「営業から転職したい」と考えていても、どの職種を選べばよいかわからずに迷っている方も珍しくありません。
転職活動は人生やキャリアの転機になる分岐点ですから、失敗は避けたいと思うのが自然な考えです。
そこで今回は、営業から転職したい方におすすめできる職種、面接対策・志望動機のポイントなどを解説します。
働きながら転職活動を進めるコツも紹介しますから、ぜひ今後の活動の参考にしてください。
営業から転職する際のおすすめ職種を7種類ご紹介します。
営業経験を生かして転職するなら、営業事務をおすすめします。
営業事務は顧客対応をしない事務職で、営業用の資料作成やデータ管理を行う仕事です。
営業職としての経験がそのまま事務仕事にも生かしやすく、ノルマや残業もあまりないため、穏やかな環境で働きたい方に向いた仕事です。
マネジメント能力を身に付ければ管理職のキャリアも視野に入るため、キャリア志向の方にもおすすめできます。
営業経験のある人には、マーケティング職もおすすめです。マーケティングは数字やデータを分析し、顧客のニーズを掴んだ販売戦略を企画・進行する仕事です。
営業職として実際に顧客と関わった経験を生かしやすく、顧客心理を理解してマーケティングで活躍できる強みがあります。
一定のデータ分析能力は必要ですが、マーケティングは幅広い業種で需要が高いことも、転職先としておすすめできるポイントです。
企画・商品開発は、自分やチームでアイディアを具体化し、商品化を進める仕事です。
営業職は企画・開発が作った商品を顧客に売り込む仕事ですから、現場でリアルの声を聞く機会も多いです。
そのため、企画・商品開発に転職すると、顧客ニーズや生の声から新しい商品アイディアへとつなげられる点が強みになります。
顧客とコミュニケーションの経験があるからこそ、ユーザーエクスペリエンスまで意識した企画・開発がしやすくなるでしょう。
コンサルタントは企業や個人の抱える課題に対応し、解決に向けて提案やサポートを行う仕事です。
企業経営やマーケティングの課題解決に導くコンサルタントのほか、ITなどの専門分野に特化したコンサルタントもいます。
営業職時代のコミュニケーション能力を生かし、顧客の話を傾聴し、課題解決へと導く力が強みになります。物事を論理的に考えられる人は、コンサルタントへの転職がおすすめです。
MRは「メディカル・リプレゼンタティブ」の頭文字をとったもので、日本語では医療情報担当者と呼びます。
医薬品情報の専門家として、医療機関の医師や看護師に最新の医薬品情報を提供し、自社製品の採用へとつなげる仕事です。
営業職の経験をそのまま生かしやすく、医薬品という専門性の高い仕事内容から、高収入とキャリアアップが期待できます。
製薬会社は営業スキルの高い人材を求めるところが多く、専門知識がない状態でも転職成功率は高いです。
文系・理系どちらの出身でも問題はありませんが、中途採用でも大卒以上を条件にしている企業が多い点には注意しましょう。
販売職は店舗などで商品販売を行う仕事です。レジ打ちや品出し、在庫管理なども仕事内容に含まれます。
営業職とは違い、自ら顧客に営業は行いませんが、店頭を訪れたお客さまに対してセールストークや商品を紹介し、店舗の利益につなげるのが役割です。
営業職と似た性質があるため、経験をそのまま生かしやすく、転職活動でも営業職時代の実績をアピールしやすいでしょう。
営業職とは全く異なる分野ですが、ITエンジニアも未経験から転職するならおすすめです。ITの専門知識は必要ですが、顧客との面談も仕事に含まれるため、営業経験が生かせる点が強みです。
40代になると未経験からの転職は難しいですが、20代・30代なら未経験から挑戦しても採用の可能性は十分にあります。
転職前にITパスポートなどの資格を取得しておくと、より採用成功率は高まります。
営業経験者ならではのアピールしやすいポイントをご紹介します。
営業職は顧客にわかりやすく商品説明をするため、プレゼンテーション経験の豊富な方が多いです。
プレゼンテーションは限られた時間の中で、商品の魅力をわかりやすく説明する力が求められます。
例えば、転職後にスキルを生かして社内での情報共有、講座の開催などの機会もあるでしょう。
プレゼンテーションスキルは営業職以外でも幅広い活用方法があるため、アピールポイントの一つとして有効です。
営業職は顧客に商品を提案する際、事前に企業や顧客情報を収集し、抱えている課題を分析して営業を行うのが一般的です。
顧客の課題を把握したうえで、自社商品の購入で課題解決を促すのがセールスの流れだからです。
転職活動でも、営業で培った分析能力と課題解決能力をアピールしましょう。実際のエピソードを交えながら、自分のスキルをアピールすると高い評価を得やすいです。
営業では取引先とコミュニケーションをとりながら、信頼関係を構築することも重要な仕事の一つです。
コミュニケーションが苦手な営業職では、取引先との交渉も上手くいかず、信頼関係も構築できません。
