栄養士は年収が低いって本当?給料事情や年収アップの方法を解説

「食」と「栄養」の専門的な知識とスキルを活かして人々の健康を支える栄養士。

健康意識の高まりや高齢者人口の増加によってニーズが高く、やりがいのある仕事です。

しかしその一方で「栄養士=給料が少ない」と賃金に関してネガティブなイメージを持つ方もいらっしゃいます。

専門性の高い仕事なのに給料が安いって本当?と気になっている方も多いのではないでしょうか。

また、今の給料に満足しておらず収入アップを目指している栄養士の方もいらっしゃるかと思います。

今回は栄養士の給料事情について詳しく説明します。

管理栄養士と栄養士の給料の違いや年収アップの方法も併せて解説しますので、栄養士の給料を知りたい方や収入アップを目指している方はぜひ参考にしてください。

栄養士の給料は安い?データからみる給料事情

食と栄養のプロフェッショナルである栄養士は、安定的な給与が得られるイメージがある一方で、「給料が低い」「年収が上がらない」といった声も多く聞かれます。

実際はどうなのでしょうか?

厚生労働省が発表している『令和3年賃金構造基本統計調査』のデータを参考に、栄養士の給料統計をみていきましょう。

栄養士の年収は300~400万円が相場

厚生労働省の『令和3年賃金構造基本統計調査』によると、栄養士の給料は以下のとおりとなっています。(小数点以下四捨五入)

企業規模計(10人以上)の職場で働く栄養士の場合

項目 内容
平均年齢 36.0歳
勤続年数 7.2年
所定内実同労時間数 166時間
きまって支給する現金給与額 24万5千円
所定内給与額 23万5千円
年間賞与その他特別給与額 56万3千円

企業規模計(10~99人)の職場で働く栄養士の場合

項目 内容
平均年齢 37.8歳
勤続年数 7.4年
所定内実同労時間数 168時間
きまって支給する現金給与額 23万7千円
所定内給与額 23万2千円
年間賞与その他特別給与額 60万6千円

企業規模計(100~999人)の職場で働く栄養士の場合

項目 内容
平均年齢 37.0歳
勤続年数 7.5年
所定内実同労時間数 164時間
きまって支給する現金給与額 24万4千円
所定内給与額 23万7千円
年間賞与その他特別給与額 57万6千円

参照:厚生労働省『賃金構造基本統計調査/令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種』

また、厚生労働省 職業情報提供サイトjobtag 賃金(年収)・ハローワーク求人統計データによると栄養士の平均年収は367.6万円です。

勤務先や雇用形態、実務経験により異なりますが300万円~400万円が相場ということになります。

参照:厚生労働省『職業情報提供サイトjobtag 賃金(年収)・ハローワーク求人統計データ』

栄養士は女性の平均給与と同じ程度

栄養士の給料相場が300~400万円とされていますが、一方35~39歳女性の平均賃金は27万5千円となり、年収にすると約324万円程度となります。

このことから栄養士の給料は一般的な正社員女性の平均給与と同程度ということが分かります。

参照:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査の概況 第6-1表』

専門資格だからこそのメリット

「せっかく専門性の高い資格をとっても一般的な年収と変わらないのは残念」と思う方もいらっしゃいますが、栄養士だからこそのメリットがあります。

実務経験を重ねることで給料アップできる

栄養士は専門職種だからこそ、実務経験を重ねスキルアップすることで給料アップできる仕事です。

一般的な栄養士の初任給は16~20万円程度とされ経験年数が浅い栄養士は年収が低いですが、10年以上の実務経験を重ねると年収400万円になることも珍しくありません。

