管理栄養士の平均年収は低い?年収が高い職場・稼げる仕事とは?

管理栄養士や栄養士の転職理由には「職場の人間関係」「仕事量が多い」「給料が低い」が上位に挙げられることがあります。

人間関係への不満は管理栄養士・栄養士の職場に限らずあらゆる職場で起こり得ることですが、“仕事量”や“給料”に関しては管理栄養士・栄養士が活躍できる職場が多岐に渡るため職場によって異なります。

ここでは管理栄養士・栄養士の年収にスポットをあて、管理栄養士・栄養士の平均年収、職場別の平均年収などを紹介していきます。
これから管理栄養士・栄養士を目指している人、給料を理由に転職を考えている人は是非参考になさってください。

管理栄養士・栄養士の平均年収

厚生労働省が発表した令和3年度賃金構造基本統計調査から栄養士の平均年収などを見ていきましょう。

  • 平均年収:367.6万円
  • 平均月給:25.5万円
  • 平均賞与:60.9万円
  • 平均年齢:37.4歳
  • 平均勤続年数:8.4年

参照:厚生労働省『令和3年度賃金構造基本統計調査』

この平均年収は栄養士のデータであり、管理栄養士は5,000~10,000円程度の資格手当がプラスされるため栄養士よりも年収・給料は高くなると考えておきましょう。

そして、このことから管理栄養士・栄養士の手取りは19~23万円程度と見ることができますが、管理栄養士・栄養士の年収や給料は他職種よりも本当に低いのかを検証してみたいと思います。

年収・給料が低いと言われる理由

管理栄養士・栄養士と同じ業界で働く他職種の平均年収と比較してみましょう。

職種 平均年収 実労働時間
薬剤師 約580万円 163時間
看護師 約498万円 158時間
理学療法士など 約426万円 161時間
ケアマネジャー 約409万円 166時間
准看護師 約406万円 159時間
栄養士 約368万円 165時間
訪問介護 約364万円 168時間
介護職員 約352万円 163時間

参照:厚生労働省『令和3年度賃金構造基本統計調査』

医療介護系職種の平均年収と比較すると、栄養士は実労働時間が長めにもかかわらず他職種より平均年収が低いように思えます。
ちなみに、医療介護系職種以外では食品メーカー(研究開発)の平均年収が424万円なので、管理栄養士・栄養士は「仕事量が多い」「給料が低い」と感じてしまうことも無理はないのかもしれません。

【年齢別】管理栄養士・栄養士の平均年収

管理栄養士・栄養士の平均年収は約368万円ですが、年齢別の平均月給・年収も参考までに見てみましょう。

年齢 平均月給 平均年収
20~24歳 21.7万円 289.3万円
25~29歳 23.4万円 337.1万円
30~34歳 23.9万円 343.5万円
35~39歳 26.5万円 385.3万円
40~44歳 27.1万円 397.2万円
45~49歳 28.5万円 420.0万円
50~54歳 29.1万円 435.6万円
55~59歳 31.8万円 481.3万円
60~64歳 25.0万円 337.8万円
65~69歳 22.6万円 301.0万円
70歳以上 20.1万円 251.2万円

参照:厚生労働省『令和3年度賃金構造基本統計調査』

管理栄養士・栄養士の年収のピークは55~59歳。年齢の上昇・積んできたキャリアと共に年収も上がっていきますが、結婚や出産前の女性が多くバリバリ働ける20代~30代前半に年収がそれほど上がらないことで離職してしまう管理栄養士・栄養士がいることも確かです。

管理栄養士・栄養士として同じ職場で長く働きたい人は産休や育休制度の整った職場選びも大事なポイントです。

【職場別】管理栄養士・栄養士の平均年収

「仕事量が多いのに給料が低い」と嘆いているだけでなく、管理栄養士・栄養士としてどうすれば年収を上げることができるのかを考えてみましょう。

管理栄養士・栄養士の資格を活かし働ける職場は多岐に渡り、勤務先の規模や職種などによって業務範囲が異なるため年収にも違いが出てきます。

そこで、管理栄養士・栄養士の主な職場別仕事内容とおおよその平均年収を挙げていきたいと思います。

学校

《平均年収 320万円程度》
主な仕事内容:小学校や中学校などで給食の献立作成、食材発注、調理など
学校で働く管理栄養士・栄養士は、「学校栄養士」または「学校栄養職員」と呼ばれ公務員として働くことができます。民間企業よりも雇用・給与面が安定しているため人気があります。

病院

《平均年収 440万円程度》
主な仕事内容:患者の栄養管理、栄養指導、献立作成など
病院は管理栄養士・栄養士の年収が高めの職場ですが、病院の規模や種類によっても給料に違いがあります。より高給を望むなら大規模病院がおすすめです。公立病院や国立病院で管理栄養士・栄養士として働く場合は公務員となります。

保育園

《平均年収 300万円前後》
主な仕事:給食やおやつの献立作成、調理、食育など
保育園には私立・公立があり、どちらも1つの園につき募集人数1名程度と少ないため狭き門と言えます。年収は高くありませんが子どもが好きな人、子どもの健康を守りたい人におすすめ。公立保育園の管理栄養士・栄養士は公務員として働くことができます。

介護福祉施設

《平均年収 430万円程度》
主な仕事:高齢者施設で生活をする人たちの献立作成、食材発注、調理、栄養ケアなど
病院よりも年収は低めですが、高齢化が進む日本では介護福祉施設の需要が今後も高まることが予想されるため管理栄養士・栄養士の需要も高まり活躍の場が増えることに期待されます。

