派遣での働き方

保育士資格は持っているけれど保育士として働いていない人のことを「潜在保育士」と呼びます。

派遣保育士 派遣での働き方現在日本には68万人(2015年11月時点)の潜在保育士がいます。
保育士養成施設に通って資格を取得した人、保育士試験を受験して資格を取った人と様々ですが、保育士資格を持っていても保育士として働かないという人が多いのが現状です。

一度は保育士として就職したものの、給与や有休取得などの待遇面に不満があって退職した人、出産、結婚を機に退職した人も多くいます。また、保育士資格を取得したけれど一度も保育士として働いたことがないという人もいます。

そんな人たちが保育士として働かない理由は復職しても待遇が悪い、未経験であったり、ブランクがあって新しい職場で働くことに不安を感じているなど様々です。

社会問題化している保育士の給与の低さから保育士不足が叫ばれている中、派遣保育士の需要が高まっています。
では、派遣保育士と普通の保育士との違いとは何なのでしょうか。

今回は派遣保育士として働くことのメリット、デメリットなど詳しくご紹介します。
自分に合った働き方の一つとして派遣保育士も視野に入れてみてはいかがでしょう。

派遣保育士とは?

派遣保育士とは派遣会社に登録し、そこから派遣される保育士のことです。
保育所に雇用されるわけではなく、派遣会社の社員という扱いになります。
雇用主が違うということは同じ場所で働く場合でも保育所に雇われている場合とは待遇面での処遇が違ってきます。

派遣保育士になるには?

では、派遣保育士として働くにはどのようにすればいいのでしょうか。
派遣保育士として働くための手続きの流れをご説明します。

  1. インターネットで派遣会社を探す。
  2. 派遣会社は全国にたくさんあります。
    事務などの一般企業でのお仕事と合わせて保育士も扱うところから保育士や幼稚園教諭の派遣専門の派遣会社もあります。
    全国規模の会社や地域が限定された会社まで形態も様々です。一度住んでいる地域の派遣会社を検索してみましょう。

  3. 派遣会社のホームページから会員登録する。
  4. 派遣会社のホームページには会員登録をするページがあります。
    会員登録することで求人情報の検索、詳細を知ることができます。

  5. 派遣会社との面談・面接の日を決める
  6. 登録が終了すると、派遣会社から電話等で連絡があります。
    そこでまずは派遣会社との面談、面接の日を決めます。

  7. 派遣会社のコーディネーターと面談・面接
  8. 派遣会社のコーディネーターと面接、面談を行い今までの経歴や仕事のことを聞かれます。

    その他にも「時給が1000円以上は欲しい」、「自宅から何分以内で行ける」「マイカー通勤、電車通勤がしたい」など勤務時間や勤務場所などの希望条件も詳しく聞かれますのでしっかりと自分の希望を伝えておきましょう。

    面談は派遣会社や近所の喫茶店などで行われることもあります。

  9. 希望に合った仕事の紹介
  10. 面談、面接が終わると希望に合った仕事をコーディネーターから紹介してもらいます。
    希望の条件に合うものがあれば前向きに検討しましょう。

  11. 派遣先との面談
  12. 希望に合った仕事があれば派遣先である保育施設での面談があります。

    この場合は派遣保育士本人と派遣会社のコーディネーター、派遣先の保育施設の担当者(園長先生や主任など)との三者面談になります。
    派遣先に向かう前に当日コーディネーターと簡単な打ち合わせをすることもあります。

    派遣先では勤務開始日、勤務時間、仕事内容、持ち物や服装の確認、園内の見学などが行われます。

  13. 採用決定・勤務開始
  14. 決まった勤務場所で働くことになります。
    派遣保育士であっても仕事内容な保育士とあまり変わりませんので真面目に一生懸命働くことが求められます。

派遣会社の選び方

派遣会社にも様々な種類があります。
保育、幼稚園教諭専門の人材派遣を行っている会社もあればその他の職種も扱っているところもあります。一般企業も扱っている派遣会社でも福祉関係の求人が充実していたりもします。
保育専門の人材派遣会社では保育園での看護師、栄養士など他の職員の募集を行っている所もあります。

会社によって同じ職場でも時給が違っている場合もありますし、一度複数の会社のホームページをチェックしてみましょう。

会社によってサービスの内容などにも違いがあることもあるので気になることは問い合わせをしてしっかり確認しておくことが大切です。
そのうえで自分の希望する勤務場所や勤務形態があるかどうかを見て決めるといいですね。

ほとんどの会社が無料で登録できるので仕事を探したいと思ったら気軽に登録してみましょう。

派遣の求人を選ぶポイント

  1. 自分の条件に合っているか
  2. まずは自分の条件をしっかりと決めておくことが仕事選びの重要なポイントです。

    短時間での勤務希望や就業場所までの通勤手段、給与面での希望、短期で働くのか長期で働くのかなど自分の生活に合った働き方ができるようしっかりと条件提示をしておくことが必要です。

