【生活支援員監修】発達障害でも「仕事ができる人」になる方法

発達障害 仕事発達障害の診断を受けた、もしくは発達障害の疑いがある方の中には

「仕事探しをしたいけど、仕事がちゃんとできるか不安…。」
「仕事を転々としているけど、今の仕事も向いていないのかな…。」

と悩んでいる方は多いと思います。

でも大丈夫です。
これらの悩みは、仕事中の工夫や、強みを活せる(新たな)仕事を選ぶことで解決できます。

今回は、発達障害の方が「仕事ができる人」になる方法をご紹介させていただきます。

発達障害とは?

まず、発達障害とはなにかについて説明します。

発達障害者支援法において、発達障害は

「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能障害であってその症状通常低年齢において発現するもの」

と定義されています。

つまり、幼児のうちから、主に下記3タイプの障害の症状が表れはじめるということです。

  • 自閉症スペクトラム障害(ASD)
  • 注意欠陥・多動性障害(ADHD)
  • 学習障害(LD)

自閉症スペクトラム障害(ASD)・注意欠陥・多動性障害(ADHD)・学習障害(LD)の障害の特性

引用:厚生労働省政策レポート 発達障害の理解のために
https://www.mhlw.go.jp/seisaku/17.html

1つずつ簡単に解説していきます。

自閉症スペクトラム障害(ASD)

大きく分けて「自閉症」と「アスペルガー症候群」に分かれます。
しかし、両者には明確な違いがないため、一般的に「自閉症」とまとめられます。

自閉症には、主に2つの特徴があります。

対人交流、コミュニケーションの質が異常

興味の著しい偏り、パターン的な行動

注意欠陥・多動性障害(ADHD)

「不注意」と「多動・衝動性」が主な特徴です。

下記5つの条件がすべて満たされた場合に診断されます。

  1. 「不注意」と「多動・衝動性」が、同年代の人に比べて、頻繁かつ強く表れている。
  2. 症状が7歳以前から表れている。
  3. 「家庭と学校で障害となっている」など、2つ以上の状況で症状が表れている。
  4. 対人関係や、学業・仕事上で症状が表れている。
  5. 他の発達障害・精神障害による症状でないこと。

学習障害(LD)

知的障害でないにも関わらず、主に「読む」「書く」「計算する」など特定のことが極端に苦手である障害です。

発達障害が原因で仕事で苦労することと解決法は?

まずは、発達障害における、すべての障害タイプに共通した対策方法をご紹介させていただきます。
それは、職場の人に自分の障害を説明し、理解してもらうことです。

自分から障害の症状を話すことは、とても勇気がいるでしょう。抵抗や、難しさを感じるかもしれません。

ですが、この記事を読んでくださっているということは、自分が発達障害(可能性含む)であることを認めているということです。

自分の発達障害を認めるということは、とても勇気がいることです。大抵の人は、認めることにとても抵抗を感じます。

それができるあなたなら、職場の方に説明することもできるはずです。
もう一度、勇気をだしてみましょう。

それでは、発達障害の主な3タイプの障害ごとに、仕事上で困ること、それを対処法をご紹介させていただきます。

自閉症スペクトラム障害(ASD)の対処法

同僚や上司との会話がうまくできない

対処法

主に聞き手に回りましょう。
意見を求められたら、

焦らない

まず結論を言う

を意識してください。

仕事を説明されても理解できない。または仕事の全体像がうまくつかめない

対処法

まずは、仕事の流れを図にしましょう。
その図をもとにして、上司や同僚にわからない点の説明を受けるようにしてください。

細部にこだわり過ぎてしまい、仕事が遅い

対処法

新しい仕事を行う前に、

やること

仕事の流れ

を書き出して、それぞれに作業時間と優先順位をつけます。
それができたら、その通りに実行しましょう。

周囲の音や動きが気になり過ぎて、作業に集中できない

対処法

作業中、耳栓やイヤホンをしましょう。
可能であればパーテーションで区切るなど作業場所自体を工夫して、周りが気にならないようにすることも効果的です。

注意欠陥・多動性障害の対処法(ADHD)

