期間工は工場を持つメーカーに雇用され、決められた期間だけ働く有期従業員のことです。最長でも35カ月間という決まりがあり、3~6カ月毎に契約を更新して働くことができます。
派遣社員とも似ていますが、メーカーから直接雇用されることに加え、各種手当も豊富な点で大きく異なっています。今回は期間工の平均年収や、採用されやすい時期・稼ぎやすい時期、メーカーによる年収比較や特徴をまとめました。
期間工の平均年収はどのくらいなのか、メーカーによる年収の違いなどを解説します。なぜ収入に違いが出るのかについても併せて確認しましょう。
期間工の平均年収は400~500万円と幅がありますが、勤続年数も大きく関係します。大手メーカーの期間工では1年目から年収400万円を超えており、35カ月の期間満了ではさらに年収はアップします。
時給にすると1,200~1,500円、日給では1万円以上になることもあり、一般的な平均年収と比べても高収入です。期間工は学歴や職歴、スキルに関係なく、18歳から働ける職場が多いですから、20歳前後で年収400万円以上なら稼げる仕事と言ってよいでしょう。
期間工を募集しているメーカーの多くは、各種手当を充実させて人材を募集しています。期間工の仕事で人材を確保するには、離職を防止できるだけの収入面でのメリットが必要です。
そのため、大手メーカーほど高収入で期間工を募集しており、35カ月の期間満了で1,400万円以上という条件を提示しているところもあります。
逆に、中小のメーカーになると収入面で好条件を提示しにくいため、仕事内容や職場環境の面で配慮してくれる傾向があります。
期間工として短期間で高収入を目指したい方は、大手メーカーに勤務するのがおすすめです。
色々なメーカーの期間工募集をチェックすると、2交代制または3交代制勤務を採用しています。2交代・3交代制では、日勤と夜勤がそれぞれの職場で勤務表に組まれており、毎月決まった時間だけ夜勤にも入らなければなりません。
夜勤は基本給に賃金が2~3割程度上乗せされるため、お金を稼ぎたい方は夜勤に入るのがおすすめです。
仕事内容については、担当する作業工程によって違いがあり、残業の多い工程もあります。残業も時間に応じて基本給の3割程度が上乗せされるため、残業の多い職場の方が稼ぎやすいことは確かです。
ただし、残業や夜勤の多い職場はその分体力も必要ですから、体調に合わせて働きやすい職場を選びましょう。
期間工の仕事は基本給も高めですが、それ以外にも多くの手当や住みやすい寮を完備しているメーカーが多いです。貯金を目的に期間工として働くなら、入社祝い金や満了慰労金、食費の補助など福利厚生が充実したメーカーを選ぶのがおすすめです。
各メーカーはホームページで期間工の募集をしており、その中に募集要項も掲載されています。支給される手当の内容、生活の拠点となる寮の有無、寮の写真などをチェックしてください。
ほとんどのメーカーでは寮費が無料となっているため、自由に使えるお金も増えます。一方で、生活のしやすさも大事ですから、綺麗に整備された寮を選ぶのがポイントです。
期間工の仕事は貯金に最適な環境ですから、体力に自信のある方は期間工に応募してみましょう。
期間工には採用されやすい時期、稼ぎやすい時期が存在します。これから期間工に応募する方は、時期を確認してから各メーカーに応募してください。
「今すぐ期間工になって稼ぎたい!」と考えている方は、少し踏みとどまってください。今が期間工になりやすい時期かどうか、大量の期間工を募集しているメーカーがあるかどうかをチェックすることが重要です。
期間工は誰でも応募できますが、誰でも採用しているわけではありません。狙い目は退職者や転職者が増える春頃の3月・4月、そして期間工の契約が終了する秋頃の9月・10月です。
従業員の数が少なくなれば、メーカー側も新たな人員確保に本腰を入れます。3・4・9・10月は人材の流動性が高い時期ですから、この時期に応募すると採用率も高まります。
