マンション管理士の試験は難しすぎる?!合格率が低い理由と勉強方法を解説

不動産系資格には、宅地建物取引士や管理業務主任者などいくつかの国家資格があります。その中でも合格率が低く、難関資格といわれているのがマンション管理士です。

マンション管理士は、マンション管理組合に対し様々なアドバイスを行うプロフェッショナルです。高い専門知識が求められる資格だからこそ試験が難しいのですが、合格率が低いのには他にも意外な理由があるようです。

この記事ではマンション管理士と他の不動産系資格との難易度の比較から、合格率が低い理由、マンション管理士資格試験の勉強方法までを解説しています。

マンション管理士とは

マンション管理士の役割

マンション管理士とは、マンション管理組合に対しマンション管理に関する様々なアドバイスを行う専門家です。

日本でマンションに住む人の割合は増加しています。マンションに快適に住み続けるためには、住民同士のルールの設定や老朽化した建物の修繕計画など、様々な管理業務が必要になります。これらの管理業務はマンションに住む人たちで構成されるマンション管理組合が担います。

しかし管理業務知識をもたない一般人にとって、マンション管理は大変難しい仕事です。管理費をどのように運用するのか、マンションの長期修繕計画をどう作成するのか、など分からないことがたくさん出てきます。

そんなとき頼れるのが、プロの観点からマンション管理組合にアドバイスをしてくれるマンション管理士です。

マンション管理士の仕事内容

マンション管理士の仕事内容はかなり幅広いものです。基本的にはマンション管理組合の運営や会計管理、マンション修繕時の業者選定、住民と業者がもめたときの仲裁などを行います。またセミナーや講演会の講師を勤めたり、自治体のマンション管理アドバイザーとして活躍するマンション管理士もいます。

加えてマンション管理士の特徴的な仕事に、マンション管理会社の業務チェックや管理費減額交渉を行うというものがあります。

マンション管理組合の多くは、マンション管理会社に管理業務を委託しています。ところがマンション管理会社の中には管理費が割高なところや、マンション管理適正化法を遵守していない悪徳会社も存在します。

マンション管理の素人にはマンション管理会社の良しあしはなかなか判断できません。

そこでマンション管理士がマンション管理会社の業務や価格を第三者の立場からチェックすることが重要になってくるのです。

なお管理業務主任者とマンション管理士はどちらもマンション管理に関わるという点では似ている職業です。しかしマンション管理会社の立場で仕事をする管理業務主任者と管理会社のチェックを行うマンション管理士では、立ち位置が大きく違ってきます。

マンション管理士の資格なしでも仕事はできる?

マンション管理士の資格は国家資格ですが、有資格者でなければできない業務(独占業務)というものはありません。つまりマンション管理士の資格がなくても、マンション管理組合に対するコンサルティング業務を行うことは法律上問題ないわけです。

ただしマンション管理士は「名称独占」資格です。マンション管理士の資格を有していない人がマンション管理士を名乗ることはできません。もし無資格者がマンション管理士を名乗れば、30万円以下の罰金と定められています。

またマンション管理のプロフェッショナルとして顧客を獲得したいなら、無資格では非常に厳しいです。マンション管理の仕事で独立を目指すなら、マンション管理士の資格はもちろん、他の不動産系資格、司法書士などの周辺資格も貪欲に獲得していく必要があるでしょう。

マンション管理士になる手順

マンション管理士になるには、まずマンション管理士の資格試験に合格する必要があります。試験に合格したら登録機関に申請書を提出し、マンション管理士としての登録を行います。マンション管理士試験合格後から、登録するまでの期日は特に指定されていません。

管理業務主任者の場合は、登録の際に2年以上の実務経験もしくは登録実務講習が必要になります。一方マンション管理士に関しては、申請のみで登録が可能です。
※犯罪を犯しているなどの欠格事項に該当する場合を除く

なおマンション管理士として登録した人は、5年ごとに法定講習を受けなくてはなりません。法定講習を受講しなければ、マンション管理士としての受講義務違反に該当してしまいますので注意してください。

