栄養士のパート事情、栄養士はワークライフバランス重視で働ける?

以前栄養士や管理栄養士として働いていたけど、結婚や出産、親の介護などで離職したものの、最近落ち着いてきたので、せっかく取った国家資格。無駄にするのももったいないし、そろそろ仕事復帰したい…。

とはいえ、長く仕事から離れていたし、フルタイムで働くにはまだ難しい。できればパートとして、ワークライフバランス重視の働き方をしたいんだけど、栄養士でも可能なんだろうか?

そんな疑問をいだいている方に、実は栄養士や管理栄養士は、パートとしての需要も高い仕事なのです!自分に合った働き方が選べる栄養士のパートはどんな仕事なのか、紹介します。

栄養士のパート求人はどれくらいある?

現在の業界として、栄養士や管理栄養士の需要はどれくらいあるのでしょうか。まずはそれについて考えてみましょう。
厚生労働省が定める『健康増進法』によって、以下に定められた規模の特定給食施設は、必ず管理栄養士を置かなければなりません。

『1.医学的な管理を必要とするものに食事を供給する特定給食施設/継続的に1回300食以上又は1日750食以上の食事を供給するもの
2.管理栄養士による特別な栄養管理を必要とする特定給食施設/継続的に1回500食以上又は1日1500食以上の食事を供給するもの』
(https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kenkou/kenko_zukuri/ei_syo/tokutei/kanri.files/25kouseiroudoudaijinnsiteikijyun.pdf)

以上のように法律で定められた規模の施設では、大体1~3人ほどの管理栄養士を正社員で採用する場合が多いです。とはいえ管理栄養士の資格を持つ正社員数が多くなればなるほど、施設としては人件費の負担が大きくなります。

そのため最低限の定数分の管理栄養士を正社員で採用し、足りない人材をパートで補う施設が業界では多い傾向があります。

また、施設規模的に管理栄養士を置く義務はないけれど、栄養学やアレルギー対策の面で栄養士や管理栄養士を自主的に採用する施設は多く、その際に資格を持っているパートが採用できれば人件費をセーブできることもあり、栄養士や管理栄養士のパート求人は意外と需要があります。

栄養士は正社員とパートで仕事内容に違いはあるのか

栄養士や管理栄養士の仕事で、正社員とパートの仕事内容には実質的に違いはありません。栄養学的な観点で献立作成を行い、施設によっては調理や後片付け、食材の発注や事務仕事も熟します。

とはいえ、正社員とパートでは実質的に任される仕事の立場的に違いが起こりやすいです。例えば献立作成は正社員の管理栄養士が行い、パートは立てられた献立を元に調理や後片付けをする。食材発注の指示は正社員が行い、指示内容の発注作業をパートが行うといった正社員の補助的な仕事が主な仕事になる場合は多いです。

パートでも資格を持っていて、正社員の管理栄養士や栄養士が居ない職場なら責任ある仕事まで任される場合もありますが、多くの場合は補助的作業に従事することになるでしょう。

栄養士のパートはどんな働き方ができる?

パートは正社員と比較して、自分のプライベートに合わせた働き方がしやすい、ワークライフバランスを実現しやすい働き方であると言えます。
正社員の場合にはフルタイム勤務の上で残業が発生する場合が多いために、育児中の方や家事と両立しながら働くのは難しいと感じてしまう人は多いです。

対してパートはシフト制になっていることも多く、人が足りない日だけの出勤で週3日5時間勤務、残業は少なめなど要望を通しやすい傾向があります。
子供が学校に行っている時間で働きたい。扶養内で働きたいなど、働ける時間に制限がある方はパートがおすすめです。

栄養士の時給相場が知りたい

タウンワークで栄養士・管理栄養士のアルバイト・バイト・パートの地域別平均時給が掲載されているので、参考にご覧ください。(https://townwork.net/jobCategory/jc_015/jmc_01508/jikyuu/)

平均時給が高いトップ3は順番に『栃木県1,350円、東京都1,226円、神奈川県1,162円』、ワースト3は『秋田県・鹿児島県900円、愛媛県946円』となっています。
全国で見れば管理栄養士・栄養士のパート平均時給はおよそ1,000円〜1,100ほどとなるでしょうか。

こちらを基準に、自分が今住んでいる県の平均時給より上の職場を探す基準にするもよし、より高い時給が貰える県に引っ越すか通勤するもよし。求人探しの参考にしてみてくださいね。

栄養士の実務経験が無くてもパートで働くことはできる?

栄養士の資格を取ったはいいけど他職種に就職してしまったなどの理由で、結局栄養士の仕事をしないまま現在まで来てしまったという方も居るのではないでしょうか。せっかく資格を持ってるし、改めて今から始めてみたいけどもう新卒ではないし…。そんな実務経験皆無の方でもパートはできるんでしょうか?

