看護師の年収については、「一般よりは高めだけど業務内容に釣り合っていない。もっと年収を上げてほしい!」といった意見をよく聞きます。

資格職であり、命の現場で働く特殊な仕事でもある看護師。実際に看護師の年収は他職種に比べて、高いのでしょうか、低いのでしょうか?

現在あなたが働いている職場についても、平均年収よりも高いのか低いのか、気になる方も多いでしょう。

平均的な看護師の初任給、20代看護師の平均年収、昇給はどうなっている?年収をアップさせるにはどうしたらいいのかなど、20代看護師の収入の悩みについて一緒に考えてみましょう!

20代看護師の平均年収はどれくらい?

看護師の初任給、学歴で差はある?

看護師になるには、必ず看護について学べる教育機関で教育を受けなければなりません。

一般的には高卒で4年制大学に行くか、高卒で3年制の短大や専門学校に行く方が多いです。それぞれ専門課程の年数が違うだけに、専門的な分野に於いてより深く学べるのは4年制の大学になります。

それぞれの学歴では年収に差は出るのでしょうか?

以下の表は、日本看護協会の新卒初任給の統計です。中卒から5年制看護学校という進路を選択する方が全体に対して少ないからか、今回は高卒と大卒のみを比較します。

基本給税込額
高卒+
3年課程新卒
20.2万円26.2万円
大卒20.8万円27.0万円

参照:日本看護協会『病院看護実態調査』

3年制の教育機関に対して、4年制大卒の方がもちろん給与額が高くはなりますが、その差はおよそ8,000円です。思ったほどの差はないという印象ではないでしょうか。

医療の現場は経験と実働実績が物を言います。そこには学歴は大した問題ではないということかもしれません。

20代看護師の平均年収とボーナス

次に、20代看護師の平均年収とボーナスはどれくらいになるでしょうか。以下の表は厚生労働省が統計を行った2020年の看護師の平均年収の表です。

看護師現金給与所定内給与賞与・特別給与
20~24歳
男性27.9万円25.4万円42.9万円
女性28.5万円25.1万円49.7万円
男女計28.5万円25.2万円49.0万円
25~29歳
男性32.0万円28.2万円78.5万円
女性32.1万円27.4万円75.0万円
男女計31.3万円27.5万円75.5万円

参照:厚生労働省『令和2年 賃金構造基本統計調査』

男女計と性別ごと、20代の前半と後半でも比較できるよう、表にしてみました。

一般的に給与は男性の方が高い傾向にあります。一見すれば看護師も男性の方が若干高いようですが、注目すべき点は男女別の20〜24歳の欄です。現金給与額とボーナスは、女性の方が高くなっています。

理由はおそらく、20代前半はまだ女性看護師に未婚の方が多く、フルタイムでバリバリ働いているためだと思われます。

20代後半になってくると、女性は結婚・出産というライフステージに入り、夜勤もある看護師の仕事をフルタイムでは働きづらくなる方も多いので、男性の給与額が逆転して高くなっているのではないでしょうか。

そう考えると、看護師という職種は、男女に給与の差が現れにくい職種ではないでしょうか。

20代全職種と20代看護師の平均年収を比較

次に、20代看護師の年収が一般平均に対して高いのか、それとも低いのか比較してみましょう。次の表は、看護師だけでなく全ての職種の平均収入を表にしたものです。

全職種現金給与所定内給与賞与・特別給与
20~24歳
男性23.7万円25.2万円41.1万円
女性22.2万円20.9万円34.2万円
男女計23.0万円21.2万円37.8万円
25~29歳
男性28.2万円25.2万円71.6万円
女性25.0万円23.3万円59.2万円
男女計26.9万円24.4万円37.8万円

参照:厚生労働省『令和2年 賃金構造基本統計調査』

看護師の平均年収と比べて、全体的に金額が低いのが分かります。

特に男女の収入差は大きく、看護師はもともと女性比率が高いだけに、男女格差がほとんどない職種であることが実感できます。

年収だけで考えるのであれば、看護師は特に女性にとっては働きがいを感じられる職種であるともいえます。

看護師はどれくらい昇給できる?

