新型コロナの流行をきっかけに、就活の場で一気に増えたオンライン面接。
新型コロナが落ち着きを見せ始め、様々な制限も解除されてきた今年に入っても、メリットの多さからそのまま定着させている企業は多くあります。
とはいえ、対面ではない面接の方法はこれまでの経験も浅く、体験談などの情報も少なくて、就活生としてはどうしたらいいのか悩むところも多いですよね。
オンライン面接ってどういうもの?他の就活生と差をつけられるようなコツが知りたい。そんな就活生に、オンライン面接のコツを教えちゃいます!
新型コロナ流行から4年、流行当初は就活業界でもかなり多くの影響があり、新卒採用を見送りしていた企業などもありましたよね。
そんな中で、できるだけ対面による感染のリスクを避けよう。ステイホームを守りつつ、なんとか新卒採用ができないかという風潮から、オンライン面接を取り入れる企業が増え始めました。
流行が落ち着き始め、2023年5月には5類感染症に基準が引き下げられ、外出自粛や移動制限なども緩和されてきましたが、オンライン面接はそのまま実施する企業も多くあります。
対面面接とオンライン面接で、好きな方を選べるという企業もあり、今ではオンライン面接も「普通」になりつつあるように感じます。
業界としては「普通」になってきたように感じる、とはいえこれまでの経験や情報は対面面接に対して圧倒的に少ないのが現実。
就活生にとって、情報を得られる場が少ないことは、就活に圧倒的に不利です。
オンライン面接はどう受ければいい?まずは基本的な、オンライン面接を受けるための環境についてお話ししましょう。
まずはオンライン面接に使う媒体の話をします。PC?タブレット?スマートフォン?厳密に言えば、企業が指定するソフトウェアやアプリケーションをインストールでき、動作に問題がなければどの媒体を使用しても問題はありません。
とはいえ、大事なのは途切れず最後まで安定して通話ができるかという点。
PCが推奨されはしますが、自宅PCのスペックが低くて、タブレットやスマートフォンの方がまだ安定しているという人は、不安がないものを使うほうがいいです。
メール、SNS、アップデートなどの各種通知は、面接時に上がらないようポップアップも含めて設定から切っておきましょう。
来た瞬間に気を取られて集中が途切れてしまいますし、連絡の内容も面接官に見られてしまうことで、悪印象にも繋がりかねないリスクがあります。
基本的には自宅で通話するようにしましょう。面接官は対面ではないことで、あなたの人柄が掴みづらい状況なので、画面に映るすべての情報からもあなたのことを知ろうとしてきます。
その際に自宅でない場合、なにか事情があるのかな?と勘ぐられてしまう場合もあります。
もちろん、通信環境や同居人、騒音の問題などで、レンタルスペースなどを利用せざるを得ない事情があれば問題はありません。先にやむを得ない事情と自宅ではない旨を伝えておくと、誠実さが伝わるのではないかと思います。
視界に入る情報が多ければ多いほど、相手の気は逸れてしまいがちです。できれば背景は壁やカーテンなど無地で明るい色味のものが好ましいです。
カメラの画角に気を付けて、部屋はきれいに清掃し、洗濯物やベッドなど生活感のあるものの映り込みがないよう注意してください。
オンライン面接とはいえ、あくまで『面接』です。対面面接と変わらないので、私服などの指定がない限りはスーツ必須です。
映らないだろうと油断して、上だけスーツを着て下はパジャマや部屋着、ジーンズなどでいいかと思う人も居るかもしれませんが、面接中は何が起こるか分かりません。
何らかの理由で姿勢を変える、立ち上がる事があった時にスーツでない下半身が映り込んでしまうと、それ一つで「だらしない人」「適当に選考を受けている」と判断されてしまい、損でしかありません。
また、オンライン面接で起こりがちなのは、自宅ゆえに緊張感が薄れてしまうこと。
ヘアセット、メイク、ピアスなど細かい部分をうっかりで忘れてしまい、「清潔感がない」「緊張感がない」と評価を下げてしまう人は意外と多いのです。
ギリギリ準備はうっかりを誘発させやすいので、オンライン面接といえど対面面接と同じように時間の余裕と緊張感を持って臨みましょう。
まずは面接官がオンライン面接を実施して感じたデメリットについて見てみましょう。
以下の表はエン・ジャパンが2020年10月に企業に行った『「オンライン面接」実態調査』から引用したものです。
参照:エン・ジャパン『454社に聞く!「オンライン面接」実態調査』
オンライン面接を実施して、不満足に感じた点を調査しています。
一番多い意見は「画面越しで評価がしづらい」、続いて「直接会ってみたら応募者の印象が違った」というオンラインで印象が掴みづらいといった類の感想になっています。
回線を通しているため、会話にズレが生じやすく、スムーズな対話はたしかに対面に比べて難しいと感じてしまう人は多いでしょう。
また、表情やリアクションも対面に対して乏しくなりがちです。
オンライン面接をそつなくこなすコツとは、これらの面接官の不満や不安に対応することです。
オンライン面接ではこれらの理由から、対面面接に比べて選考が厳しくなりがちという統計もあります。
人柄が分かりづらいとなれば、面接官としても採用を決めていいのか警戒してしまうのは仕方のないことといえます。
他の就活生とのオンライン面接で、どうにも決め手にかけると悩んでしまう中、面接官の不満や不安を解消する就活生が現れたら、やはり好印象を与えられますよね。
上記を踏まえて、改めてオンライン面接で成功させるためのコツを一つ一つ解説していきましょう。
