働き方が多様となった現代では、複数の仕事を行うパラレルワークが注目されるようになりました。
企業に就職し勤め上げて定年を迎える時代から、大手企業でも倒産、吸収合併、事業再編があたり前になるなど現代の状況は変わってきています。働き方・生き方は自分で作り上げる時代です。
パラレルワークの概要から、働き方の形態、メリット・デメリットまで詳しく解説していきます。
パラレルワークとは、本業を1本ではなく複数もつ働き方です。「パラレル=平行・並列」+「ワーク=仕事」を組み合わせ、並行して複数の仕事をすることを表しています。漢字では「複業」とも表記されます。
転職サイト運営のエン・ジャパン(株)が行った「パラレルキャリア意識調査」では、パラレルワークをしながら経験・人脈を広げることで、自身のキャリアを伸ばしたいという動機が多く見られます。
またパラレルワークでは1つの仕事に依存しないため、収入源がなくなるリスクを分散させることができます。また複数の仕事からの収入増加など、収入面での動機が続きました。
そのほかの動機には、生活のための仕事を行いながらも本当に好きなことに挑戦したい、という意見も多く見られました。
参照:エン・ジャパン(株) https://corp.en-japan.com/newsrelease/2016/3206.html
上述のように収入面だけでなく、キャリアアップやライフワークを目的にパラレルワークは選択されています。働き方を選ぶことは、生き方を選ぶことに繋がっているのです。
「働き方改革」が掲げられ会社員としての働き方も良くなっている途中ですが、ワークライフバランスの実現のためにパラレルワークを行っている人もいます。多様な働き方が広がりフリーランス・投資家・起業家などを選択する人も増えてきました。
パラレルワークは新しい生き方として、注目されているのです。
コロナ禍の影響もあり、複業を行っている人は年々増加していますが、その始め方に悩む人も。複業紹介サービスやマッチングサイトも充実していますので、職種・スキル・働き方に合わせて、自分に合うサービスを利用してみてください。
パラレルワークでおすすめの職種や仕事をいくつか紹介します。
チャレンジできる職種はたくさんありますが、現在の仕事が時間の融通がききやすいとよりパラレルワークを実現できる可能性が高いです。
複数の仕事を持つ状態を表す単語としては、「副業」や「兼業」もあります。これらは何が違うのでしょうか。
パラレルワークが副業・兼業とは違う大きなポイントは、パラレルワークで行う仕事は「すべて本業」という点です。
コトバンク(https://kotobank.jp)で調べると、それぞれの単語の意味は次のとおりです。
副業は本業とは別のサブ(副)の仕事を持つことです。対義語が本業であることからも分かりやすいですね。あくまでサブの仕事なので、副業ではそれほど重要でない仕事や、収入アップのための仕事を行うことが多くなります。
兼業も”本業のほかに”とある通り、本業がある上で別の仕事を行うことです。兼業農家など良く聞きますね。オフシーズンに別の仕事を行ったり、足りない収入を補うために行ったりします。ただし、あくまで農業がメインです。
一方複業では、複数行う仕事のすべてが本業であることが特徴です。片手間ではなく、どの仕事もメインで行います。パラレルワーク(複業)は複数の仕事を行う、より具体的な目的や生き方のビジョンがある場合を表しています。
パラレルワークでの働き方は様々です。形態としては次の4つの働き方から、いくつか組み合わせたものになるでしょう。
・正社員
・パート/アルバイト
・会社経営
・個人事業主/フリーランス
いくつか具体例を見ていきます。
複数の会社に勤めるパターンです。複数の企業に勤める場合には、就業規則で副業・複業が認められているかどうか注意が必要となります。IT・エンジニア系では複業を認める企業も増えてきました。企業側にも人材育成やワークシェアリングの実践などで、一定のメリットがあるようです。
1社では経験できない業務を行う、人脈を広げる、転職への足掛かりにするなど、自身のスキルアップになるような働き方がおすすめです。
いくつかのパートの仕事と、個人事業を掛け持つパターンです。
例えば、フラワーショップ・アパレルショップでパートを行いながら、個人事業主としてイラスト・デザインを請け負う、などが考えられます。
シフト勤務も可能なパートなら、デザインの個人事業の忙しさに合わせて調節できる点がおすすめです。また花や雑貨、洋服などからトレンドをキャッチしたり、刺激を受けたりして、イラスト・デザインとも相乗効果を期待できそうです。
