テレワークで需要急増中!AWS認定資格の種類と難易度を紹介

近頃は、場所や時間にとらわれない働き方であるテレワークの普及が進んでいます。特に、新型コロナウイルスが世界的に流行してから外出自粛が推奨されており、会社員の働き方も変化していると言えるでしょう。

そこで、注目されている技術がクラウドコンピューティングサービスです。クラウドコンピューティングサービスを利用すると、自宅のパソコンから大容量のストレージやデータベースにアクセスできるため、テレワークの大きな助けになります。

クラウドコンピューティングサービスの中でも代表的なサービスが、Amazonが提供するAWSです。AWSを上手に使えるエンジニアは会社で重宝されるため、就職や転職において有利になるでしょう。そこで今回の記事では、AWSやクラウドコンピューティングを知らない方でも分かるように、AWS資格の概要、種類、難易度、勉強法を解説します。

AWSとクラウドコンピューティングサービスについて

AWSはクラウドコンピューティングサービスの一種です。そこで、AWSを理解するため最初にクラウドコンピューティングについて解説します。

クラウドコンピューティングサービスとは?

クラウドコンピューティングとは、インターネットを通じてソフトウェア、ストレージ、サーバー、データベースなどを利用するサービスを指します。サービスを提供する企業のコンピュータを利用するため、アクセスする端末の性能はほとんど関係ありません。誰でも最新のソフトウェアや大容量のストレージ、高速なデータベースを利用できるわけです。

代表的なクラウドコンピューティングサービスとしては、Amazonが提供する「AWS」、Googleが提供する「GCP」、Microsoftが提供する「Azure」の3種類が挙げられます。三大クラウドコンピューティングサービスを比較すると、日本においては「AWS」のデータセンターの数が3か所と最も多く、通信の遅延が少ないため快適に利用できるでしょう。

AWSとは?

AWSとは「Amazon Web Services」の略で、Amazonが提供するクラウドコンピューティングを総称したサービスです。AWSには100以上の種類があり、多くのことをクラウドコンピュータ上で実現できます。例えば、サーバー構築ができる「Amazon EC2」や、データベースを利用できる「RDS」、ストレージにデータを保存できる「Amazon S3」などは、AWSの代表格と言えるでしょう。
企業がAWSを利用すると、以下のようなメリットを享受できます。

・高価なパソコンやソフトウェアを購入することなく、高性能なコンピュータにアクセスできる
・インストールや設定など煩わしい作業をせず、すぐにサービスを利用できる
・必要な期間に必要な分だけ利用するため、コストを抑えられる
・定期的にアップグレードされるため、常に最新のソフトウェアを使用できる
・サーバーの準備や運用をAWSが賄うため、リソースを本来のビジネスに集中できる

日本でも多くの有名企業がAWSを導入しており、AWSエンジニアの需要が高まっています。AWS未経験の方もAWS認定資格を取得することで、クラウドコンピューティングサービスに関する知識をアピールできるでしょう。

全12種類のAWS認定資格について概要や必要なスキル・難易度を解説

AWSは、AWSエンジニアに対して専門知識やスキルレベルを評価するため、AWS認定試験を実施しています。有効期間は3年間で、有効期限を過ぎた場合には再認定を受ける必要があります。
AWS認定資格には2020年8月現在、3段階のレベルと12種類のカテゴリーが存在します。レベルはベーシック、アソシエイト、プロフェッショナルの順に難易度が上がるため、最初はベーシックの資格取得を目指すと良いでしょう。本章では12種類のカテゴリーについて、概要や必要な専門知識を解説します。

クラウドプラクティショナー

クラウドプラクティショナーは、AWSの全般的な知識やスキルを問うベーシックレベルの資格です。試験時間は90分、受験料金は11,000円となります。

クラウドプラクティショナーを取得するためには、AWSとは何か、そして基本的な機能を利用できるスキルが必要です。AWSの価値を理解し、どのような時どのような機能を使うべきか説明できるようにしておきましょう。

どんな人が受験する?

資格取得を目指すためには、6か月以上のAWS利用経験が推奨されます。AWS認定資格の中で最も易しく基本的な知識が問われる試験なので、初心者の方はまずこの資格を受験することをおすすめします。

ソリューションアーキテクト(アソシエイト)

ソリューションアーキテクト(アソシエイト)は、AWSを利用するシステム設計の能力を問うアソシエイトレベルの資格です。試験時間は130分、受験料金は15,000円となります。
ソリューションアーキテクト(アソシエイト)を取得するためには、AWSの技術を活用してアプリケーションを構築およびリリースできるスキルが必要です。また、要件定義やアーキテクチャ設計などシステム設計に関する知識も身に付けておきましょう。

どんな人が受験する?

