不動産系資格には、宅地建物取引士や管理業務主任者などいくつかの国家資格があります。その中でも合格率が低く、難関資格といわれているのがマンション管理士です。
マンション管理士は、マンション管理組合に対し様々なアドバイスを行うプロフェッショナルです。高い専門知識が求められる資格だからこそ試験が難しいのですが、合格率が低いのには他にも意外な理由があるようです。
この記事ではマンション管理士と他の不動産系資格との難易度の比較から、合格率が低い理由、マンション管理士資格試験の勉強方法までを解説しています。
まずは、マンション管理士の難易度から解説していきます。
マンション管理士の合格率は非常に低くなっています。まずは直近5年分の合格者数と合格率を見てみましょう。
*参照STUDYing『マンション管理士試験の受験者データを解説!合格率・難易度は?』
この結果から分かるように、マンション管理士の合格率は過去5年間で10%を上回ったことは一度もないのです。
合格者数も平成30年度には1,000人を割り込み、この傾向は令和元年試験においても回復していません。平均して7~9%の合格率はマンション管理士が難関資格といわれる所以です。
不動産関係の資格はマンション管理士以外にもたくさんあります。他の不動産系資格もマンション管理士と同じように難しいのでしょうか。
宅地建物取引士、通称「宅建士」はマンション管理士と同じ国家資格です。
不動産仲介業を営む宅地建物取引業者は従業員5人につき1人の宅地建物取引士を設置する義務があります。
また重要事項の説明や取引書類への押印など宅地建物取引士の有資格者にしかできない独占業務も存在します。そのため宅地建物取引士は不動産仲介業で重宝される資格なのです。
宅地建物取引士試験の合格率は直近5年で以下のように推移しています。
宅地建物取引士試験の合格率は15~17%程度で、近年は少しずつですが合格率が高くなっていることが分かります。
合格者数はマンション管理士の約30倍にも上っています。
管理業務主任者はマンション管理会社に所属し、顧客であるマンション管理組合に管理業務契約の説明を行う存在です。契約後はマンション管理が適切に行われているかを監督し、管理組合への報告を行います。
管理業務主任者は、マンション管理組合を顧客とする点ではマンション管理士と似た立場にあります。
ただし管理業務主任者がマンション管理会社の立場から管理業務をチェックするのに対し、マンション管理士は顧客とマンション管理会社の間に立ってコンサルタントを行うという点で違いがあります。
管理業務主任者には有資格者しかできない独占業務があります。また管理委託業務を行う不動産管理会社は30人につき1人の管理業務主任者を設置する義務を有します。
管理業務主任者試験の合格率は直近5年で以下のように推移しています。
*参照STUDYing『管理業務主任者試験の合格率・難易度は?受験者データを解説!』
管理業務主任者試験の合格率は20%前半で、建物取引主任者、マンション管理士と比べても高くなっています。合格者数はマンション管理士の3~4倍程度です。
他の不動産系資格と比べてもマンション管理士の資格の難易度は高く、難しすぎる試験ということがわかりました。
ではどうしてマンション管理士試験の合格率は特に低くなっているのでしょうか。
マンション管理士の試験問題では、難解な法律用語が多数出題されます。日常生活ではほとんど接点のないような言葉を勉強するのは、なかなか難しいものです。
また、すでに管理業務主任者のような不動産系勉強をしたことがあるという人にとっても、マンション管理士の試験は難易度が高いです。
マンション管理士の試験では非常に深い専門知識を必要とする問題が出題されます。さらには奇問が出題されることもあり、基本的な知識のみで受験するには荷が重い試験なのです。マンション管理士の試験を受験するなら、しっかりとした合格対策が必要です。
マンション管理士は宅地建物取引士や管理業務主任者に比べて合格者数が非常に少ないです。これは単に合格率が低いということだけでなく、そもそも受験者数が少ないことが原因となっています。
不動産系企業への転職や出世に利用できる宅地建物取引士や管理業務主任者と違い、独立系のイメージが強いのがマンション管理士です。
独立開業でマンション管理士を請け負うのは会社勤め以上の難しさがあるため、実務経験が少ない若手には挑戦しづらい資格のようです。
マンション管理士試験の受験資格は特になく、年齢、学歴、実務経験に拘わらずだれでも挑戦することができます。
そのため「必ず試験に合格したい」という真剣な受験者だけでなく、興味本位ややる気がない状態で受験する人も出てきてしまいます。
このような人たちは、まともに受験勉強をせずに試験を受けて不合格になってしまいます。このような人たちが合格率は低くする要因になっていると考えられます。
マンション管理士の資格試験は管理業務主任者試験と一緒に受験する人が多いです。というのも管理業務主任者とマンション管理士の試験は出題範囲が似ている部分があり、ダブル合格を狙って勉強すると効率が良いからです。
さらに管理業務主任者の資格を取得してからマンション管理士の試験を受験すると、5問が免除されるという仕組みも用意されています。難易度が比較的低い管理業務主任者から受験し、5問を免除された状態でマンション管理士の試験を受験するというのは1つの手です。
しかし中には管理業務主任者が目的なのに、ついでの感覚でマンション管理士の試験を受験する人もいるでしょう。管理業務主任者の試験とマンション管理士の試験は似ているとはいえ、問われる内容の深さには違いがあります。
