2020年、新型コロナウイルス感染拡大の影響は良くも悪くも私たちの生活や仕事に大きな変化をもたらしています。
今まで普通に出来ていたことが制限されるストレス、新型コロナウイルスに感染することへの恐怖などから塞ぎがちになってしまっている人も多いと思いますが、ロックダウンを行った世界の都市では大気汚染が改善されたという報告があるように辛い状況の中にも良い変化をもたらすこともあるのです。
仕事に関しては新型コロナウイルス感染拡大防止対策のためにテレワークを実施した企業が多いと思います。
テレワークは働き方改革実現のための切り札としてコロナ以前から政府が普及・促進のための取り組みを行っていましたが、今回思わぬ形でテレワークが急速に広がっていきました。
ここでは、【コロナ以前からの働き方の変化】をはじめ、【アフターコロナの働き方など新型コロナウイルスに関連した企業の変化】について紹介していきたいと思います。
はじめに、コロナ以前とコロナ感染拡大以降とでリモートワーク(テレワーク)の実施状況にどのくらいの変化があったのかを株式会社リンクライブ(情報共有ツール「Stock」を運営)の調査を参考に見ていきたいと思います。
2020年4月2日時点でリモートワークを実施している企業のうちの約8割はコロナ感染拡大以降にリモートワークを初めて導入していることが分かります。
そして、政府からの外出自粛要請が出されたこともあり5割弱が週3~4回・週5回と高頻度でリモートワークを実施していることも分かりました。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け急速にリモートワークが広がっています。
【リモートワークの満足度】
※参照:株式会社リンクライブ「第1回 新型コロナウイルス感染拡大に伴うリモートワーク実態調査」
http://www.linklive.co.jp/docs/stock_press_20200407.pdf
戸惑いが見られる中始まったリモートワークでしたが、リモートワークを実施した感想としては導入されて間もないこともあり「どちらとも言えない45.8%」が最も多い結果となりましたが、「非常に満足している8.5%」「満足している32.8%」と答えた人も約4割いるため総合的な満足度は決して悪い結果ではありません。
また、リモートワークのメリットと感じることについての調査結果も以下にまとめておきます。
メリット
※参照:株式会社リンクライブ「第1回・第2回 新型コロナウイルス感染拡大に伴うリモートワーク実態調査」
http://www.linklive.co.jp/docs/stock_press_20200407.pdf
http://www.linklive.co.jp/docs/stock_press_20200421.pdf
『リモートワーク導入状況の変化』を見ていただいても分かるように、リモートワークに対する満足度は高い傾向にあります。
※参照:株式会社リンクライブ「第2回 新型コロナウイルス感染拡大に伴うリモートワーク実態調査」
http://www.linklive.co.jp/docs/stock_press_20200421.pdf
1つめは先ほども紹介した株式会社リンクライブの調査結果であり、2つめは野村総合研究所の調査結果です。
どちらも、テレワークやリモートワークを今後も実施したいと答えた人が約半数もおり、好意的な印象を持っていることが分かります。
そして、野村総合研究所の調査によるとコロナ以前との働き方に関する意識の変化は以下のようになっています。
※参照:野村総合研究所「新型コロナウイルス感染症拡大と働き方・暮らし方に関する調査」
https://www.nri.com/jp/keyword/proposal/20200420
・テレワークなどへの抵抗感が少なくなった 46.3%
・テレワークなどを積極的に取り入れていくべき 58.8%
・テレワークなどは共働き家庭に役立つ 55.9%
テレワークなんて無理だと思っていた人も、実際に行ってみると思っていたほどの不自由を感じず良い方向への意識変化が見られるようです。
共働き家庭に関しては、仕事と家庭の両立に役立つ、父親の家事・育児実施頻度が高まることへの期待が大きい結果となりました。
テレワークへのメリットを感じている企業や就業者が一定数いるということは、今後新しい働き方へ一気に変わっていく兆しなのではないでしょうか。
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、業績悪化を受け中途採用を一時停止している企業や21年卒の新卒採用を一時中断する企業も出てきています。
このようなニュースを見聞きすることで転職活動を控えた方がいいのでは?と考える人も出てきているようですが、2020年5月時点での企業の採用・面接ではどのようなコロナ以前との変化が見られるのでしょうか?
