求人サイトを見ていると「Uターン転職」「Iターン転職」という言葉を見かけることが多いと思います。
それぞれの意味を簡単に説明すると以下のようになります。
・Uターン‥地方で生まれ育ち進学や就職のために都市部へ移り住んだが、地元へ戻り就職・転職をすること
・Iターン‥都市部で生まれ育った人が地方へ移住し転職・就職をすること
生まれ育った場所がどこなのか?の違いはありますが、共通することは「地方に移住し転職・就職をすること」です。
Uターン転職の場合は、元々生まれ育った場所であるため地方での生活スタイルを理解しており、両親が近くに暮らしている、友人・知人が多い‥といったように大きなギャップを感じることなくスムーズに入っていけることに対し、Iターン転職では都市部との生活スタイルの違いをはじめ戸惑うことも多くあります。
ここでは、Iターン転職のメリット・デメリット、Iターン転職を成功させるためには?などIターン転職について詳しく紹介していきたいと思います。
地方暮らし・IJUターンなどを希望する人への移住相談やサポートをしているNPO法人ふるさと回帰支援センターでは、ふるさと回帰支援センター(東京)の来場者を対象に毎年「地方移住に関するアンケート」を実施しています。
まず、2009年から2018年の来訪者・問い合わせ数の推移を見てもらうと、2018年は相談件数が4万件を超え、2009年と比較すると10倍以上も増加しており、地方暮らしやIJUターンなどへの関心が高まっていることが分かります。
※参照:NPO法人ふるさと回帰支援センター「地方移住に関するアンケート2018」
http://www.furusatokaiki.net/wp/wp-content/uploads/2019/02/webnews20190219_furusato_ranking.pdf
そして、相談者のUJIターン別分類・年齢別の比較では全ての年代でIターン希望者が最も多く生まれ育った地域以外への移住に興味があること、更に移住先選択の条件として「就労の場があること(68.0%)」を重視している人が多いことも分かりました。
ふるさと回帰支援センター利用者の年代推移を見ると、2008年では50代・60代で約60%を占めていましたが2018年は「~20代(21.6%)」「30代(28.9%)」「40代(21.9%)」といわゆるIターン転職を希望していると思われる年代が多くなっています。
国土交通省が発表した資料でも20代の「田舎暮らしなど地方移住の推進」への関心が高く、居住地別では三大都市圏や5万人未満市町村が高い割合を示しています。
※国土交通省「国土交通白書 2018」
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/h29/hakusho/h30/pdf/np102300.pdf
比較的若い世代がIターン転職への関心が高いことが分かっていただけたと思いますが、なぜ都市部で働くのではなく地方へ移住し転職・就職をしたいと思うのでしょうか?
Iターン転職を希望する理由について考えてみましょう。
このように現在の生活への不満やストレスをきっかけに、都会よりものんびりしたイメージがある地方への暮らしに憧れ・魅力を感じIターン転職を決意する人が多いと聞きます。
Iターン転職は年収アップやキャリアアップのようなキャリアを重視した転職・就職ではなく、ライフスタイルを重視した転職・就職であると考えられます。
東京圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)から島根県へ移住すると移住支援金最大100万円をサポート。
※くらしまねっとに掲載された対象求人に応募し就職決定、または企業支援金事業の交付決定を受け島根県で起業予定の方
『かほく市若者マイホーム取得奨励金』制度
※市内に住宅を新築・購入し生活する45歳未満の人が対象。UIJターンは県外から直接かほく市に転入をした人。最大助成額200万円。
このほかにも、様々な自治体で仕事や住まい、子育て等に関する支援制度が行われているので移住候補の地域には支援制度があるのか?どのような支援なのかを事前に確認しておくこともおすすめします。
島根県の支援制度は内閣府「地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業」を活用したものです。こちらも参考にしてみると良いでしょう。
内閣府「地方創生起業支援事業・地方創生移住支援事業」
HP: https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/shienkin_index.html
自然豊かな環境のもと家族でゆったりのびのび暮らしたい‥など、テレビで見るような理想的な暮らしをしている人達に憧れ田舎暮らしを魅力的に感じることでIターン転職を希望する人も多いと思いますが、Iターン転職にはメリットだけでなくデメリットがあることも頭に入れておくことが大切です。
メリット
デメリット
このようにIターン転職には良い面・悪い面があります。
田舎暮らしへの憧れだけで決断をしてしまうと、理想と現実とのギャップに後悔してしまうかもしれません。
これらを意識しておくとともに、メリット・デメリットがあることを分かった上でIターン転職をするのか?やめたほうがいいのか?を今一度考えてみましょう。