対面面接では、入室前のノックするところから座るまでの一連の行動から、就活生の普段の様子や育った環境などを推し量ることができます。
しかし、オンライン面接ではこの動作がなく、初めから着席した状態で始まります。
だからこそ、ここで他の就活生と差をつけるチャンスとも言えます。椅子に座る姿勢は浅すぎず深すぎず、背筋はまっすぐに。
胸の上からしか見えないからと油断して、猫背になったり、前のめりになったり、また背もたれにもたれているのは必ず伝わります。
きちんと声が伝わっているか、最初に「私の声は聞こえていますでしょうか?」など通信状況を確認し、自己紹介と「本日はお時間を頂き、ありがとうございます」と45度を意識した丁寧なお辞儀から始めるだけで、丁寧な人柄だと好印象を与えられるはずです。
オンライン通話に慣れていないと、どうしても相手の顔や目を見がちになってしまいます。しかし、これは間違い。
画面に映った面接官の顔や目を見ると、俯きがちで目線が下がり暗い印象になります、また相手も目が合っているという感覚にはなりません。
最初は違和感があって不安でしょうが、目線はカメラに。そうすることで、しっかりとまっすぐ目が合っているという印象になります。
どうしても不安。本当にそれでいいの?と違和感を覚えてしまう人は、面接の前に友人や家族とオンライン通話をしておく事をおすすめします。
使用するソフトウェアやアプリのテストにもなりますし、表情やリアクションの練習にもなります。
画面越しでは、表情やリアクションをいつも通りにしているつもりでも、意外と反応が薄くなってしまいがちなものです。映像で伝わりづらいという傾向もあります。
無駄にオーバーにしてしまうと、逆に演技がかって胡散臭くなってしまう事もあるので、必要以上に大きくする必要はありませんが、話す時はできるだけ口元を動かす事を意識し、相槌などのリアクションも「見せる」事を意識してみてください。
回線を通してしまうと、どうしても言葉は聞き取りづらくなってしまいます。
更に面接、重ねてオンライン通話という慣れない状況に、緊張もしてしまうでしょう。そうすると、人間、声がこもりがちになったり、早口になったりしがちなものです。
意識して、一言一言をしっかり発音するようにし、話すペースもゆっくり落ち着いた話し口をするよう心がけましょう。
面接の場では、まずは自分の事をアピールしなければ!と気負ってしまい、ひたすら話し続けてしまう人がいます。
熱意と自己アピールを伝えることは、確かに新卒の就活では大事なことなのですが、自分のことばかり喋ってしまうのは実はNG。「人の話が聞けない、自己中な人」と思われてしまう事も。
更にオンライン面接となれば、回線の環境によって通話に若干のズレが起こってしまうことも多いです。相手がまだ喋っているのに、うっかり被ってしまうという場面も多く経験することになるでしょう。
もしも面接官の話を遮ってしまった場合、そのまま話し続けるのは絶対にNG。まずは「申し訳ありません」「失礼いたしました」などの謝罪をしたあと、面接官に続きを譲ってください。
相手の話を聞く、話を譲ることができるというのは、気遣いができると好印象を与えるでしょう。
もしも面接官がどうぞと譲ってくれた場合には、逆に固辞せず「ありがとうございます」としっかりお礼を言って、後を続けるようにしましょう。
この他、オンライン面接はまだまだ情報が少なすぎて、悩みは尽きませんよね。面接に関する大きな悩みから、人には聞きづらい小さな悩みまで、就活生の疑問に答えて行きたいと思います。
新型コロナの影響で、外出中にはずっとマスクを付ける事を強いられてきました。
その影響で、人に会う時にマスクなしでは違和感がある。素顔を見られるのが恥ずかしいと感じる人も多いと聞きます。
その気持ちも分かりますが、オンライン面接では原則マスクは外すようにしてください。
ただでさえ、面接官は「画面越しで評価しづらい」と感じています。マスクをして表情を隠しては、その不満や不安を増長させることになりますし、声も籠もって聞こえづらくなります。
もしも同居する家族が新型コロナに罹っている最中で…などやむを得ない事情がある時には、最初の挨拶の後に、マスクをすることの断りを入れるようにしましょう。
最初の一言は悩みどころですね。しかし、オンラインになっても面接は面接。基本は面接官が進行してくれるでしょうから、それに従います。
対面の時と同様に、「本日はお時間を頂き、ありがとうございます」と謝意を伝えて、大学名、学部などの所属、名前と自己紹介から始めましょう。
面接官が複数人の場合、ログインに時間差が生じることがあります。
その場合には、「初めまして」などの挨拶に留めて、全員揃ってから自己紹介をしましょう。中には雑談で場を繋ごう、あなたの素の様子を見たいなどの理由から雑談を振る面接官もいるので、にこやかに対応しましょう。
こちらも、対面面接の時間感覚とあまり差異はありません。企業から指定される時間があれば、基本はそれに従います。
10分前には機材の調整や身支度をしっかり整えて、着席しておくと気持ちと呼吸を整える余裕もできて、いざ開始時に慌てた様子を見せずに済みます。
指定がなければ、5分前くらいにログインをし、動作が問題ないか確認をしておくと通話も安定し、安心して面接に臨めます。
画面外にカンペを置いておけば相手には見えないし、そつなく面接をこなせるはずと考える人は多いと思いますが、基本的にはNGと思ってください。
対面面接でカンペを見るのはNGであるのは分かりますよね?
