北陸新幹線が開通し交通の便が良くなった長野県。北アルプスの大自然に囲まれ、避暑地や観光名所も多く魅力的な都市のひとつです。
テレワークの普及や新しい働き方を求め、豊かな自然に囲まれた暮らしやすい環境として人気のある長野県での転職を考えている人も多いのではないでしょうか?
しかし、「暮らしやすさ=働きやすさ」とは限らないため転職を検討する際は事前の情報収集が大切です。
今回は、長野転職のメリット、デメリット、成功させるポイントにも触れながら転職事情について詳しくご紹介させていただきます。
長野県在住で転職を考えている方はもちろん、UターンやIターン転職を検討している方も、ぜひ参考にしてください。
長野県は中部地方に位置し、北海道、岩手県、福島県に次いで日本で4番目に大きな面積を持っています。日本のほぼ中央に位置し、雄大な自然に囲まれた自然豊かな都市で北信・東信・中信・南信の4つのエリアにわかれています。
2020年10月時点での人口は約203万人。長野県最大の都市は約37万人の県下最大人口を誇る県庁所在地でもある長野市です。
長寿県(男性:全国2位、女性:全国1位)としても有名な長野県ですが、「就業率 59.0%(全国2位)」「65歳以上の就業率 28.7%(全国1位)」「女性の就業率 50.6%(全国2位)」(※)と就業率が高い県でもあります。
軽井沢高原・善光寺・上諏訪温泉・諏訪湖など、避暑地として人気の名所・旧跡が多く、国内でも有数の温泉大国としても有名でアルプス登山やアウトドア、ウインタースポーツと幅広いアクティビティが充実しています。
レタスやリンゴ、蕎麦などの農業や日本酒、ワインなどの食料品製造業が盛んなイメージを持つ人も多いと思いますが、長野県はものづくり産業も盛んであり自動車関連機器メーカーや精密機械、電子産業、電気機械などの企業も多数存在しています。
自然の中での生活、というイメージが強いですが北陸新幹線の開通により東京・金沢へ約1時間半と利便性も高く、平日は都心部での生活を送り週末は長野県での田舎暮らしを楽しむ方も珍しくありません。
長野転職を成功させるためには情報収集から始めましょう!就業率の高い長野県の転職事情はどのようになっているのでしょうか?
長野県の平均年収、有効求人倍率、求人状況等を紹介しながら転職事情を見てみましょう。
長野労働局発表の発表をみると、令和2年9月分の有効求人倍率は 1.00 倍となっています。
また、有効求人数は 35,527 人で前月に比べ 1.9%増加し、有効求職者数は 35,665 人で前月に比べ 0.6%増加しています。
9月の新規求人数(実数値)は 13,826 人となり、前年同月比で 18.7%減少。
産業別(大分類)では「建設業」を除き、全ての業種において前年同月比で減少していると報告されています。
コロナ禍の影響により転職者への売り手市場に陰りがみえ、求職者が求人をやや上回っています。前月を0.02ポイント上回っているなど新規求人に改善がみられるものの弱い動きが継続されています。
※参照:厚生労働省長野労働局「最近の雇用情勢(令和2年9月分)」
https://jsite.mhlw.go.jp/nagano-roudoukyoku/content/contents/houdou2-46.pdf
そして、この表は長野県の地域別有効求人倍率です。
地域別では長野市を中心とした北信地域が1.12倍ともっとも高い結果となっており、安定所別では木曽福島が1.35倍、次いで長野1.22倍、大町1.22倍となります。
地域によって仕事の見つけやすさも少なからず影響するので地域別の有効求人倍率も参考にしてみましょう。
産業別の新規求人を見てみると、「医療・福祉」「製造業」「卸売業・小売業」「建設業」の求人数が多いことが分かります。
しかし「建設業」以外の産業は前年同月を下回る結果であり、新型コロナウイルス感染拡大の影響の大きさを物語っています。
とは言え、令和2年9月の新規求人・求職者数を職業別に対比してみると、「事務的職業」「運搬・清掃等の職業」以外は求人数の方が多く、特に「専門的・技術的職業」「サービスの職業」「建設・採掘の職業」は求人数が大きく上回っています。
※参照:厚生労働省長野労働局「最近の雇用情勢(令和2年9月分)」
https://jsite.mhlw.go.jp/nagano-roudoukyoku/content/contents/houdou2-46.pdf
先ほどの産業別新規求人のデータなどを見ていただいても分かるように「建設業」だけは前年同月を上回っていること、新規常用求人数が764に対し新規常用求職者数が78であることから長野県で転職しやすい業種の一つとして考えられます。
また、長野県は高地であり豊富な水と澄んだ空気が特徴である諏訪地域を中心に精密機械や電子産業が盛んであり、先端技術による産業が集積しているため製造業で働く人が多くいます。
長野県に本社や拠点を構える大手企業には建設業や製造業の割合が高いので、長野転職を検討しているのならこれらの業種も候補の一つに入れてみてはいかがでしょうか?
