エンジニアは年収の幅が広い職種です。
40代になっても年収500万円未満のベテランエンジニアもいれば、20代で年収1000万円を実現した若手エンジニアもいます。
できることなら、あまりリスクをとらずに年収1000万円を目指したいものですよね。
ここでは、リスクを抑えて年収1000万円のエンジニアになる方法を紹介します。
エンジニアとして働いていると、「フリーランスになれば年収1000万円を実現できるのでは」と考える人が多いと思います。
たしかに、高単価のフリーランス求人は目立つため、そう思うのも無理はありません。
しかし、必ずしもフリーランスが稼げるとは限りません。
また、成長産業であるIT業界は起業も盛んですが、10年後に存続できる企業の割合はわずか6%に過ぎないといわれています。
ではどうしたら年収1000万円を稼ぐエンジニアになれるのでしょうか?
一次請けのIT企業に転職して、要件定義や設計など上流工程の職種を目指すと、年収1000万円を実現しやすくなります。
上流工程のエンジニアのなかでも、特に年収が高いのがITコンサルタントとプロジェクトマネージャーです。
顧客企業の経営課題の解決策を提示し、それを実現するために必要なシステムの企画や提案、導入支援を行うエンジニア
ITコンサルタントが作成したプロジェクト計画に沿って、開発プロジェクト全体を統括・管理するエンジニア
いずれの職種も総合的なITスキルに加えて、マネジメントスキルやコミュニケーション能力、業務知識など要求されるスキルが多岐に渡ります。
そのため、他のエンジニア職と比べて年収が高く、年収1000万円超のハイクラス求人も少なくありません。
dodaでITコンサルタントとプロジェクトマネージャーで年収1000万の求人数を検索したところ、以下の結果となりました(2022年8月5日時点)。
年収1000万円求人の割合
ITコンサルタントが約6割、プロジェクトマネージャーが約3割の求人が、年収1000万円クラスであることがわかります。
どちらの職種も一次請けのIT企業でSEとして入社し、上流工程の実務経験を積んでから社内で昇進したり、転職したりしてなるのが一般的です。
現在二次請けや三次請けで働くエンジニアは、一次請けのIT企業への転職を検討するとよいでしょう。
対応できるスキルの範囲を広げて、年収1000万円を目指すのも有効な手段です。
エンジニアが求められるスキルの範囲は年収600万円を境に広くなります。
特にフリーランス求人はその傾向が強く、専門スキルに関係する周辺技術の知識や経験がないと応募できない案件も少なくありません。
レバテックフリーランスのJava案件で、月単価60万円以下と月単価80万円以上の求人を比較したところ、以下の傾向が判明しました。
月単価60万円以下の案件で求められるレベル
月単価80万円以下の案件で求められるレベル
単価が高い案件ほど純粋な開発経験だけでなく、OSやクラウド、コンテナなどシステム開発に必要な周辺環境の実務経験や知識が求められます。
それに加えて、アジャイル開発と呼ばれる新しい開発手法や上流工程の経験などを求める案件も増えてきます。
年収を上げたい人は、専門分野に関係する周辺技術の知識を学習し、対応できるスキルの範囲を広げるとよいでしょう。
給与水準が高く、福利厚生が充実している大手企業に転職するのも、年収1000万円を目指す1つの手段です。
厚生労働省の「令和3年賃金基本統計調査」から情報通信産業で働く人の平均年収を企業規模別にまとめてみました。
企業規模と平均年収
※平均年収=所定内給与額×12+年間賞与その他特別給与額
企業規模の大きさに比例して年収は高くなり、100人未満の中小企業と1000人以上の大手企業では、約256万円も年収の差がでることがわかります。
大手企業に絞って転職活動を行うのが、年収1000万円になる近道
外資系企業に転職するのも年収1000万円を目指したいエンジニアにおすすめの手段です。
同業同職種の転職なら、日系企業よりも外資系企業の方が年収アップの転職を実現しやすい傾向にあります。
参考までに代表的な外資系IT企業の平均年収を紹介するので、下の表を確認してみてください。
参照:en world Japan『外資系IT企業とは|代表企業やメリット・デメリットまで紹介』
先ほど紹介した「令和3年賃金基本統計調査」によると、情報通信産業で働く人の平均年収は、約581万円。
この数字から外資系IT企業の平均年収が全体的に高いことがわかります。
外資系IT企業の平均年収が高い理由は、インセンティブと呼ばれる成果給が給料に大きく反映されるからです。
多くの外資系企業が「ベース給+インセンティブ」で、社員の給料を計算します。
ベース給とは日系企業の基本給にあたるもので、前職の経験やスキルで入社時に等級が決まります。
一方、インセンティブとは、会社の目標と個人の目標達成率に応じて支払われる給料です。
外資系企業はインセンティブが給料に占める割合が多く、ベース給の1~2倍の比率となります。インセンティブはあくまでも成果だけで反映される給料なので、日系企業の給与体系のように勤続年数は考慮されません。
成果を重視する給与体系であることから、外資系IT企業のエンジニアは若いうちから年収1000万円を実現しやすい環境といえます。
実際に成果を出して、入社数年で年収1000以上となった30代のエンジニアもいるようです。
事業会社に入社してDX人材になるのも、年収1000万円を実現する有効な手段です。
事業会社のDX人材とは、銀行や製薬会社など非IT企業の情報システム部門で働くIT企画・推進担当やIT戦略立案担当と呼ばれるエンジニアです。
DXとは、ITを活用した経営改革です。近年、政府がDXを推進していることから、非IT企業では以下を実行できる人材を厚待遇で採用する傾向にあります。
実際、doda(2022年8月5日時点)でDX人材の年収を調べてみたところ、多くの企業が年収500~1500万円の高年収で人材を募集していました。
このように年収600万円から求人を募集する企業が目立ちます。
社内SEに興味があって年収を上げたい人は、事業会社のIT企画・推進担当やIT企画立案担当になって年収1000万円を目指すとよいでしょう。
IT業界で圧倒的に不足しているのが先端IT人材です。希少価値の高さから先端IT人材は年収1000万円を狙いやすい傾向にあります。
先端IT人材とは、下記分野やスキルが求められる業務に携わるエンジニアのことです。
IPA(情報処理推進機構)のIT人材白書2020が発表したIT人材の年収によると、先端IT人材の63.4%が年収600万円以上と判明。(*)
その中で最も多い年収は1000~1500万円未満で15.2%も存在します。
先端IT人材の高年収は中途採用にとどまらず、NECやDeNAなど大手企業では新卒採用でも年収1000万円と一般的な新入社員の2~3倍の年収を提示しています。
若いうちに年収1000万円を実現したい人は、最先端技術を学習し、先端IT人材になるとよいでしょう。
リスクの少ない方法で年収1000万円のエンジニアになる方法を紹介しました。
これまでの経歴と保有スキルを照らし合わせてみて、自分に合うやり方で年収1000万円を実現できるキャリアを選んでみてください。
条件のよい求人は応募が殺到するため、転職エージェントの非公開求人として募集するケースが一般的です。
また、個人だと失敗しやすい内定後の年収交渉も、転職エージェントのコンサルタントが代行してくれるため、年収アップの転職を実現しやすい傾向にあります。
将来的に年収1000万円を実現したい人は、条件のよい非公開求人がある転職エージェントの利用も選択肢の1つに考えるとよいでしょう。