マンション管理士の試験概要

受験資格

特になし

試験日程

11月

試験内容

(1)マンションの管理に関する法令及び実務に関すること
(2)管理組合の運営の円滑化に関すること
(3)マンションの建物及び附属施設の構造及び設備に関すること
(4)マンションの管理の適正化の推進に関する法律に関すること
(引用元:マンション管理センター https://www.mankan.org/yoryo.html)

試験形式

4択式のマークシート 50問

合格基準

50問中37問以上正解で合格(令和元年試験基準)
※年度によって合格ラインは35~38点と幅がある。おおむね7割以上正答で合格。

試験時間

2時間

受験費用

9,400円(非課税)
※マンション管理士になるための総費用
受験費用9,400円+登録手数料4,250円+ 登録免許税9,000円+住民票交付手数料(自治体によって異なる)

マンション管理士の難易度は?

合格率から見るマンション管理士試験の難易度

マンション管理士の合格率は非常に低くなっています。まずは直近5年分の合格者数と合格率を見てみましょう。

・平成27年度 合格者数1,158人 合格率8.2%
・平成28年度 合格者数 1,101人 合格率8.0 %
・平成29年度 合格者数1,168人 合格率9.0%
・平成30年度 合格者数 975人   合格率7.9%
・令和元年度  合格者数 991人  合格率8.2% 
(参考元:「スタディング」https://studying.jp/mankan/about-more/m-pass-rate.html
「マンション管理センター」https://www.mankan.org/pdf/R01_goukakusyagaiyo.pdf)

この結果から分かるように、マンション管理士の合格率は過去5年間で10%を上回ったことは一度もないのです。合格者数も平成30年度には1,000人を割り込み、この傾向は令和元年試験においても回復していません。平均して7~9%の合格率はマンション管理士が難関資格といわれる所以です。

他の不動産系資格と難易度を比較すると?

不動産関係の資格はマンション管理士以外にもたくさんあります。他の不動産系資格もマンション管理士と同じように難しいのでしょうか。

宅地建物取引士との比較

宅地建物取引士、通称「宅建士」はマンション管理士と同じ国家資格です。

不動産仲介業を営む宅地建物取引業者は従業員5人につき1人の宅地建物取引士を設置する義務があります。また重要事項の説明や取引書類への押印など宅地建物取引士の有資格者にしかできない独占業務も存在します。そのため宅地建物取引士は不動産仲介業で重宝される資格なのです。
宅地建物取引士試験の合格率は直近5年で以下のように推移しています。

平成27年度 合格者数30,028人 合格率15.4%
平成28年度 合格者数30,589人 合格率15.4%
平成29年度 合格者数32,644人  合格率15.6%
平成30年度 合格者数33,360人  合格率15.6%
令和元年度 合格者数37,481人  合格率17.0%
(参考元:「フォーサイト」https://www.foresight.jp/takken/column/pass-rate/)

宅地建物取引士試験の合格率は15~17%程度で、近年は少しずつですが合格率が高くなっていることが分かります。
合格者数はマンション管理士の約30倍にも上っています。

管理業務主任者との比較

管理業務主任者はマンション管理会社に所属し、顧客であるマンション管理組合に管理業務契約の説明を行う存在です。契約後はマンション管理が適切に行われているかを監督し、管理組合への報告を行います。

管理業務主任者は、マンション管理組合を顧客とする点ではマンション管理士と似た立場にあります。ただし管理業務主任者がマンション管理会社の立場から管理業務をチェックするのに対し、マンション管理士は顧客とマンション管理会社の間に立ってコンサルタントを行うという点で違いがあります。

管理業務主任者には有資格者しかできない独占業務があります。また管理委託業務を行う不動産管理会社は30人につき1人の管理業務主任者を設置する義務を有します。
管理業務主任者試験の合格率は直近5年で以下のように推移しています。

平成27年度 合格者数4,053人 合格率23.8%
平成28年度 合格者数3,816人 合格率22.5%
平成29年度  合格者数3,679人  合格率21.7%
平成30年度  合格者数3,531人  合格率21.7%
令和元年度 合格者数3,617人 合格率23.2%
(参考元:「スタディング」https://studying.jp/mankan/about-more/k-pass-rate.html)

管理業務主任者試験の合格率は20%前半で、建物取引主任者、マンション管理士と比べても高くなっています。合格者数はマンション管理士の3~4倍程度です。

マンション管理士試験の合格率が低い、合格者数が少ない理由は?