資格取得を目指すためには、1年以上のAWSを利用したシステム設計の経験が推奨されます。AWSエンジニアとして活躍していきたい方は、最初にこの資格の合格を目指しましょう。

SysOpsアドミニストレーター

SysOpsアドミニストレーターは、AWSにおける開発スキルを問うアソシエイトレベルの資格です。試験時間は130分、受験料金は15,000円となります。
SysOpsアドミニストレーターを取得するためには、AWSを利用してシステムをリリース、管理、運用する能力が必要です。さらに、AWS利用にかかる料金を把握しながらコストをコントロールできる知識も身に付けておきましょう。

どんな人が受験する?

資格取得を目指すためには、1年以上のAWSを利用したシステム運用の経験が推奨されます。実務でシステム運用の仕事経験があるエンジニアの受験をおすすめします。

デベロッパー

デベロッパーは、AWSベースで制作するアプリケーションの開発や保守の能力を問うアソシエイトレベルの資格です。試験時間は130分、受験料金は15,000円となります。
デベロッパーを取得するためには、クラウド環境でアプリケーションを開発、リリース、デバッグできるスキルが必要です。またAWSの主要なサービスを理解し、最適な活用法を提案できる知識もあると良いでしょう。

どんな人が受験する?

資格取得を目指すためには、1年以上のAWSを利用したプログラミングの経験が推奨されます。一つ以上のプログラミング言語について深い知識を持ったプログラマーの受験をおすすめします。

ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)

ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)は、AWS認定資格の中で最も幅広いIT知識を問うプロフェッショナルレベルの資格です。試験時間は180分、受験料金は30,000円となります。
ソリューションアーキテクト(プロフェッショナル)を取得するためには、継続的に稼働し障害に強く信頼性が高いアプリケーションを設計するスキルが必要です。さらに、AWS利用の料金を抑えられるようにコストコントロール戦略を導入できる知識も身に付けておきましょう。

どんな人が受験する?

資格取得を目指すためには、2年以上のAWSを利用したシステム設計の経験が推奨されます。ソリューションアーキテクトとして経験を積んだ方の受験をおすすめします。

DevOpsエンジニア

DevOpsエンジニアは、AWSクラウド環境の運用や管理能力を問うプロフェッショナルレベルの資格です。試験時間は180分、受験料金は30,000円となります。
DevOpsエンジニアを取得するためには、AWSのプラットフォームで継続的なシステムを実装し維持していくスキルが必要です。さらに、運用プロセスを自動化するためのツールを設計、管理できる能力もあると良いでしょう。

どんな人が受験する?

資格取得を目指すためには、2年以上のAWSを利用したインフラ構築の経験が推奨されます。システム開発において、ハードウェアやソフトウェアの導入および設定業務を担当する方の受験をおすすめします。

高度なネットワーキング

高度なネットワーキングは、ネットワークエンジニアを対象とする専門知識の資格です。試験時間は170分、受験料金は30,000円となります。
高度なネットワーキングを取得するためには、AWSを使用したシステムにおけるネットワークの設計および管理スキルが必要です。さらにツールを活用してネットワークのタスクを自動化できる能力もあると良いでしょう。

どんな人が受験する?

資格取得を目指すためには、アソシエイトレベルのAWS認定資格を持っている方の受験が推奨されます。仕事でAWSを使用したネットワーク関連の業務を担当する方の受験をおすすめします。

セキュリティ

セキュリティは、セキュリティエンジニアを対象とする専門知識の資格です。試験時間は170分、受験料金は30,000円となります。
セキュリティを取得するためには、AWSを利用したセキュリティシステムの実装メカニズムを理解できる知識が必要です。さらに、システムにおいて堅牢性の高いセキュリティを維持する運用能力を身に付けておきましょう。

どんな人が受験する?

資格取得には、セキュリティ関連の業務を最低5年以上担当した経験が推奨されます。セキュリティエンジニアとして深い経験を積んだ方の受験をおすすめします。

機械学習

機械学習は、データサイエンティストを対象とする専門知識の資格です。試験時間は180分、受験料金は30,000円となります。

機械学習を取得するためには、機械学習ソリューションを設計、実装するスキルが必要です。また、ビジネス上の問題に対して適切な機械学習のアプローチを選択する能力も身に付けておきましょう。

どんな人が受験する?

