最近の転職市場では、既卒や第二新卒の採用を積極的に行う企業が増えていますが、内定を勝ち取れるかどうかはアピール次第。「使えない第二新卒」と低い評価をされないように、前職を転職した理由と第二新卒の強みとなる自己PRを工夫しなければいけません。
とはいっても、第二新卒になったのは人間関係や仕事内容の不満が原因という方も多く、ネガティブな転職理由をどう伝えればいいか分からないこともあるでしょう。また、スキルや実績が少ないため自己PRに何を書けばいいか分からないという方もいると思います。
今回は、履歴書や職務経歴書はもちろん、面接でも尋ねられる転職理由と自己PRについて例文とともにご紹介させていただきます。第二新卒からの転職成功率を上げたい方はぜひご参考ください。
第二新卒の転職ではほぼ必ずと言っていいほど“転職理由”を尋ねられます。前職でネガティブな経験や出来事から退職した場合、転職した理由はなかなか伝えにくいものです。
「新しい一歩を踏み出しているのになぜ過去にこだわるの?」と感じる人も多いと思いますが、企業が転職理由を質問するのにはこのような理由があるからです。
企業は「採用した人材が長く働いて会社に貢献してくれるか」を重視しています。
第二新卒は社会人経験が少ないので、即戦力として採用するのではなく、将来の貢献度を見越して採用されます。採用や人材育成には多くの時間やコストがかかるため、将来利益につながる人材を確保したいというのが本音です。
企業が転職理由を聞くのは、すぐに辞めない人材であるかを確認し、不安を払拭しているため。だから履歴書や職務経歴書の書き方はとても重要なのです。
第二新卒は一度就職で失敗しているため、仕事に対して後ろ向きになってしまいがちです。「働けるならどこでもいい」と安易な転職を選択する方も多いのではないでしょうか。
しかし、企業としては働く意欲がありモチベーションの高い人材に自社を盛り上げていってほしいと考えています。例えば、仕事への不満から退職した人は、転職先での仕事と向き合う気持ちをアピールしなければネガティブ評価のまま終わってしまうでしょう。
第二新卒の弱みはやはり前職を退職したこと。採用担当者も、第二新卒というくらいだから前職でうまくいかなかった(失敗した)のだろうというのは把握しています。
ネガティブな転職理由をそのまま伝えるだけでは、前職の退職から何も学んでいない人材と判断されてしまいます。そのため、失敗の経験をどう活かしていくかを伝えなければいけません。企業に入社してからも躓くことは多いもの。それを分析し良い方向性に導く力がある人は、仕事でも成果を上げられる可能性が高い人です。
“失敗は成功のもと”といいますが、失敗を乗り越えて成長する人材はリカバリースキルがあり、成長が望める人材として評価されるでしょう。
転職理由は人それぞれですが、第二新卒ではキャリアアップ転職という理由は少なく、給料や仕事への不満、人間関係などマイナス視点からの理由が多いでしょう。
いくつかの理由が重なり退職された方もいらっしゃいますが、どんな理由であっても「ポジティブに伝える」だけでOKです。
前職に不満があったとしても正直に伝えてしまうと印象が悪く、仕事に対して前向きな姿勢でないと評価されてしまいます。
仕事を辞めたいというマイナスの気持ちの裏には「自分自身が改善したい、前向きにキャリアプランを実現させたい」というプラス思考の表れがあるのでしょう。
転職理由に焦点を当て、なぜ転職したいと思ったのかを掘り下げていくと自身のキャリアが明確になり、「失敗(退職)を活かして再挑戦できる人材」と思われやすくなります。
ネガティブな転職理由はポジティブに言いかえる
まずは、履歴書や職務経歴書を評価する採用担当者が納得できる転職理由を述べる必要があります。さきほどの5つの転職理由を使って、嫌われない転職理由の例文をご紹介します。
