基本情報技術者試験、合格率の推移から勉強方法までを解説

情報処理関係の試験はいくつかありますが、基本情報技術者試験はその中でも基礎的なレベルになります。とはいえ、合格率は決して高いとは言えません。この試験はITエンジニアを目指す人を対象にしているため、一般的なITスキルだけではなかなか太刀打ちできないでしょう。合格するためには、充分な試験対策が必要です。

この記事では基本情報技術者試験の応募者数と合格率の推移、試験合格に必要な勉強時間、勉強方法等を解説していきます。また、類似資格として比較されることが多いITパスポート試験との違いも調査しています。

これから基本情報技術者試験を受験しようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

基本情報技術者試験とは

基本情報技術者試験とは、ITエンジニアとなるために必要な基礎知識や技能を問われる試験です。

この試験は情報処理推進機構(IPA)が実施する国家試験、情報処理技術者試験の中の一つです。情報処理技術者試験は12の試験区分に分かれています。その中で、基本情報技術者試験は基礎レベルとして位置づけられています。

試験に合格することで情報技術の基礎知識を証明することができるため、ソフトウェア開発、システム開発などの会社に就職し、ITエンジニアになることを目標にしている人に適した資格といえます。

受験者の年齢は比較的若く、平均年齢は20代中盤となっています。一方同じ情報処理技術者試験でも、応用情報技術者やITストラテジストのような難易度の高い試験は30代~40代に人気があります。キャリアの出発点として基本情報技術者試験を受験し、実績を積んでからより上位の資格に挑戦する人が多いことが伺えます。

参考元:「情報処理技術者試験統計情報」:https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/heikin_nenrei.pdf

基本情報技術者試験の応募者と合格率の推移

基本情報技術者試験の応募者と合格率の推移を見てみると、次のようになっています。

試験日 応募者数 合格者数 合格率
平成21年度春期 90,752人 17,685人 27.4%
平成21年度秋期 107,800人 28,270人 35.4%
平成22年度春期 92,108人 14,489人 22.2%
平成22年度秋期 100,113人 17,129人 23.4%
平成23年度特別 88,001人 14,579人 24.7%
平成23年度秋期 82,090人 15,569人 26.2%
平成24年度春期 75,085人 12,437人 23.7%
平成24年度秋期 79,674人 15,987人 27.1%
平成25年度春期 66,667人 10,674人 23.0%
平成25年度秋期 76,020人 12,274人 22.1%
平成26年度春期 65,141人 11,003人 23.9%
平成26年度秋期 74,577人 12,950人 23.6%
平成27年度春期 65,570人 12,174人 26.0%
平成27年度秋期 73,221人 13,935人 25.6%
平成28年度春期 61,281人 13,418人 30.4%
平成28年度秋期 75,095人 13,173人 23.6%
平成29年度春期 67,784人 10,975人 22.5%
平成29年度秋期 76,717人 12,313人 21.8%
平成30年度春期 73,581人 14,829人 28.9%
平成30年度秋期 82,347人 13,723人 22.9%
平成31年度春期 77,470人 12,155人 22.2%
和元年秋期 91,700人 19,069人 28.5%

※平成23年度は東北地方太平洋沖地震の影響により開催時期が春から夏にずれています。
データ引用元:「情報処理技術者試験統計情報」https://www.jitec.ipa.go.jp/1_07toukei/toukei_r02o.pdf

基本情報技術者試験は、情報処理技術者試験の中では、ITパスポート試験に次いで応募者数が多い人気の試験となっています。過去の受験状況を見ると平成29年から徐々に応募者数が増えており、ここ数年は大体1回の試験に対して約7~8万人ぐらいの受験者が基本情報技術者試験を受けていることになります。

過去の受験状況からは、基本的に秋試験の方が応募者が多くなっているのが分かります。会場が混雑しているのが嫌という人は、春試験の受験を狙うとよいかもしれません。また、難易度については秋試験の方が合格率が低い傾向にあります。過去22回の試験中、秋試験の合格率が春試験より高かったのは5回しかありません。

全体的には情報技術者検定の合格率は20~30%の間を推移しており、試験の難易度はやや高いといえます。

なお最近の試験では春試験、秋試験どちらかの合格率が30%近くの高い数字を記録すると、もう片方の試験の合格率が低くなる傾向がみられます。自分が受験する回の前の試験で合格率が極度に高い場合は、試験の難化に備えてください。

