現在世界中で猛威を奮っている新型コロナ。日本でも緊急事態宣言が発令され、飲食店やレジャー施設、ショッピングビルの開店制限などが行われ、不要不急の外出制限が実施されています。
5月現在、8都府県を除き緊急事態宣言は解除されましたが、とはいえ安易に以前と同様の生活に戻れば、大規模感染の第二波が起こりかねないと警戒されたままです。
コロナ禍は就活事情にも大きな影響を与えています。企業説明会の中止や無期延期、対面の面接自粛で、思うように就活ができず、また今後の見通しも利かないために、不安に思っている就活生も多いことでしょう。
いつまでこんな状況が続くのか…今後の就活事情はどうなっていくのか、一緒に考えてみましょう。
従来の就活フローといえば、経団連が取り決めた就活ルールに則ったものでした。大学3年の夏頃からインターンシップなどに参加。3月に説明会開始、大学4年の6月から選考を開始し、10月に内定通知といったペースで実施されていました。
しかし、今年2月くらいから日本でも新型コロナの危険が囁かれ始め、3月には国内でも感染確認。不要不急の外出自粛要請が政府から出されるようになり、企業説明会を自粛するところも出始め、従来の就活ルールは崩れてしまいました。
5月現在でも東京近郊や大阪近郊など8都府県で緊急事態宣言は継続され、今後の就活ペースが通常のペースに戻る見通しは立っていません。
とはいえ、昨今就活ルールのフローが崩れ始めていたという現実があります。就活ルールは経団連が定めたものであり、法律や条例ではなく罰則も設けられていないため、経団連に加入していない外資系企業やベンチャー企業を中心に、早期に優秀な人材を確保しようとインターンシップ制度を利用し、就活開始のタイミングが早期化している傾向がありました。
21年卒の学生も、夏にオリンピック開催の影響もあり、これまでよりも就活早期化が顕著だったようです。3月時点で企業の説明会などのイベントが中止・延期したため、どの学生も混乱しているかと思いきや、実は新型コロナ騒動が起こる頃には既に内々定を貰っているという学生は一定数居たようです。
運命の分かれ目は、早期就活化の波に乗れたか乗れなかったかの違いという事になってしまいました。
とはいえ、早期就活化の波に乗れなかった就活生の就職は絶望的かというと、そうとも言い切れません。
企業にもIT化が進む昨今、企業はWeb上で就活を行えるようにシステムを整えるところが増えてきました。外出せずに企業説明会に就活生が参加できるよう、Web上で行い、企業によっては就活生同士のセッションを行うところもあるようです。
また、面接もWeb会議アプリ『Zoom』などを利用してオンライン上で行うところも増えてきました。
いまだに外出には不安が伴い、対面で私生活を知らない相手と会話をするのも不安な現状、Web上で直接会わずに、就活を行える企業は就活生に対する信頼度も増していると言えるでしょう。
地方の緊急事態宣言は解除されましたが、東京や大阪などの大都市部はまだ緊急事態宣言が継続されています。当初は5月いっぱいと言われていましたが、その前に解除されるかもとも言われています。とはいえ解除されても外出するのは不安なのが現実です。
となれば、やはりWeb就活ができるシステムを取り入れている企業か否かは、就活生にとっても大きな選択の基準になることでしょう。大人数が集まる合同説明会はWeb上で。対面で会話をしなければいけない面接もWeb上でと決める企業は、就活生や社員の安全を守るためと謳っています。
社員の安全を守る事に重きを置く会社は、就職後の信用にも繋がってくるでしょう。社員の安全を守るためなら、従来の社内ルールも見直せる柔軟さを持っている企業であるという証明にもなり得るものです。
コロナ禍が発生する以前から、一部の企業ではWeb上で就活を行うところもあったようですが、一般的にはあまり馴染みのあるシステムではなかったと思います。
普段からWebに親しんでいる方ならすんなり対応もできたかもしれませんが、普段Webなんてスマホでちょっと調べ物するくらい…という方も居るのではないでしょうか。
次は、Web上で就活することのメリットとデメリットについて考えてみましょう。
【メリット】
【デメリット】
Web就活の最大のメリットは、やはり移動する必要がないことだと思います。時間と交通費が浮くのはかなり活動の効率化が図れます。移動に使っていた時間を企業研究や自己分析などに使うことで、面接時に活かすことができます。
