【学習障害の悩み】学習障害でも無理せず仕事を続ける方法

この記事は、学習障害(LD)をお持ちの方の
・仕事がしたい。
・今の仕事から転職したい。
・学習障害でもできる仕事をしたい。
という悩みを解決できる記事です。

発達障害の1つである学習障害。
・文章が読めない。理解できない。
・文字をうまく書けない。
・計算にすごく時間がかる。
といった症状が原因で

「仕事はできるのか。」
「仕事をしても続かないのでは。」

と不安に感じてはいませんか?
そして、現在仕事をしていて、症状に苦しんでいる方も多いのではないでしょうか。そんな方の悩みにお答えします。

結論からいうと、無理せず続く仕事をすることは可能です。
そのためには「工夫」と「選ぶ仕事」が重要になります。

そこで今回は、「学習障害の方が無理せず仕事を続けられる方法」をご紹介します。

学習障害を知ろう

まずは、学習障害について知りましょう。
学習障害について知ることで、後述する「障害特性の把握と説明」がスムーズになります。

学習障害には、さまざまな症状があります。

ここでは、学習障害の前提条件と、主な3つのタイプの症状をご紹介します。

【前提条件】

・知的遅れ、視聴覚障害がない。
・十分な教育を受け、本人も努力をしている。
・下記3点のように、特定のことが極端に苦手。

【主な3つのタイプ】

①読みが苦手
②書きが苦手
③計算が苦手

①「読むこと」が苦手な症状です。

例としては、

・逐次読み(文字を1つ1つ拾って読む)してしまう。
・音読が遅い。
・音読より黙読のほうが苦手。
・似ている字(「れ」と「わ」など)の見分けが苦手。
・小さい字(「ゃ」「っ」など)が読めない。
・読み間違いに気づかない。
・2度目はスラスラ読める。

などです。

②「書くこと」が苦手な症状です。

例としては、

・漢字を覚えられない。
・字を書くとき、マスや線からはみ出してしまう。
・句読点を忘れる。
・「は」と「わ」など、同じ音の字の書き間違え。
・ひらがなで書けない字がある。
・カタカナで書けない字がある。

などです。

③「計算」が苦手な症状です。

例としては、

・数の大小を理解できない。
・数字や記号を理解できない。
・時計が読めない。
・数を数えられない。
・足し算、引き算ができない

などです。

①~③のすべてに言えることは、症状は人それぞれであり、千差万別ということです。それが、学習障害への理解が難しい原因の1つとなっています。

ちなみに、学習障害を持っていることは、なにも「特別なこと」ではありません。文部科学省が2012年度に行った、「全国の公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒向け調査」によると、

・学習障害の可能性があるのは全体の4.5%。

との結果がでています。
参照:日本経済新聞「小中学生の6.5%に発達障害の可能性 4割は支援受けず」
URL:https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0404C_V01C12A2000000/

つまり、40人に1~2人は学習障害の可能性があるということになります(1クラス40人の場合)。

学習障害を理解してもらおう

無理なく仕事を続けるために、必ず行ってほしいことがあります。

・自分の障害特性の把握
・周囲への説明と理解

上記は必ず行ってください。

前述の通り、学習障害の症状は千差万別です。
そのため、自分から「障害の症状」を適切に説明しない限り、周囲の理解を得にくいでしょう。
理解を得ないと、周囲から「仕事が遅い。」「怠けている。」などと誤解される可能性もあります。

