在学中に内定がもらえなかった。
就職活動のタイミングを外して、気がついた時にはもう遅かった。
バイト先で就職する予定だったのに、今年は採用枠がないと卒業間際に言われた。
そもそも就職活動自体をしていない。
人によって様々な事情があり、今年の就職は諦めて既卒として就職活動しようかな…と考える方、最近は結構多いようです。
どうせ新卒と一緒でしょと考えての事かもしれません。
でも「既卒は就職絶望的」なんて煽りもネットではよく見かけませんか?
実際、既卒はアリ?ナシ?既卒になった場合の影響、そして廃止が決まっている『就活ルール』など、今後の就活事情も交えて既卒について考えてみましょう。
そもそも『既卒』とはどんな立場の人のことを言うのか、詳しく理解しているでしょうか?
実際に公的に定義付けがされている言葉ではなく、就職・転職の業界で使われるようになった単語です。
『既に卒業している人』。単語を見ればそのままですが、一般的に認識されている定義としては、「卒業してから3年以内で正社員経験がない人」の事が既卒と呼ばれています。
年齢的には25〜6歳くらいまでということになるでしょうか。
既卒に近い立場としては、『新卒』と『第二新卒』があります。
それでは、それぞれはどんな違いがあって呼び分けられているでしょうか。
新規卒業者。現在の年度で卒業する人のこと。
卒業までを新卒と呼ぶため、卒業してしまうと既卒になります。
新卒で正社員として採用されたものの、3年以内に離職した人のこと。
新卒・既卒・第二新卒の中で唯一正社員経験があるということになります。
新卒はさすがに分かるよという感じですが、既卒と第二新卒はややこしく感じる方もいるのではないでしょうか?
既卒と第二新卒の違いは、正社員経験があるかないかという点につきます。
そして上記の3つの中で、既卒を選ぶかどうかという話ですが、こちらはもし回避できるのなら就職すべきだと断言します。
例えば留学して勉強したいことがあるとか、既卒になってでも将来を見据えた就職活動に活かせる明確な理由があるなら別ですが、特に理由はない、つらい、苦しい、面倒くさいなどの曖昧な理由だった場合、どうしても既卒という立場がハンデになります。
面接では必ずと言っていいほど「どうして既卒になったの?」「その間何をしてたの?」といった質問が来ます。
ここでポジティブな理由を答えられなければ、当然印象は悪くなるでしょう。
逆にポジティブな理由をしっかり答えられるなら、既卒でも就職はできるのです。
既卒はアリかナシかと聞かれれば、自分の置かれた状況次第でアリにもナシにもなるということです。
日本では、「新卒の就職活動は時期を定めて行い、新卒枠として大人数の一括採用をする」という独特のルールを設けていました。このルールを「就活ルール」と呼んでいます。
就活ルールは経団連が定めたもので、経団連に加盟している企業に適用されるものでした。
就活ルールのスケジュールとしては、
大学3年生の3月1日に説明会などの広報開始
大学4年生の6月1日から面接開始
10月1日から内定通知開始
というペースになっていました。
しかし、この就活ルールが2021卒から廃止となり、経団連主導から政府主導のルールに変わることが、2018年に決定されたのです。
廃止の理由は、就活ルールがあまり意味をなさなくなっていたためです。
経団連に加盟していない企業が増え、先行して学生をインターンなどで確保したり、ルールに則らない広報活動や人材の確保を行うようになりました。すると加盟企業が人材確保に乗り遅れるなどのデメリットが目立ったのです。
就活ルールは破っても罰則がないため、加盟企業までもがルールを破った活動を行う事例が出始め、ルールがあまり意味をなさなくなってきていました。
昨今では生涯雇用の常識も変わってきており、転職にも抵抗感が弱まっているため中途採用枠を増やさざるを得なくなってきたことなど、日本における働き方に多様性が出てきたことが影響しているようです。
就活ルールは21年卒から廃止されましたが、政府主導のルールは、今までの経団連主導のルールとどのように変わったのでしょうか。