資格取得には、AWSを利用した機械学習や深層学習の開発に1~2年程度携わった経験が推奨されます。実際にデータサイエンティストとして活躍する方の受験をおすすめします。

Alexaスキルビルダー

Alexaスキルビルダーは、Alexaスキル開発者を対象とする専門知識の資格です。試験時間は170分、受験料金は30,000円となります。

Alexaスキルビルダーを取得するためには、Alexaスキルを構築するためのアーキテクチャを設計する能力が必要です。また、Alexaスキルを公開し、管理していく知識も身に付けておきましょう。

どんな人が受験する?

資格取得には、実務で6か月以上Alexaスキルを開発した経験が推奨されます。実際にAlexaスキルビルダーとして活躍する方の受験をおすすめします。

データアナリティクス

データアナリティクスは、データアナリストを対象とする専門知識の資格です。試験時間は180分、受験料金は30,000円となります。
データアナリティクスを取得するためには、AWSを利用してデータを分析するスキルが必要です。さらに、分析結果の情報を視覚化し、クライアントに説明できる知識も身に付けておきましょう。

どんな人が受験する?

資格取得には、実務で5年以上データ分析に携わった経験が推奨されます。AWSを利用しながらデータアナリストとして活躍する方の受験をおすすめします。

データベース

データベースは、データベースエンジニアを対象とする専門知識の資格です。試験時間は180分、受験料金は30,000円となります。
データベースを取得するためには、AWSにおけるデータベースサービスの機能や使い方を理解しておく必要があります。さらに、システム開発において必要な要件を満たすデータベースを設計できるスキルも身に付けておきましょう。

どんな人が受験する?

資格取得には、データベース分野の業務に5年以上携わった経験が推奨されます。仕事で、AWSを利用したデータベースの設計や実装を担当する方の受験をおすすめします。

AWS認定資格に合格するための勉強法とは?

AWS認定資格の中でも、初心者が取得を目指す場合におすすめするカテゴリーが「クラウドプラクティショナー」です。AWS認定資格は合格率が公表されていませんが、クラウドプラクティショナーはAWS認定資格の中で最も易しいと言われています。

本章では、AWSを利用したことがない初心者がクラウドプラクティショナーに合格するための勉強法を「独学」「オンライン学習」「プログラミングスクール」と3つの場合に分けて解説します。

独学で勉強する場合

クラウドプラクティショナーはAWS認定資格の中で最も参考書や問題集が豊富なため、独学でも合格を目指せます。勉強時間は受験する方のIT知識によっても異なりますが、初心者の場合50時間程度を見込んでおくと良いでしょう。

おすすめの参考書

参考書の中でもおすすめの本が「AWS認定資格試験テキスト AWS認定クラウドプラクティショナー」です。図解での解説が豊富で、初心者の方にも分かりやすいでしょう。まずはこの本を読みこみ、AWSの理解を深めることをおすすめします。

オンライン学習で勉強する場合

クラウドプラクティショナー合格に向けての知識は、Udemyなどオンライン学習プラットフォームでも学べます。書籍で勉強する場合と比較すると、動画のため分かりやすく通勤時間にスマートフォンを利用して勉強することも可能でしょう。

さらにオンライン学習は初心者向けの講座が多く、AWSを利用したことがない方でも理解しやすいメリットがあります。初心者の方はまずオンライン学習を通してモチベーションを高めてから、書籍での勉強に進むことをおすすめします。

プログラミングスクールで勉強する場合

プログラミングスクールでは、ITエンジニアに就職や転職を目指す方向けの講座が多く開催されています。それらの講座の一部には、AWSの学習内容が含まれていることもあるでしょう。
プログラミングスクールのメリットは、同じ学習内容を勉強している仲間がいるためモチベーションを維持しやすい点にあります。分からないポイントがあればすぐに質問できる点も、初心者にはありがたいでしょう。

初心者はまず「クラウドプラクティショナー」の合格を目指そう

テレワーク需要の高まりにより、今後はクラウドコンピューティングサービスの普及がますます進んで行くでしょう。中でもAWSは企業の採用率が高く、AWS認定資格の取得は就職や転職においても有利に働く可能性があります。
ITエンジニアだけでなく営業や管理部門の担当者においても、AWSを利用できれば業務において大いに役立つはずです。まずは、入門的な知識が問われる「クラウドプラクティショナー」の資格を取得することで、AWSに関して自身のスキルをアピールしやすくなるでしょう。

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