看護師の平均年収を年齢別で比較

次は看護師の昇給について考えてみましょう。

新型コロナによるパンデミックで、医療現場はより過酷な状況に追い込まれました。 そんな過酷な仕事であるだけに、昇給についてはやはり期待したい気持ちはよく分かります。

厚労省による、全年代別の看護師の平均年収を折れ線グラフにしてみました。

参照:厚生労働省『令和2年 賃金構造基本統計調査』

看護師年収20代

残念ながら、年齢や勤続年数による基本所得の昇給率はあまり高いとはいえません。それについては次の項目で詳細に触れます。

その代わり、ボーナス(グレーの折れ線)の変動が大きいのが看護師の特徴と言えるかもしれません。

仕事が過酷な資格職であるだけに、他の職種よりもボーナスは高い傾向にあります。それが40代〜50代にかけて、平均1,000万円代まで上がります。

これはこの年代になると主任や看護師長、看護部長といった役職付きに昇進する方が多いことに起因していると思われます。

しかし、やはり夜勤に手術に緊急搬送、容態急変など看護師は立ち仕事で1日走り回る体力仕事です。60代以降になると所得もボーナスも下がる傾向にあるようです。

看護師の昇給率はなぜ低い?

グラフを見る限りでは、給与は50代に向けて緩やかに上がっていき、そこから一気に60代で初任給レベルまで下がっています。

ただでさえ昇給率が低いのに、勤続年数が長くなるとこんなに下がるなんてやりきれない!と感じる方も居るでしょう。

しかし、これまで挙げた給与比較なども踏まえて考えてみてください。そもそもの初任給が性別関係なく高いのが看護師の特徴です。

看護師になる人が少ないと言われる昨今、「初任給からまずは高い収入で、積極的に働いてもらいたい」というのが初任給が高い理由とも言われます。

看護師は全体の90%を女性が占めています。

結婚や出産で一度キャリアを離れ、その後復職……という流れが多いことを考えても、やはり30代〜40代で平均昇給率が伸び悩むのは仕方ないと考えられます。

実際のところ、病院やクリニックなどの規模次第という話もあります。大病院になればなるほど年収が高めになる傾向もあり、昇給についての規定もまた施設に一任されています。

昇給が気になるという方は、昇給率が高い職場を探して転職すると良いのではないでしょうか。

看護師が年収を上げたいなら、まずは給与の内訳を知ろう

看護師の給与は基本給だけだと結構低め!?

看護師の給与体系は、一般職とは大きく違って独特です。

  • 一般的な給与・・・基本給時間外手当住宅手当や役職手当
  • 看護師の給与・・・基本給時間外手当住宅手当や役職手当夜勤手当

看護師の給与には、夜勤手当がつきます。それを加味してもう一度20代看護師の平均給与表を見てみましょう。

看護師現金給与所定内給与
20~24歳
男女計28.5万円25.2万円
25~29歳
男女計31.3万円27.5万円

(厚生労働省『令和2年 賃金構造基本統計調査』:https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450091&tstat=000001011429

『現金給与額』というのは、各種手当を含んだ金額。『所定内給与額』というのが各種手当を含まない金額です。

ということは、現金給与額から所定内給与額を引くことで、各種手当がどれくらいの金額なのかが分かります。

  • 看護師の各種手当額平均・・・20代前半:33,000円 20代後半:38,000円
  • 全職種の各種手当額平均・・・20代前半:18,000円 20代後半:25,000円

看護師の夜勤手当とその他手当の大きさがどれほどか分かりますね。

しかし、所定内給与額から所得税や社会保険などを差し引くと、手取りは20代前半で20万円ほど、20代後半で23万円ほどになってしまいます。

これだけを見ると、他の職種と基本給はほとんど同じか、それ以下になってしまう事が分かります。

看護師給与を上げているのは夜勤手当

看護師の給与を一般よりも高くしている要因の1つは夜勤手当です。

夜勤手当とは、労働基準法でいうところの『深夜労働手当』です。午後10時から午前5時までの時間帯に労働すると、25%割増した賃金が支払われます。

看護師の場合、勤務する職場が2交代制か3交代制かで、1か月の夜勤の回数や労働時間が大きく変わります。

日本看護協会の統計によると、平均で次の表のような金額が一度の夜勤で支払われています。

看護師年収20代

参照:日本看護協会『病院看護実態調査』

年収アップのために20代看護師がやっておくべきこと

給与内訳をしっかりと確認しておく

看護師の給料は基本給に加えて、各種手当で大きく違ってくる事が分かりました。

職場によって福利厚生の内容も違います。もしも年収をアップさせたいと思うのであれば、まずは給与に関する福利厚生を確認することをおすすめします。

夜勤手当に関しても、2交代制と3交代制ではもらえる額が大きく変わってきます。3交代制であれば平均で5千円くらい、2交代制であれば平均で1万円くらいになるようですが、それじゃあより多く貰える2交代制が良いのかというと、そうとも限りません。