資格手当がつく職場もアリ

職場によって栄養士を取得されている方は、資格手当がつく場合があります。

栄養士の場合は3,000円~5,000円、管理栄養士の場合は5,000円~10,000円が相場とされています。

管理栄養士になればさらに待遇アップが見込める

栄養士は厚生労働大臣から栄養士養成施設として指定認可された学校を履修し、栄養士養成課程を修了することで取得できます。

そして栄養士の上位資格が管理栄養士となります。

管理栄養士になるには、以下の2つのルートがあります。

  • 4年生の管理栄養士養成施設へ入学管理栄養士養成課程を修了管理栄養士国家試験に合格する
  • 2年制~4年制の栄養士養成施設へ入学(専門学校・短大・大学)栄養士資格を取得実務経験1~3年管理栄養士国家試験に合格する

管理栄養士は子供から高齢者まで、健康な方はじめ高齢の方や病気の方など一人ひとりに合わせた栄養指導や給食管理、栄養管理を行う国家資格ですが、一方で栄養士は健康な方を中心に栄養指導や給食運営を行います。

栄養士は調理現場で働く方も多いですが、管理栄養士は「栄養を管理する」高度な知識とスキルを活かした栄養管理業務に携わり、食品メーカーの研究職として働く方もいらっしゃいます。

栄養士の方は、管理栄養士になることでより給料・待遇アップを目指すことができるでしょう。

栄養士の給料、どこで差が付く?

栄養士といっても、給料が高い人もいれば低い人もいるのが現実。

その差はいったいどこにあるのでしょうか?

管理栄養士と栄養士の給料差

管理栄養士と栄養士とどれくらい年収に違いがあるのかみていきましょう。

それぞれの違いについて書かれているデータがありませんでしたので、実際の求人情報から調べてみました。

東京都の管理栄養士、栄養士の求人を比較した結果は以下のとおりです。

管理栄養士の求人データ

職場 業務内容 給料
美容クリニック ライフスタイルに合わせた栄養指導 月給27万円
総合病院栄養科 管理栄養士のマネジメント職 年収660~710万円
内視鏡クリニック 栄養指導 月給30万円以上
診療所 栄養指導 月給30~35万円

栄養士の求人データ

職場 業務内容 給料
病院給食・福祉施設等給食受託企業 献立作成 月給25万円以上
保育園 保育園の給食の調理と調理室の衛生管理、食材の発注、献立の立案 月給23万円
介護施設 高齢者栄養管理全般 月給23.1~23.7万円

求人情報から管理栄養士と栄養士の給与を比較してみると、3~5万円程度の差があることが分かります。

同じような仕事で栄養指導を行っていても大きな違いがあり、栄養士は調理の仕事がメインとなるケースもあります。

栄養士の専門性によって給料に違いがでる

栄養士は業務内容によって給料が大きく異なります。

その大きなポイントとなるのは「国家資格である管理栄養士が必要かどうか」です。

例えば、介護福祉施設や保育園の栄養士は給食管理や献立作成、調理を行いますが、その仕事は調理師でも行うことができます。

そのため栄養士の専門性が重視されない職場もあり、この場合は給与額は低い傾向です。

一方で、食品メーカーの研究職や開発職、または保健所などで働く行政管理栄養士の場合は、管理栄養士としてさらに専門性の高い知識とスキルが求められます。

また病院の栄養科の栄養士は管理栄養士を募集しているところがほとんどですが、それは患者の病状や摂取状態に合わせた食事の提供が求められ、栄養アセスメントと対応が必要だからです。