結論から言うと、変わっていません。2020年1月に、2022年卒までは経団連が定めていたスケジュール(就活ルール)が踏襲されることが決まりました。
しかし、いずれはこのスケジュールも変わってくるとみられています。今後は企業の采配によって、広報活動や面接・内定を自由な時期に打ち出すことができるようになります。
そもそもきっちりと時期を定められ、企業側も学生側もその常識で動いていたのに、いきなりそのルールがなくなるというのでは、さすがに混乱が起こることが予想できます。
いきなりガラッと変わるわけにもいかないため、少しずつ変化していこうという方針を政府は宣言しているので、今後の展開が注目されます。
さて、この就活ルールが廃止になることで、既卒にはどんな影響があるでしょうか。
今後はベンチャー企業や外資系企業だけでなく、経団連に加盟した日系企業なども自由に人材募集を行えるということになります。
新卒でも中途でも、優秀な人材を確保するために競争はより激しくなることが予想されます。
企業の募集も時期がバラけるようになるので、積極的に情報を集めるようにしなければ、今まで以上に「気づけば終わってた…」という状況にもなりかねません。
新卒で就職活動に失敗した既卒の方は、更に真剣に自主的に動かなければ、どんどん取り残されていくでしょう。
今後はなおのこと、「既卒にはならない努力」が必要になるかもしれません。
しかし、既卒だからといって悲観するものでもありません。
ただ意味もなく既卒になったならぜひ焦ってほしいところですが、就職活動に活かせる理由があるのなら、それを思う存分武器にするアピールを考えましょう。
留学経験や資格取得、インターンの経験や希望する業界でのアルバイトの事でも構いません。
「ただそれを経験した」という事実だけ伝えたのでは、そんな人は他にいくらでもいるし。くらいに思われます。
ここまでしっかりと考えて、熱意と一緒に伝えるようにしましょう。
企業の人事担当者は、求職者の熱意とやる気に弱いです。それを忘れずに。
最近、転職業界では既卒や第二新卒に目を向ける企業も増えています。
新卒同様に若く、成長を見込めるポテンシャル採用として、「既卒枠」や「第二新卒枠」などの求人も多く見られるようになりました。
新卒と勝負をすれば「新卒の内に内定もらえなかった人」と見られる。
中途と勝負をすれば経験で圧倒的に力不足。
そんな立場の既卒ですから、いっそ開き直って最初から既卒枠を狙うというのも、手堅い就職活動といえます。
就職活動に行き詰まったら、転職エージェントという業界のプロに頼るのがおすすめ。というのは、ネット上でも見飽きるくらい見てきたと思います。
全サービス利用は無料というところも多いので、まず使ってみて損はありません。
けれど、昨今の転職エージェントは量と種類がありすぎて、どこを使えばいいのか分からない…
人気のところなら間違いないと思って、人気・実績NO.1!みたいなところにコンタクトを取ったら、既卒と知った途端フェードアウト。
なんて経験から信用できないという方もいるのではないでしょうか?
けれど、実はもっと深く調べてみると、「既卒向け転職エージェント」というものが一社ではなく数社存在するのが分かるはずです。
既卒向け求人は、総合型転職エージェントにとっては少々特殊性が高めなのです。
その分、最初から既卒向けと謳っている転職エージェントであれば、取り扱う求人のほぼ全てが既卒の方に紹介できる求人なので、マッチングしやすい利点があります。
既卒がアリかナシかを決めるのは、結局あなた次第ということになります。
新卒では未知の世界で、周りの競争と焦りで思うように行動できず、既卒になってからようやく就職活動の経験を積んだことで冷静に活動でき、志望していた企業に再挑戦したら内定を貰ったという方もいます。
就職活動はテスト勉強と一緒で、あなたに合ったやり方で行うのが大事です。
既卒になるかならないか、先を見据えてタイミングを見極め、就職活動に挑んでください。