また、長野県は幅広い業種で人手不足が続いているため、採用条件を引き上げた正社員雇用の求人が増えていることが特徴です。
有効求人倍率1.00 倍を継続していることから、転職市場は思ったほど悪くはありません。
長野県で働きやすいエリアは中心部(長野市や松本市)となり、サービス業や接客業のニーズが高め。
長野県は精密機器分野において工場での製造業、評価テスト、設計・開発、事務職など未経験OKの求人も多くみられます。
また、長野県は資本力が豊富な上場企業が多数本社を置きIT業やコンサルティング業のニーズも高いためUターン、Iターン転職を考えやすい環境となっています。
※参照:厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査の統計データより
長野県の平均年収約460万円は全国で22位。サラリーマンの平均年収約421万円よりも高水準となっています。
ちなみに、長野県の一人平均きまって支給する給与(毎月勤労統計調査)の令和2年9月分の事業所規模30人以上の結果は272,786 円で前年同月比0.5%の上昇となっています。
令和2年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で低下しているのでは?と思いがちですが、長野県内の産業別にきまって支給する給与を見てみると「情報通信業(12.7%)」、「医療、福祉(7.8%)」、「卸売業、小売業(1.5%)」が上昇していることが前年同月比よりもプラスとなった要因かもしれません。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査」から都道府県別賃金をみると、全国平均は約307万円ですが、一方で長野県の賃金は283万円とやや低め。
また、全国平均よりも高かったのは東京都、神奈川県、愛知県、大阪府と都心部になり、最も高い賃金は379万円の東京でした。
職種にもよりますが、都心部から長野県への転職では賃金ダウンは覚悟しておいた方がいいでしょう。
参照:厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2019/dl/08.pdf
長野県は“移住したい都道府県ランキング1位”や“幸福度ランキング全国5位” “健康寿命全国1位(男性・女性)”といった暮らしやすい環境が魅力的な県ですが、転職をする際のメリット・デメリットにはどのようなことが挙げられるのでしょうか。それぞれを見ていきましょう。
長野転職のメリットは以下の6つあります。
都心での給料と比べると賃金ダウンするため「やっていけるの?」と心配される方もいますが、圧倒的に生活費がかかりません。
家賃だけでなく食費、生活雑貨、駐車場代など生活に関わる様々な費用が安く抑えられるため生活はしやすいでしょう。
長野県は人手不足に悩み、企業も採用条件を挙げた人材雇用活動や他府県からの移住転職に積極的です。
そのため、専門性の高いスキルやキャリアの豊富な転職者にとっては年収アップのチャンスがあります。
経済活動がさかんな長野中心部では、企業の本社も多く集まり求人も豊富なので、幅広い求人から自分の希望に合った仕事を探すこともできるでしょう。
総務省統計局が行った調査によると、長野県での平均通勤時間は20.5分と都心部に比べて短いことがわかり、都心部では30分~50分かかる通勤時間が大幅に短縮されます。
さらに都心部では人口密度が高いことから通勤ラッシュも辛いですが、長野では車通勤の人も多いため通勤のストレスから解放されるでしょう。
長野県ではUIJターンの支援事業への取り組みが活発に進められています。
単身世帯最大60万円/人・2人以上世帯最大100万円/世帯と、県外から移住し県内での就業や創業をする方対象に金銭的なサポートが行われています。
また、移住お試し住宅や移住後の住居への助成金、“楽園信州ファミリー”といった県内の企業と協賛したさまざまなサービスを受けることができるので、移住がしやすいといったメリットがあります。