そして、その2点ができていなければ、職場や関係機関などから支援を受ける場合に、適切な支援を受けることができなくなります。

「学習障害の方」が仕事で活かせる工夫

学習障害は、仕事で不利になる症状が多い障害です。
しかし、自分の工夫次第で「仕事を無理なく続けること」が可能になります。

そこで、ここでは障害のタイプ別に「仕事を無理なく続けるための工夫」をご紹介します。

①読みが苦手

文字を声に出して読む。

見ただけで理解できなくても、「聞く」ことで理解できる場合があります。

文字を指などで追って読む。

これだけで、格段に読みやすくなる場合があります。

スマホやPCを活用する。

紙に印字してある場合、データ化して画面を通して見ましょう。文字を拡大したり色を変えるだけで読みやすくなる場合があります。

②書きが苦手

手書きをしない。

手書きが苦手なら、手書きをしなければいいだけです。PC入力して、印刷しましょう。

周囲の人にお願いする。

手書きをしないといけない場面では、周囲の人にお願いしましょう。
前述の「障害特性の把握と説明」ができていれば問題ないはずです。

下書きする。

ボールペンやマジックで書く前に、鉛筆で下書きしましょう。

③計算が苦手

スマホやPCを活用する。

計算は、電卓機能で行えば問題ありません。時間は、デジタル時計でなら把握できる場合があります。

周囲の人にお願いする。

すぐに理解しないといけない場合、周囲の人にお願いしましょう。
これも、前述の「障害特性の把握と説明」ができていれば問題ないはずです。

学習障害がハンデになりにくい仕事

仕事で工夫する方法の以外に、「そもそも学習障害がハンデになりにくい仕事をする」というのも1つの手です。
むしろそのほうが、無理なく仕事を続けられるでしょう。

そこで、ここでは「学習障害がハンデになりにくい仕事」を3つご紹介します。

①広告業界

まっさきに挙げられるのが、広告業界でしょう。
一般的に「読み書き」が苦手な方が多い職業と言われています。
なぜかというと、学習障害をお持ちの方は、下記の強みを持つ方が多いからです。

・視覚的に、全体を把握できる
・聴覚的に、全体を把握できる
・論理的思考能力の高さ
・未来を予測する能力の高さ
・独創的

つまり、
「論理的思考に基づいたアイデアを、多角的に(論理的思考で)「世間の反応」を予測したうえで、視覚化できるから。」
ということになります。

②CADオペレーター

CADを使って図面や3Dデータとして、PC上で使用できる形にする仕事です。

学習障害をお持ちの方は、視覚的に全体を把握できる能力に長けています。
つまり、「空間把握能力」に長けています。

そして、「読み書き計算」が苦手な方は、「図形が得意、楽しい」というケースが多いです。
好きなことを仕事にできるイメージですね。

最後に、「一人でできる仕事である」という点も大きなポイントです。
学習障害をお持ちの方は、職場の人間関係が原因で、ストレスを抱えてしまうケースが多いからです。

③プログラマー(エンジニア)

プログラミング言語でコードを書き、プログラムを作り上げる仕事です。
この仕事は、その方の障害特性によって、まったく向かない方もいます。
ただ、プログラミングに向く方だった場合は、「論理的思考能力の高さ」を活かすことができます。
専門知識もつき、素晴らしい成果を上げられるでしょう。

そして、これも「一人でできる仕事」なので、人間関係でストレスを抱えにくいでしょう。

「学習障害をお持ちの方」におすすめな仕事の探し方

では、どのように仕事を探せばよいのでしょうか。
ここでは、「学習障害をお持ちの方にオススメの仕事の探し方」をご紹介します。

【雇用形態】

まずは雇用形態を選択しましょう。

・一般雇用
・障害者雇用

一般雇用を選択した方は、以下の選択も必要です。

・障害を伝えたうえで(オープン)で働く
・障害を伝えずに(クローズ)働く。

これに関しては、オープンで働くことをオススメします。
オープンにすることで、確実に内定率は低くなります。
しかし、重要なのは、「無理なく働き続けること」です。

2次的に精神障害を発症したり、仕事が続かなければ元も子もありません。

【仕事の探し方】

仕事の探し方は、以下①~③の支援機関を使うことがメインとなります。

①ハローワーク
②発達障害者支援センター
③障害者職業センター
+αで
④障害をお持ちの方専門の求人サイト

①ハローワーク

職業安定所です。ほとんどの方はここで仕事を探します。もちろん、障害者雇用枠の求人もあります。
そしてハローワークでは、発達障害(学習障害含む)をお持ちの方を対象に、下記のサービスを提供しています。

1.障害者トライアル雇用事業

障害をお持ちの方を一定期間(原則3ヵ月)試行雇用することで、継続雇用への移行のきっかけにする目的のサービスです。
「障害者短時間トライアル」というコースもあります。これは「雇い入れ時の週の労働時間を週10時間以上20時間未満にする。トライアル期間中に労働時間週20時間以上を目指す」というものです。
これを利用することで、無理なく働き続ける可能性が高くなります。

2.発達障害者雇用トータルサポーター

「少しづつ就職に向けた準備を進めたい」という方向けです。発達障害をお持ちの求職者に対し、就職支援(カウンセリングなど)を行っているサービスです。
ただし、これは13地域のハローワークにしか配置されていないため、利用希望の場合は事前に配置の確認を行ってください。

②発達障害者支援センター

発達障害をお持ちの方に対し、総合的な支援(相談、発達、就労支援)を、無料で行う専門的機関です。全国96ヵ所に設置されています(令和2年1月時点)。
就労支援では、就労に関する相談+労働機関(ハローワーク、障害者職業センターなど)と連携して支援を行います。

