日本はかつて学歴社会とされ、「高卒の就職や転職は厳しい」と言われていました。しかし、現代では一部の資格を除き、学歴よりもポテンシャルやスキルが重視される時代になっています。
そこで今回は、「高卒の転職は本当に厳しいの?」と不安を感じている方のため、高卒でも転職できる理由や転職成功のコツをご紹介します。
転職活動のポイントや年代別アピールポイントも解説しますから、ぜひ最後まで読んでください。
最初に知っていただきたい点として、高卒でも転職が厳しくなるとは限らないことです。3つのポイントで高卒の転職が可能な理由をご紹介します。
企業が中途採用を行う際、応募者に求めるのは必ずしも学歴とは限りません。学歴を重視するのであれば、求人条件に「大卒以上」「修士課程修了」などの文言を設定しているはずです。
大卒以上の学歴を求めるのは大企業が中心で、中小企業では大卒以上の条件を求めることはそれほどありません。
むしろ、近年の企業が求めているのは採用後の成長性や将来性で、ポテンシャル採用を行う企業の方が多数です。
そのため、高卒で転職を成功させるには、成長性の高い若手のうちに活動を進めるのが重要になります。
高卒でも転職できる重要な根拠の1つとして、厚生労働省の「平成30年若年者雇用実態調査の概況」があります。
調査結果によると、企業が正社員の中途採用にあたって重視した点は次の通りです。
重視した点 | 事業所の割合 |
---|---|
職業意欲・勤労意欲・チャレンジ精神 | |
コミュニケーション能力 | |
マナー・社会常識 | |
組織への適応性 | |
体力・ストレス耐性 | |
業務に役立つ専門知識や技能(資格・免許や語学力) | |
柔軟な発想 | |
学歴・経歴 | |
従順さ・会社への忠誠心 | |
業務に役立つ職業経験・訓練経験 | |
その他 |
上記の結果からもわかる通り、企業が求めるのは学歴や経歴よりも、勤労意欲やコミュニケーション能力の方が圧倒的に多数です。
つまり、高卒の学歴は転職活動でネガティブな要素にはなりにくく、意欲とコミュニケーション能力があれば、転職は可能であるとわかります。
参照:厚生労働省『平成30年若年者雇用実態調査の概況 P7より』
同じく若年者雇用実態調査のデータをみると、学歴よりも職業経験や専門知識、技能の方が重視されていることがわかります。専門課程の修了が必要な資格を除けば、学歴よりも経験とスキルが重視されています。
高卒で就職した方は、資格を持っていない人も珍しくありません。しかし、大卒者と比較して多くの社会経験を積んでおり、業務に特化したスキルを持つ人も多くおられます。
自身の経験とスキルをアピールできれば、高卒でも転職は十分可能です。
高卒でも問題なく転職できるとわかったところで、なぜ高卒の転職は厳しいと言われるのかについても理由をご紹介します。
企業の求人をチェックすると、応募資格が「大卒以上」となっている企業も少なくありません。特に大企業ほど学歴を求める傾向が強く、大企業への転職を目指す方にとっては逆風になるでしょう。
ただし、大企業で学歴を求められるのは新卒が中心で、中途採用には学歴が問われないこともあります。たとえば、派遣社員やアルバイト・パートから正社員登用されるケースが良い例です。
大卒を求める企業があることは確かですが、一概に高卒だから転職が厳しいとは言いがたいでしょう。
高卒の転職が厳しいと言われる理由につながっているのが、早期離職の問題です。
厚生労働省発表の「新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)」によると、就職後3年以内の離職率は高卒が35.9%、大卒が31.5%です。(*)
あまり大きな差ではありませんが、企業にとっては「高卒は早期離職しやすい」というネガティブなイメージにつながっています。ネガティブなイメージから、企業が高卒の中途採用に消極的になり、結果的に転職が難しくなっていると考えられます。
しかし、転職活動で仕事への意欲をアピールすれば、ポジティブなイメージに変えることは十分可能です。
*参照:厚生労働省 『新規学卒就職者の離職状況(平成31年3月卒業者)を公表します』
一種の学歴差別に近いですが、高卒では学習意欲が低いとみなされ、転職が厳しいとされることもあります。大卒者のように勉学に励んでおらず、就職を選んだと判断されるからです。
この点については、個人や家庭の事情も関わってくるため、一概に正しい見解とはいえません。しかし、企業が学習意欲の高い人材を求めているのは事実ですから、転職活動では仕事への意欲をアピールすることが重要になるでしょう。
高卒者が転職活動を本格的に開始する前に、やっておきたいおすすめの行動を2つご紹介します。
転職活動をするには、経験とスキル、そして資格が非常に重要です。資格は専門知識と技術を証明できるもので、転職先企業が求める資格なら価値が倍増します。
基本的には業務に関連した資格がおすすめですが、それ以外にも汎用性の高い資格を挙げるなら次の通りです。
上記資格は一例ですが、幅広い企業で転職活動を有利に進められる資格です。転職を希望する業界に応じて、有利な資格取得を目指しましょう。
転職先を決める際、少しでも自分が興味・関心のある分野を選べば、仕事への意欲につながります。
転職活動を本格化する前に、自分がどんな分野に興味があるのか、一度振り返ってみましょう。
給与や待遇だけで選ぶと、仕事とのミスマッチで早期離職のリスクが高まります。長く安定して働くためにも、自分の興味や関心、好き・嫌いといった感覚を大事にしてください。
高卒で転職を成功させるために、意識すべき6つのコツを解説します。
転職するなら、未経験の分野に応募するよりも、前職での経験を生かせる業種を選ぶのが1つ目のコツです。高卒は大卒よりも社会人経験が長く、1つの業界に特化した経験とスキルを持っている方が多いです。