そのため、ビジネスシーンで良好な関係を築くコミュニケーションスキルは、転職活動でもアピールポイントになります。
特に、人間関係が重要な販売職やコンサルタントでは、コミュニケーションが大きな武器になります。
また、チームで活動するには円滑な交流が不可欠ですから、職場内の人間関係でもコミュニケーションスキルは大切です。
営業職は複数の取引先を訪問する都合上、業務の自己管理能力やスケジュール調整能力も求められます。
日によっては1日で往復100㎞以上を車で移動することもあり、どのように動けば効率的か計画を立てて動くことが求められるからです。
自分の能力やスケジュールを細かく調整し、無理のない業務量で収める自己管理能力も営業職には大切です。
自己管理能力の高さはどの職種でも必要ですから、アピールポイントの一つにしましょう。
営業に向いておらず、早めの転職をおすすめする人の特徴をご紹介します。
営業の仕事は多くの顧客に商品を売り込みますが、取引が成立するのはわずかです。
例えば、電話での売り込みは1,000件のうち2,3件から話を聞いてもらえれば成功と言われ、ほとんど成功することはありません。
対面での営業も成功率は30%程度と言われており、断られることのほうが多いです。そのため、メンタルが弱く、落ち込みやすい人には営業職は向いていません。
断られても気にせず次の顧客に売り込める人でなければ、営業職を続けることは難しいでしょう。
企業の方針によっても異なりますが、基本的に営業職は残業が多いです。
勤務時間中は取引先を訪問するほか、帰社したらプレゼン資料の作成、契約獲得のための飲み会などもあり、業務時間が長くなる傾向があるからです。
また、ノルマ未達が続けば叱責や減給の可能性もあるため、残業してでも働く人も少なくありません。
残業分の給与は支払われますが、給与よりも残業を減らすことを優先したい人には不向きな仕事です。
営業成績は仕事の評価につながるため、営業部門では同僚がライバルになります。しかし、競争心がない人は営業努力を行うモチベーションも低く、営業成績にはつながりにくいです。
上司からの評価や給与も上がりにくく、将来のキャリアにもなりにくい点も問題です。他者との競争よりも協力しあう関係を重視したい人には、営業職は向いていません。
コミュニケーションスキルは営業職には必須の能力です。
自社の商品を顧客に売り込み、購入してもらうことが営業職の仕事だからです。
営業職は相手の話を聞き、相手の望む相槌を返すことで信頼関係を構築します。会話の70%は話を聞くこと、残りの30%もほとんどが雑談です。
顧客にとって、興味のない相手からの提案を聞く理由がありません。優秀な営業職ほどビジネスの話を控えめにする傾向があると言われます。
そのため、コミュニケーションが苦手な人は営業職には向いていません。
営業から未経験職種へ転職する際の志望動機のポイントをご紹介します。
マーケティング職への転職を目指す場合、情報収集能力とデータ分析能力がアピールポイントになります。
営業職は業務上、情報収集と分析が必要になるため、転職活動でも経験を生かしたスキルをアピールしましょう。
また、アピールする際は具体的な数値を用いると説得力をもたせられます。
実際のエピソードをベースに、どのような方法で実績につなげたか具体的に伝えることが重要です。
営業事務や事務職に転職する場合、営業職としてどれくらいの経験があるのか、マネジメント能力などをアピールするのがおすすめです。
さらに、営業職の中でもどのような専門性があるのか、営業に関する知識の広さも伝えると効果的です。
営業事務は営業職を裏方としてサポートするのが仕事ですから、営業職への理解度が採用では重視されます。
これまでにどのような営業活動をしてきたか伝えるとともに、事務職として必要な能力と知識が備わっていることを伝えましょう。
コンサルタントやMRに転職する場合、コミュニケーションが重要です。
コンサルタントは顧客へのヒアリング、MRは専門知識を医療従事者へ情報提供する役割があり、どちらもコミュニケーション能力なくしては働けません。
どの仕事も顧客からの信頼が企業の利益に直結するため、営業職で培ったコミュニケーション能力が生かせる仕事です。
志望動機でも、コミュニケーション能力や傾聴力をアピールすると、採用率が高くなるでしょう。
営業から転職する場合、面接対策ではどこをポイントにすべきかご紹介します。
営業から転職する場合、あらかじめ面接で質問されやすい内容の答えを用意しておくことをおすすめします。面接で聞かれやすい内容とは、次のような質問です。
いずれも面接では定番の質問ですから、聞かれたらしっかりと答えられるように準備しましょう。
答えに詰まってしまうと、何も考えずに面接に臨んでいると思われ、マイナス評価を受ける可能性があります。
営業から異業種に転職するなら、キャリアチェンジの理由と志望動機に一貫性を持たせることもポイントです。