専門職としての働き方が求められる職場では国家資格である管理栄養士を必要とし、必然的に年収も高くなる傾向です。

エリアによって異なる!栄養士の給料

栄養士の給料は働く地域によっても異なります。
厚生労働省の職業情報提供サイトjobtagを参考に、都道府県別の給料をみてみましょう。

都道府県別の年収は以下のとおりです。

都道府県 年収(月給)
北海道 348万円(18.6 ~ 22.6万円)
青森県 308.1万円(17.4 ~ 20.2万円)
岩手県 381.4万円(17.5 ~ 20.8万円)
宮城県 371.6万円(18.1 ~ 22.3万円)
宮城県 371.6万円(18.1 ~ 22.3万円)
秋田県 306.1万円(16.7 ~ 19.9万円)
山形県 385.2万円(17.6 ~ 22.5万円)
福島県 384.3万円(17.8 ~ 22.9万円)
茨城県 351.3万円(18.4 ~ 22.9万円)
栃木県 368万円(18.6 ~ 23.1万円)
群馬県 344.6万円(18.2 ~ 22.8万円)
埼玉県 418.1万円(20.1 ~ 24万円)
千葉県 374.5万円(19.9 ~ 24.4万円)
東京都 404.6万円(20.6 ~ 25.1万円)
神奈川県 395.3万円(20.3 ~ 25.5万円)
新潟県 346.6万円(17.6 ~ 21.6万円)
富山県 343.5万円(18.1 ~ 22.9万円)
石川県 366.1万円(17.9 ~ 22.3万円)
福井県 370.8万円(18 ~ 21.6万円)
山梨県 358.6万円(18.1 ~ 28.3万円)
長野県 365.7万円(18.5 ~ 23.5万円)
岐阜県 353.7万円(19.2 ~ 24.1万円)
静岡県 387.7万円(19.1 ~ 24.2万円)
愛知県 338.7万円(19.6 ~ 23.6万円)
三重県 340.2万円(19.3 ~ 23.8万円)
滋賀県 393.3万円(18.6 ~ 22.3万円)
京都府 395.8万円(18.5 ~ 23万円)
大阪府 380.3万円(19.8 ~ 23.9万円)
兵庫県 360.1万円(19.2 ~ 22.7万円)
奈良県 344.2万円(17.6 ~ 21.9万円)
和歌山県 309.2万円(17.9 ~ 21.4万円)
鳥取県 369.1万円(18.4 ~ 22.6万円)
島根県 344万円(17.4 ~ 20.7万円)
岡山県 343.6万円(17.8 ~ 20.8万円)
広島県 380.2万円(18.6 ~ 21.9万円)
山口県 340.6万円(17.9 ~ 21.4万円)
徳島県 348.2万円(17.4 ~ 20万円)
香川県 357.8万円(18.8 ~ 21.8万円)
愛媛県 329.2万円(18.1 ~ 22.6万円)
高知県 363.3万円(18 ~ 21.2万円)
福岡県 353.1万円(18.7 ~ 23.3万円)
佐賀県 343万円(17.4 ~ 19.9万円)
長崎県 323.8万円(17.5 ~ 19.9万円)
熊本県 341.3万円(17.7 ~ 21万円)
大分県 375.1万円(17.8 ~ 21.2万円)
宮崎県 310.1万円(17.3 ~ 21.5万円)
鹿児島県 327万円(17.5 ~ 21.5万円)
沖縄県 329.4万円(17.2 ~ 21.1万円)

都道府県別に給与額をみてみると、年収の平均金額が高い地域は埼玉県 418.1万円(20.1 ~ 24万円)で、次いで東京都 404.6万円(20.6 ~ 25.1万円)という結果がでています。

職業情報提供サイトjobtag に掲載されている栄養士の平均年収367.6万円を超える地域は47都道府県中、17の地域でした。(岩手県・宮城県・山形県・福島県・栃木県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・福井県・静岡県・滋賀県・京都府・大阪府・鳥取県・広島県・大分県)

