日本の三大国家資格の一つと言われている公認会計士の転職事情はどのようになっているのでしょうか?
世間で言われる「公認会計士の転職が最強」な理由をはじめ、求人動向、未経験からの転職、年齢別の転職ポイントなどを詳しく解説していきます。
また、公認会計士の転職活動におすすめしたい転職エージェントも併せて紹介します。
公認会計士は“最強”と言われるだけあり、転職がしやすい職種の一つです。
なぜ公認会計士の転職が最強なのか、理由を一つずつ見ていきましょう。
公認会計士が活躍できる転職先は多岐に渡ります。主な転職先は以下の通りです。
公認会計士試験合格者の9割が就職するのが監査法人です。BIG4と呼ばれる4大監査法人(新日本有限責任監査法人、有限責任監査法人トーマツ、有限責任あずさ監査法人、あらた監査法人)などでは慢性的な人手不足となっており求人が増加傾向にあります。
高収入が見込めますがハードワークになりやすいと言われています。
一般企業の経理部や財務部などの管理部門で働きます。会社の規模が大きくなるほど会計業務や財務業務が複雑になるため専門性が求められることも。
しかし、業務量の予測が立てやすく残業が少ないためワークライフバランスに優れています。
ベンチャー企業でも公認会計士の需要が高まってきており、公認会計士としての知識・スキルはもちろんのこと新しい流れに順応できる対応力がある人におすすめ。
会計分野のコンサルティングで公認会計士が活躍しています。企業が抱える問題点に対して解決方法のアドバイスを行います。
監査業務、会計業務の経験を活かすことができる仕事です。監査法人で3年以上の経験があると即戦力と認められる場合も多く、数多くのプロジェクトに関わることができるため仕事にやりがいを求める人に人気があります。
企業や個人事業主に対して、「税務に関する業務(税務申告業務、税務相談、記帳代行など)」と「監査業務」のサービスを提供。年末調整が始まる12月から法人確定申告の期限5月末まで多くの会計事務所は繁忙期を迎えます。会計事務所の種類によって多少業務内容が異なり、税理士法人で働く公認会計士は監査業務を行いません。
独立を視野に入れ税務の知識・経験を積むために税理士法人への転職を考える人や、監査法人で実務経験を積んだ後に独立をして会計事務所を開業する人も少なくはありません。
金融機関における公認会計士の業務は、「バリュエーション業務(企業価値を評価算定する)」、「デューデリジェンス業務(企業の財務状況を調査する)」などを行い、金融機関が行っているM&A支援業務、投資業務、運用業務においても財務会計・税務などの知識を活かすことが可能です。
給与水準は高い傾向にありますが激務になりやすいことも覚悟が必要です。金融機関は他のキャリアとは違った専門領域と認識しておきましょう。
未経験分野への転職では年収ダウンの可能性も少なからずありますが、基本的にキャリアアップを伴う転職が考えられるため公認会計士の転職は年収アップが叶いやすい傾向にあります。
ちなみに、厚生労働省が発表している令和3年賃金構造基本統計調査によると公認会計士(税理士も含む)の平均年収は以下の通りです。
企業規模 | 平均年収 |
---|---|
企業規模計(10人以上)※全体の平均 | 約659万円 |
企業規模計(1,000人以上) | 約786万円 |
企業規模計(100~999人) | 約835万円 |
企業規模計(10~99人) | 約590万円 |
この統計は税理士も含まれるため公認会計士のみと考えると、20代で600万円台、30代で800万円台、40代で800~1,000万円以上になるとも言われています。
職場(種類、規模)によっても平均年収に差があるため年収アップを望む人は公認会計士が活躍できる職場ごとの年収相場や傾向をチェックしてから転職活動を進めていきましょう。
結婚や出産などライフスタイルの変化に合わせて残業が少ない職場やリモートワークが可能な職場など働き方を選べることも公認会計士の転職が最強と言われる理由の一つです。
また、多くの人は正社員としての転職を考えていると思いますが、非常勤として監査法人で働くことも可能です。
時給4,000~10,000円と高額であり、大手監査法人よりも中小監査法人の方が高時給である場合が殆どです。子育て中の方や独立直後で仕事が安定していない方、プライベートを充実させたい方にはおすすめです。
公認会計士試験に合格後は監査法人に就職をして2年以上の実務経験を積むこと、実務補習所に3年間通い修了考査を受験し合格することで公認会計士として登録する流れが一般的です。