  3. 人気の求人は早めに応募
  4. 認可保育所や時給が良いところ、土日祝日休みなど好条件の求人は新着として出てくるとすぐに決まってしまうことが多いです。
    新卒やブランクがある人にとっては新規オープンの園や未経験者歓迎といった条件も人気です。

    そのため、人気のある求人は条件を確認したうえで早めに応募してみることをおすすめします。
    求人情報の一覧をよくチェックして気になる求人があればすぐにコーディネーターに連絡してみてくださいね。

  5. 気になることはしっかり確認
  6. 求人情報を閲覧している中で気になったことはしっかりとコーディネーターに確認しましょう。
    働き始めてからこんなはずじゃなかったということにならないためにも事前の確認は大切です。
    特に休みや給与面、業務内容についてはしっかりと確認しておきましょう。

派遣保育士の仕事内容

派遣保育士の仕事内容は? 仕事内容は派遣先によって様々です。

クラス担任や担任補助、フリー、早朝・延長保育、一時保育、特別支援担当など派遣先が前もって決めて募集を出しています。
派遣会社での求人情報にも詳しく書いてあることが多いですし、面談で説明してもらえます。

同じ派遣先でも複数の募集が出ていることがあるので担当するクラスや仕事内容などの希望をしっかり派遣会社のコーディネーターに伝えておくことが重要です。

どんな仕事でも保育士として働くのですから、他の保育士と仕事内容はほぼ同じです。
派遣先である保育園の保育方針ややり方に沿ってしっかりと仕事をこなしていきましょう。

派遣保育士のメリット

派遣保育士として働くうえで直接保育園から雇用される場合と比べてのメリットをご紹介します。

メリット(1)残業、持ち帰りの仕事がない

保育士の仕事の悩みの種でもある残業や持ち帰りでの仕事。派遣保育士はそれがほとんどありません。

派遣保育士は勤務時間がきっちりと決められているため、5分~10分ほどの勤務時間オーバーで超過賃金が発生することがあります。
そのため、退勤時間になると「もう時間だからあがって」と言われます。

持ち帰り仕事も超過勤務ととらえられるため原則的に禁止されているのでありません。
仕事の終わる時間がきっちりわかると後の予定も立てやすいですね。

メリット(2)勤務時間を選ぶことができる

常勤保育士として保育所で働くと早番や遅番、土曜勤務などのシフト勤務が出てきます。
しかし、派遣保育士は自分の働きたい時間、曜日をコーディネーターに伝えておくことで条件に合った職場を紹介してもらうことができます。

不規則勤務が無理だという場合にはそのようなところを避けて紹介してもらうことも可能ですし、派遣会社に相談することで勤務内容を変更してもらうことができる場合もあります。
園によっては週2~3日からでOKというところや、土曜日のみ勤務してくれる人を募集していることもあります。

もちろん希望条件にぴったり合うというのは難しいこともあります。
そのような場合は希望条件に近いところで妥協して働くか、希望に合う仕事が見つかるまで待つこともできます。

勤務時間がきっちり決まっている場合でも、保育園の運動会、発表会などの行事があり条件とは違う勤務が出てくることも保育の現場ではあり得ることです。
そのような場合には休日出勤手当や残業手当などがしっかり出るのも派遣保育士の良いところです。

早朝、延長保育や短時間勤務など自分の生活に合った勤務ができるので子育て中、扶養範囲内での勤務を希望する人にもいいですね。

メリット(3)仕事内容を選べる

仕事内容は?普通に保育園で働く保育士はクラス担当などを園側が指定します。

しかし、派遣保育士は事前に「乳児クラス担当がいい」「フリーがいい」などの希望を伝えておくことで自分の希望に合った仕事を紹介してもらうことができます。
そのため、自分の得意なクラスを選ぶ、または自分が経験してみたいことにチャレンジしてみることもできます。

私は特別支援が必要な子供にじっくり関わってみる仕事をしてみたかったので希望を伝えて、自閉症のお子さんのサポートをする保育士として働いたことがあります。

色々なクラスや子どもとの関りを経験することは保育士としてのスキルアップにもつながるのでとてもいいことですよね。

メリット(4)書き物がない

保育士を悩ませる書類の山。普通に保育園で働いているといつもの仕事に加えて書類の作成に追われることもよくあります。

しかし、派遣保育士の場合はクラス担当保育士になっても日案、週案など書き物をしなくてよいという条件のところが多くあります。

書類の作成が苦手という人にとっては気が楽になりますよね。
中には連絡帳だけ書いて欲しいなどの条件がある場合もあるので働く前の面談の時に確認しておきましょう。

メリット(5)ピアノが弾けなくても大丈夫

派遣先によってはピアノが弾けなくても大丈夫というところもあります。

ピアノが苦手な人にとってピアノを弾かなくてはならないというのは大変なことですよね。
派遣会社のコーディネーターにピアノが苦手だということも伝えておくと引かなくても良い仕事を紹介してもらえることもあります。
自分の苦手分野をしっかり伝えておくのも気持ちよく働くためには大切なことですね。