企業の数や求人数が多い首都圏、主要都市での給料が高い傾向です。

給料が高い職場を選ぶなら、地方よりも都心部に近いエリアが狙い目ということが分かりますね。

参照:厚生労働省『職業情報提供サイトjobtag 賃金(年収)・ハローワーク求人統計データ』

栄養士として年収アップを目指す方法

栄養士の給料は地域や職場によって異なりますが、同じ栄養士の資格を活かして働いていても人によって給料に差が生まれるケースがあります。

それには職場の違いや専門性の違いが影響しています。

栄養士として「もっと稼ぎたい」「年収アップしたい」と思う方は、これから紹介する年収アップの方法がおすすめです。

大規模な企業ほど待遇がいい

病院や企業で働く場合、その職場の規模の大きさが給料に影響します。

例えば大学病院や総合病院、従業員数が多い大規模企業などは給料が高い傾向です。

大手食品メーカーの開発職や研究職、医薬品メーカーでは栄養士でも高収入が期待できるでしょう。

また規模の大きい病院や企業では、労働環境や福利厚生の充実や働きやすさといった点もメリットとなります。

ワークライフバランスのとれた働き方ができるのも嬉しいですね。

管理栄養士へキャリアアップ

国家資格である管理栄養士を取得することで、設置義務のある施設への転職も可能になり病院に入院している方へ専門的な栄養指導を行うことができます。

栄養士の資格と実務経験が必要ですが、ニーズが高いため選択肢の幅を広げられる可能性も高く収入アップも期待できるでしょう。

栄養士+αの資格取得を目指す

栄養士の資格だけでも十分働くことはできますが、さらに活躍の場を広げ年収アップにつなげるならダブライセンスの取得もおすすめです。

例えば栄養士+フードコーディネーター。

栄養学の専門知識とフードビジネスに関する実践的な知識とスキルを活かし、幅広いフィールドで活躍することができるでしょう。

クラウドソーシングやSNSを通じて、フリーランスの栄養士として働くことで年収アップを実現できる可能性もありますね。

ひとつの職場で継続して働く

栄養士として同じ職場で働き続ける場合、勤続年数を重ねることもおすすめです。

ひとつの職場で勤続年数を重ねることで、昇進や役職につくことが期待できます。

特に規模の大きい病院や企業で働いている場合は昇給制度が整備されているケースが多いので、期待できる年収額は大きくなる可能性が高いでしょう。

給料が高い職場に転職する

先述したように栄養士の給料は職場により異なりますので、今の職場での給料に満足されていない方は、転職することもひとつの方法です。

小規模の事業所や企業で働いている方は、より規模の大きい職場を選んだり、求人情報から高待遇で募集されている職場を検討されてみてはいかがでしょうか。

実務経験を重ねるほど給与とともに待遇アップでの採用がされますので、スキルとキャリアがある栄養士は好条件で転職できる可能性が高いでしょう。

ぜひご自身の強みやキャリアプランを考えて職場選びを進めていきましょう。

栄養士の年収アップは職場選びが重要

栄養士が年収アップを目指して転職活動を進める場合、給与を重視した職場選びをする必要があります。

例えば栄養士の資格手当が高い職場や基本給が高い職場など求人情報をチェックすることが大切です。

しかし給与面だけを重視して職場選びをしてしまうと、実は働きにくい職場だったり人間関係が良くない職場だったりと入職後の後悔につながる恐れがあります。

職場環境や人間関係など、より詳しい内部事情を把握したうえで転職を決めたい方は、転職エージェントや転職サイトの利用がおすすめです。

業界に精通したアドバイザーが、キャリアカウンセリングを通じて求職者に合った転職先を紹介してくれるだけでなく、履歴書や職務経歴書のアドバイス・面接対策など転職サポートも充実しています。

1人での転職活動が不安な方は、転職エージェントや転職サイトを活用し視野を広げた転職活動を進めていきましょう。

【まとめ】年収アップできる!栄養士の給料=安いとは限らない

栄養士の給料事情について、管理栄養士と栄養士の給料の違いや年収アップの方法も併せて紹介しました。

栄養士の平均年収は約300~400万円とされているため「専門職なのに給料が高くない」ということから「栄養士=給料が安い」とイメージがあるのでしょう。

今回紹介した内容から、栄養士の働く場所や専門性によって大きな差があることがお分かりいただけたかと思います。
同じ栄養士といっても「給料が安い」と不満を持つ方がいる一方で、好条件の職場で年収500万円を実現している方もいます。

もっと稼ぎたいという方はキャリアアップやダブルライセンスの取得など、紹介した方法を試していただき年収アップを目指しましょう。

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