結論から言うと、実務経験がなくてもパートでなら普通に仕事ができます。栄養士や管理栄養士の正社員が常駐していて、パートとして補佐的に仕事をするところや、未経験OK求人などは多いです。

実務経験なしで最初から経験者優遇求人などの高望みさえしなければ、未経験でも栄養士のパートで働くチャンスは十分にあります。逆にゆくゆくは正社員になりたいという方にとっては、まずは未経験OK求人で経験を積んで最終的に正社員にキャリアアップ転職することも可能です。

栄養士がパートで働ける職場とは

実際に、栄養士や管理栄養士のパート求人はどんな仕事があるでしょうか。栄養士や管理栄養士のパートが活躍する職場を紹介しましょう。

病院

入院患者さんや、通院患者さんの病状に合わせて栄養管理を行ったり、献立作成を行ったりする仕事です。

入院患者さんは病院で食事を摂るため、軟食・刻み食といった食事の固さから、アレルギー食・糖尿病食・腎臓病食といった治療食など、患者さんの病状に合わせた病院食を手配する必要があります。

通院患者さんには、食事の材料や調理法のアドバイスを行ったり、日頃の食事を確認して指導を行うなど、体調改善や健康維持のための栄養管理をする仕事です。

福祉施設

介護・障害者・児童など様々な業態がある福祉施設。施設によって利用者の年齢や障害度、健康度合いや食事の摂り方が違います。
利用者の状態に合わせて、栄養管理を行い、献立を作成する仕事です。

学校

小中学校の給食や、高校や大学の学食など、学校の集団給食の献立を作成する仕事です。子供の成長に必要な栄養素などに考慮しながら、毎日の献立を組み立てていきます。

保育園

保育園の給食とおやつの献立を作成し、保育園の場合には栄養士が調理まで行うことが多いです。お世話をする子どもたちは0歳〜6歳まで年齢も幅広く、完全食の他にも離乳食など年齢に合わせた食事を用意しなければなりません。

また、アレルギーを持つ子どももいるため、アレルギー管理にも気をつける必要があります。その他、保育園の栄養士や管理栄養士は、食育の観点から子どもたちの成長に関わっていくことも多いです。

企業

企業の社員食堂で献立作成を行う仕事です。仕事内容としては学校給食とあまり変わらないと思いますが、利用者は健康な大人なので栄養バランスは気にしつつ、社会人に好まれそうなメニューの作成が求められがちです。

行政関連

保健センターや保健所、各自治体の役所などで働きます。仕事内容としては、住民の健康相談や食生活の指導、集団給食施設の指導管理など、栄養学の観点から住民の健康維持に務める仕事です。

栄養士のパート求人はどこで探せる?

パートで働こう!と決意したものの、実際に栄養士や管理栄養士のパート求人はどこで探せるでしょうか?主に利用されている求人サービスのメリット・デメリットを上げていきますので、比較してあなたに合ったサービスを探してみてくださいね。

ハローワーク

各自治体が運営する人材紹介サービスです。利用は完全無料で、最近ではネットで求人を探すことができるので、わざわざ何度も通う必要もなくなりました。

メリット

・自治体が運営しているため、地元の求人が豊富
・自分で求人を探すこともできるが、担当から求人紹介を受けることもできる
・担当者にキャリア相談ができる
・応募書類の添削、面接練習をしてくれる
・無料で利用できる

デメリット

・自治体が運営しているため、設置地域外の求人がない
・地元密着型の中小企業が多く、大手企業の求人は少ない
・求人を出す企業側も無料で利用できるため、ブラック企業求人や空求人も紛れている

総合型大手求人サイト

ほぼ全業界・全職種の求人を網羅しており、求人数も業界ではトップクラスのdoda、マイナビ、リクナビといったサイトがあります。

メリット

・求人数が多く、パート求人も多数
・自分のペースで活動ができる
・条件検索がしやすく、求人比較がしやすい
・無料で利用できる

デメリット

・担当者がいないため、求人検索から応募、面接日や条件などの交渉まですべて自分でやらなければならない
・求人を出す企業側が利用料を払っているものの、1度払えば何度でも求人掲載ができる事も多く、ブラック企業求人や空求人も紛れていることが多い

特化型転職エージェント

栄養士や管理栄養士の求人を専門に取り扱う、職種に特化した転職サービスです。栄養士人材バンク、栄養士ワーカー、栄養士ナビなどがあります。

メリット

・担当者にキャリア相談ができる
・担当者から仕事を紹介してもらえるので、忙しくてなかなか仕事探しができない人におすすめ
・応募書類の添削、面接対策をしてもらえる
・担当者が求人企業の訪問を行っているところが多く、入社前に企業の内情が聞ける
・入社後までアフターフォローサービスがある
・求人を出す企業側が多額の紹介料を支払うため、人材を大事にするホワイト企業が多い
・無料で利用できる

デメリット

・仕事紹介の連絡が頻繁で、煩わしいと感じる人もいる
・担当者も人間なので、相性の問題がある(合わないと感じたら担当変更は可能)
・カウンセリングで担当者が判断した適正に合っている求人を紹介してくることも多く、希望している条件と違う求人を紹介してくることもある

栄養士のパート需要は高い

栄養士のパート求人は意外と多いです。特に保育園や学校などではパートの需要が高いです。フルタイムと変わらない時間でしっかり働きたい方なら病院や介護老人ホームなどの入居式施設がおすすめですが、ワークライフバランスを重視したい方は保育園や学校はおすすめです。

基本的に給食の時間に合わせて仕事をすることになるため、子供の登校時間くらいに出社し、給食の片付けが終われば帰れるため14時〜15時くらいまで、勤務時間5〜6時間程度のところが多いです。

栄養士や管理栄養士の資格を活かして、ワークライフバランスを実現したい方にはパートが働きやすいのではないかと思います。

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