食品メーカー

《平均年収 420万円程度》
主な仕事:食品の研究開発・商品企画、商品の栄養・成分管理など
病院や介護福祉施設とは異なり“土日祝休み“の職場が多いのが企業で働く管理栄養士・栄養士のメリットの一つ。大手企業・有名企業であれば高年収にも期待できます。

給食センター

《平均年収 430万円程度》
主な仕事内容:給食の直営が難しい施設(病院、保育園、介護福祉施設、社員食堂など)に代わり、献立作成や調理、食材の発注・管理などを代行する
給食センターと言っても、公務員として公的な給食センターで働く人と民間の給食委託会社(給食センター)で働く人で待遇面などが異なりますが、実務経験を積み役職が付くと給料が上がりやすい職場です。

管理栄養士・栄養士の年収の高い職場・稼げる仕事

先ほど紹介したように管理栄養士・栄養士は勤務先によって平均年収が異なり、栄養士よりも管理栄養士の方が専門性の高い上位資格のため平均年収は高くなります。

そして、管理栄養士・栄養士として少しでも高年収を得るためには以下の方法・職場がおすすめです。

できるだけ規模の大きい職場で働く

企業規模の大きい職場ほど年収が高い傾向にある

(例)栄養士の平均年収

企業規模計(10人以上) 1,000人以上 100~999人 10~99人
月給 25.5万円 26.7万円 25.6万円 24.1万円
年収 367.6万円 378.2万円 369.7万円 350.9万円

参照:厚生労働省『令和3年度賃金構造基本統計調査』

公務員として働く

公務員は勤続年数に応じて昇給するため、長く勤めれば着実に年収が上がっていく《公務員管理栄養士の平均年収:450~600万円程度》

大手食品・医薬品メーカーで働く

研究職、MR(医薬情報担当者)、MS(医薬品卸販売担当者)、DMR(臨床検査薬情報担当者)など専門職として働くことで大幅な年収アップに繋がる

介護福祉施設で働く

高齢化が進み介護福祉施設が増えているため、今後も管理栄養士・栄養士の需要が高まり人材確保のため給料・待遇の改善が期待される

年収をアップさせるには?

年収の高い職場・稼げる職場へ転職をすることだけでなく、+αとして管理栄養士・栄養士が年収をアップさせるためにできることは以下の方法が考えられます。

管理栄養士の資格を取得する

栄養士の人は管理栄養士の資格を取得することで仕事の幅を広げること、年収アップを目指すことが可能

正社員になる

非正規雇用で働いている人は正社員として採用してもらえる職場へ転職する

専門性を高める

管理栄養士・栄養士の資格とは別に仕事に役立つ資格を取得することで活躍の場が広がり年収アップにも繋がる

(例)
・ケアマネジャー:介護保険に関するスペシャリスト/介護福祉施設で活躍できる資格
・公認スポーツ栄養士:競技者の栄養管理をする専門家
・栄養情報担当者(NR):健康・栄養食品などに関する正確な知識を消費者に提供するアドバイザー
・医薬情報担当者(MR):医師や薬剤師などに医薬品情報の提供・収集を行い医薬品の普及につなげる仕事
・フードコーディネーター:レシピ考案、料理教室、料理本の出版など。管理栄養士兼フードコーディネーターとして活躍する人も多い

転職サイトを活用する

今よりも給料や待遇の良い職場へ転職したい、転職先の人間関係が不安、希望に合った求人が見つからない‥など転職活動に困りごとがある管理栄養士・栄養士の人は転職のプロのサポートが受けられる転職支援サービスを利用してみましょう。

転職相談をはじめ、希望条件に合った求人の紹介、応募書類作成サポート、面接対策といった転職を有利に進めていけるサービス・サポートを無料で受けることができます。

転職サイトでは一般には公開されていない非公開求人からの紹介も受けられるため、あなたの希望にピッタリな職場が見つかるかもしれません。

フリーランスの管理栄養士・栄養士は稼げる?

管理栄養士・栄養士の働き方には施設や企業に勤務するだけでなく、独立してフリーランスとして働く方法もあります。

《フリーランスの仕事》
・レシピ作成、開発
・Webメディアでの記事執筆
・病院と契約して栄養指導
・イベントでの栄養相談
・料理教室の講師
・セミナーでの講演  など

フリーランスの管理栄養士・栄養士は、施設や企業に勤務する管理栄養士・栄養士よりも自由度が高く幅広い仕事に関わることができます。

しかし、フリーランスは自分がやりたい仕事にチャレンジできる反面、仕事をどのように獲得していくかが問題となります。

着実にフリーランス管理栄養士・栄養士としての実績が増えていき仕事が安定していけば施設や企業に勤務する管理栄養士・栄養士よりも高い年収を得ることも可能ですが、仕事がなければ管理栄養士・栄養士としての収入ゼロなんてことも。

フリーランスという働き方はやり方次第で稼げる仕事にもなりますが、収入が安定しない働き方ともなるので安易な考えには注意しましょう。

【まとめ】専門的な知識・スキルを身につけてキャリアの幅を広げる!

管理栄養士・栄養士の年収について紹介してきました。

仕事量と年収とのバランスから管理栄養士・栄養士を続けるべきかと悩んでしまう人も多いと言いますが、職場選びをしっかりと行うことで管理栄養士・栄養士として納得のいく転職を叶えることも十分可能です。

そして、管理栄養士・栄養士の資格を活かしながら+αの働き方を見つけてみるのも◎
キャリアの幅を広げていくことで年収アップはもちろんのこと、仕事へのやりがいにも繋がっていくはずです。


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