メリット(6)時給が高い

派遣保育士の給与は時給制です。
給与面での不満が大きい保育士の仕事ですが、派遣保育士は比較的時給が高く1000円~1200円が相場となっています。
経験年数や派遣先によって異なりますが、アルバイトやパート保育士と比べても高い傾向にあります。

保育所側は複数の派遣会社に仕事を依頼していることがよくあります。
同じ保育所でも派遣会社と保育所との関係で時給が異なることがあるので複数の派遣会社に登録して確認してみましょう。

メリット(7)人間関係が楽

 職場の人間関係によって仕事を辞めるという人も多い保育士ですが、派遣保育士は保育所に所属しないので職場での人間関係が楽なことが多いです。

もちろん、同じ職場で働くのですから関りはありますが、深い関わりが少なくて済みます。
職場での親睦会、忘年会等も気が進まなければパスしても大丈夫です。

お誘いを受けていきたいと思える場合は参加しておくと働くうえでの人間関係を築くことができるのでぜひ参加してみましょう。

メリット(8)トラブルは派遣会社に相談できる

働くうえでトラブルや困ったことがあれば派遣会社のコーディネーターに相談しましょう。
園に直接いうのは気が引ける場合でもコーディネーターに伝えることでうまく園側に伝えて対応してもらえます。

コーディネーターも時々保育所に様子を見に来てくれたり、電話で困ったことがないかなど確認をしてくれることもあります。少しでも気がかりなことがあれば伝えておきましょう。

どうしても解決しない、改善されない問題が起こった場合には派遣先を変えてもらうこともできます。
仕事をするうえですべてがうまくいくわけではありません。自分で解決するのが難しい場合はコーディーネーターが間に入ってくれることで丸く収まることもあるので助かりますね。

デメリットは?

派遣保育士の仕事にもデメリットはあります。

デメリット(1)安定していない

派遣保育士の場合、契約期間が決まっていることがあります。
長期契約という場合でも保育士不足が解消された場合は契約終了となることもあります。
その場合、条件に合った仕事がすぐに見つかるとは限りません。

そのようなことがあると実家に住んでいる、結婚後共働きである場合はいいかもしれませんが、独り暮らしで生計を立てていくのは厳しいかもしれません。
普通に保育園に雇用されている場合に比べると経済面での安定は低いと考えておいた方が良いでしょう。

デメリット(2)気に入った職場でも契約期間満了になると終了してしまう

派遣保育士のデメリットとは?

派遣保育士は契約期間が決められていることも多々あります。
更新される場合もありますが、産休代替や夏季のみなど契約期間が終了するとどんなに働きやすい職場でも一度は離れなければなりません。

長く続けたいという場合は「紹介予定派遣」という契約終了時に派遣先の保育所の直接雇用になることができるシステムもあります。

派遣で働いてみて気に入ればその保育所で長く務めることができるので、長期で継続して働きたいという人は紹介予定派遣での仕事を探してみるといいかもしれませんね。
転職を考えている人も一度派遣で働いてみて自分に合った職場を探してみるのも働きやすい職場を探す方法の一つではないでしょうか。

デメリット(3)ボーナスがない・収入が低い

派遣保育士はボーナスがありません。
そのため、年収に換算すると保育所と直接雇用して正社員として働く保育士に比べると収入が低くなるという場合があります。年間を通じて安定した収入を希望している場合には少し不向きかもしれません。

ボーナスはありませんが、加入要件を満たしていれば健康保険、年金、雇用保険への加入は可能です。
雇用期間が6ヶ月を超えれば有給休暇も取得できます。
その点は普通に保育所から雇用されている保育士と差はないと言えますね。

デメリット(4)地域によって求人に偏りがある

派遣保育士として働きたいと思っても自分の住んでいる地域に必ず求人があるとは限りません。

派遣の求人は関東では東京都や神奈川県横浜市などの都心部では比較的多いですが千葉県や茨城県などでは会社によっては数件しかないといった場合もあります。

これは関西圏でも同じで大阪府や京都府、兵庫県などでは多くある求人が奈良県や滋賀県になると10件に満たないということもあります。
そういった場合は求人情報のエリアを限定した派遣会社に登録してみることをおすすめします。

【まとめ】自分に合った働き方を見つけよう!

派遣保育士と保育所との直接雇用では給与面や待遇などで違いがあります。
職場での人間関係や仕事の内容にも少し違った面もあります。同じ保育所で働くなら少しでも自分の働きやすい環境で働きたいですよね。

それぞれにメリット、デメリットがあるので自分の生活に合った方を選んでみてくださいね。
笑顔いっぱいの子どもたちと楽しい毎日を過ごせる職場に出会えるといいですね!