仕事で細かいミスが多い

対処法

行う仕事の要点を書いたチェックリストを準備しましょう。
以下、筆者の勤める障害者支援施設の利用者Aさんが、作業時に使用しているチェックリストです。

内容:ベッドメイク
用意するもの:シーツ、防水カバー、布団、布団カバー
手順
1.マットレスにシーツを敷く
2.シーツの上に防水カバーを敷く
以下続く

といった内容のチェックリストです。

片付けができない

対処法

まず、必要なものと不要なものを分けます。

判断基準は、今そのものが無かったとしたら、「買う」か「買わない」かを想像してください。
悩んだり「買わない」のであれば、不要です。不要なものは処分しましょう。

次に、収納するスペースと方法を決めます。
「資料は引き出しの2段目に、ファイリングした状態でしまう」などです。

名前シールなどで可視化するとさらによいでしょう。
あとは、そこにしまうのを習慣化するだけです。

忘れ物が多い

対処法

忘れ物対策としては、まず持ち物のチェックリストを作ります。
それをもとにして、前日に持ち物を準備します。
そして、家を出るさいに必ず目に付くところにチェックリストを置きます。

当日は、いつもより5分早くに出発の準備をして、再度チェックリストをもとに持ち物を確認しましょう。
置き忘れ対策としては、例えば「スマホは必ずバッグの中にしまっておく」など、置き場所を固定することが大切です。

最初は意識をしなくてはならないため、大変かもしれません。
しかし、続ければ必ず習慣になります。そこまで努力しましょう。

作業に集中できず、仕事が進まない

対処法

「ここまで終わったら10分休む」など、ルールを決めましょう。
難しければ、最初は1分集中することから始めると、徐々にその時間も伸びてくるでしょう。

作業中に気が散らないような環境づくりも大切です。
例えば「作業中はスマホを近くに置かない」などです。
可能であればパーテーションで区切るなど作業場所自体を工夫して、周りが気にならないようにすることも効果的です。

学習障害(LD)の対処法

資料などの文字を読むことが苦手

対処法

文字を指で追いながら読んだり、小さく声にだして読むと良いでしょう。
あとは、拡大コピーしたり、読み飛ばさないようにじっくり読むことも大切です。

手書きが苦手

対処法

手書きをせず、PC入力をして印刷しましょう。
どうしても手書きでないといけない場合は、鉛筆で下書きをするようにしましょう。

それか、周囲の人に発達障害(学習障害)の理解を得ていれば、他の人に頼めば済みます。
まだの場合は、「字がすごく下手なので~」と、頼んでみても良いかもしれません。
書く文字が、数文字~数十文字程度であれば、嫌がる人はそうそういないでしょう。

計算が苦手で仕事が遅い

対処法

無理せず、電卓を使いましょう。そのほうが、正確かつ早く仕事が終わります。

発達障害の強みを活かせる仕事は?

発達障害の弱みをカバーする方法とは別に、発達障害があることによる「強み」を活かす方法もあります。そのためには、その「強み」を活かせる仕事に就かなくてはなりません。
そこで、発達障害の主な3タイプの障害の「強み」と「その強みを活かせる仕事」をご紹介させていただきます。

自閉症スペクトラム障害(ASD)に向いている仕事

自閉症スペクトラム障害(以下、自閉症)の強みは、主に下記3つです。

  • 特定の物事に関して、強い興味を持つ。
  • 興味を持ったものに関しては、膨大な知識量をもつ。
  • 特定の動作に強くこだわる。

そして下記は、これらの強みを活かせる仕事の一例です。

  • ライン作業(組合、梱包、検品など)
  • 加工作業(食品加工など)
  • ルーティーン作業(受付業務、清掃業務、家事代行など)