基本情報技術者試験、類似資格との比較

情報処理技術者試験のレベルは4段階に分かれています。その中で基本情報技術者試験はレベル2に位置付けられています。

さて、情報処理技術者試験の中には、もう1つ基礎的な位置づけになっている試験があります。それがITパスポート試験です。ITパスポート試験は、基本情報技術者試験より簡単なレベル1となっています。ITパスポート試験もまた、20代に人気があり、就職や転職を目的に挑戦する人が多い資格といえます。

2つの試験はどちらもIT技術の基礎能力を証明するためのものですが、試験内容や難易度などに違いがみられます。

目的の違い

基本情報技術者試験は、ITエンジニアを志す人の出発点としていて位置づけられています。試験に合格することで、上司の指示に従ってシステムの設計や開発が行える基本的な知識を持っていると証明することができます。

一方のITパスポート試験は、社会人に必要とされるIT知識の基礎を問うものです。今日の社会では、IT技術は(ソフトウェアの開発現場だけでなく)どの職場にも必要とされています。エンジニア志望とまではいかなくても、ある程度のIT知識は持っておきたいものです。

そのためITパスポート試験は、公務員や一般企業に勤めようとしている学生など、エンジニア以外でも受験する意味があります。基本情報技術者試験とITパスポート試験は、資格取得で示せる技能に違いがあるので、将来の自分の目的に合った方を選びましょう。

試験内容の違い

基本情報技術者試験の内容は、プログラミングアルゴリズムや応用数学など、技術的な面が強調されており、文系の学生にとっては難易度が高く感じられるかもしれません。

具体的なプログラミング言語としては、C言語、Java、Python,アセンブラ言語が出題されます(※選択式)。マークアップ言語(HTML,XLS)、表計算ソフトの問題も試験範囲です。

他に経営組織論・キャッシュフローや資金計画といった企業運営に関する知識も出題されますが、テクノロジー系(特にセキュリティ関連)の問題が重視される内容になっています。

一方ITパスポート試験の試験範囲は、基本情報技術者試験と重複しているところが多いものの、内容はもっとシンプルです。ストラテジ系(企業経営など)、テクノロジ系、マネジメント系から広く浅く出題されます。

問題数はテクノロジ系が若干多くなっているものの、試験範囲のシラバスには具体的なプログラミング名がほとんど登場しません。

例えば表計算ソフト、メールの基礎知識等が問われるので、文系の学生でも受験しやすい内容といえます。一般的なIT系知識を身に着けたい人に向いている試験といえるでしょう。

試験日程・難易度の違い

基本情報技術者試験は午前、午後の2部制で、それぞれ試験時間は150分となっています。試験の機会は1年に2回しかありません。合格率は前述したとおり20~30%の間を推移しています。

一方ITパスポート試験の合格率は40~50%となっています。情報技術者試験に比べて、難易度は低いといえます。ITパスポート試験は、全国の試験会場でいつでも受験が可能な随時試験です。試験時間は1部制の120分です。

受験しやすさではITパスポート試験が勝っています。しかし、IT技術の高さを証明したいなら難易度の高い基本情報技術者試験の方が受験価値はあるといえるでしょう。

参考元:「情報処理技術者試験統計情報」https://www3.jitec.ipa.go.jp/JitesCbt/html/openinfo/pdf/statistics/202011_ip_toukei.pdf

基本情報技術者試験に合格するために、必要な勉強時間はどれぐらい?

合格率だけ見ると難易度が高く見える基本情報技術者試験ですが、受験者によって難易度の感じ方は変わってきます。受験者に合わせた勉強時間を見ていきましょう。

基本情報技術者試験を難しいと感じる人の勉強時間

基本情報技術者試験では、プログラミングの知識だけでなく応用数学の知識も問われます。例えば行列、統計学、数列、極限値、16進数などの問題が出題されます。文系の大学に進んだ人なら、なじみがない分野といえます。

さらに情報技術を全く学んだことがない人にとっては、プログラミング用語を覚えるだけでも時間が取られます。基本情報技術者試験は多肢選択式ですが、知識を丸暗記するだけでは解けない問題が出題されるので、知識を「使う」ための勉強時間も必要です。

このように数学になじみがない(あるいは数学嫌い)、プログラミングとは全く関係のない学部出身者、IT業界未経験者は基本情報技術者試験を難しいと感じる人と考えられます。

