新型コロナウイルス感染拡大防止対策や新型コロナウイルスの影響で仕事が減ってしまったことを理由に「在宅勤務」や「自宅待機」を会社から命じられている人も多いと思います。
国から緊急事態宣言が出されたこともありこれらの措置は仕方のないことですが「在宅勤務」ではなく、施設(お店)が休業している、仕事が無くなった・減った、自宅では出来ない仕事であるために「自宅待機」となった場合の給与はどうなるのでしょうか?
自宅待機であっても給与は満額支払われるのか?減額されてしまうのか?それとも支払われない?
ここでは自宅待機となった場合の給与支払いに関して、詳しく解説していきたいと思います。
自宅待機とは読んで字の如く自宅で待機することを言い、何らかの理由があり企業の従業員や学校の生徒などが出勤や登校をせずに自宅に居なければいけないことです。
在宅勤務は自宅で出勤時と同じ業務をすることであり、自宅待機は業務をせずに自宅にいることであるため“自宅で仕事をするか・しないか”の違いがあります。
自宅待機が命じられるケースとして考えられることは、
など、様々な理由があります。
自宅待機は自宅に居ることが前提ではありますが、休暇とは異なるため常識の範囲内での行動を心掛けるとともにいつでも会社からの連絡が取れる状態にしておくことが望ましいでしょう。
今回の新型コロナウイルス関連の自宅待機命令は「感染症の蔓延防止のため」や「業務減少のため」に当てはまるケースとなるのではないでしょうか。
また、「ANAが客室乗務員約6,400人を一時帰休」「東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドでは約5,400人の一時帰休を実施」「JR西日本が初の一時帰休を実施」などというニュースを目にした人もいると思いますが、一時帰休には一時的な自宅待機という意味合いがあります。
一時帰休
企業が、不況による業績悪化などの理由で操業短縮を行うにあたり、労働者を在籍のまま一時的に休業させることを「一時帰休」といいます。労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたるため、休業期間中、使用者は労働者に対して、平均賃金の60%以上の手当(休業手当)を保障しなければなりません。
※引用:人事労務用語辞典
新型コロナウイルス感染拡大で休業を余儀なくされている企業や日本国内で経済活動が落ち込んでいる影響から、従業員に自宅待機をしてもらう一時帰休を実施している企業が多くあります。
会社から自宅待機を命じられた時にまず気になるのは「給料がもらえるのか?」なのではないでしょうか。
テレワークなど在宅勤務は自宅で出勤時と同じ業務をするため出勤時と同等の給与支払いがありますが、業務をせずに自宅にいなくてはいけない自宅待機ではどうなのか?と心配になると思います。
結論からお話しすると、自宅待機中の給与に関しては一時帰休の説明に「使用者は労働者に対して、平均賃金の60%以上の手当(休業手当)を保障しなければなりません」とあるように休業手当が支払われます。
休業手当
使用者が休業期間中、労働者に支払う手当。労働基準法では使用者の責任に帰すべき事由による休業の場合、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の60%以上の手当を支払わなければならない。その他に育児休業手当や介護休業手当などがある。
※引用:百科事典マイペディア
休業手当は民法第536条や労働基準法第26条に規定されており、「使用者の責に帰すべき事由=雇用主の都合」の休業の場合は従業員が最低限の生活を行えるようにするため支払いの義務があります。
※給料が全額支払われる場合と、平均賃金の6割以上が支給される場合と企業によって対応が異なります。
新型コロナウイルスでは‥
不可抗力的な理由の場合は「使用者の責に帰すべき事由」にあたらないと認められることが多いため休業手当の対象とならず支払う必要がなくなります。
新型コロナウイルスに関しては、ウイルスに感染して休んだ場合は休業手当対象外ですが傷病手当を受けることが出来ます。
非正規社員に休業手当を支払わず
2020年5月14日付の東京新聞の報道によると、大手スポーツジムコナミスポーツは新型コロナウイルス感染拡大で休館となっている全国のジムで働く非正規社員のインストラクターに休業手当を支払っていないことが明らかとなり問題になりました。
休業手当の支払いを行っていなかった理由として「臨時休館は当社の都合による休業ではなく、政府からの利用自粛要請があり不可抗力によるやむをえない対応のため」と説明しています。
参考:<新型コロナ>コナミスポーツ、一転支給 休業手当不支給 産業界に拡大(2020年5月16日 東京新聞)
緊急事態宣言が発令され、各都道府県知事からの要請があり業務停止をしているため必ずしも企業の都合とは言えず線引きが曖昧となっていることは国会でも問題となっています。
スポーツジムに限らず、ライブハウスや映画館など緊急事態宣言で業務停止をしている施設は休業手当の対象外と厚生労働省は見解しています。
緊急事態宣言が解除された後でもしばらくの間は今まで通りのように営業できない施設も多いと思うので、今後どのようになっていくのかが気になるところです。
※参照:東京新聞 2020年4月3日 朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/202004/CK2020040302000154.html?__twitter_impression=true
自宅待機となっている人が多いですが、実際にどのくらいの給与が支給されているのでしょうか?