採用率を上げたいなら、大量募集が行われるタイミングを狙いましょう。
期間工が稼ぎやすいとされる時期は、いわゆる繁忙期にあたる決算時期です。ディーラーの決算月は3月と9月になるため、メーカーの繁忙期は冬頃の2月・3月、夏頃の8月・9月です。
この時期は決算時期に向けて、増産体制に入ることから残業も多くなります。加えて、採用面では人員確保のため入社祝い金を増額することもあり、稼ぎ時を狙いたい方にはおすすめです。
期間工の大量募集の時期とも合わせると、2~4月と8~10月が期間工に応募するならおすすめのタイミングです。期間工として高収入を狙うなら、時期を意識しながら応募してください。
逆に、期間工には残業が少なく稼ぎにくい減産期もあります。多くのメーカーで減産期と言われているのが、正月前後、ゴールデンウィーク、お盆の時期です。
具体的には1・5・8・12月頃は仕事が一時的に減るため、期間工の募集も少なくなり、収入も減りやすいです。長期休暇のタイミングで期間工に応募しようと考えている方は、時期を早めるか、長期休暇後にずらすほうがよいでしょう。
毎年安定して期間工を募集している自動車メーカーから、それぞれの平均年収を比較してみましょう。表はメーカーの公式ホームページに記載されているもの、基本給や特別手当、祝い金等から計算した結果です。
実際には残業手当や欠勤、生産数等によっても変動するため、参考としてご覧ください。また、それぞれのメーカーの特徴についても解説します。
1年目の平均年収 | |
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トヨタ自動車 | 425万円 |
ホンダ | 414万円 |
スバル | 412万円 |
日産自動車 | 502万円 |
三菱自動車 | 564万円 |
マツダ | 450万円 |
日野自動車 | 480万円 |
いすゞ自動車 | 489万円 |
※未経験者の基本給・特別手当・祝い金等で計算したものであり、実際とズレが生じることはあります。
トヨタは期間工からの正社員登用実績が豊富で、2015年~2019年までの5年間で1620人の正社員登用を行いました。給与水準では425万円となっていますが、勤続年数が長くなるほど満了報奨金と満了慰労金が増え、他のメーカーよりも収入が多くなるシステムです。
赴任手当や食事補助金も毎月支給されるため、長く働きたい方におすすめのメーカーです。また、仕事環境も優れており、ワークライフバランスを意識して残業は少なめになっています。
残業代が少ない分を各種手当で穴埋めしており、働きやすい環境を望む方にもピッタリの条件です。毎年平均で300人程度の正社員登用も行っているため、大手自動車メーカーの正社員になるチャンスもあります。
ホンダは全国各地に工場を持つ自動車メーカーで、自動車製作をメインにする工場は勤務6カ月以下でも日給1万円以上を期待できます。食事補助や経験者手当のほか、満了一時金や特別手当もあるため、基本の給与額以上に多くの収入を得られます。
自宅通勤と寮生活を選ぶこともでき、通勤手当も支給されることから、地元の人にも働きやすい職場です。ホンダは従業員の待遇や働く環境に配慮しており、夏・冬にも比較的過ごしやすい労働環境として評判が良いです。
ワークライフバランスを意識して残業は少なめで、一般的な「へとへとになるまで働く」「腰を痛めるほどの重労働」という期間工のイメージとは大きく異なっています。期間工が初めての方でも、ホンダなら働きやすいのでおすすめです。
スバルの期間工は、就職時点で工場未経験者が8割と未経験者にも働きやすいことで知られています。早番・遅番・夜勤の3交代制勤務を採用しており、短期間で稼ぎやすいという特徴があります。
