未だ終息の見通しが立たない状況で、感染者が増加の一途をたどる中、今年は行動制限を設けない新たな段階へとなりました。
感染者が増えていることにより緊急事態宣言が発令されなくても様々な影響を及ぼしています。
失業者の増加が懸念されていることや仕事が休みとなって困っている人が多い中、仕事が休めない、働かなくてはいけない業種・職種の人達がいることも確かです。
新型コロナウイルス感染リスクの不安を抱えながら働く“休みたくても休めない業種”を紹介するとともに、それらの業種で働いている人達の声を届けたいと思います。
新型コロナウイルスの影響で仕事を続けたくても休まざるを得ない業種があれば、休みたくても休めない業種もあります。
まず、新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として東京都が休業要請の対象外としている施設を例として挙げていきます。(※2020年4月11日から実施されたもの)
病院、診療所、歯科、薬局、鍼灸・マッサージ、接骨院、柔道整復
保育所等(幼保連携型認定こども園を含む)、学童クラブ、障害児通所支援事業所、上記以外の児童福祉法関係の施設、障害福祉サービス等事業所、老人福祉法・介護保険法関係の施設、婦人保護施設、その他の社会福祉施設
卸売市場、食料品売り場、コンビニエンスストア、百貨店(生活必需品売場)、スーパーマーケット、ホームセンター(生活必需品売場)、ショッピングモール(生活必需品売場)、ガソリンスタンド、靴屋、衣料品店、雑貨屋、文房具屋、酒屋
飲食店、料理店、喫茶店、和菓子・洋菓子店、タピオカ屋、居酒屋、屋形船
ホテル、カプセルホテル、旅館、民泊、共同住宅、寄宿舎、下宿、ラブホテル、ウィークリーマンション
バス、タクシー、レンタカー、電車、船舶、航空機、物流サービス(宅配等を含む)
工場、作業場
銀行、消費者金融、ATM、証券取引所、証券会社、保険代理店、事務所、官公署
理髪店、美容院、銭湯(公衆浴場)(※物価統制令の対象となるもの)、貸倉庫、郵便局、メディア、貸衣装屋、不動産屋、結婚式場(貸衣装含む)、葬儀場・火葬場、質屋、獣医、ペットホテル、たばこ屋(たばこ専門店)、ブライダルショップ、本屋、自転車屋、家電販売店、園芸用品店、修理店(時計、靴、洋服等)、鍵屋、100円ショップ、駅売店、家具屋、自動車販売店、カー用品店、花屋、ランドリー、クリーニング店、ごみ処理関係
※引用:東京都防災ホームページ
https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1007617/1007679.html
これらが東京都から休業要請の対象外とされている施設となります。
対象外となっているとは言え、通常通りの営業などが出来るわけではなく適切な感染防止対策の協力要請がされています。
また、休業要請の対象外であっても自主的に休業している店・施設、利用者の激減により開店休業状態となってしまっているところもあります。
自分たちや従業員の生活のために店を開ける必要がある・仕事を続ける必要があるものは“休まない”であって、ここで言う“休めない業種”はお店・施設を開けなければいけない・仕事をしなければいけないことを指しています。
では、具体的に休めない業種を幾つか挙げていきたいと思います。
医療機関
新型コロナウイルスの感染者が増えていけばいくほど、医療現場は過酷さを増しています。
感染症への対応に加え、マスク・ガウン・手袋などの感染防護具不足、ベッド不足、人手不足‥と混乱の中ギリギリの状態で新型コロナウイルスと闘ってくれています。
社会福祉施設など
デイサービスやショートステイ施設などでは使用制限や休業要請がされる場合もありますが、訪問介護や入所施設(特別養護老人ホーム、グループホーム)では休業するわけにはいかないため職員の感染防止策を徹底した上でサービスを続けていく必要があります。
ライフライン系
ライフライン系業種では、私たちの生活に欠かすことが出来ない電気・ガスなどの供給・保守業務を通常通り継続しています。一部業務を縮小することや在宅勤務やテレワークを進め感染防止対策を行っています。
ごみ処理関係
ごみの中に含まれる使い終わったマスクやティッシュペーパーからの感染が懸念される中でも、家庭や事業所から出るごみの収集・処理を通常どおり行っています。
物流業
外出自粛要請や休業要請により百貨店やショッピングモールが休業していることも影響し、ネット通販などで購入する人の「巣ごもり消費」が増えています。運送・配送・宅配など物流業の方達が休まず仕事をしてくれていることで私たちの生活が成り立っています。
スーパーマーケット・コンビニ・ドラッグストア
1月下旬頃からマスク・アルコール消毒液などが店頭から姿を消し、3月からの臨時休校、外出自粛要請、緊急事態宣言‥と新型コロナウイルスの流行以前よりもスーパーマーケットやドラッグストアの需要が増しています。一番身近なところで生活を支えてくれています。
一部の病院や介護施設ではクラスター感染が発生しており、医療従事者や介護職員などが感染者となってしまったときは仕事を休まなければいけませんが、その代わりに他の職員への業務負担が大きくなり余計に休みたくても休めない状況が広がってしまいます。
私たちが今まで当たり前のように利用していた施設やサービスが、普通の生活をしていく上でいかに大切なものだったのかを思い知らされます。
体力的にも精神的にも限界に近い状態で働く人への感謝の気持ちや思いやりの心を持たなければいけません。
先ほど挙げた『休めない業種』で働く人達を含め、Twitterではコロナ禍でも仕事を休めない人の投稿が目に入ります。
ごく一部ですが紹介していきたいと思います。
ほいで!明日で休みが終わり!明後日から、また仕事。コロナ関係なく、自粛されない仕事だから、普通に仕事。もちろん子供は保育所。世間の声が厳しいのも知ってるけど、預けないと仕事行けないし、仕事休めないし。私だって、休んで家で見れるもんならそうしたいさ!