都会から田舎へ遊びにいくと、どれだけよどんだ空気の中で生活しているのかということが分かります。
排気ガスで真っ黒のベランダ、臭い洗濯ものや大気のモヤ、街中もゴミが目立ち、水も美味しくない…こんな生活環境で暮らしていると健康面で不安という方から人気が高いのが長野への移住転職です。
公園はもちろん自然環境豊かで子どもの外遊びに悩む必要がなく、夜は星空を楽しむことができる環境と共に子育て支援が充実していることもメリットのひとつ。
地域での子育て支援が整備され、妊娠時からのケア、子育て世帯への訪問活動などが行われています。
また、協賛店舗で買い物をすると、優待サービスを受けられる子育て家庭優待パスポート事業にも取り組み、安心して子育てできる都市として人気が高いです。
長野での転職にはメリットとともにデメリットについても確認しておきましょう。
デメリットは以下の4つが挙げられます。
業種や職種により異なりますが、同業種同職種での転職では年収ダウンする可能性が高いことがデメリットとなります。
移住転職に伴い収入が少なくなることで転職に一歩踏み出せない方もいますが、生活コストも下がるため問題ないとされている方が多いようです。
都会で生活されている方は車を持っていない方も多いですが、長野の中心部から離れたエリアで移住転職すると移動のため車は欠かせません。
そうすると車の維持費がかかりますが、自動車免許を持っていない人はまず免許取得費用、自動車購入費用、保険料、税金、ガソリン代…とこれまで必要なかったコストが新たにかかってしまいます。
田舎では1人1台車を所有することは珍しくないため、家族を連れた移住転職では車に関するコストが必要となります。
ただし、最近では車のリースも行われているため工夫すれば抑えられるコストであることを覚えておきましょう。
都会から長野県へ移住転職された方が最も辛いのは冬の寒さと降雪ではないでしょうか。
寒い・雪深いイメージを持つ方が多く、確かに北の山沿いでは降雪量が多く慣れない寒さや雪かきのストレスを感じる方もいらっしゃいます。
しかし、長野県の都市部では降雪は年に数回といった程度で除雪作業や整備もされていますので、生活に困ることは少ないでしょう。
移住転職する場合は、南北に長い長野県はエリアによって気候が大きく異なるため移住先についてしっかり調べておく必要があります。
都会のストレスから解放されたいと思い田舎へ移住転職する方は多いですが、田舎には田舎のストレスがあります。
それは地域との繋がりが深く、近所とのコミュニケーションの大変さです。
自治会や消防団の活動など、これまで都会暮らしで縁のなかった方も田舎の習慣に馴染んでいなくてはいけません。
都会と比べると濃密なコミュニケーションが必須なので、人付き合いをしたくない方には長野での生活はあまり向いていないといえます。
しかし子供同士の付き合いや子育てのサポートなど田舎ならではの親密さは、子育て世帯にとっては大きなメリットとなるでしょう。
長野転職を考えている方が押さえておきたいポイントを6つご紹介します。
転職活動期間の平均は約3ヶ月と言います。仕事が忙しく転職活動をする時間がないからと退職後から転職活動を始める人もいますが、在職中からブランク期間を作らないよう計画的に転職活動を進めていくことが理想です。
退職してからの転職活動は時間にゆとりがありますが、すぐに転職先が決定する保証がないため気持ちの焦りや金銭的な余裕がなくなる可能性も考えられます。
また、引っ越しを伴う転職の場合も転職先が決定してから移住の準備を始めましょう。
在職中から転職活動を始めるのが厳しいと感じる人はこの後に紹介する転職エージェントの利用も検討してみましょう。
一時的な感情や漠然とした理由で「転職したい」と思う人はたくさんいます。しかし、そのような理由で転職活動をしても上手くいかない可能性があります。
ネガティブな理由を転職理由としている人や仕事への熱意を少しも感じられない人を採用したい企業はありません。
なぜ転職したいと思ったのか?なぜ長野なのか?今の会社では実現できないこと?転職をしてどうなりたいのか?