スバルの工場は残業が比較的多めで、基本給自体は他のメーカーと大きな差こそありませんが、残業代を含めると給与が大幅にアップする点が特徴的です。また、入社特典で40万円、経験者ならさらに15万円が入社時に支給されます。
スバルはトヨタを超える1,760名の正社員登用実績があり、将来的に正社員登用を目指したい方にもおすすめです。
日産自動車は神奈川を中心に複数の工場を有しており、女性の期間工も多く募集しています。日産では期間工の担当する工程が豊富で、ボディー製作・エンジン製作・生産準備・部品製作・組立・製作サポートなど男女問わず働ける点が魅力です。
5つある工場それぞれで慰労金や祝い金、皆勤手当てや経験者手当などは異なるものの、個人の能力に応じて適切な仕事が割り振られるようになっています。
正社員登用実績も4年間781人と多いだけでなく、教育制度や資格取得サポートも行っています。個人で努力をするほど認められやすいシステムとなっており、本気で正社員登用を目指す方にもおすすめです。
平均年収は502万円と高いですから、短期間に大きく稼ぐことを目的にして入社するのもよいでしょう。
三菱自動車の魅力は月収40万円以上の高収入です。三菱自動車公式の資産では、残業手当込みなら月収43万円以上となり、加えて特別手当が6カ月分の63万円支給されます。
日産自動車は、全メーカーと比較してもトップクラスの高収入を期待でき、短期間で一気にお金を稼ぎたい人には理想的な職場です。また、三菱自動車の特徴は、期間工への応募から採用までの時間の間隔が短い点です。
通常のメーカーは対面またはWeb面接の機会を設けていますが、三菱自動車では面接なしで採用が決まります。「期間工として働きたい」と思ったら、すぐに働けるようになる点も魅力です。
唯一注意したいのは、人気が高いことから、常に募集しているとは限らないことです。岡山・京都・滋賀などいくつかの工場がありますから、ホームページをチェックして募集を見逃さないようにしてください。
参照:三菱自動車
マツダは広島県と山口県を拠点に工場を有しており、福利厚生の面が充実しています。正社員登用にも積極的なメーカーで、最短で勤続6カ月以上の人から正社員登用試験を受けられます。
6カ月毎の更新で基本賃金がアップされ、昇給の金額も大きいことから、長く働くほど高収入を得やすい職場です。
また、入社時には支度金20万円、6カ月毎の満了慰労金が13~15万円、毎月の皆勤手当て2万円、夏季・冬季特別手当が3万円、更新手当5万円など各種手当も他メーカーより充実しています。
寮は最寄り駅から15分程度で都市部にアクセスでき、買い物にも遊びにも利用しやすい立地です。寮は完全個室になっているため、相部屋のように気を遣う必要もありません。
中国地方で期間工の仕事を探すなら、マツダの工場がおすすめです。
参照:マツダ自動車
日野自動車は、東京都・茨城県・群馬県に工場を有しており、関東地方を拠点にトラックを製造しています。他のメーカーとの違いは、東京にも工場があることから、利便性が非常に良い点です。
買い物はもちろん、休日は都心まで遊びに出かけることもでき、東京で生活を送りたい方にもおすすめです。入社祝金15万円に加え、3カ月後の契約更新で初回特別延長奨励金が15万円支給されるため、1年目から安定した収入が期待できます。
また、日野自動車は非常に寮が綺麗で、家具・家電の備え付けがされた個室が提供されます。食事も工場の食堂なら、一食160円程度で食べられるため、食費もほとんど掛かりません。
日野自動車は、女性や50代の未経験者も多く採用しており、初めて期間工として働く方にもおすすめです。
参照:日野自動車
いすゞ自動車は随時期間従業員を募集しており、1年目から500万円を超える年収も狙える点が特徴です。自宅通勤者の場合、入寮者とは別に自宅通勤者手当が2万円支給され、一年間で24万円の収入がプラスになります。
自宅通勤者手当は交通費と別で支給されるため、神奈川県の藤沢工場または栃木県の栃木工場付近に自宅がある方は、いすゞ自動車に勤めると500万円以上の年収を得られるでしょう。