— どらもえん (@fumo_railway) May 5, 2020
この状態でも休めない看護師って仕事をわたしは誇りに思うし、その仕事を支えてくれるこどもたちにありがとう。そのこどもたちを仕事の間みてくれる保育士さんは本当に偉大だし、また保育士さんもこの状態で休めない素晴らしい仕事。ありがとうございます。
— みのり(・・●)じゃがりこ。 (@jyagarico_rico) May 5, 2020
休めない。収入は減っていないけれど感染のリスクを背負いながら年末並みの忙しさをギリギリの人員で毎日毎日こなしている。時給は変わらないし手当ても出ないし今にも心が壊れそうな状態のパートさん達もたくさんいる。そんな中で必死に働いているのに給付金すら辞退すべきと言われてしまうのか。
— スーパーのレジ員@愚痴垢 (@checker_no_guci) May 5, 2020
@jun_shison0305 休めない仕事なので毎日必ず2回検温。朝より夜の方が低くなる不思議。また明日がんばるね。#志尊の自粛部屋 #志尊と歩む #保育士 pic.twitter.com/FOmUVU98jN
— Rco★彩の国から夢の国へ。 (@Rco_sea) May 6, 2020
休めるものなら休みたい人、頑張って働いているのに理不尽に感じてしまう人、そして自分自身を奮い立たせている人、責任感・使命感を感じている人‥色々な感情があると思います。
少し前にテレビのニュース番組で紹介されていましたが、障害を持つ子供を預かる施設で看護師として働く妊娠7ヶ月の20代女性は新型肺炎の感染の危険を感じながら仕事を続けているそうです。
この女性だけでなく、職場の人手不足や経済的な理由(休業補償がないと生活できないなど)から休みたくても休めない、仕事を辞める選択が出来ないと無理をしてまでも仕事を続けている人達もたくさんいます。
新型コロナウイルスの影響で通常よりも忙しくなり人手不足が深刻となっている現場では緊急採用や復職の呼びかけを行っています。
西友3,000人緊急採用
※西友HPより(https://www.seiyu.co.jp/)
大手スーパーマーケットの西友では、2020年4月24日よりアルバイト・パートを中心に約3,000人の緊急採用を始めています。
また、西友ではこの状況下で働く全従業員を対象に特別一時金として最大1万5千円を支給しています。
看護師復職呼びかけ
新型コロナウイルスの感染拡大により、看護師の人員が逼迫(ひっぱく)していることを受け日本看護協会の福井トシ子会長が「潜在看護師(看護師資格があり現在は離職している)」の復職を要請しています。
これまでの業務に加え、感染症対応・対策、無症状・軽症の陽性者を受け入れている病院以外の宿泊施設での仕事も新たな業務として加わることがあるため看護職全般がパンク寸前であり、辞める人が出てくるのも時間の問題とも。
休みたくても休めない業種として、患者さんのため・お客様のため‥と頑張って働いているのにもかかわらず、差別的な態度を取られたり暴言を吐かれるケースが出ています。
医療従事者
新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた4月以降、院内感染事例の発生があったことなどから医療従事者本人やその家族に偏見や差別の報告が多数ある。
・タクシーの乗車(配車)拒否
・子供の登園拒否・いじめ
・飲食店の入店拒否
・妻が看護師であり配偶者が会社を休むように指示された
※引用:厚生労働省
http://www.nbsk.net/wp/wp-content/uploads/205669f64435f4e205a26ed1dd01c9d4.pdf
配達業者
外出自粛の影響から通常よりも配達量が増えている中、個人宅への配達の際に差別的な態度を取られるケースが見受けられます。
・配達物がびしょ濡れになるほどに消毒スプレーをかけられる
・配達員に何も言わす消毒スプレーを吹きかける
・受け取りのサインを拒否される(ボールペンを触りたくない)
・汚いものを持つように荷物を受け取る
運送会社
物流を支えてくれている人達にも一部で偏見や差別がありました。
・感染拡大地域(東京⇔大阪)を行き来する長距離トラック運転手の子供が健康状態に問題がないにもかかわらず小学校から自宅待機を要請される
・運送会社に勤める20代男性が大型免許取得のため自動車学校に入校したが、関西圏に配送を行っている運送会社であることを理由に1ヶ月間の通学拒否に遭う