管理業務主任者試験のおまけとして受験し、難易度の高いマンション管理士の試験に十分対応できないという受験生が合格率を下げている可能性があります。
マンション管理士の試験は確かに難関ですが、合格率が低い理由には様々なものがあります。合格率だけを見て難しすぎる資格とあきらめてしまうことはありません。
マンション管理士の試験に合格するためにはどんな勉強をすればよいのかをご紹介します。
ユーキャンの調査ではマンション管理士試験に合格した人の勉強時間は大体250時間から500時間程度です。
参考元:ユーキャン https://www.u-can.co.jp/%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3%E7%AE%A1%E7%90%86%E5%A3%AB%E3%83%BB%E7%AE%A1%E7%90%86%E6%A5%AD%E5%8B%99%E4%B8%BB%E4%BB%BB%E8%80%85/smart/iron/
仮に平日2時間、土日に5時間ずつ勉強をするとすると、4ヶ月から半年で試験対策を行うことができます。意外と少なく感じるのではないでしょうか。
ただし不動産関係の法律に慣れていない(他の不動産系資格勉強をしたことがない)初学者の場合は、余裕をもって600~700時間を確保しておく方が無難です。前述したようなスケジュールで勉強するなら、8ヶ月~9ヶ月が必要です。
また最初に勉強時間の計画を立てても、働きながら資格勉強をするとなかなか思った通りには行かないこともあります。残業、出張、体調不良などの不測の事態に備えて、勉強時間には数ヵ月程度の余裕を持たせることをお勧めします。
マンション管理士の勉強方法には、
の3つの方法があります。
マンション管理士の資格試験に対応した学習書はたくさん発売されています。これらを利用すれば、独学でマンション管理士の試験対策を行うことができます。
まずはテキストを読み込んで一通りの知識をインプットした後、一問一答で知識を整理していきます。マンション管理士試験に対応したアプリを使って、隙間時間に学習を進めるという方法もあります。
次に過去問で現在の実力をチェックしつつ、抜けている知識を補っていきます。マンション管理士の試験では、過去問の知識を身に着けることで正答できる問題が約8割といわれています。
過去問で間違えた問題はあいまいにせず、テキストに戻ってしっかり確認することが大切です。時間に余裕があれば各出版社から出ている予想問題集を解いて仕上げをしましょう。
独学は教材の費用だけで済むので、大変安上がりです。一方で各種教材の選定や分からない個所を調べるための時間などがかかるため、決して効率的とは言えません。
独学は勉強の時間をたっぷりとれる人や、すでに不動産系資格を取得している人向けの学習方法といえます。
マンション管理士試験は管理業務主任者試験と試験範囲に重複が多く、同時受験が効率的といわれています。
また管理業務主任者の資格をとった後マンション管理士試験を受験すると5問が免除されるという制度もあります(逆にマンション管理士の資格をとった後、管理業務主任者試験を受けても5問免除制度が使えます)。
2つの資格はどちらもマンション管理に携わる上での重要資格ですから、揃えて取得できれば大きな強みになります。
マンション管理士の通信講座を開設している会社には「スタディング」「アガルート」「ユーキャン」「フォーサイト」がありますが、各社に共通しているのがマンション管理士と管理業務主任者ダブル合格を狙ったカリキュラムを展開していることです。
マンション管理士と管理業務主任者のダブル合格を目指すなら通信講座の受講が適しています。
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さらに自宅にいながら学べるため、忙しい人にとっても学習しやすい方法です。通信講座は独学よりは費用が高くなりますが、スクールへの通学に比べれば安く利用できます。
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通信講座同様に管理業務主任者とのダブル合格を狙えるコースだけでなく、宅建士とのトリプル合格をねらうカリキュラムを組んでいるところもあります。他にも初心者むけに特化した講座、予想問題に重点を置いた講座などがあります。
通学制スクールでは、ライブ感も魅力の1つです。目の前に講師がいるため、分からない点はタイムラグなくその場で質問・解決することができます。
また身近に同じ目的を持った仲間がたくさんいるので、モチベーションを保ちながら試験に臨むことができる点もメリットです。一方スクールが近くにない、仕事が忙しく通学時間が確保できないという人にはデメリットの多い学習方法といえます。
宅地建物取引士や管理業務主任者試験に比べれば、マンション管理士の試験は確かに合格率が低い難関試験といえます。
ただマンション管理士の試験が難しいのは専門的で深い知識が求められるということ以外に、受験者の学習不足にも原因があるといわれています。試験対策をしっかりすれば、けして合格できない試験ではありません。
試験勉強の方法には、独学、通信講座、スクールへの通学という3つの方法があります。学習費用や自身の能力などを判断材料にして、納得のいく勉強方法を選びましょう。
管理業務主任者とのダブル合格を狙うなら、通信講座を利用すると格安で効率の良い勉強が可能です。
マンション管理士は受験資格が必要ない上、登録にも実務経験を問われません。試験に合格さえすれば有資格者になれるという意味では、不動産系資格の中でも取得しやすい資格といえます。難易度だけでマンション管理士の資格を諦めるのはもったいないです。勉強に励んで、資格取得を目指してください。