いすゞ自動車は3カ月毎に満期慰労金が支払われる点も魅力で、35カ月勤務すると最大245万円の満期慰労金が支給されます。また、寮に入る方は家具・家電完備の個室で、寮費・光熱水費が0円です。
帰任旅費も支給されるため、遠隔地から働きに来る方も安心して引っ越しできます。トラックの組み立てを担当するなら藤沢工場、エンジン製造なら栃木工場と分かれており、興味のある方はそれぞれの工場を希望してみてください。
最短で翌月には働けますから、「すぐにいすゞ自動車で働きたい」という思いのある方は、応募してみてはいかがでしょうか。
期間工の仕事の中には、女性でも働きやすい軽作業メインのメーカーもあります。どのようなメーカーがあるのか、仕事内容はどのようになっているのか解説します。
ジヤトコはオートマチックトランスミッションの製造を行うメーカーで、力仕事が少ないことから40代以上の方も多く働いている仕事です。作業工程は機械の加工、組立、部品の運搬、バリ取り作業などです。
一部力仕事はあるものの、基本的には小型部品のセットと組立がメインで、辛い重労働が苦手な方や女性でも働きやすいでしょう。最初は時給が低めで、入社祝金もありませんが、6カ月毎の満了慰労金や毎月の皆勤手当、交替手当などは支給されます。
1カ月当たりの収入はおよそ30万円で、大手のメーカーに比べれば収入は少なめです。その分長く働きやすいことから、年齢や性別に関係なく働きたい方にも向いています。
参照:ジヤトコ株式会社
アイシンは、オートマチックトランスミッションやカーナビの部品製造が中心の仕事です。運搬担当は重い荷物を運ぶこともありますが、その他の部署ではあまり力仕事はありません。
アイシンは手当や満了金等が充実しており、入社祝金に20万円、6カ月の生産協力金で12万円、毎日計算の食事手当、契約更新謝礼金など盛り沢山です。時給も非常に高く、日給で計算すると1万円を超えます。
また、残業や深夜勤務の手当も時給をベースに計算しており、アイシンで働いて年収400万円以上という方も大勢います。軽作業中心の期間工でありながら、年収400万円を超える仕事は非常に珍しいです。
軽作業中心ということで、女性や40代以上の方も採用されやすいことに加え、アイシンでは正社員登用人数がトヨタを上回っています。高収入を得ると同時に、正社員登用を目指すならアイシンをおすすめします。
参照:株式会社アイシン
デンソーは自動車部品等の製造を行うメーカーで、部品製造や検査が主な仕事です。デンソーが作る製品は自動車のワイパーやアクセサリーが中心で、重労働は一部に限られています。
デンソーは月収29万4,705円~32万7,329円となっており、深夜勤務や残業、各種手当も合わせると、平均月収は40万円を超えることもあります。軽作業中心の工場の中でも、デンソーはトップクラスの平均年収を誇る職場です。
その分、残業は他のメーカーよりも多いため、軽作業中心でもある程度の体力が求められます。また、入寮した場合、寮費は無料ですが、光熱水費として毎月7,000円が徴収されます。
それでも、一般的な賃貸アパートより遥かに格安ですから、安定した高収入を求めるならデンソーがおすすめです。
参照:デンソー 期間従業員募集
一昔前は期間工というと、きつい・汚いというイメージを持たれることもありました。しかし、現在では生産を行うメーカーにとって必要な存在であり、職場環境も働きやすさやワークライフバランスが重視されるようになっています。
メーカーによっては年収500万円以上、2年11カ月の期間満了までに1,400万円以上を稼ぐこともでき、高収入を得たい人にとっては非常にありがたい仕事です。残業や深夜業務、休日出勤はあるものの、努力した分の見返りもあるのが期間工です。
期間を決めて働き、夢や目標のためにお金を稼ぎたい方は、有名メーカーの期間工に応募してみてはいかがでしょうか。