前職での仕事が入社前のイメージと異なり仕事への意欲が減退したという方も少なくありません。しかしこれをストレートに伝えると、入社前の企業研究と自己分析が不十分だったのではというイメージを持たれ、自分の落ち度に繋がります。
「仕事をする中で応募先企業の業界・職種に関心をもち、調べる中で転職したいという気持ちになった」と伝えれば前向きなイメージが強くなるでしょう。
「前職では、営業を通じて顧客の声を聞きニーズを分析する中で営業の仕事だけでは対応できない歯がゆさを感じました。もっと顧客のニーズにあった製品を届けたい、顧客の声を反映させた開発に携わりたいという気持ちが強くなり転職を決めました」
転職理由が人間関係の場合、採用担当者は「人間性に問題があるのではないか」「今いる社員とうまく人間関係を築けないのではないか」という不安を持ちます。
そのため、「人間関係に問題があった」というネガティブな転職理由を人間関係の良いところで働きたいというポジティブな気持ちに換えて伝えましょう。
「前職では、チームで仕事をする機会がほとんどありませんでした。コミュニケーションをとりながら、チームで一致団結して成果を出したいという気持ちが強くなり退職いたしました」
家族経営の中小企業からの転職ではトップのワンマンな考え方やトップダウン型が多く、若手社員が意見やアイデアを出せないといった不満が転職理由で挙げられます。
自身の目指すキャリアプランや目標とのギャップが退職したいという決め手になったことは、共感できる企業理念のもとで働きたいという意欲がアピールできるでしょう。
「以前の職場では、トップダウン型だったため若手社員が新しいアイデアや意見を提案できない環境でした。年齢に関係なく意見を出し合って仕事ができる職場や、実績に応じて責任のある仕事を任せてもらえる職場で働きたいと考え転職を決めました」
給与面や休日、残業といった不満は「お金のことだけ、自分のことだけしか考えていない」と思われてしまうリスクがあります。
成果が報われなかったため正当な評価をしてもらえる企業に貢献したいという前向きな気持ちをアピールすることが大切です。
「前職は、若い社員は実績を上げても給与額に反映されず仕事の成果が実感できませんでしたが、貴社は若くても実力でキャリアアップできるということで転職を決めました。成果を評価していただき、チャレンジしたいと思い退職を決めました」
サービス残業や過酷なノルマに追われて激務だった場合、辛い気持ちを訴えたくなりますが、履歴書や面接でのアピールはNG。
仕事に真摯に対応していなかった・業務スキルが未熟といった判断をされる可能性があるからです。
ノルマだけに捉われず、顧客との信頼関係の構築や顧客ニーズの分析力アップなどのキーワードに変えると熱意が伝わるでしょう。
「前職では目標達成に向かって仕事をしていましたが、顧客に対して寄り添った対応ができなかったことに悩んでいました。これからは営業スキルの向上とともに顧客1人1人を大切にした仕事をしたいと思い、退職しました」
新卒就活での自己PRでは学業やサークル、アルバイトのエピソードをもとにした強みを伝える方が多いですが、第二新卒のPRでは社会人経験者としての強みのアピールが重要です。
第二新卒の良さを最大限伝える自己PRをするためには、企業が求める人材像が盛り込まれているかどうかが重要です。おさえるべき3つのポイントを見ていきましょう。
第二新卒は社会人経験が短くアピールできるほどの実績はないかもしれませんが、新卒に比べて一度社会に出て働いた経験があるというのは強みです。基礎的なビジネスマナー、ビジネススキルがあるといった点も有利になります。
前職での実績があれば明らかな強みですが、第二新卒では経験が少ないため実績がないという方もいるでしょう。その場合は、社会人経験を経て学んだ「仕事への取り組み方」や「向上心」をアピールしましょう。仕事への姿勢を高評価されやすくなります。
企業が第二新卒を採用する際に重視しているのは、入社後のイメージと将来性です。若さを活かした前向きな姿勢や意欲を伝えることが大切になります。