例えば、キャリアチェンジの理由は新しい分野への挑戦としながら、志望動機には職場環境や給与面を挙げるのはよくありません。
キャリアチェンジと志望動機にある程度の一貫性を持たせれば、就労意欲の高さを伝えやすくなります。何のために転職するのか、目的を明確にして好印象を与えましょう。
面接では転職後にどんな目標があるのか、どのような専門性を高めたいのか明確に伝えることもポイントです。
目標や専門性がはっきりしていると、企業について詳しく分析していることが伝わり、採用担当者にも好印象を与えられます。
また、自分自身の働き方も明確になるため、仕事への意欲が高まります。転職後のキャリアアップにつなげるためにも、目標と専門性の両面を意識して転職活動を進めましょう。
営業職での経験と学びをわかりやすく伝えるには、働いてきた実績とエピソードをまとめておくことをおすすめします。
営業職について詳しくない採用担当者でも、営業とはどんな仕事かがわかる内容にするのがよいでしょう。
また、数字を用いて実績をアピールすれば、営業職としての実力もアピールできます。
営業職経験の豊富な人材は、どの企業でも活躍する道がありますから、面接で営業スキルを上手く伝える練習をしましょう。
異業種への転職を行う際は、転職後に役立つスキルや資格取得もアピール材料になります。
既に取得している資格だけでなく、今後取得したい資格やスキルも伝えると、より好印象を与えられます。
また、面接の場でこちらから質問し、おすすめのスキルや資格を聞いておくのもおすすめです。仕事への意欲が高いと評価され、採用成功率が高くなる期待がもてます。
スキルや資格は長いキャリアプランも計画したうえで、仕事に適したものを選びましょう。
営業職として在職しながら、転職活動を進めるコツをご紹介します。
働きながらの転職活動では、有給を上手く活用して進めるのが大事です。
例えば、土日が休日の会社であれば、月曜日または金曜日に有給を取得し、面接や職場見学を行いましょう。
休日は職場の人も外出しており、転職活動中に出会う可能性があるからです。
転職活動が職場に判明すると扱いが悪くなることもあるため、有給を利用して職場に見つからないよう工夫することが重要です。
また、転職先が決まれば残った有給日数が無駄になることもあるため、ある程度消化する意味でも有給利用をおすすめします。
多くの企業が転職でオンラインを利用するようになっており、面接や職場見学もオンラインで行うことも珍しくありません。
直接職場を訪問する必要がなく、交通費の負担もないことから在職中の方におすすめです。
オンラインでは通信環境や機器のスペックを整える必要はありますが、いつでも転職活動ができるので利用しましょう。
また、オンラインなら現在の職場に見つかる心配もほとんどないため、安心して活動できます。
転職活動を進めるうえで注意したいのが、現在の職場の仕事に支障をきたさないことです。
転職活動に力を入れすぎた結果、疲労で仕事に集中できない人もいます。
転職活動もキャリアや人生では大事ですが、職場に迷惑をかけないことも同じように大切です。
退職までは働いている職場の社員である以上、企業に貢献する必要があります。
特に営業職は企業の利益に大きく関わる仕事ですから、転職活動中も手を抜かないように注意しましょう。
転職活動を進める際は、近隣地域での転職活動を避けることもポイントです。理由は2つあります。
職場にばれないことも非常に大事ですが、競業避止義務違反も重要なポイントです。
競業避止義務とは、事業所の設置されているのと同じ地域内で、競合他社への転職をしてはいけないという法律の規定です。
競業避止義務違反と判断されると、退職後に損害賠償を請求されるリスクもあるため、近隣地域での転職活動は避けたほうがよいでしょう。
全くの異業種に転職するなら問題はありませんが、少しでも抵触する可能性があるなら注意してください。
営業から転職する際は、転職エージェントの利用もおすすめです。
特に異業種への転職では、アピールポイントがわからないことも珍しくありません。
転職エージェントを利用すれば、アドバイザーに相談し、転職で有利になるポイントのアドバイスを受けられます。
営業経験が有利に働く職場を紹介してもらえる可能性もあり、転職先の選択肢を増やしたい方にも利用しやすいでしょう。
転職活動が初めての方も、転職エージェントを利用して働きやすい職場を見つけてください。
営業職は顧客とのコミュニケーション能力、提案力、課題解決能力など、多くの能力が求められる仕事です。
こうした能力は営業以外の仕事でも求められるもので、転職先の視野を広げる点でも役に立ちます。
転職活動で大切なことは、条件を広げて様々な職場を選択肢に入れることです。
条件を絞りすぎれば視野狭窄に陥りやすく、自らの可能性を狭めてしまいます。
自分の経験と能力を信頼し、転職成功を目指して行動を始めましょう。