企業にとっては、同じ業種で経験豊富な転職者がいれば、即戦力になると期待できます。面接で前職でのスキルや経験をアピールすれば、採用担当者が転職後の働きをイメージでき、採用されやすくなるでしょう。
高卒で転職するなら、どの年代においても転職理由をポジティブなものにすることが重要です。逆に、給与や待遇、人間関係を転職理由にするのは避けましょう。
ポジティブな転職理由とは、たとえば「前職では取り組めなかったプロジェクトを経験したい」「キャリアアップやスキルアップしたい」などです。
また、資格を取得したのであれば、「資格を生かせる仕事をしたい」という理由でもかまいません。採用担当者に熱意を伝え、「この人なら頑張ってくれそう」と思ってもらえる理由を考えましょう。
転職活動を進めていると、ほとんどの方が聞かれる質問として、「前職での学び」や「印象的な経験」などがあります。
高卒で就職した方は、大卒者よりも豊富な社会人経験があり、社会人としてさまざまな経験を積んでいます。
面接で同じ質問をされたとき、これまでの経験から何を学び、転職後にどう生かしていくかをエピソードで伝えられると好印象です。
特に前職の頃から継続してきたこと、学習意欲、人の意見を聞いて改めようとする姿勢は、面接で高く評価されます。自分をアピールするためにも、具体的で伝わりやすいエピソードを用意しましょう。
高卒で転職を成功させるには、転職後の仕事への熱意を伝えることも非常に重要です。
ただし、前提として転職希望の企業がどんな業務を行っているのか、自分のスキルがどう生かせるかなどを事前調査してください。
言葉だけで「意欲があります」と伝えるのではなく、自分がどんな仕事をしたいのか、なぜその企業を選んだのかをアピールすることがポイントです。
企業の中途採用では、仕事への熱意やチャレンジ精神も重要な評価ポイントですから、意欲を言葉で伝えられるように対策を練りましょう。
前職でどんな働きをして、どのような実績を残したかもアピールポイントになります。
たとえば、「営業職として売上を100%向上した」「建設業で施工管理技士を取得し、現場を監督してきた」など、具体的な成果があるほどアピールしやすいです。
企業にとって、前職で成果を残した人材であれば、転職後も心強い戦力として期待が持てます。実績と呼べるものがないとしても、前職で自分が心掛けてきたこと、経験が転職後にどう生かせるか伝えるのもよいでしょう。
高卒での転職活動は、経験を効果的にアピールすることが鍵になります。
高卒者が転職活動を進めるなら、転職エージェントの利用も成功のコツになります。高卒向けの転職エージェントには、高卒歓迎の求人が多く、業界や業種もそれほど限定されません。
転職エージェントのなかには、履歴書不要で面接に進めるサービスもあり、学歴に自信がない方でも安心して利用できます。
利用する際は、総合型と特化型の両方に登録しましょう。総合型で幅広い求人をチェックしつつ、特化型で専門分野の求人もフォローすることで、自分に見合った転職先をみつけやすくなります。
未経験の業界でも、自分の適性に合っていることがありますから、可能性を広げる意味でもさまざまなサービスを利用しましょう。
高卒者が転職を成功させるには、年代ごとにアピールポイントを変えるべきです。10代・20代・30代でおすすめのアピールポイントを解説します。
10代での転職活動は、なによりも「若さ」をアピールしましょう。「早期離職は不利になるのでは」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、若いからこそ成長性を期待されて採用率が高まります。
企業にとっては、教育次第で会社に貢献してくれる人材になると期待され、早期離職への不安は大きなデメリットにはなりません。
ただし、短期間に転職を繰り返したり、転職理由がネガティブだったりすると、採用担当者にマイナスな印象を与える可能性が高い点には注意しましょう。転職理由をポジティブな内容にすることと、仕事への意欲のアピールを重視してください。
また、将来のキャリアプランも明確にすると、より高い評価につながります。
20代の転職も、「若さ」や「成長性」をアピールポイントにしましょう。
転職後にどんな活躍をしたいのか、どんなキャリアプランを思い描いているのかなど、具体的に伝えられると良い印象を与えられます。
10代との違いとして、社会人経験をアピールするために、前職で培ったスキルや経験、実績をアピールすることも重要です。企業が中途採用に求めるのは即戦力ですから、仕事への前向きな姿勢が大切です。
ただし、20代後半からはリーダーシップやスキルが重視されるため、自己分析とスキルの棚卸しで自分の特徴を理解して臨みましょう。
30代からは成熟した知識とスキル、リーダーシップやマネジメント能力が問われるようになります。
20代のように若さをアピールするのは難しくなりますから、資格やスキルなどの可視化できるものを用意しましょう。
30代後半からはマネジメント経験が特に重要になるため、過去のリーダー経験や実績があれば、積極的にアピールしてください。30代の高卒無資格の方であれば、未経験分野に挑戦するのはリスクが高いため、経験が生かせる職場へ転職を目指すことがポイントです。
高卒の転職は厳しいとされていますが、若いうちに行動し、仕事への意欲をアピールすれば転職は十分可能です。
今回紹介した年代別アピールポイントや成功のコツも参考にすれば、自分に見合った職場がみつけやすくなります。
転職市場では、学歴よりも年齢やスキルが重視されますから、転職活動は1日でも早く開始しましょう。自分のスキルや経験、アピールポイント、適性をしっかりと把握すれば、高卒でも転職できます。
高卒であることは決してネガティブな要素ではありませんから、前向きな気持ちで転職活動を成功させましょう。
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