そして、登録後に転職を考える人が多いと思いますが監査法人以外の転職先を目指す場合は“未経験分野”への転職となるため注意しなければいけない点がいくつかあります。
・監査法人で4~5年程度の実務経験を積み、知識を十分に身につけてからの転職がよい
・年収が下がる場合もある
・大規模な職場から小規模の職場に転職した場合、働き方に馴染めないことも
・監査法人から未経験分野への転職は20代のうちが理想、遅くても30代のうちに
・これまでの実績が少ない40代以降は未経験分野への転職は難しくなる
しかし、公認会計士は未経験分野への転職であっても需要があり転職をしやすい傾向であることも確かです。新たな可能性を求め一歩を踏み出してみましょう。
公認会計士に限らず転職を考える人が多くなるのが30代、40代です。
先ほどお話ししましたが、公認会計士は他職種と比較すると未経験分野への転職がしやすい傾向にありますが、ミドル世代に突入した30代、40代の転職事情はどのようになっているのでしょうか?年齢別にそれぞれの傾向と転職ポイントを紹介します。
20代ではまだ経験が少ない、40代では年齢と柔軟な考え方ができない懸念があるため、着実に実績と経験を積み即戦力として活躍できる30代の転職者を求める企業は多くあります。対人スキルの高さやマネジメント経験があればアピールすることで更にプラスに。
30代前半までは一般事業会社の求人が多く、他にもコンサルティングファームや会計事務所・税理士法人などもおすすめです。
30代公認会計士は年収アップを実現しやすいことはもちろん、これからのキャリアを広げる転職に期待できます。
40代でも転職が可能ですが、20代・30代と比べると求人の選択肢が大きく減ってしまうことは確かです。
しかし、40代ならではの実績や経験を活かせる転職先として会計事務所、コンサルティングファーム、M&A関連はおすすめです。マネジメント能力をアピールすることや豊富な経験と専門知識で勝負することが可能。
一方で監査法人、一般事業会社の管理職求人は少なくなりますが、CFO(最高財務責任者)として経験豊富な40代を迎え入れたいと思っているベンチャー企業もあるので「やりがい」を求める転職であれば是非検討してみましょう。
キャリアの選択肢が多いことは大きなメリットになりますが、選択肢が多いからこそ将来をしっかりと見据えた転職をしないと失敗に繋がることがあります。
・転職先の環境に馴染めない
・キャリアプランとの不一致
・仕事内容が自分のやりたいことではなかった
・労働環境が説明されていたことと違う
・年収が下がってしまった
このように思い描いていたような転職にならず後悔してしまうこともあります。
“転職失敗”を回避するためには以下の点を意識して転職活動を進めていくことが大切です。
⇒自己分析を行う(客観的に自分自身の実績・スキルを分析する)
⇒事前にしっかりと転職先をリサーチする!
⇒転職の目的やキャリアプランを明確にしておく!
⇒転職先に求める条件に優先順位をつける(年収、労働環境、仕事内容‥)
⇒転職エージェントを上手に活用する!
これらは転職活動の基本とも言える内容ですが、しっかりと押さえておくことで失敗しない転職に近づくことができます。
更に最後に記載した転職エージェントを利用することで個人での転職活動よりも効率良く有利な転職とすることが可能です。転職エージェントを利用すれば在職中から計画的に進めていける点も◎
転職エージェントとは、転職のプロからのアドバイス・サポートを受けながら転職活動を進めていく転職支援サービスのことです。
転職エージェントに登録することで転職相談、求人紹介、応募書類作成サポート、面接対策、雇用条件交渉など様々なサポートを受けられるので安心です。
ここでは、公認会計士の転職に強みを持つ転職エージェント3社を紹介します。
国内最大級のハイクラス転職サイトであるビズリーチは、転職エージェントとは異なり国内外の優良企業や一流のヘッドハンターからのスカウトをきっかけに転職活動を進めていくサービスです。
ビズリーチでは年収800万円以上の求人やCFO、管理職ポジションの求人が豊富であり、他の転職支援サービスよりもレベルが高く希少な求人に出会えると評判。
主体的に転職活動を進めていきたい公認会計士の方やどのようなスカウトが届くのか自身の市場価値を確認したい方は最大限活用してみましょう。
ワンランク上の転職を実現したい経験・スキルに自信がある30代~40代以降の転職に特におすすめです!