具体的にIターン転職を進めていく場合、いま住んでいる地域から遠くなればなるほど土地勘がない、面接や手続き・住居探しなどに行く際の交通費・宿泊費・日程調整など近場で転職・就職活動をするより何倍も大変に感じることが多くなるはずです。
事前準備をしっかりとしておき計画的に進めていかなければ、無駄な時間・労力・お金を使うことになってしまいます。
Iターン転職の理由やその地域を選んだ理由はとても大事なことで、「自然が豊かで良いところなので」や「都会暮らしに疲れたので‥」のように強い意志が感じられず「何となく選んだのかな」「すぐに辞めて帰ってしまうのでは?」と不安に思われてしまうこともあります。
そうならないためにも定住したい意思があること、Iターン転職・地域を選んだ理由は明確に伝えられるようにしましょう。
また、都市部に比べ地方は求人自体が少なく希望する仕事の募集がないことも考えられます。
求人情報を常にチェックしておくことはもちろんのこと、業種・職種の幅を広げることやその地域ならではの仕事も候補に入れていくなどキャリアチェンジも視野に入れてみましょう。
そして、地方の企業は都市部の企業で働くよりも楽だろう!と勝手なイメージを持つこともやめましょう。
場所がどこであっても仕事内容や労働環境も含め、企業研究をしっかりとしておき自分に合った会社を選ぶことが大切です。
※参照:NPO法人ふるさと回帰支援センター「地方移住に関するアンケート2018」
http://www.furusatokaiki.net/wp/wp-content/uploads/2019/02/webnews20190219_furusato_ranking.pdf
先ほど紹介したNPO法人ふるさと回帰支援センターのアンケートではUJIターン先で希望する就労形態に関する内容もありました。
多くは地方企業への就労ですが、その他にも独立しフリーランスとして働くことや起業すること(自営業)、総務省が管轄する事業である地域おこし協力隊として1~3年間活動することを望む人がいることが分かります。
一般企業に就労すること以外にもIターン先で理想とする働き方についてよく考えておきましょう。
以下は、同じくNPO法人ふるさと回帰支援センターが発表している移住希望地域ランキングです。
移住希望地域ランキング2018
1位 長野県(前年1位)
2位 静岡県(前年3位)
3位 北海道(前年16位)
長野県や静岡県は豊かな自然に恵まれている土地柄に加え、都市部に出やすい点も人気の理由となっており毎年上位にランクインされています。
北海道も広大な自然が魅力ですが、2016年頃から出張相談会やセミナーなどの積極的な移住プロモーションを実施していたことも大幅ランクアップの要因となっているようです。
Iターン転職の仕事はどのように探したらいいのでしょうか?
まずは、Iターン転職の目的や優先条件を考えながら候補地を探すところから始めてみましょう。
絶対に移住したい地域が決まっているのであればその地域の求人をすぐに探せばいいと思いがちですが、移住先が決まっている人、候補地をピックアップした人ともに移住先の自治体に相談をしたり、NPO法人ふるさと回帰支援センターが実施しているようなセミナーや相談会に参加し情報収集をしていくことが大切です。
移住先が行っている支援や移住先の特徴を分かった上で仕事探しをしていきましょう。
仕事探しの方法としては以下が考えられます。
この中でおすすめしたいのは「転職エージェント」を活用したIターン転職・就職活動です。
Iターン転職支援制度を行っている自治体では仕事探しのサポートをしているところもあるのでチェックしてみることは良いと思いますが、ハローワーク、求人サイトも含め本格的に仕事探しをしたいのであれば入社までを一貫してサポートしてくれる転職エージェントの利用が有効です。
リクルートエージェントやdodaのような大手転職エージェントでは全国の求人情報に対応している豊富な求人数や日本各地に拠点があることが魅力です。
転職エージェントのサポート
あなたの希望条件に合った転職先の紹介に加え、紹介先企業の内部情報の提供もしてくれるので安心です。
また、面接日程の調整も転職エージェントが代行してくれるので、複数社の面接に臨む場合でもまとまった日程で面接を設定してもらうことも可能です。
個人の転職・就職活動ではカバーしきれないことも転職エージェントと二人三脚で進めていくことで有意義な転職・就職活動となるでしょう。
また、地域に特化した転職エージェントの利用も併せて行うとより効率良くIターン転職・就職活動を進めて行くことが出来ます。
地域に特化しているからこそ保有している求人や地域情報の提供を受けつつ、豊富な求人数と手厚いサポートが魅力な大手転職エージェントを併行して“いいとこ取り”な転職・就職活動としましょう。
Iターン転職は夢が広がる働き方ですが、同じ地域での引っ越しを伴わない転職と比べるととても労力が必要な転職です。
移住してから「失敗した」と思い元の生活に戻ろうにも何から始めたらいいのか‥と頭を悩ませてしまうでしょう。
だからこそ、自分自身の気持ちの整理をはじめ事前準備・情報収集を徹底して行うことが大切です。
一人では分からないことでも、転職エージェントや各自治会、NPO法人ふるさと回帰支援センターのようなそれぞれの専門機関に相談をしながら進めていくことでより良いIターン転職となるのではないでしょうか。