他の不動産系資格と比べてもマンション管理士の資格の難易度は高く、難しすぎる試験という印象があります。どうしてマンション管理士試験の合格率は特に低くなっているのでしょうか。

深い専門的知識が必要な試験内容

マンション管理士の試験問題では、難解な法律用語が多数出題されます。日常生活ではほとんど接点のないような言葉を勉強するのは、なかなか難しいものです。またすでに管理業務主任者のような不動産系勉強をしたことがあるという人にとっても、マンション管理士の試験は難易度が高いです。

マンション管理士の試験では非常に深い専門知識を必要とする問題が出題されます。さらには奇問が出題されることもあり、基本的な知識のみで受験するには荷が重い試験なのです。マンション管理士の試験を受験するなら、しっかりとした合格対策が必要です。

そもそも受験者が少ない

マンション管理士は宅地建物取引士や管理業務主任者に比べて合格者数が非常に少ないです。これは単に合格率が低いということだけでなく、そもそも受験者数が少ないことが原因となっています。

不動産系企業への転職や出世に利用できる宅地建物取引士や管理業務主任者と違い、独立系のイメージが強いのがマンション管理士です。独立開業でマンション管理士を請け負うのは会社勤め以上の難しさがあるため、実務経験が少ない若手には挑戦しづらい資格のようです。

誰でも受験できるため、受験者の質がバラバラ

マンション管理士試験の受験資格は特になく、年齢、学歴、実務経験に拘わらずだれでも挑戦することができます。そのため「必ず試験に合格したい」という真剣な受験者だけでなく、興味本位ややる気がない状態で受験する人も出てきてしまいます。

このような人たちは、まともに受験勉強をせずに試験を受けて不合格になってしまいます。このような人たちが合格率は低くする要因になっていると考えられます。

管理業務主任者のおまけで受験する人がいる

マンション管理士の資格試験は管理業務主任者試験と一緒に受験する人が多いです。というのも管理業務主任者とマンション管理士の試験は出題範囲が似ている部分があり、ダブル合格を狙って勉強すると効率が良いからです。

さらに管理業務主任者の資格を取得してからマンション管理士の試験を受験すると、5問が免除されるという仕組みも用意されています。難易度が比較的低い管理業務主任者から受験し、5問を免除された状態でマンション管理士の試験を受験するというのは1つの手です。

しかし中には管理業務主任者が目的なのに、ついでの感覚でマンション管理士の試験を受験する人もいるでしょう。管理業務主任者の試験とマンション管理士の試験は似ているとはいえ、問われる内容の深さには違いがあります。

管理業務主任者試験のおまけとして受験し、難易度の高いマンション管理士の試験に十分対応できないという受験生が合格率を下げている可能性があります。

マンション管理士試験の勉強方法

マンション管理士の試験は確かに難関ですが、合格率が低い理由には様々なものがあります。合格率だけを見て難しすぎる資格とあきらめてしまうことはありません。
マンション管理士の試験に合格するためにはどんな勉強をすればよいのかをご紹介します。

マンション管理士試験に必要な勉強時間

ユーキャンの調査ではマンション管理士試験に合格した人の勉強時間は大体250時間から500時間程度です。

(参考元:ユーキャン https://www.u-can.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%A3%AB%E3%83%BB%E7%AE%A1%E7%90%86%E6%A5%AD%E5%8B%99%E4%B8%BB%E4%BB%BB%E8%80%85/smart/iron/)

仮に平日2時間、土日に5時間ずつ勉強をするとすると、4ヶ月から半年で試験対策を行うことができます。意外と少なく感じるのではないでしょうか。

ただし不動産関係の法律に慣れていない(他の不動産系資格勉強をしたことがない)初学者の場合は、余裕をもって600~700時間を確保しておく方が無難です。前述したようなスケジュールで勉強するなら、8ヶ月~9ヶ月が必要です。

また最初に勉強時間の計画を立てても、働きながら資格勉強をするとなかなか思った通りには行かないこともあります。残業、出張、体調不良などの不測の事態に備えて、勉強時間には数ヵ月程度の余裕を持たせることをお勧めします。