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特徴 | 年収1,000万円以上の求人が全体の3分の1以上 |
会計士求人数 | 約560件 +非公開求人 |
マイナビ会計士はマイナビグループが運営する会計士業界専門の転職エージェントであり、会計士業界に精通したキャリアアドバイザーが公認会計士・試験合格者・USCPAの転職サポートを行っています。
マイナビ会計士の強みは“会計士業界専門”だからこそ得られる転職の最新情報をいち早く提供してくれること、公認会計士の転職ノウハウ・実績が豊富、求人数が多いことです。
マイナビグループが持つ強みを活かした大手ならではの充実したサポート体制はスムーズかつ効率的な転職活動を約束してくれるでしょう。マイナビ会計士は公認会計士の転職に必須なサービスと言っても過言ではありません。
公式サイト | https://cpa.mynavi.jp/ |
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特徴 | はじめての転職での成約実績70%/一般事業会社への転職に強み |
会計士求人数 | 約700件 +非公開求人 |
JACリクルートメントは、オリコン顧客満足度調査ではハイクラス・ミドルクラス転職No.1に5年連続で輝く管理職や技術/専門職転職のエキスパートサービスです。
ミドル世代のハイクラス転職に強みを持っているため、30代・40代の公認会計士の転職にマッチします。
これまでの転職支援実績は約43万人!総勢約1,200名の各業界・職種に精通したコンサルタントがサポートしており、あなたの公認会計士としての経験・能力の価値を正しく理解してくれるため満足度の高い転職を実現できる可能性が高まります。
外資系企業への転職や日系グローバル企業への転職に興味がある人は外資系転職エージェントのJACリクルートメントに相談してみましょう。
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転職支援サービスは1社だけではなく最低でも2~3社に複数登録をして、求人の質や担当者との相性を見極めながら最終的に一番自分にマッチしたサービス1社に絞ることが賢い使い方です!
会計士業界専門サービスである「マイナビ会計士」を軸に、ハイクラス転職サービスである「ビズリーチ」「JACリクルートメント」を併せて登録することでお互いの良い部分を取り入れながら転職活動を進めていくことができます。
もともと求人が安定していて需要が高い公認会計士ですが、一時はコロナ禍で公認会計士の求人が減少しました。しかし、コロナ禍で採用を控えていた企業が採用を再開させたこと、日本企業のグローバル化が進んでいること、起業し新しい会社を立ち上げる人が増えたことなど様々な要因から公認会計士の需要が増加しています。
結論としては、公認会計士は売り手市場が続いており転職先に困ることはないでしょう。
とは言え、公認会計士として活躍し続けていくためには監査業務+αの経験・スキルを身につけることが重要になってきます。
・英語力(TOEICスコア600〜700点以上)
・マネジメント能力
・コンサルティング能力
・ITスキル
・主査、インチャージ経験
・デューデリジェンス、バリュエーション経験
・IFRS(国際財務報告基準)スキル
・特定の分野に精通している
‥etc.
このような+αのスキルを身につけキャリアの選択肢を広げることで、まさしく“最強”となれるのではないでしょうか。
年収は下がってもワークライフバランスが良くなった、スキルアップを実現できた、仕事にやりがいを感じている‥など“転職成功“と感じる人も多くいます。年収アップだけが転職成功ではありません。
あなたにとっての転職を成功させるためには、転職先に求める条件に優先順位をつけるなどして転職先を選ぶ基準を明確にしておくことが大切。
そのために自己分析をしっかりと行うことはもちろん、転職エージェントも上手に活用して効率良く転職活動を進めていくことが理想的です。