今、日本の企業は人手不足に悩んでいることをご存知でしょうか?
建設業、サービス業などの業種において人材不足が深刻化され、人材不足による倒産も相次いでいます。
そのため、政府や企業は人材確保のため賃上げや働きやすい環境作りに取り組み、様々な対策を講じています。
人材不足の業種はネガティブなイメージが強いとされていますが、自己成長できるチャンスであり転職しやすいといったメリットもあります。
また、転職業界が空前の売り手市場という今が転職のベストタイミングです。
ここでは、人手不足の業種についての現状や政府の取り組み、転職のしやすさ、メリットについて詳しくご説明させていただきます。
転職を考えている方はぜひキャリアチェンジのご参考になれば幸いです。
人手不足が原因で企業が倒産している現状をご存知でしょうか?
帝国データバンクの行った調査によると2018年人手不足による倒産は153件発生し、前年に比べ44.3%の増加し、2013年の調査開始以降の最多件数となっています。
業種別件数では建設業が46件、次いでサービス業の41件、運輸・通信業の30件と続いています。
業種細分類別の 6 年間累計件数では、道路貨物運送が43件とトップ。
理由としては、配送の需要はあるもののドライバー不足により受注できず資金繰りが悪化し倒産となっています。
次いで老人福祉事業となっており、介護業界の人手不足も深刻な社会問題となっています。
有資格者の確保や離職者の増加により十分なサービス提供ができず32件の倒産が発生しています。
人手不足倒産が相次ぐ中、政府は外国人労働者の受け入れやトラックドライバーの労働環境の改善、介護職員に対する処遇改善など様々な対策を講じています。
参照:帝国データバンク「人手不足倒産」の動向調査(2013~18 年)
各業種で働き手が不足し人手不足倒産が急増していることから、政府の取り組みとして2019年4月1日より改正出入国管理法が施行されました。
在留資格に「特定技能」が新設され人手不足が深刻な14業種(農業/漁業/飲食料品製造/外食/介護/ビルクリーニング/素材加工/産業機械製造/電気・電子情報関連産業/建設/造船・舶用工業/自動車整備/航空/宿泊)を対象に、外国人労働者の受け入れを拡大し、今後5年間で約34万5000人の受け入れを見込んでいます。
対象となる人は「一定の技能と日本語能力のある外国人」とされ、日本での就労が認められます。
特定技能は1号・2号の2段階に分かれています。
1号は、相当程度の知識または経験を要する技能が求められます。
単純作業など比較的簡単な仕事を行い、最長5年の技能実習を終了または、技能・日本語能力の試験に合格すれば取得可能。在留資格は通算5年となり家族は帯同不可。
2号(現場監督など熟練した技能が必要)では、さらに熟練した技能が求められ、在留資格は1~3年ごとに更新可能で、更新回数に制限はありません。
また、家族の帯同も可能となっています。
外国人労働者の雇用と生活を支援し、法的保護のもと働きやすい環境整備がされ、社会問題となっている人手不足の解消の対策としています。
少子高齢化が顕著な日本において、生産年齢人口と労働力人口の減少が進み、中小企業の7割が人手不足に悩んでいるというデータがあります。
建設業やサービス業などの特定の業種に限らず、全ての業種において人手不足が深刻化し、特に地方の企業での人材不足は顕著となっています。
多くの中小企業が求人難を課題として挙げていますが、大手企業では雇用者数が増加していることから求職者の求人応募が中小企業から大手企業へ移行していることが考えられます。
人手不足に悩む中小企業は以下の対策をしています。
2017年、実際に中小企業の6割が正社員労働者の賃上げを行っており人手不足の対策が推進されています。
人手不足とされる業種では、「仕事がしんどそう」「ノルマが大変そう」などネガティブなイメージが強くついつい転職先候補として避けてしまいがち。
しかし、賃上げはもちろん労働者の待遇改善などが推進されている今こそ転職のチャンスが隠されています。
そこで、人手不足業種に転職するメリットを3つご紹介させていただきます。
いくらスキルをもっている人材でも、人材が豊富な大手企業や人気のある企業に転職した場合、ライバルが多いためなかなか活躍できる機会は回ってきません。
しかし人手不足業界では、社員数が少なくライバルがいないという可能性もあり、スキルを活かしてキャリアアップや評価アップにつながるチャンスとなるでしょう。
転職先となると企業のスケールをみて決めてしまいがちですが、誰もが知っている大手企業で将来性も安定していると信じていた企業の倒産や買収のニュース、しばしば聞く話ですよね。
人手不足の業種だからといってこれから先、まったく将来性がないわけではありません。
今後景気によって爆発的に成長する可能性もあるため、将来性のある企業に転職し、成長のチャンスを狙うのもおすすめです。
人手不足の業種では求人を出しても応募者が不足している現状のため、転職市場は求職者にとって有利となる転職しやすい売り手市場といわれています。
企業側も人材確保のため、転職者の支援やセミナーの開催など積極的な雇用活動を行い、職場環境の改善や待遇向上など積極的に取り組んでいます。
「早く転職したい」「働き口がない」と悩んでいる方は、転職しやすい人手不足の業種に目を向けて転職活動をしてみるといいかもしれませんね。
人手不足の企業では働き方改革に取り組んでいるため高待遇で働ける可能性もアリ!
