国がデジタル化を推進する背景から、エンジニアの転職市場では未経験者の採用を活発に行っています。
こうした背景から、近年未経験からのエンジニア転職に成功して活躍する人が増えています。しかし、安易な気持ちでエンジニア転職を行って失敗する人も少なくありません。
この記事では、未経験からのエンジニア転職で失敗を防ぐポイントを5つ解説します。
「手に職をつけたい」「稼ぎたい」などの理由でエンジニア転職に興味のある人は、参考にしてみてください。
未経験からのエンジニア転職で失敗を防ぐポイントは、会社員からキャリアをスタートすることです。
近年、フリーランス向けのエージェントサービスやクラウドソーシングが増えた背景から、エンジニア不足を補うために多くの企業がフリーランスを登用しています。
しかし、これらの多くは経験者を対象とし、最低でも2年以上の実務経験がないと応募できない求人ばかり。
数少ない未経験者向けのフリーランス求人は、スキルが求められない低単価案件が中心となります。
しかも、企業にフリーランスを育成する義務がないため、スキルアップを図るには独学で勉強しなければなりません。
エンジニアの仕事は専門的な知識が必要とされるため、未経験者が独学でスキルアップを図るのは至難の業です。
そのため、未経験のうちは教育やサポートが受けられる会社員からキャリアをスタートし、長くエンジニアとして活躍できるスキルの土台を築くべきでしょう。
一口にエンジニアといっても様々な種類があり、適性や業務内容などは異なります。
どんな職種があるか知っておかないと、自分が目指すキャリアの方向性を模索できないため、面接で説得力のある志望動を説明できなくて、なかなか採用に至らないでしょう。
仮に採用されても、入社後にミスマッチを感じて、短期間で離職するかもしれません。
転職の失敗を防ぐために、未経験者の採用に積極的なエンジニア職の仕事内容を紹介します。
エンジニア転職に興味があっても、どんな職種があるか知らない人は参考にしてみてください。
Webエンジニアとは、WebサービスやECサイトといったブラウザで動くシステムの設計や開発、運用管理を行うエンジニアです。
Webエンジニアには、大きく分けて次の2つの職種があります。
2つのうち未経験からはじめやすいのは、フロントエンドエンジニアです。フロントエンドエンジニアの業務で扱うHTMLやCSS、JavaScriptといった言語は、初心者でも独学でマスターしやすいからです。
しかし、スタート時の年収に大きな違いはなくても、経験を積んでからの年収アップが期待できるのはバックエンドエンジニアだと言われています。
バックエンドの開発には、プログラミングのスキルに加えてインフラの設計・構築など広範囲のスキルが求められるからです。
いずれの職種もメンバーとの密接な連携が求められるため、コミュニケーション能力が必要なことに変わりありません。
IT業界の中でもWebシステムの開発分野は特にトレンドの移り変わりが激しいので、新しい物好きな人や最新技術を習得するのが苦にならない人がWebエンジニアに向いているでしょう。
プログラマとは、システムを動かすプログラムの構築やプログラムの稼働テストを行うエンジニアです。
開発系IT職種の登竜門と考えられていることから、IT業界ではプログラマからキャリアをスタートする人が数多く存在します。
実際、プログラマから始めてSEやプロジェクトマネージャー、ITコンサルタントなど上流工程の職種にステップアップする人が少なくありません。
システム開発にはエラーやバグがつきものです。エラーやバグが発生した時に「発生源は何か」「どこを修正すれば解消するか」といった、因果関係を整理して解決策を論理的に考えることが苦痛にならない人がプログラマに向いているでしょう。
また、プログラム言語やフレームワークも続々と新しい技術が登場しています。プログラミングが好きで最新技術を学ぶことが苦痛にならない人もプログラマとして長く活躍しています。
インフラエンジニアとは、システム開発の基盤となるサーバやネットワークなどの設計や構築、運用保守を担うエンジニアです。
運用保守の仕事はマニュアル化されたものが多く、サーバやネットワーク機器などの監視業務や障害対応はマニュアルに書かれた手順に従って対応します。
これらはITの基礎知識があれば対応できる業務が多いことから、運用保守に関しては未経験者向けの求人が豊富にあります。
インフラエンジニアのキャリアパスは、運用保守からスタートして設計構築といった上流工程の業務にステップアップしていくことが一般的です。
一口にインフラエンジニアいっても企業規模や案件で対応範囲が異なるため、セキュリティやクラウド、データベースの知識が要求されることも珍しくありません。
そのため、業務を通じて、幅広いIT知識を習得する機会に恵まれやすいメリットがあります。
サーバやネットワーク機器の制御や設定変更などの作業も多いため、機械の操作が好きな職人気質の人がインフラエンジニアに向いているでしょう。
未経験者を対象とする求人でも、最低限の業界知識や開発経験を求めるケースが少なくありません。
特にプログラマやWebエンジニアでは、未経験であってもスクールで学んだレベルの開発経験を要求する求人が目立ちます。
これらの中には、書類選考の際に履歴書や職務経歴書と一緒にポートフォリオというスキルを証明する資料の提出を求められることも。
もちろん、やる気重視で入社後にいちから教育してくれる企業もあります。しかし、ITやプログラミングの知識を身に着けてから転職活動を行ったほうが採用のチャンスが広がり、入社後の業務習熟も早いでしょう。
IT系職種は、動画や書籍、資格試験と入門者向けの学習教材が豊富にあります。
未経験の転職では意欲の高い人ほど、書類選考や面接で高く評価されます。
転職活動を本格的に始める前に、業界動向やITの基礎知識は入門者向けの学習教材を通じておさえておくとよいでしょう。