どんなことにチャレンジしたいのか、キャリアプランはもちろん、その実現のために努力している点を伝えることで企業は「応募者がどれくらい企業に貢献してもらえるか」をイメージしやすく内定率アップにつながります。
企業としては、今後の事業展開や将来的なキャリアプランに必要な人材を確保したいため、内定を勝ち取るには、企業に「欲しい人材だ」と評価されなければいけません。
そのためには、企業の業界でのポジションや営業方針、企業理念について企業研究を深め、自身のキャリアプランとの方向性を合わせなくてはいけません。企業と自身のキャリアプランを一致させるためには、念入りな自己分析を行い強みやスキルを明確にする必要があります。
さきほどご紹介した第二新卒者が伝えるべき3つのポイントを使った自己PR例を紹介します。
入社意欲のアピールを重視する自己PR
自身の性格や強みをアピールする自己PR
即戦力をアピールする自己PR
自己PRは企業に“自分”を相手に売り込むための方法で、「こんな人間です」と簡単に伝える名刺のようなものです。
そのため強みやスキルのアピールが必要ですが、最も効果的なのは一言で自分自身をイメージしてもらえるようなキャッチフレーズ。長い文章は読んでいる方も理解しにくいですが、端的にまとめられた言葉は分かりやすく記憶にも残りやすいのです。
ぜひ自分の強みをアピールできるようなキャッチフレーズを考えてみましょう。
以下の手順に従ってキャッチフレーズを作ってみましょう。
STEP
1まず自分の強みになりそうなキーワードをいくつかあげます。
(例:我慢強い、一生懸命、冷静、素直、協調性があるなど)
“協調性” を選んだ場合
協調性はコミュニケーションスキルがあり、チームワークをして仕事に取り組めるといった性質のことで、協調性がある人は企業からの評価が高い傾向です。そのため、自己PRでは「協調性がある」とアピールする人が多いのですが、アピールの仕方次第では全く評価されないことも。
キャッチフレーズでは、協調性とともに自分にしかない付加価値を入れること
STEP
2協調性というキーワードからこれまでの経歴を振り返り根拠となるエピソードを見つけましょう。
(例えばチームで成果を上げた経験など)もし、自分が目立った活躍ができていなかった場合でも言い方を変えることでアピールポイントになります。キーワードを直接的に伝えるのではなく、比喩表現を使っても効果的です。
こうして完成した自己PRのキャッチフレーズがこちら。
「チームを縁の下の力持ちとして支え、チーム力を発揮させるスキルがあります」という意味になります。スポットライトを当たらなくても影でチームを支えるホスピタリティーが強い存在は、企業にとっても必要不可欠の人材。「協調性がある人間です」と伝えるよりも、「名脇役」と短く伝えることで、印象に残りやすく企業に貢献してくれる人材だろうと期待されるでしょう。
「名脇役」と述べた後は、その根拠を示さなくてはいけません。
しっかり裏付けできる具体的なエピソードを伝えましょう。
履歴書や職務経歴書、面接で必須の転職理由と自己PRについてポイントと例文をご紹介させていただきました。
ネガティブになりがちな転職理由は、伝え方ひとつで嫌われない転職理由に。自己PRは自分自身のアピールそのものです。
この2つは「なぜ転職するのか」「次はこうなりたい」というポイントを意識して作成させることが大切です。
第二新卒の転職は「次も失敗したらどうしよう」「一度退職しているから評価が悪いのではないか」と、転職活動がうまくいかないことを悩む方が多くいらっしゃいます。
たしかに、安易な転職は失敗を繰り返してしまう可能性がありますが、企業研究・自己分析を十分に行い、キャリアプランを明確にした転職には明るい未来が待っています。
若さと社会人経験を強みにできる説得力のある転職理由と自己PRを作成し、転職活動を進めていきましょう!