2交代制メリット2交代制デメリット
・夜勤手当が多く貰える
・夜勤の後に一日休みが貰える
・昼夜の生活が逆転しやすい
・家族や友人とすれ違いの生活になりやすい
・夜勤明けの睡眠が昼間なので、眠りが浅くなりがち
3交代制メリット3交代制デメリット
・労働時間が短くて済む
・夜勤明けの準夜勤など、慌ただしいシフトになりがち
・シフトが不規則になりがちなので、予定が立てづらい
・日勤と夜勤が交互になり、睡眠バランスが崩れがち

それぞれにメリットがありデメリットがあります。給料だけに目が行くと、いざ働き始めたら体力や気力がついていかなくなるという場合も多いので、給料と自身の適性のバランスをしっかり取ることも必要です。

資格を取ってキャリアを積む

昇給が緩やかな場合、各種手当で底上げする方法を紹介してきましたが、その中に『資格手当』をつけるという手もあります。

看護師は『認定看護師』や『専門看護師』の資格をもっていると看護師のスペシャリストとして活動範囲が広がり、指導する立場になることができます。

資格手当を貰える場合がありますし、また将来的に昇進しやすくなったりもするので、20代の若いうちから資格取得を目指すことをおすすめします。ただし、資格手当に関しては各職場の福利厚生の内容によるので、確認が必要です。

とはいえ、資格だけ持っていても実が伴わなければ、当然昇給も昇進もありません。勉強と技術の習得も怠ることなく、しっかりとキャリアを積むことも疎かにはできません。

看護師の平均年収が高い地域をチェックする

極端な話にはなりますが、より高い賃金を求めるのであれば、平均賃金が高い都道府県に移住するという手もあります。

歳を取ってから……ましてや結婚してからでは、他県に移住するのはなかなか大変です。

「どうせ働くなら、やっぱりできるだけ高い収入を得たい!」と考えるのであれば、20代の若い行動力とバイタリティのある内に、移住するのを考えてみても良いかもしれませんね。

以下は看護師専門転職エージェントの看護roo!がまとめた、都道府県別、令和2年の看護師の年収が高いランキング、トップ10になります。

順位都道府県平均年収
1位青森540.5万円
2位岐阜530.4万円
3位神奈川521.8万円
4位東京519.1万円
5位埼玉516.0万円
6位秋田515.4万円
7位富山515.3万円
8位静岡513.9万円
9位石川513.3万円
10位愛知510.5万円

参照:看護roo!『都道府県別、看護師の平均年収』

都道府県別年収ランキングとなれば、やはり上位は東京近郊、大阪近郊、福岡あたりが上位を占める……のかと思いきや、意外と1位は青森でした。

それどころか東京は2位の岐阜、3位の神奈川に続いて4位と、トップ3にも入っていません。最下位の県と1位の青森の差は135.5万円とかなりの開きがあり、なかなか無視できない金額となっています。

自分の住んでいる県の平均年収よりも、現在自分の年収は上か下か。また都道府県別平均年収ではどのランクか、20代の若いうちに認識し、キャリアアップに繋げるのも良いのではないでしょうか。

年収アップだけに目を向けすぎて、失敗しないように気をつけて!

とはいえ、やはり仕事を年収だけで量るのは危険なことでもあります。収入とは、よほどのブラック企業でない限りは仕事に見合った対価分を支払われるのが当たり前です。

この世に「楽に稼げる仕事」なんてものはありません。収入が高いなら高い分、仕事内容は身体的に過酷さを増したり、精神的プレッシャーがかかったりしてくるものです。

それに対してやりがいを感じられるタイプであれば問題はありません。じゃんじゃんキャリアアップをしていきましょう!

しかし、心身に見合わないようであれば、体や心を病んでしまう可能性もあるのです。

そうなってしまえば、働くことすら満足にできなくなってしまいますから、しっかりと業務内容が自分の適正に合っているかを確認して、自分の能力と収入のバランスがベストマッチする職場を見つけてください。