このように一つ一つを掘り下げていき転職理由を明確にしておきましょう。
就職活動と同じように転職活動でも「自己分析」と「情報収集」が転職成功を左右するカギとなります。
先ほど話した転職理由を明確にすることも自己分析の一つであり、更にこれまでの経歴・実績を整理しておく、アピールできるスキル、自分自身の強み・弱みなどを客観的に分析しておくことが大切。
また、情報収集では長野の転職事情や転職動向のチェックをしておくことで“長野で転職しやすい業界・職種”を知るきっかけとなること、興味のある企業の求人や情報を詳しく調べておき面接対策に役立てること、入社後のミスマッチを防ぐことが可能となります。
仕事だけでなく年収やライフスタイルが変化することを考慮しなければいけません。
Uターン・Iターン・Jターン転職は人によって合う・合わないがあるため、転職を考えたときは事前に情報収集は十分に行いましょう。
遠隔からの転職活動は情報が入手しにくく職場のイメージも掴みにくいため、転職活動が思うように進まないことが考えられます。
そのため、転職事情やその土地の生活事情に詳しい転職エージェントの活用がおすすめ。
転職ノウハウのアドバイスだけでなくライフスタイルに考慮した転職の提案もしてもらえますので、業界や地域の企業の詳しい情報を入手し安心した転職活動を進めることができます。
都会に住み、長野に旅行で訪れ憧れをもって移住したいと思っている方は、まず移住体験をしてみてください。
プライベートを充実させたい、自然に囲まれ子育てしたい、趣味を満喫したいなど、憧れだけで移住実際に生活してしまうと、「イメージよりも生活しにくい」と都会に戻る方も少なくありません。
移住お試し住宅の整備などその土地での生活を体験できる支援も充実していますので、本気で移住転職を考えている方はぜひ利用してみることをおすすめします。
遠方からの転職となるとその地域の特性や求人情報はなかなか分かりにくいもの。
長野県で開催されている転職フェアや企業説明会に参加するなど、企業の実態を把握することが大切です。
また、仕事をしながら転職活動を行う方は転職エージェントのサポートが不可欠。
求人サイトなどを利用して求人情報を探す人も多いと思いますが、より効率良く自分の希望にマッチした求人を探すためには“求人サイト”ではなく転職のプロのサポートが受けられる“転職エージェント”を活用した転職活動がおすすめです。
転職エージェントでは以下のようなサポートが受けられるので、在職中からでも無理なく転職活動を進めていけるだけでなく個人での転職活動よりもスムーズ・有利であることが特徴です。
情報収集や企業研究、マッチング、企業とのやり取りなど転職活動でのフルサポートを受けることができますのでUIJターンを検討している方は利用しない手はありません。
転職エージェントのサポート内容
2020年は突如として起こった新型コロナウイルスの感染拡大により、仕事に対する考え方や価値観が大きく変化した人も多かったのではないかと思います。
オンライン化が推進され、これまでと異なり物理的な距離を感じにくく好きな場所で仕事をする時代になってきているのでしょう。
大都市圏で働くことにこだわらず、暮らしやすい場所で働くことを選択してもいいのではないでしょうか。
長野県内での転職者はもちろんこと、長野県への移住を伴う転職を検討している人も転職動向をチェックすることや転職エージェントを活用しながら効率良く転職活動を進めていきましょう。
また、長野県では東京圏(埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県)、愛知県又は大阪府からの移住者に対し「移住支援事業」を59市町村で実施しています。
様々な状況を総合的に判断しより良い長野転職としましょう。