※参照:HRreview「中途採用活動の実態調査アンケート」
https://bizreach.biz/media/14823/
新型コロナウイルス感染拡大前と比較した応募数の変化では、
・以前より増加 11.5%
・以前と変わらない 58.5%
・以前より減少 30.0%
となっており、創業年数別の応募数の変化では創業年数が浅い企業ほど応募数が以前より増加していることが分かります。
この背景には、景気の影響を受けやすい大手企業やIT化の進んでいない企業が採用活動を控えていること、コロナの影響で業績が悪化した企業から優秀な人材が流出していることをチャンスと捉えた中小企業やベンチャー企業が積極的に採用活動をしていることが考えられます。
そして、人材紹介会社 エンワールド・ジャパン株式会社が4月上旬に行った調査では約7割の企業が中途社員の採用活動を行っていると答えています。
※参照:エンワールド・ジャパン株式会社「新型コロナ禍における中途採用実態調査」
https://www.enworld.com/blog/2020/04/mid-career-recruitment-survey
現時点では新型コロナウイルスに関係なく「年間の採用計画に基づく採用」や「慢性的な人員不足」を理由とした採用活動を行っている企業が多く、コロナ以前との変化では「スペシャリスト(即戦力)」の採用をより積極的に行っていることが挙げられます。
自分の実力を試したい、キャリアアップを目指した転職を成功させたいと思っている人にはチャンスの時なのかもしれません。
また、面接に関しては以下のようになっています。
※参照:HRreview「面接(面談)の日程・方法の変化」
https://bizreach.biz/media/14923/
ヘッドハンティング型転職サイトであるビズリーチに登録するビズリーチ会員に行ったアンケートによると、2020年3月以降に新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け面接が「対面からオンラインに変更になった 49.9%」と答えた人が多くいました。
※参照:※参照:HRreview「中途採用活動の実態調査アンケート」
https://bizreach.biz/media/14823/
実際に新型コロナウイルス感染症対策としてオンライン面談・面接を実施していると答えた企業は62.9%と予想以上に高い実施率であり、企業・応募者ともに対面よりも意思の疎通が難しいと感じることもありますが、「時間効率の良さ(日程の調整がしやすい、離れた場所に住む人とも面談できる)」「コスト削減(交通費など)」「有事の際でも滞りなく面談が出来る」などオンライン面談・面接をメリットと感じる企業・応募者が多いことも分かっています。
新型コロナウイルスが収束に向かうまではオンライン面談・面接がスタンダードな手段となり、収束後もなくなることはないでしょう。
企業の採用活動や転職活動に関するよりタイムリーな情報を手に入れるには、転職エージェントを上手に活用してみましょう。
「アフターコロナ=コロナの後」では企業のあり方や個人の働き方にどのような変化が起こるのでしょうか?
現時点で考えられる変化を幾つか挙げていきたいと思います。
緊急事態宣言が発令された当初はテレワークに戸惑っていた企業・就業者が多くいましたが、はじめに紹介したアンケート結果からも分かるように今までは当たり前だったことが“無駄な時間・業務”であったと感じる人が一定数おり、コスト削減や時間効率を高める働き方としてテレワークが習慣化されていくことが予想されます。
テレワークやフレックス制度を活用する会社が増えたことにより、自分の自由な時間を多く持てる人も増えました。加えて今は面接もオンライン面接の時代に。それにより、一部企業では昼間のオンライン面接を希望する求職者が増えるという現象が起きています。
今までなら会社にバレずに就活するのは難しいと感じていた人も、気軽に転職活動ができる時代となったのです。
人事評価では「成果」「能力」「態度」の3つを基準としていることが多いと思いますが、テレワークなど在宅勤務の場合は出社回数が少なくなることやオフィスで一緒に過ごす時間が減るため「態度」の評価がしにくくなります。
その代わりに仕事の質や量、達成度の評価である「成果」がこれまで以上に重要視されることになります。
今までは毎日出社しオフィスに居るだけで忙しく仕事をしているふりが出来ていた人でもテレワークになったことで仕事の成果が顕著に表れるようになり、これまでサボっていたことがバレてしまう、不要な人材であることが明るみになってしまう事態がすでに起こっています。
能動的に行動ができる人、確実に成果をあげている人などのような有能な人材は益々重宝されるでしょう。
年齢や役職は関係なく、仕事が出来る人と出来ない人の差が歴然となり後者のリストラが増えるかもしれません。
これまでは会社という組織に属して働くことが比較的スタンダートなスタイルでした。
もちろんこのスタイルが無くなるわけではありませんが、個の能力がある人ほど一つの会社に固執せず複数の会社と業務委託契約でフリーランスとして働くスタイルが主流となってくるかもしれません。
女性の社会進出は徐々に進んできていましたが、今後テレワークを導入する企業が増えていくことやテレワークが習慣化していくことで家庭を持つ女性が働きやすい環境となり、女性の社会進出や女性管理職の比率上昇などが進んでいくことが考えられます。
テレワークが習慣化されると通勤をする必要がなくなる・少なくなるため、企業は都市部にある主要駅から近い好立地の大型オフィスを構える必要がなくなります。オフィスは縮小化や分散化され、通勤時間を考える必要がなくなるため住む場所も都市部から地方へと広がっていく可能性があります。
新型コロナウイルス感染拡大により世の中の流れ・状況が日を追うごとに変わってきている中で不安な日々を過ごしている人も多いはずです。
しかし、不安なことばかり考えるではなく今こそ変化に柔軟に対応し「個の能力」を発揮すべき時なのです。
コロナ禍の中、アフターコロナで生き残れる人材となるために今後のキャリアビジョンを今一度考えてみてはいかがでしょうか?