マンション管理士試験の勉強方法を選ぶ

マンション管理士の勉強方法には、
・独学
・通信講座
・通学
の3つの方法があります。

時間に余裕があり、費用を節約したいなら独学

マンション管理士の資格試験に対応した学習書はたくさん発売されています。これらを利用すれば、独学でマンション管理士の試験対策を行うことができます。

まずはテキストを読み込んで一通りの知識をインプットした後、一問一答で知識を整理していきます。マンション管理士試験に対応したアプリを使って、隙間時間に学習を進めるという方法もあります。

次に過去問で現在の実力をチェックしつつ、抜けている知識を補っていきます。マンション管理士の試験では、過去問の知識を身に着けることで正答できる問題が約8割といわれています。

過去問で間違えた問題はあいまいにせず、テキストに戻ってしっかり確認することが大切です。時間に余裕があれば各出版社から出ている予想問題集を解いて仕上げをしましょう。

独学は教材の費用だけで済むので、大変安上がりです。一方で各種教材の選定や分からない個所を調べるための時間などがかかるため、決して効率的とは言えません。独学は勉強の時間をたっぷりとれる人や、すでに不動産系資格を取得している人向けの学習方法といえます。

管理業務主任者とのダブル合格を目指すなら通信講座

マンション管理士試験は管理業務主任者試験と試験範囲に重複が多く、同時受験が効率的といわれています。また管理業務主任者の資格をとった後マンション管理士試験を受験すると5問が免除されるという制度もあります(逆にマンション管理士の資格をとった後、管理業務主任者試験を受けても5問免除制度が使えます)。2つの資格はどちらもマンション管理に携わる上での重要資格ですから、揃えて取得できれば大きな強みになります。

マンション管理士の通信講座を開設している会社には「フォーサイト」「スタディング」「アガルート」「ユーキャン」がありますが、各社に共通しているのがマンション管理士と管理業務主任者ダブル合格を狙ったカリキュラムを展開していることです。マンション管理士と管理業務主任者のダブル合格を目指すなら通信講座の受講が適しています。

また通信講座なら2つの試験に合格するための厳選された教材が手元に届くため、自分で書店に行ってテキストを選ぶ必要がありません。質問サポートや添削サービスを利用すれば、疑問点も速やかに解決できます。さらに自宅にいながら学べるため、忙しい人にとっても学習しやすい方法です。通信講座は独学よりは費用が高くなりますが、スクールへの通学に比べれば安く利用できます。

きめ細かいサポートを望むならスクールへ通う

通学制スクールは独学や通信講座に比べてサポート制度が充実しています。通学スクールには様々なコースが用意されているため、自分の希望に沿った学習内容を選ぶことができるでしょう。

通信講座同様に管理業務主任者とのダブル合格を狙えるコースだけでなく、宅建士とのトリプル合格をねらうカリキュラムを組んでいるところもあります。他にも初心者むけに特化した講座、予想問題に重点を置いた講座などがあります。

通学制スクールでは、ライブ感も魅力の1つです。目の前に講師がいるため、分からない点はタイムラグなくその場で質問・解決することができます。また身近に同じ目的を持った仲間がたくさんいるので、モチベーションを保ちながら試験に臨むことができる点もメリットです。一方スクールが近くにない、仕事が忙しく通学時間が確保できないという人にはデメリットの多い学習方法といえます。

まとめ マンション管理士を難易度だけで諦める必要はない

宅地建物取引士や管理業務主任者試験に比べれば、マンション管理士の試験は確かに合格率が低い難関試験といえます。

ただマンション管理士の試験が難しいのは専門的で深い知識が求められるということ以外に、受験者の学習不足にも原因があるといわれています。試験対策をしっかりすれば、けして合格できない試験ではありません。

試験勉強の方法には、独学、通信講座、スクールへの通学という3つの方法があります。学習費用や自身の能力などを判断材料にして、納得のいく勉強方法を選びましょう。管理業務主任者とのダブル合格を狙うなら、通信講座を利用すると格安で効率の良い勉強が可能です。

マンション管理士は受験資格が必要ない上、登録にも実務経験を問われません。試験に合格さえすれば有資格者になれるという意味では、不動産系資格の中でも取得しやすい資格といえます。難易度だけでマンション管理士の資格を諦めるのはもったいないです。勉強に励んで、資格取得を目指してください。

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