自閉症の強みである、「動作への強いこだわり」が活かせる仕事です。
これらの仕事の欠点は、収入が低くなりがちであることです。
そこで、まずはこれらの仕事をしつつ、知識をつけて専門職に転職することをオススメします。
以下、自閉症の強みを活かしつつ、専門知識が活かせる仕事の一例です。

  • Web系フリーランス(エンジニア、Webデザイナー、アフィリエイター、YouTuberなど)
  • ライター(Webライター、小説家、漫画家など)
  • 塾講師
  • 大学教授

これらの職業は、「興味を持ったものに関しては、膨大な知識量をもつ」という強みを活かすことができます。好きなことで大きな収入を稼ぐことも可能でしょう。

ただ、特に最初は収入面で不安定になりがちです。
そのため、最初はライン作業などの仕事をしつつ、知識をつけて活動し、安定した収入が得られるようになってから転職することをオススメします。

注意欠陥・多動性障害(ADHD)に向いている仕事

注意欠陥・多動性障害(以下、ADHD)の強みは、主に下記4つです。

  • 発想力が豊かなため、いろんなアイデアをだせる。
  • 決断が早い。
  • いろんなことに興味が湧くため、チャレンジ精神が旺盛。
  • 周囲の動きを敏感に感じとることができる。

そして下記は、これらの強みを活かせる仕事の一例です。

  • 営業職
  • 企画職
  • サービス職

これらはADHDの強みである、
発想力、決断力、気づきの多さを活かした仕事です。
その強みを活かして、会社員として活躍できるでしょう。

さらに専門知識を得て、

  • クリエイター(各種デザイナー、作家、画家など)
  • エンジニア

など専門職を目指すことも1つの選択肢です。
これら専門職を極めることで、さらに収入面でも期待できます。

学習障害(LD)に向いている仕事

学習障害の強みは、苦手でないことに関して、強い興味を持つことです。

学習障害の方は、幼いころから字が上手く読めないこと、書けないこと、計算が苦手なことで、苦手な分野が苦痛に感じます。
その反面、「苦手でないこと=得意」となる傾向があります。なぜなら、その苦手でないことに興味が湧くからです。

例をあげてご説明します。

Bさんは文字の読み書き、計算が苦手です。いろんなこと挑戦するうちに、図面を設計すること、自ら作ったものを操ることに強い興味を持ちました。
今はさらに勉強し、CADを扱った仕事をしています。

つまりBさんは、文字や計算式をほぼ扱わないことは得意だということです。

学習障害の方は、得意分野を見つけると、学習障害でない人より強い興味を持ち、深い知識を持つようになります。

下記は、その強みを活かせる仕事の一例です。

  • CADオペレーター
  • プログラマー
  • エンジニア

専門分野に特化した仕事を得意になることができます。
収入面においても、その仕事に対する知識と能力が高まるほど良くなっていきます。
そのため、学習障害の強みを活かせる仕事の1つとなるでしょう。

【まとめ】発達障害でも、工夫や強みを活かして仕事ができる人になろう!

発達障害の認知は、一昔前に比べると格段に広まっています。しかし、まだ十分に認知されているとは言えません。
仕事をするなかで、同僚や上司に誤解されることなどが原因で、職場に居づらくなることもあると思います。

発達障害の方が、そのような社会に順応するために重要なことがあります。
それは、自身の障害を認めることです。

自分が発達障害という事実は、とても受け入れがたいです。
しかし前述の通り、この記事を読んでくださってるということは、自分の障害を認めている(可能性含め)ということでしょう。

それならば、弱みを克服することや、長所を伸ばすことで弱みをカバーし、社会に順応することは十分可能です。

そして、できることならばもう一歩勇気を出して、自分から周囲の人に障害であることを説明してみてください。そして、理解を得ましょう。
そうすることで、さらに仕事をしやすい環境になるでしょう。

仕事がしやすい環境で、自身の強みを活かした仕事ができるように自ら働きかけていきましょう。


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