Twitterの投稿から状況を見てみましょう。
給与明細が来た。
自宅待機は無給か?…おそるおそる開いたら、時給のピッタリ6割付いてた❢
よく言われる、3ヶ月分を日割りで(実質4割位)ではなかった。良かった(^^)……
けど、同じ職場の他の派遣会社から来てる子達は8割支給なんだって、なんか不公平(;_;)まぁ、無給よりはマシなんだけどね💦— はけんのおばちゃん (@Minttea142) May 13, 2020
#ldnews
公立の保育園などの保育士さんは全然いいです。
市町村の方針で縮小して
自宅待機でも給与満額出ますよね
でも非正規の保育士は
無給です。
今年度 委託費は満額支給されているのに
給与を払わないのは
横領に等しい— なり (@yI7WvroAccQmYSA) May 9, 2020
5月末まで自宅待機延長決定と共に給与〇〇%ダウンのメール来たわ…( ´ー`)
— MAJI=MAZI=MAZY (@MAJI_MAZI_MAZY) May 8, 2020
自宅待機で給与減らされるのと、客先常駐でコロナ感染に怯えながら出勤するのどっちが良い?ニッコリ
— いかりん (@ikari_6314) May 14, 2020
自宅待機中であっても満額支給される人もいれば、減額される人、無給となってしまう人‥。
そして、休めない仕事に就いている人は「減給でも自宅に居られる方がいいのでは?」と思う人もいるようです。
また、在宅勤務をしている人は出勤時と同等の給与支払いがあると話しましたが、実際には残業代がつかなくなり給料が減った人が多いようです。
テレワークはいいけど、残業代が無いので、給料が悲惨すぎることになってて死亡__(⌒(_'ω')_
— komachii (@komachii) May 14, 2020
テレワークなど在宅勤務でも残業代の請求は認められていますが、勤務状況や勤務態度などの把握が難しいため残業代が支払われないこともあります。
コロナ禍で今まで通り出勤している人、在宅勤務となった人、自宅待機となった人‥それぞれに不安や心配事が尽きない状況であると言えます。
2020年5月14日、安倍晋三首相は記者会見で新型コロナウイルス感染拡大の影響により仕事が休みになってしまったのにも関わらず事業主から休業手当を受け取れなかった休業者に対し、直接給付金を支給する制度を新たに創設する考えを表明しました。
これまでは新型コロナウイルスの影響による休業などで休業手当を支払った企業に特別措置として拡充された雇用調整助成金で支援していましたが、申請に手間が掛かることや休業手当を支払う余裕がない(事業主負担が発生する)など様々な理由から申請をしない事業者が多かったことで新たな制度を設けることで調整しています。
【現時点で発表されている制度の仕組み】※2020年5月15日時点
・中小企業の従業員が対象
・月33万円程度を上限に支給(※月額賃金の8割程度を給付)
・給付金の支給方法⇒本人がオンラインか郵送で申請する?休業証明を受け取りハローワークに申請する?
・雇用保険に加入していないアルバイトなどの非正規従業員も対象⇒定額給付?
※2020年5月15日現在、まだ政府・与党で調整段階のため内容が変更されることもあります。
参考:休業者給付金、月33万円上限 支援迅速化、新型コロナ対応(2020年5月14日 時事ドットコム)
参考:アルバイトには定額給付案 新たな「休業支援金」で厚労省検討 支給額など調整(2020年5月15日 毎日新聞)
休業手当がもらえず生活に不安を抱えている人にとって、少しでも安心できる制度として活用されることに期待したいです。
自宅待機になり休業手当が支給されているのであればまだ良いのですが、仕事をしたくても出来ない状態が長く続くことへの不安やそれに加え休業手当すら支給されない場合は今後の生活への不安、会社への不信感にも繋がってくるはずです。
今回は感染症の影響によるものですが、またいつこのような有事に見舞われるか分かりません。
その時にテレワークのような在宅勤務が出来ない仕事、休業手当が支給されない会社、経営的に余力の無い会社であるよりは仕事・給料・生活が保障された仕事に就いていた方が安心であることには違いありません。
このような状況で転職を‥とは考えづらいかもしれませんが、転職も視野に入れ今後の働き方を見直し変えていくきっかけになるのではないでしょうか?
コロナ禍である今、通常の転職活動とはやや異なる状況であるため、個人での転職活動よりも転職のプロである転職エージェントを活用しアドバイスを貰いながら効率良く進めていくことをおすすめします。
転職エージェントのサポート
転職エージェントでは転職活動を一貫してサポートしてくれるので、不安な状況の中でも安心して進めていくことが出来ます。
そして、転職エージェントのサポートはコロナ禍にも対応した電話やメール、Webツールを使用しているため自宅に居ながら転職活動を進めて行くことが可能です。
自宅待機が続き今後に不安を感じるのであれば転職エージェントに相談だけでもしてみてはいかがでしょうか。
全てのサービス・サポートは無料で利用出来ます。
いかがでしたか?
自宅待機中の給与についてご理解いただけましたか?
正社員だけでなく、派遣社員やアルバイト・パートでも休業手当の対象となっています。
正社員ではないからもらえないと言うことでも、仕事をしていないから無給となる訳でもありません。
休業手当は働く人達の最低限の生活を保障するためのものなのです。
とは言え、それぞれの事情や状況もあり休業手当の支払いが困難となっている会社があることも事実です。
そのような場合は、国の支援制度を利用することや転職も視野に今後についてしっかりと考えていく時間にも充ててみましょう。
まだまだ落ち着かない不安な状況が続きますが、今できることを少しずつでも始めてみてはいかがでしょうか。