新型コロナウイルスが流行している中、現在働いている仕事と違う分野への転職を考えている方も多いでしょう。そこで注目される業界がIT分野です。IT分野の仕事はテレワークに対応しやすく、新型コロナウイルスの影響が比較的少なめと言えます。また、Web会議システムやテレワーク導入などの仕事案件もあり、ITインフラの需要も急増しているでしょう。
エンジニアの中でも特にネットワーク関連のスキルを持つ人材が不足しており、ネットワークエンジニアには強い期待が寄せられています。
ただし、エンジニア未経験の方はどうやってネットワークエンジニアを目指せばよいのか分からない方もいるでしょう。そこでおすすめしたい方法が「ネットワークスペシャリスト」資格の取得です。今回の記事では「ネットワークスペシャリスト」資格について、概要や勉強法を詳しく解説します。
「ネットワークスペシャリスト」資格について解説する前に、まずはネットワークエンジニアの仕事内容をきちんと理解しておく必要があるでしょう。ネットワークエンジニアの仕事内容は、大きく分けて「設計」「構築」「運用」の3種類があります。本章では、エンジニア未経験の方でも分かるように、それぞれの仕事内容を解説します。
システム開発の業務は、クライアントの要望を聞き、どのようにコンピュータ上で実現するかを考える作業から始まります。例えば「テレワークの業務効率を上げたい」「インターネットを使ったコミュニケーションを円滑化したい」「Web会議システム導入によりコストを削減したい」など企業には様々な要望があるでしょう。
ネットワークエンジニアはそれらの要望に合致したネットワークを設計する必要があります。
具体的な作業としては、ネットワーク構築に必要な機器を購入し、配線や設定を決めなければなりません。そして計画した内容を設計書として記載し、クライアントに提出します。
また設計では、ネットワーク構築のスケジュールやコストも取り決めます。クライアントと協議して、お互いに納得のいく条件を設定しましょう。
ネットワーク構築は、ネットワーク設計の工程で作成した設計書を元にネットワーク機器やケーブルを接続する作業です。さらにネットワーク機器接続後は、機器の設定やパラメータ入力なども行います。
ネットワーク環境を実際に動作させてみると、配線ミスや設定内容の間違いが見つかる場合もあるでしょう。ネットワーク構築後には、テストと呼ばれるネットワークが設計書通りに動いているかを検証する作業が必要です。
ネットワークエンジニアの仕事は、設計と構築だけで終わりません。クライアントにシステムを渡した後も、運用業務として携わっていく必要があります。
例えば、ネットワークに障害が発生すれば、すぐに駆け付けて対応しなければならないでしょう。どこに問題があるかを突き止め、速やかに普及させられるかはネットワークエンジニアの腕の見せ所です。
さらに最近では、不正アクセスや情報漏洩などセキュリティに関連した問題も増えています。ネットワーク機器のログ監視やOSの更新、設定の見直しなどネットワークエンジニアがセキュリティに関わる機会も多いでしょう。
ネットワークスペシャリストは、独立行政法人であるIPA(情報処理推進機構)が実施する資格です。経済産業省が認定する国家試験であり、高い社会的評価を有します。本章では、ネットワークスペシャリストについて、受験すべき人材や実施方法、難易度、勉強時間を解説します。
ネットワークスペシャリストでは、目的に合ったネットワークシステムを構築・運用するスキルが求められます。日頃からネットワークエンジニアとして働く方はもちろん、これからネットワークエンジニアを目指す方にとっても最適の試験と言えるでしょう。
IPAが実施する試験の年間スケジュールには、4月に実施される春季試験と10月に実施される秋季試験の2種類がありますが、ネットワークスペシャリスト試験は秋季しか実施されません。願書の受付期間も、7月13日から8月11日(2020年の場合)と限られた期間にしか受験申込できない点に注意して下さい。受験手数料は5,700円(税込)です。
試験は「午前Ⅰ」「午前Ⅱ」「午後Ⅰ」「午後Ⅱ」の4種類に分けて実施され、午前は四肢択一の選択問題、午後は記述式問題が出題されます。試験時間が全部で5時間に及ぶ長い試験のため、集中力を切らさないように工夫しましょう。
ネットワークスペシャリストは、IPAが定める試験制度で最高レベルのスキルレベル4に設定されています。2019年度の試験実績では応募者数18,345人に対して合格率が14.4%となっており、非常に狭き門と言えるでしょう。
既にネットワークエンジニアとして働く方の受験も多く、一から合格を目指す方にとっては非常に難易度の高い試験です。受験資格は特に設けられていませんが、「ITパスポート試験」「基本情報技術者試験」「応用情報技術者試験」など下位レベルの試験に合格してから、ネットワークスペシャリストを受験することをおすすめします。
ネットワークスペシャリスト合格に必要な勉強時間は、ネットワークに関する専門知識を有しているかで随分と変わります。既にネットワークエンジニアとして働いている方であれば、試験対策の勉強に集中できるため、勉強時間は30~70時間程度が目安になるでしょう。
エンジニア未経験の方がネットワークスペシャリストを受験する場合は、ITの基礎から勉強していく必要があるため、学習は長期間に及びます。もしも独学で勉強していく場合は、最低でも1~2年程の期間を見積もっておくと良いでしょう。
前章で、ネットワークスペシャリストは非常に難易度の高い資格であることがご理解いただけたかと思います。では、一から合格を目指す方はどのように勉強していけばよいのでしょうか。本章では、ネットワークスペシャリストを受験するにあたり効果的な勉強法を、午前試験と午後試験に分けて紹介します。
午前対策として一番効果的な勉強法は、過去問を解くことです。ネットワークスペシャリストの午前問題には、過去の試験で出題された問題が多く含まれます。過去問はIPAのWebサイトで公開されているため、繰り返し問題を解いていきましょう。そして過去問で解けなかった問題を、参考書を使って勉強します。
また、ネットワークスペシャリストの「午前Ⅰ」試験に関しては免除制度が設けられています。免除の条件はいくつかありますが、初心者にとって最も現実的な条件は「応用情報技術者試験」の合格でしょう。事前に「応用情報技術者試験」を取得しておくことで、午前試験の勉強時間を短縮することが可能です。
午後試験の問題は記述式となるため、午前試験の問題に比べて専門的な知識や応用力が問われるでしょう。独学の場合は、午後対策に特化した「重点対策シリーズ」と呼ばれる参考書がおすすめです。図表を使った解説が多く、専門的な分野の理解に役立ちます。
ただし、初心者の方は参考書や問題集で理解できない箇所があるかもしれません。そこで有効的な勉強法が通信講座の利用です。通信講座では分かりやすさを第一に考えたオリジナル教材を使用することが多く、初心者にとって理解しやすいでしょう。
また、通信講座は短期間での合格を目指したカリキュラムが組まれています。学習の負担が少なくなるため、特に仕事をしている方にとっては便利な勉強方法と言えるはずです。
ネットワークエンジニアを目指すために役立つ「ネットワークスペシャリスト」資格について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。非常に難易度が高い試験で、初心者が合格するためには長い勉強時間が必要であることをご理解いただけたかと思います。
ただし、現在仕事をしている方は、なかなか勉強時間を確保できない場合も多いでしょう。そこでおすすめの勉強方法が通信講座の利用です。
通信講座の多くは働いている人をターゲットとしており、短期間での合格を目指す戦略的なカリキュラムが組まれています。通信講座をうまく活用すれば、「ネットワークスペシャリスト」資格をより効率的に取得できるはずです。