ただし、オンライン環境が整っている事が大前提です。自宅にWi-Fi環境がなければ、通信料金は跳ね上がってしまいます。また、小容量の契約になっていると回線が安定せず、面接中に接続が切れてしまったりする恐れも。
メリットとデメリットを理解して、しっかりと環境を整えておく必要があります。
既にWeb就活に参加し、良かった点や悪かった点についての意見もWeb上に多く上がるようになってきました。
やはり利用した人の感想としては
・移動しなくていいのが楽
・上半身だけ準備すればいいのも気が楽
・地方住みだけど、通常なら都内開催予定だった企業説明会に参加しやすい
といった感想が上がる一方、やはり企業の雰囲気が分かりづらい。スライドを見せられただけで、得られる情報が薄い。といったデメリットも多く聞かれます。
就活生として好印象が得られる説明会としては、
・スライドで説明しながら、チャットで質問するとリアルタイムで返事が貰える
・リアルタイムで動画で社内を回りながら、チャットなどで質問すると答えてくれる
・社員数人で座談会形式で企業説明をし、質問コーナーもある
など、やはり社内や社員の様子が分かる形式で行い、また就活生側の疑問もその場で解消してくれる形式の企業説明会の人気が高いようです。
直接企業に行くことができないとなると、どうしても企業の情報を得るのはWeb上に限られてしまいます。得られる情報が少ないと不安になるのは当然です。
新型コロナによる自粛要請の煽りを受け、現在どの業界も苦境に立たされている状況です。それによって採用人数に影響が出ることはあるのでしょうか?
結論から言えば、まったく影響がないとは言えない状況であることは間違いありません。
リモートワークで対応できるクリエイティブ系の業界であれば、さほどのダメージを受けていない可能性はあります。逆に今回の外出自粛要請によって、リモートワークを取り入れてみたら逆に効率化が実現できてしまったと気づいた企業も実際のところあるようです。
大企業や、生活する上でなくてはならない被服、住宅、衛生、医療などの業界はまたコロナ禍以前の業態に戻せる可能性は大いにあります。
しかし中小企業や飲食、サービス系の業界などでは既に経営破綻を起こし、閉店や倒産するところも出てきています。
コロナ禍が起こる以前は、景気回復し売り手市場と言われていた21年卒の就活事情でしたが、現状としては全体数で言えば採用人数が減る可能性はあると言わざるを得ません。
現在企業の大多数がオンライン上で仕事ができる環境を整えつつあります。Webを導入できなければ、完全休業を余儀なくされる業界も多いため、可能な限りでリモートワークの環境を整え、運営を行っていることでしょう。
今後、緊急事態宣言が解除され、出社が可能になったとしても、従来どおりに一斉出社できるかというと、まだまだ感染のリスクはあり最低限の人数で出社、またはフレックスタイム制の導入、リモートワークが可能な部署は継続といった独自の対応が企業に求められることでしょう。
就活も、今後そういった企業の効率化に対応していく必要が出てくると思います。
企業説明会に行って、書類選考を経て面接を行う。これまでは大抵の企業がそんなプロセスを踏んでいたと思います。それが企業によって対面形式、オンライン形式と多様化して、就活生側の対応力が求められるようになるかもしれません。
21年卒の就活は、オリンピックから始まり、コロナ禍も合わさって従来の就活ルールが大きく崩れてしまいました。そして、22年卒のインターンシップも従来どおりに行えるか、現状では不透明な状態です。
21年卒の就活では、早期就活を積極的に行った人が騒動に巻き込まれることなく、内々定を得ている実績があります。企業によって、今後の説明会や面接の形式も従来どおりではなく変化が起こっています。
企業に直接出向けば社内や社員の様子が分かると思っていた方も、もはやそんな事に頼っている場合ではなく、自主的に企業を研究し、コンタクトを取り、得たい情報を得ようとしなければならない状況になっています。
「なるようになる」という状況では決してありません。流されているだけでは間違いなく就活は立ち行かなくなるでしょう。今まで以上に「自主性」を発揮しなければいけない時代になったのではないでしょうか。