・「全国を走り回りウイルスをまき散らしている」と言われる
スーパー、ドラッグストア
食料品や衛生用品、生活用品を取り扱うスーパーマーケットやドラッグストアでは毎日のように朝から大勢の客が押しかけ、カスタマー・ハラスメントが問題に。
・「マスクが売っていない」と詰め寄られる、入荷日などをしつこく聞かれる
・マスクがないことに腹を立て「お前のマスクを譲れ」と要求してくる
・複数の客からの問い合わせに1日中対応していることだけでなく、中には理不尽な要求・罵声を浴びせられることもあり体調を崩してしまう
・開店前から客が行列を作ることもあり、通常以外の業務が増える
この他にも実際にその仕事をしている人であれば、もっと大変な思いをしているはずです。
徐々に医療従事者や生活を支えてくれている人達への感謝の気持ちを伝える活動が広がってきていますが、私たちが一人一人が出来ることは偏見や差別を持つのではなく「ねぎらい」「敬意」を払うことが大切です。
※引用:日本赤十字社「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」
http://www.jrc.or.jp/activity/saigai/news/pdf/211841aef10ec4c3614a0f659d2f1e2037c5268c.pdf
日本赤十字社では新型コロナウイルスの3つの顔として「病気」「不安」「差別」を挙げ、これらの関係性について分かりやすく説明をしています。
興味のある方は是非見てください。
日本赤十字社「新型コロナウイルスの3つの顔を知ろう!~負のスパイラルを断ち切るために~」
「自分が辞めてしまったら他の人に迷惑が掛かる」「生活のためには辞められない」と責任感や経済的な理由で仕事を続けざるを得ない人もいると思いますが、体力的にも精神的にも限界を感じてしまっているのであれば辞めることも選択肢の一つに入れても良いのではないでしょうか?
大変な状況で一生懸命に働いている人達だからこそ自己中心的な考えはできないと思う人も多いと思います。
しかし、あなた自身が新型コロナウイルスに感染するという意味ではなく体調を崩してしまっては元も子もありません。
こんなコロナでヤバい中、変わらず毎日出勤させられる公務員辞めたい
半分の人数でも回せるような仕事なのに。— 公務員退職RTA@20卒 (@RTA203) May 4, 2020
何だかんだ保育士5年やってきて。
こんなに好きな仕事なのに、マジクソ辞めたいと思うようになってしまった。
わたしはコロナが憎い。。。— AYUKI😈@スーパー減量モード突入 (@ayukinm7) May 3, 2020
Twitterの投稿にもあるように、仕事を辞められない理由には責任感や経済的なことだけでなく「コロナの影響もあり転職できないのでは?」という不安も含まれているはずです。
業種・職種にもよりますが、2020年4月時点では約7割の企業が採用活動を継続しているという調査結果も出ています。
リーマン・ショックの時のように今後転職市場が冷え込む恐れがありますが、今すぐに急激な求人の減少が始まるわけではないので転職を考えているのであれば早めに行動に移すことがカギとなるでしょう。
コロナ禍でいつも以上に不安な転職活動となることが予想されるため、転職活動は転職のプロである転職エージェントを活用することをおすすめします。
転職エージェントのサポート
転職エージェントのサポートは無料で利用出来るので、転職をしようか悩んでいる人は相談だけでもしてみましょう。
新型コロナウイルスの感染拡大防止対策として、電話やメール・Webツールを使用したサポートが可能であるため自宅に居ながら転職活動を効率良く進めていくことが出来ます。
転職支援サービスはもちろん、企業との面接も対面式ではなくオンラインが主流なので安心
いかがでしたでしょうか?
新型コロナウイルスの影響はあらゆる所に広がっています。
医療従事者やスーパーマーケット・ドラッグストアの店員などここに挙げた職種以外でも、テレワークができる仕事なのに会社の指示で出勤しなければいけない人など、新型コロナウイルスをきっかけに働き方や会社の方針に疑問を感じる人も出てきていると思います。
それをどう思うのか?これからどうするべきか?を今一度考えてみてはいかがでしょうか?
全てをマイナスに捉えるのではなく、今回のことが考え方・生き方・将来を見つめ直すきっかけとなったと思うことも出来ます。
休めない仕事につらさ、きつさを感じているのなら転職も視野に入れてみましょう。