正社員として働きながら起業するパターンです。会社を辞めて起業するよりも収入源を失うリスクが低く、パラレルワークを行うメリットがあります。独立を考えている人も、前段階としてパラレルワークで週末起業を行うのも良いでしょう。
独立を目指して同業界で起業するか、収入源のリスク分散・新しいチャレンジに他業界で起業するか、選択の幅も広くありますね。
パラレルワークを行うには時間管理が大事なポイントとなります。パラレルワークを実現するタイムスケジュールを正社員の場合・パート/アルバイトの場合に分けて考えてみましょう。
現在正社員で働いている場合には、別の仕事に割ける時間は限られています。平日フルタイム勤務と仮定すると、以下のようなタイムスケジュールが考えられます。
バランス良く平日に少しずつ仕事を行えば、週末は休暇として身体を休めることができます。また集中して作業を行いたい場合には、週末にまとめて行うのも良いでしょう。いずれにしても、無理のない時間設定をすることが大切です。
パートやアルバイトで勤務している場合は、より時間の融通が利きやすくなります。パラレルワークの目的や仕事内容に合わせたスケジュールを組むことができそうです。
例えば「午前:デスクワーク、午後:営業・接客、夜:制作作業」と1日を分けます。バランスよく身体に負荷をかけにくいスケジュールです。同じことばかり集中すると煮詰まってしまう、飽きてしまうといったタイプにもおすすめです。
また「週3日は固定でパート、残りは制作作業にあてる」などと日ごとに分けるパターンも考えられます。ここでもポイントは無理のないスケジュールとすることです。制作作業の量によって調整できるよう、パートを詰込み過ぎないように注意しましょう。
最後にパラレルワークを行うメリット・デメリットを紹介します。
デメリットも理解した上で、自分に合った働き方かどうかよく検討しましょう。
複数の収入源をもつこと、自身のスキルで仕事を請け負うことで、収入源がなくなるリスクの分散が可能です。終身雇用・年齢による昇給などは、いまや保障されなくなりました。大企業といえ倒産のリスクもあります。もはや企業勤めだけが選択肢ではありません。
また収入源が増えて最低限生活が保障されれば、平行して本当にやりたいことを行うことも可能です。生活のために諦めていた夢やあこがれの仕事へチャレンジするのも良いでしょう。パラレルワークは、働き方だけではなく生き方としてもメリットがあります。
複数の仕事を行うことで、そこで行う業務・出会う人から世界は広がります。1つの仕事を長く続けスペシャリストとなることも素敵ですが、それだけの経験では他社で通じなかったという場合もあります。
パラレルワークで、より多様な経験をする・多様な価値観に触れる・人脈を築く、これらは人財としての価値を高めることに繋がります。
パラレルワークを行うとビジネスに必要なスキルの向上に繋がります。
時間管理スキルの必要性は先に紹介した通りです。ほかにも例えば、個人事業主として商品販売を行えば、販売管理や経理などのスキルも磨けるでしょう。起業すれば従業員を雇って、人事労務管理・人材育成スキル等も身につくかもしれません。
パラレルワークで問題となるのは余暇の時間をいかに取るかです。とくに正社員で働いている場合、複数の仕事をこなすためには休日をいくらか使うことになります。いくら好きなことをしているとはいえ、休む時間も必要です。
1つ目のデメリットに付随して、身体・精神へのストレスも注意すべき点です。余暇の時間・睡眠時間などを削ってしまうと、身体を壊したり、疲れが溜まって心も元気がなくなったりする可能性があります。
仕事の面からは、複数の業務をマネジメントする難しさもデメリットと感じる点です。タスク管理・時間管理をしっかりと行わないと、アポイントメントを忘れてしまったり、納期に遅れたりと取引先に迷惑をかける可能性があります。
また個人で仕事を請け負う場合には、契約書を交わす・請求業務を行う・収入を申告するなど事務作業も多岐に渡ります。これらをきちんと行わないと信頼関係にもかかわってきます。
パラレルワークは本業を複数持つことで、経験・知見を得る・収入源の確保・理想のライフワークなどを実現することが可能です。一方で余暇と仕事とのバランスのとり方や、タスク・業務管理の難しさなども考慮する必要があります。
働き方の形態は様々ですが、いずれにしても無理のない範囲で行うことが大事です。多様な働き方が増えてきた中で、選択肢として検討してみてはどうでしょうか。