新型コロナの影響は一時的なもので終わらず、私たちは「新しい生活様式」を求められています。もちろん営業職の働き方も例外ではありません。
新しい生活様式に対応するためにはどんな営業方法・スキルが必要なのでしょうか。
コロナ禍の中、人々のライフスタイルが変化し始めています。リモートでの仕事やレジャー、コミュニケーションの新しい方法が模索され、広まってきています。コロナの影響が少なくなった後も、この「新しい生活様式」は多少形を変えながらも継続されていくでしょう。
さて、この状況は営業職にとってピンチでしょうか?それともチャンスでしょうか?
これは営業職にとってはチャンスとも言えます。ライフスタイルが変わるということは、必要なものが変わったり、新しいものが必要となったりします。つまり、今こそ新しく営業をかけるタイミングなのです。
例えば簡単に思いつくだけでも、次のような商品・サービスは売上を伸ばしています。
・テレワークのために必要となる機器やネットワーク回線
・自宅で楽しく過ごすためのレジャー用品
・オンラインショッピングや宅配サービス
・飲食業のテイクアウトサービス
人員不足で採用を増やしている企業もあります。転職を考えている場合には、新しい生活様式の中でより必要とされる分野を見極めましょう。
また営業職にもテレワークが取り入れられ、仕事の仕方も変わってきています。変化に対応するのはエネルギーが必要で大変ですよね。しかしこれまでの訪問型の営業スタイルに、無駄を感じていた方も多いのではないでしょうか?
これまでの営業の仕方には、次のコストがかかっていました。
・訪問先へ行くまでの時間
・移動にかかるコスト
・アポイントから訪問までのロスタイム
・対面コミュニケーションによる緊張や精神的ストレス
テレワークによりテレビ会議などで商談を行うと、これらコストを減らすことが可能です。代わりに顧客リサーチや提案プランの検討などに時間をかけられます。テレワークは、営業活動の効率と質を向上させるチャンスなのです。
コロナウイルスの影響で、営業職の働き方はどの程度変化したのでしょうか。
マーケティングリサーチを行う「楽天インサイト」は、コロナ禍の状況を受けて「在宅勤務に関する調査」を実施しました。
この調査では2020年5月8日までの時点で、「新型コロナウイルス感染症拡大の影響により在宅勤務をしているか」を職種別に集計しています。営業職においては、約半数となる48.4%が在宅勤務をしていると回答しました。このうち大半の44.5%はコロナ拡大の影響で新しくテレワークを始めたと答えています。
また在宅勤務率は全体平均で33.4%、事務職では38.3%となり、営業職の方が約10%も高い値です。リモートワークがしやすそうに感じる事務職をも上回る結果は、営業職の働き方がもつ柔軟性を表していると言えます。
(参考:「楽天インサイト」https://insight.rakuten.co.jp/report/20200515/)
テレワーク環境では、特に新規営業がしづらい状況がつづいています。イベントの中止・訪問自粛によって、見込み客の獲得が難しいことが大きな要因です。リモートワークで営業活動を行っている企業でも、既存顧客の継続案件やフォローが中心となっています。
今後の新しい生活様式の中では、リモートの環境で新規顧客をどうやって開拓していくか、が営業活動のポイントとなってくるでしょう。
営業職でもテレワークが主体となっていく中、新規顧客の獲得は難点です。そこで押さえておきたいのが「インサイドセールス」という手法です。
従来のように客先を訪問して足で新規顧客を開拓するフィールドセールスに対して、インサイドセールスでは広告・セミナー・Webなどを活用して商品・サービスに興味を持つ顧客を獲得します。
獲得した見込み客に対しては、メール・電話・Webシステムなどでコミュニケーションを取っていきます。
Web問い合わせや資料請求は、対面でないため気軽に行えます。そのため訪問営業で得た見込み客と違って、実際に商品・サービスを切望している見込み客は多くありません。
すぐに受注とならないことを焦らずに、時間をかけてコミュニケーションを取って確度を上げていきましょう。定期的に電話・メール等で情報提供を行ったり、じっくりヒアリングを行いニーズを引き出したり、問い合わせには迅速に対応するなど、きめ細かい対応をしていくことが大事です。
既存顧客から新たなニーズを引き出すことも大事な営業行為です。新規顧客の開拓が難しい中で、既存顧客との関係を大事にすることはより重要になっています。