このような人が合格するために必要な勉強時間は、(個人差はありますが)短く見積もって100時間、余裕をもって200時間程度と考えられています。1日2時間の勉強なら2~4ヶ月ほどの勉強期間を取っておくと良いでしょう。

基本情報技術者試験を簡単と感じる人の勉強時間

基本情報技術者試験の試験内容は、すでにプログラミングの基礎知識がある人、理系大学の学生(あるいは出身者)、IT業界で仕事をしている人にとっては有利な試験内容です。これらの立場にあるなら、過去問を見て簡単と感じる人も多いのではないでしょうか。

基礎知識がある人の場合、試験合格に必要な勉強時間は50~100時間程度と考えられています。1日2時間の勉強なら1~2ヶ月の勉強期間、つまり試験を難しいと感じる人の2分の1程度の勉強で合格を目指すことができます。

ただし基本情報技術者試験の試験範囲は幅広く、プログラミング言語以外にも経営戦略や法務等の知識も問われます。プログラミング経験者でも油断は禁物です。また、理系大学出身者でも学生時代に覚えたことを忘れてしまっている場合もあるでしょう。過去問をよく研究して、苦手分野がないかどうか確かめておくことが重要です。

基本情報技術者試験の勉強方法

基本情報技術者試験の内容を知る

基本情報技術者試験に合格するためには、まず試験の内容を知ることが必要です。

基本情報技術者試験の出題内容は、以下のようになっています。

午前の部(4択式)
  • テクノロジ系
  • 基礎理論/コンピュータシステム/技術要素/開発技術
    マネジメント系
    プロジェクトマネジメント/サービスマネジメント
    ストラテジ系
    システム戦略/経営戦略/企業と法務

計80問
午後の部(多肢選択式)
  • 必須
  • 情報セキュリティ:1問
    データ構造及びアルゴリズム:1問

  • 選択
  • ソフトウェア・ハードウェア/データベース /ネットワーク/ソフトウェア設計:3問
    プロジェクトマネジメント/サービスマネジメント/システム戦略/経営戦略・企業と法務:1問
    ソフトウェア開発(C,Java,Python,アセンブラ言語,表計算ソフトより選択):5問

合格基準

  • 午前、午後ともに100点満点中60点

参考元:「試験要項」https://www.jitec.ipa.go.jp/1_13download/youkou_ver4_6.pdf

午前試験の勉強方法

基本情報技術者試験の午前試験は短い問題文と4つの選択肢で構成されています。出題範囲は広く問題数も多いですが、内容としては過去問からの出題が多い傾向にあります。そのため午前試験対策ではたくさんの過去問を解いて、内容を把握しておくことが重要になります。

まずは、情報技術者検定試験の対策テキストを読んで、基礎知識をインプットします。情報技術者検定試験対策テキストには、次のようなものがあります。

  • 「キタミ式イラストIT塾 基本情報技術者」技術評論社
  • 親しみやすいイラストがたくさん掲載されている初心者向けのテキストです。最初の1冊として通読を目指すことができる本で、受験生にとても人気があります。練習問題付きです。

  • 「基本情報技術者試験合格教本」技術評論社
  • 要点型の「キタミ式」に対し、試験内容を幅広く網羅しているのがこちらのテキストです。出題例や章末問題で知識の定着を図れます。また、午前試験の過去問20回分を演習できる過去問アプリが付いてくる点も魅力的です。

テキストで試験範囲のインプットができたら、過去問で実践演習を行います。基本情報技術者試験の過去問は、IPAの公式サイトから22回分をダウンロードすることができます。最低でも6回、できれば10回以上の過去問を解いて出題傾向を掴みましょう。採点講評も配布されていますが、詳しい解説が欲しい人は過去問集を別に購入してください。

Point

テキスト・問題集を買うときは最新試験に対応しているものを選びましょう。

過去問集には例えば以下のような本があります。

  • 「基本情報技術者 パーフェクトラーニング過去問題集」技術評論社
  • 過去19回分の過去問の演習ができる過去問集です。よく出る計算問題+重要公式のコーナー、スマホで読むことができる用語集など、過去問以外の部分にも工夫が見られます。 