それと同じで、面接官には決していい印象を与えません。画面外で見えていなかったとしても、頻繁に同じ位置に視線がズレて、その際に「読み上げている」空気というものは、思った以上に伝わるものです。
そんなリスクを分かっていて、やっぱりカンペがないと不安!という方は、画面上にカンペを表示しておくという裏技もありますが、おすすめはしません。
部屋を映したくないから、バーチャル背景を設定したいと考える人もいるでしょう。しかし、基本的にはこちらもNGです。
バーチャル背景にした時には、背景だけでなく自分の体の一部も背景に飲まれてしまったりすることが多くあります。
相手はその都度気になって集中が切れがちですし、「なにか隠したいものがあるのかな?」「部屋が汚いのかな?」など勘ぐられる原因になります。
決していい印象を与えることはないので、壁のみが映るよう部屋の模様替えをするなど、バーチャル背景に頼らないで済むように対応しておきましょう。
オンライン面接に使用するソフトウェアやアプリは、企業によって違います。
多く利用されているものとしては、ZOOM、Skype、Googleハングアウト、Microsoftチームスなどがありますが、オンライン会議ツールは多岐にわたります。
企業に指定されたツールを早めにインストールし、友人や家族に付き合ってもらってツールや通話に慣れておきましょう。
また、個人で既に使用済みだった場合、アイコンやユーザー名が就活に向かないものになっていることもあるでしょう。忘れずに本名と当たり障りないアイコンに変更しておきましょう。
面接の最中に回線の問題で通話が途切れたり、画面の乱れが出たり固まってしまったりということは誰にでも起こりえます。
その際には、慌ててパニックになるのが一番良くありません。不測の事態に対処できるのもスキルとして評価されるので、対応策を身に着けておきましょう。
会話の隙きを狙って「申し訳ありません、通話に乱れが生じているようなのですが、私の声は届いておりますでしょうか?」など、まずは通話状態の確認しましょう。
問題なければそのまま続けて構いませんし、状態が悪ければ面接官の指示を仰いでください。
もしもいきなり通話が途切れた場合には、チャット欄で「申し訳ありません、通話が途切れました」と連絡を取り、指示を仰ぎます。
もしもチャット欄がない、ツールが落ちたなどの状況であれば、事前に聞いているメールや電話番号に連絡を入れましょう。
次に活かすため、録画や録音をして後で確認したいと思う方も居るかもしれませんが、もちろんこれもNG。
企業は情報漏えいに敏感です。情報漏えいのリスクに対応できないので、オンライン面接を実施していないという企業もあるくらいです。
面接資料は社外秘として、鍵がかかる棚などにしまう企業も多く、重要な情報として扱われます。
企業のような情報管理がなされていない個人の媒体に映像を残されることようなことを、企業は嫌います。決してしないでください。
企業が就活生に求めているものは、即戦力としてのスキルではありません。
初めて社会に出る新人がすぐに独り立ちできるとは思っていないので、新卒の就活生による即戦力としてのアピールは、時に的外れと取られてしまうことすらあります。
では何を求められているのかというと、社内で上司や先輩、同期たちと円満にコミュニケーションが取れるか。やる気やポテンシャルはどれほどあるかなどを見ています。
そんな中で、オンライン面接のコツがあるとすれば、「いかに気遣いができるか」という点だと思います。
対面ではなく、人柄が分かりづらいと思われがちなオンライン面接で、しっかりと相手の話を聞き、的確な答えを完結に返すことができ、通信や対話に気を使えるのか。
まずはこの根本的な対応力を身につけることで、他の就活生に対して差をつけることができるでしょう。