実は既存顧客に対するアプローチはよりしやすくなっているのです。
既存顧客の場合、すでにある程度関係ができているため、リモート会議でもコミュニケーションが極端に難しいわけではありません。またリモートでは場所に捕らわれないため、訪問の日程を調節したり、実際に出向いたりする手間がなく効率的に営業活動を行うことができます。この利点を活かして、既存顧客にはリモート会議を効果的に利用し素早いアプローチをしていきましょう。
ここでは大切なことは、顧客にとって信頼できる営業となることです。売上げて終わりではなく、アフターフォローや情報提供など積極的に行うことが大事です。信頼を勝ち取り、継続案件を狙っていきましょう。
これまでに述べてきたように、これからの営業活動ではオンライン会議による商談は必須です。リモート環境でもストレスなく有意義な会議を行うことで、営業力に差をつけることができます。
実はオンライン会議システムを選ぶ時から、すでに差は付いているのです。しかしZoom・Teams・WebEx・etc…と多くのオンライ会議サービスがリリースされています。この数あるサービスを比較・検討するポイントを3点見ていきましょう。
資料は事前にメールで送ることもできますが、やはり必要な資料をリアルタイムで見せられることはメリットです。また資料と相手の通話画面が、両方見える状態がベストです。
数多くあるオンライン会議システムの中でも、おすすめなのは顧客を招待できるタイプのWebシステムです。このタイプでは、顧客に招待URLを送りアクセスしてもらいます。
ソフト等のインストールは必要なく、アカウント登録もせずに会議に参加してもらうことが可能です。
システムによってはWeb上で画面共有中に、相手に権限を与えることでサインが可能なものもあります。
店頭でのサービス契約時や宅配の受け取り時に、タブレット端末にサインをしたことはありませんか。オンライン会議システムでも、リモートで同様のことができるのです。
またオンライン会議では対面でのコミュニケーションとは違った気遣いが必要です。少し意識をして相手に良い印象を与えることができるのなら、やらない手はありません。こちらもポイントを3点紹介します。
オンライン会議では、目の前に人がいないため視線も考えも資料に集中しやすくなります。このため資料をしっかり作り込んでおくことが大事です。また疑問点や追加要望などに対応できるよう、補助資料も準備しておくと良いでしょう。
目の前に相手がいる場合は、「少し疲れてきたな」「集中が切れているかな」と表情や仕草などから感じることができます。リモートでは相手の状況が分かりづらいので、より意識して気遣いをして適宜アイスブレイクをいれることが大事です。
また忘れていけないのは身だしなみです。テレワークで自宅にいると、目の前に相手が居ないため気がゆるみがちです。やはりだらしない印象の相手より、清潔感のある相手の方を信頼したいと思うのが人です。服装・髪ももちろんですが、姿勢や表情、部屋の状況など、きちっと感を忘れないことが大事です。
これらのオンライン会議のポイントを押さえて、営業活動に活かしていきましょう。
さて営業方法が変わっていくのなら、必要となる営業スキルも変わっていきます。テレワークの営業ではどこで差が決まるのでしょうか。
まずは基本の部分からです。いま一度相手に好印象を与える言葉遣い、メール文章の書き方を確認しましょう。
訪問営業では「わざわざ足を運んで来てくれた」というだけでも、誠実・親身であると感じる大きな要素でもありました。テレワークにより直接会う回数が減る分、文章でも誠実さを伝えましょう。
スピードも重要な要素です。丁寧な文面と同様に、迅速な対応も相手に誠実さや対応力の高さを伝えることができます。
オンライン会議で行うプレゼンや提案は、対面で行う場合と比べるとどうしても臨場感やインパクトに欠けてしまいます。顧客のニーズ・意欲を刺激するためには、ヒアリングや分析をしっかり行って顧客それぞれに合わせた最適な提案が大事です。
リモートでの営業が主流となると、地理上の制約はほとんどなくなります。よりグローバルな取引に備えて、語学スキルを上げておくことも今後の武器となります。
コロナ禍で営業職の仕事方法は変化してきています。これは決してピンチではなく、営業力に差をつけるチャンスです。新しい生活様式に合わせて必要となるものを見極め、営業活動に積極的に取り入れていきましょう。