未経験からのエンジニア転職では、IT企業の事業形態を把握しておくことも重要です。
事業形態の違いを知らずにエンジニア転職をして、転職先で後悔する人もいるからです。
IT企業の主な事業形態を3つ紹介するので、転職先を選ぶ際に参考にしてみてください。
Sler(受託開発)とは、顧客の依頼に沿ってシステム開発や運用保守を行うIT企業です。
大手Slerでは若手社員の補充は新卒採用で行うため、中途採用は経験者が中心となり未経験者の採用枠はほとんどありません。未経験の中途採用を募集するSlerの多くは、中小・中堅企業となります。
多数業界のシステム開発や運用保守に携わるため、クライアントワークを通して上流工程から下流工程までと様々な経験を積めるメリットがあります。
こうした特徴から募集職種もプログラマからSE、インフラエンジニアなど多岐に渡ります。
また、IT業界の中でもSlerは歴史の古い企業が多く社員の勤続年数が長いため、40代以降のキャリアパスを描きやすい点もメリットといえるでしょう。
若手だけでなく、中堅クラスや管理職クラスの社員の従業員教育が充実しているところもSlerの特徴です。
しかし、請負契約で仕事を受注するため、Slerの業務には成果物の完成責任が求められます。こうした理由で常に納期に追われ、長時間勤務に陥りやすいデメリットもあります。
また、担当するプロジェクトにより自社勤務ではなく客先常駐となることも。
プロジェクトの数が多岐に渡るため、AIやIoT、クラウドといった最新技術に触れられるとは限りません。レガシーな技術を使ったシステムの運用保守に長年携わるエンジニアもいます。
自社開発企業とは、自社でWebサービスやスマホアプリ、ECサイト、業務システムなどの開発・運営を行うIT企業です。
大企業やメガベンチャーの中途採用は経験者が中心となり、数少ない未経験者の中途採用枠も志望者が多いため、入社難易度が高くなります。
中小・中堅の自社開発企業も即戦力を採用する傾向にあるため、SlerやSES企業と比べて未経験者の採用枠はそれほど多くありません。
自社開発企業に転職するメリットは、納期や開発スケジュールにゆとりがある点です。自社製品の開発・運営に携わることから、顧客に決まった期日までに成果物を納品する責任がありません。そのため、余裕のあるスケジュールで業務に専念できます。
こうした背景から、フレックス制や在宅勤務を導入して柔軟な働き方ができる企業が数多く存在します。
自社開発企業は、最新の開発手法や技術を取り入れる会社が多いことから、技術レベルの高いエンジニアが集まりやすい傾向に。技術力の高い上司や先輩から指導を受けることで、スキルアップの機会に恵まれやすいでしょう。
しかし、技術水準の高さゆえに周囲のレベルが高すぎて、経験が浅いうちは仕事についていけなくて苦労するという声も。
自社開発企業はスタートアップ企業やベンチャー企業が多いため、福利厚生や待遇に不満を抱く人も少なくありません。
SES企業とは、技術者が不足する企業にエンジニアを派遣して利益を得るIT企業です。一部を除き、自社で製品やサービスを展開することはありません。
技術者派遣を行っていることから、エンジニアは顧客のオフィスに常駐して働きます。
求人サイトで見かける未経験求人の大半はSES企業です。求人数の多さから入社難易度が低く、SES企業でキャリアをスタートするエンジニアがたくさん存在します。
SES企業で働くメリットは、複数の客先に常駐できるところです。業務を通して様々な企業で経験やノウハウを積めるため、今後のキャリア形成に役立つでしょう。
また、SES契約は作業時間に対し報酬を支払う準委任契約であるため、成果物の完成責任はありません。こうした契約形態のおかげで、SES企業は残業がそれほど多くないメリットがあります。
しかし、SES企業の顧客はSlerや自社開発企業であることから、IT業界では末端の下請け業者。発注元のSlerや自社開発企業の間にいくつか中間企業を挟んで仕事を受注することも珍しくありません。中間企業から手数料を取られるため、エンジニアの給料は低く設定されがちです。
下請けであるがゆえに、マネジメント能力や技術力を必要とされる上流工程の業務に携わる機会が少ないデメリットもあります。
エンジニア転職の成功率を高めるには、求人サイトと転職エージェントを併用して転職活動を行うことが重要です。
転職エージェントの併用をすすめる理由は、以下のサービスが無料で受けられるからです。
特に初めての転職だと、職務経歴書の書き方や面接で何をアピールすべきかなど分からないことがたくさんあるでしょう。
しかし、転職エージェントを活用すれば、専属のキャリアコンサルタントから転職活動のノウハウを教わることができます。
面接では質問しづらい離職率や入社後の昇給率、社風なども、キャリアコンサルタントを通して詳細を入手することも可能です。
未経験のエンジニア転職のサポートに積極的なエージェントサービスにdodaITエンジニアがあります。
dodaITエンジニアのようなエージェントサービスをうまく活用して、自分の理想に合う転職先を探してみてください。
一口に未経験からのエンジニア転職といっても、求人を募集する職種や事業形態は多岐に渡ります。
そのため、転職を成功させるには自分の適性や理想のキャリアパスをしっかり考えたうえで、どんな企業が何の職種で求人を出しているかをしっかり把握することが大切です。
未経験歓迎と求人広告に書かれていても、実務経験を問わないだけでITの基礎知識があることを前提条件とする求人も少なくありません。
こうした背景から、未経験であっても事前にITやプログラミングを学んだうえで転職に臨むべきといえます。
未経験からのエンジニア転職の失敗を防ぐためにも、業界動向やITの基礎知識を学んだうえで転職活動を行いましょう。