるか先へ向かっています。これから先は、AIやロボットに人間の仕事が奪われる未来を想像してしまいますが、人間にしかできない仕事も確かに存在します。

AI時代を生き抜くためには、人間はAIにできない専門的な作業、コミュニケーションなどを重視した働き方が必要になるでしょう。

時代が変化していくのは必要なこととして受け止め、これからのAI時代に、自分の価値をどうやって高めていくか考えることを大事にしてください。


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