自分のスキルを高めるチャンスや転職のしやすさでは狙う価値大!
人手不足に悩む業種について先述しましたが、各業界業種においての人手不足は今後どうなるのか将来性について考えてみましょう。
IT業界・建設業界・運輸倉庫業・介護職4つの業種についてご紹介します。
IT・WEB業界の急速な成長により多くの企業が事業拡大し、様々な業界、企業でのニーズが高くIT技術者・エンジニア・プログラマー・SEの人手不足となっています。
今後もIT化は進むため、人手不足はますます深刻化すると予測されます。
IT業界は専門知識や資格が必要…と思っている方が多いですが未経験からIT業界を目指すことも十分可能です。
最近では、未経験OKの求人も多く入社後の資格取得支援や研修が整っている企業が多く、IT業界に特化した転職エージェントのサポートを利用すれば転職しやすいでしょう。
建設業の有効求人倍率は4~5倍とされ、転職しやすい業界のひとつとなっています。
転職希望者や就職希望者が集まらない背景には、「体力が必要」「しんどそう」というイメージが強く労働環境への不安が強いことが挙げられます。
慢性的な人材不足である反面、建設業のニーズは高く特に東京エリアでは2020年の東京オリンピックの影響から建設ラッシュとなっています。
採用では経験者が優遇されますが、未経験であっても積極的な採用をしている企業も多く、未経験から転職しても今後実績を積み現場監督としてキャリアアップできる道も期待できます。
また建設業の大手企業では仕事量が多いにも関わらず人手不足で悩んでいるため、求人募集は通年継続してあり、大手企業へ転職できるチャンスとなるでしょう。
電子商取引(EC)市場の拡大によって、この10年で深刻化している人手不足の運輸倉庫業。
通販市場が成長しているため倉庫では人手が必要な仕事が多く、人材の確保が追いついていないため早急に人材補強したいと考えられています。
今後も人手不足が続くと予測され、作業のIT化や女性やシニア世代の雇用拡大、外国人労働者の登用など人手不足解消の対策を行い、働き方の多様化や職場環境の改善など働きやすい環境作りにも力をいれています。
正社員でガッツリ働きたい方、プライベート重視で働きたい方など様々な希望の求職者にとって転職しやすい業界のひとつです。
少子高齢社会の日本では、労働人口が減少している・介護の必要な高齢者が増加しているとう2つの要因により介護業界は慢性的な人手不足に陥っています。
2025年問題が話題になっていますが、2025年には介護職員が38万人不足すると予測されています。
介護業界の人手不足を解消するために、介護職員の待遇改善や外国人労働者の積極的な活用など取り組んでいます。
介護職は未経験・無資格でも働ける職場があり、介護の基本的な知識やスキルを身につける介護職員初任者研修の取得支援、研修が充実している事業所が多く転職におすすめです。
40代、50代、60代で働いている方も多く、若い方だけでなくシニア世代も活躍できる業界で、実務経験を重ねることでキャリアアップできる可能性もあります。
若い方からシニア世代まで年齢問わずすべての方が活躍でき転職しやすい業界といえるでしょう。
人手不足に悩む企業では、採用意欲が高く異業種からのキャリアチェンジ転職にも積極的な採用を行っています。
これまで培った経験やスキルは決して無駄になりません。
働きたい意欲と将来性を重視するポテンシャル採用が主流になりつつある今、キャリアチェンジ転職に向けて動き出すタイミングではないでしょうか。
キャリアチェンジ転職のフォローとしてOJT・Off-JTを充実させている企業も多く、未経験だから…と一歩踏み出せずにいる方も不安なく転職活動を進めることができるでしょう。
特におすすめは既卒、第二新卒の方です。
浅いながらも培った社会人経験を活かすことができ、仕事の吸収も早いため異業種への入社は重宝されるでしょう。
そしてフリーター・ニートの方も自分の強みや入社への意欲をアピールすることで採用の確率は高まります。
人手不足の業種への転職はこんな人におすすめ
いかがでしたでしょうか?
人手不足の業種について現状や政府の取り組み、転職のしやすさやメリットについてご説明させていただきました。
人手不足の業種だからといって企業の将来性に不安や、働きにくいというわけではないことをご理解いただけたでしょうか?
人手不足の業種では、人材確保のためさらに給料アップ、女性やシニア世代の雇用拡大、業務改善など働きやすい環境作りが進められます。
「なんとなく悪いイメージがある」「みんなが避けているから」といった理由で人手不足業種を避けるのではなく、しっかりと情報収集してみてください。
企業研究にじっくり取り組むことで魅力の発見ができ、自分のスキルが生かせる可能性が出てくるかもしれません。
あえて皆が避ける人手不足の業種に身を置くことで、自己成長や市場価値の向上が期待でき、ライバルの少ない環境で昇進、昇格も期待できるでしょう。
ぜひ自分に合った業界、業種を見つけ実力を発揮していただきたいと思います。