過去問を解くことで、自分が苦手な分野がどこかを知ることができます。それが分かったら、分野別に集中して勉強していきましょう。 

午前試験免除制度を利用する

基本情報技術者試験は午前試験と午後試験に分かれている分、試験対策に時間がかかります。両方の試験対策をするのが大変だという人は、午前試験免除制度の利用を考えてみましょう。

午前試験免除制度とは、IPAが認定する講座を受講し修了試験に合格することによって、午前試験が1年間(試験2回分)免除されるという制度です。修了試験の形式は午前試験と同様ですが、1度の試験合格で2回分の試験が免除になる点がメリットです。ただし、修了試験の受験地は本試験よりも数が少なくなる可能性があるため、認定講座を申し込む前に受験地を確認しておくと良いでしょう。

また修了試験を受けるためには認定講座の修了が条件となるので、確実に学習を進めていく計画性が必要になります(※講座修了条件は講座によって異なります)。

認定講座は全国の専門学校や能力開発校で実施されています。中には教育訓練給付制度で受講料の一部が還元されるものや、eラーニングで学習を進められるものもあります。

以下のIPA公式ページに認定講座の一覧や修了試験過去問が掲載されているので、参考にしてみてください。

「基本情報技術者試験(FE)の午前試験が免除される制度について」:
https://www.jitec.ipa.go.jp/1_80tokurei/_index_tokurei.html

ITパスポート試験を先に受験する

情報技術者検定試験の内容は、ITエンジニアに必要な技術内容を前提としています。そのためIT技術になじみのない人は、勉強をしていてもなかなか内容が身に着かないこともあるかもしれません。

そんな時は、もう一つレベルの低いITパスポート試験を先に受験するという方法があります。基本情報技術者午前試験の範囲は、ITパスポート試験とかなりかぶっています。先にITパスポート試験の勉強をして基礎知識を身に着け、そのあと情報技術者検定に挑戦するのも1つの方法です。

午後試験の勉強方法

午後試験は問題数こそ少なくなりますが、長文の問題を読み解いて正解を導く国語力が問われます。その膨大な問題文に、苦手意識を持つ人も多いのではないでしょうか。しかし、午後試験のベースになるのは午前試験の知識です。問題文をしっかり読んでいけば、午前試験の内容が見えてくるはずです。

このような理由から午後試験の勉強に手を付けるのは、午前試験の内容が身に着いてからが良いと考えられます。午前試験の過去問がある程度解けるようになってから、午後試験の勉強を始めましょう。

午後試験に特化したテキストには、以下のようなものがあります。

  • 出るとこだけ!基本情報技術者 午後
  • 午後試験の中でも頻出の分野に的を絞った一冊です。受験日まで時間がない人、直前対策に知識のまとめ本が欲しい人を対象に書かれたテキストです。解き方にこだわった解説で、過去問の再出題がほとんどない午後試験対策に特化した内容になっています。

  • うかる! 基本情報技術者 [午後・アルゴリズム編]
  • データ構造及びアルゴリズムは、午後試験の必須問題になります。アルゴリズムは多くの人が苦手にする分野ですので、テキストでやり方をしっかり押さえておくと良いでしょう。この本では、自動販売機などのイメージしやすい事例でアルゴリズムを解説しています。著者の動画による過去問解説もついているので、プログラムのイメージがしやすくなっています。

テキストで知識が身に着いたら、過去問を解いていきます。午後試験は午前試験と違い、過去問がそのまま出題されることはほとんどありませんが、出題傾向に関しては共通のものが繰り返し出題されます。過去問の内容を覚えるというよりは、過去問の形式に慣れることを考えて勉強を進めていきましょう。

まとめ

基本情報技術者試験の合格率は20~30%程度です。ITエンジニア向けの試験としてはレベルが低いとされていますが、類似資格との比較をすると難易度の高さが分かります。同じIT系の基礎知識を問われるITパスポート試験は合格率40~50%程度となっています。この合格率の差は基本情報技術者試験の方が、問われる知識が深いことを裏付けているといえるでしょう。

基本情報技術者試験に合格するためには、午前試験と午後試験、2つの試験に合わせた勉強が必要です。

まずは午前試験の内容をしっかり身に着けることが大事です。たくさんの過去問を解いて、基礎力を養いましょう。

午後試験の勉強時間をたっぷり取りたいなら、午前試験免除制度を利用する方法もあります。午後試験対策は、午前試験の知識を応用していく力が問われます。苦手な分野については、テキスト等を用いて集中的に学んでみてください。

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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