ただし、1つ注意点があります。「各センターの事業内容は地域性によって違う」ということです。
具体的には、「相談が主のセンター」、「直接支援が主のセンター」という違いです。そのため、詳しい事業内容について事前に確認しておきましょう。
発達障害者支援センターの運営元は、都道府県や政令指定都市が直営のセンター、都道府県知事などが指定した社会福祉法人や特定非営利活動法人へ委託しているセンターの2パターンあります。調べるさいには注意してください。

③障害者職業センター

障害をお持ちの方に対して、無料で職業的自立に向けた支援をします。そして、そのための職業リハビリテーションの実施・助言・援助を行っています。さらに、障害職業カウンセラーや相談支援専門員、ジョブコーチなどを配置しています。
ただ、事業所が全国52ヵ所と少ないため、単体で利用しようとすると不便に思うかもしれません。

④障害をお持ちの方専門の求人サイト(エージェント)

これは、+αとして活用されることをおすすめします。さまざまなサイト(エージェント)があります。
上手く活用することで、就職先の選択肢が広がるでしょう。

次の章でサイトの比較をします。

障害者専門の求人サイトの比較

学習障害をお持ちの方にとって、サポーターとなる求人サイト(エージェント)。Webで検索すると、いろんなサイトが表示されます。

片っ端からすべて登録するのも良いと思います。
ただ、「登録するのは1個でいい。」という考えの方もいるでしょう。そこで、大手の障害者専門の求人サイト(エージェント)を比較しました。

下記は、大手3社の比較表です。

  転職サイト
(エージェント)名
求人数
(カッコ内は非公開求人数)
発達障害
(学習障害含む)の求人
新卒・第二新卒向けの支援 利用料
1 dodaチャレンジ 約14000(約12500) あり。
(発達障害・精神障害の方向けの支援がある。)
あり。
(新卒・第二新卒向けの支援がある。
完全無料
2 atGP 約11000(約10000) あり。
(「リンクビー」という就労支援サービスがある。)
あり。
(新卒向けのサービスがある。)
成功型報酬制(中途採用者:理論年収の30%、新卒採用者:理論年収の35%)
3 ランスタッド チャレンジド 約7000(約6000) ほぼなし。 不明。(専用のサービスはなし。) 完全無料

  転職サイト
(エージェント)名
メリット デメリット
1 dodaチャレンジ ・総合力。
・非公開求人※2の多さ。
・都市部にしかオフィスがない
2 atGP ・求人数の多さ。
・「リンクビー」という就労支援サービスを持つ。
・atGPを利用して就職したさい、料金が発生する。
3 ランスタッド チャレンジド ・ハイクラス(好待遇)の求人が多い。
・全国120ヵ所にオフィスがある。
・求人が少ない。

各社、メリットとデメリットがあります。
各社ごとに、「こんな人におすすめ」と表現するならば

・dodaチャレンジ⇒万人におすすめ。
・atPG⇒お金を払ってでも手厚い支援を受けたい人向け。
・ランスタッド チャレンジ⇒スキルが高く、障害の軽い人向け。

障害者支援施設で勤務する筆者の視点では、1つだけ登録するとすれば「dodaチャレンジが無難かな。」と思います。

【まとめ】

学習障害は、仕事を行う上で「不利になる症状」が多い障害です。
しかし、「適職に就くこと」と「工夫」で無理なく続けることができます。
その根拠の1つとして、各ジャンルで成果を挙げている有名人の存在があります。

・ミッツマングローブ
・トムクルーズ
・スティーブンスピルバーグ

誰もが名前くらいは聞いたことがありますよね。
全員、学習障害を「適職」と「工夫」で乗り越え、大成功をおさめています。

この記事を読んでいるみなさんも、障害を乗り越えて成功への第一歩を踏み出しましょう。


障がい者におすすめの転職サービス一覧

サイト名 サービス詳細
マイナビパートナーズ紹介
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優良企業を厳選して紹介!マイナビパートナーズ紹介
マイナビパートナーズ紹介は、業界大手のマイナビが運営する障がい者専門の人材紹介サービス。一定の水準をクリアした企業のみを取り扱っているため、優良な求人が多いのが特徴です。またマイナビパートナーズ自体が、障がい者雇用を促進する特例子会社。障がいのある人の雇用や働き方の知識が豊富なのも安心できるポイントです。
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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