立つ・座る・歩くなど大きな動きのリハビリテーションを行う理学療法士の代表的な就職先は病院ですが、実は病院以外にもスポーツ関係や一般企業など理学療法士が活躍できる職場はたくさんあります。
ここでは、理学療法士の具体的な就職先とその特徴、就職先の選び方、就職先を探す方法sなどを詳しく紹介していきたいと思います。
理学療法士としてやりがいのある職場・理想的な職場探しの参考にしてください。
理学療法士が実際にどのような職場で働いているのかを知るために、日本理学療法士協会が公表している統計情報から理学療法士の主な就職先を見ていきたいと思います。
※2023年3月末時点
施設 | 会員数(休会者除く) | 主な施設 |
---|---|---|
病院・センター | 81,435 | 急性期、回復期(回復期リハビリテーション病棟)、高度急性期など |
診療所 | 3,126 | 有床2,574、無床552 |
介護サービス施設・事業所 訪問型 | 4,912 | 訪問看護ステーション |
介護サービス施設・事業所 通所型 | 2,884 | 通所介護、通所リハビリテーション |
介護サービス施設・事業所 施設型 | 7,441 | 介護老人保健施設 |
介護サービス施設・事業所 ケアプラン | 129 | 居宅介護支援 |
介護サービス施設・事業所 福祉用具 | 24 | 福祉用具貸与 |
介護サービス施設・事業所 ショートステイ | 179 | 介護老人保健施設 |
障害者支援施設等 | 202 | 障害者支援施設 |
身体障害者社会参加支援施設 | 47 | 身体障害者福祉センター(A型、B型) |
児童福祉施設等 | 803 | 障害児入所施設(福祉型)、児童発達支援センター(医療型) |
老人福祉施設 | 54 | 有料老人ホーム |
その他の社会福祉施設等 | 9 | 授産施設 |
障害福祉サービス事業所及び相談支援事業所 | 136 | 自立訓練(機能訓練) |
障害児通所支援事業所及び障害児相談支援事業所 | 142 | 放課後等デイサービス |
専門学校 | 1,106 | 3年制、4年制 |
大学(院) | 1,686 | 大学 |
研究施設 | 82 | 国公立の研究施設 |
特別支援学校 | 60 | 肢体不自由児特別支援学校 |
その他教育施設 | 1 | |
行政機関 | 337 | 市区町村 |
保健所 | 1 | |
市町村保健センター | 1 | |
地域包括支援センター | 246 | 直営28、委託218 |
更生相談所 | 2 | |
社会福祉協議会 | 2 | |
団体 | 122 | 日本理学療法士協会、都道府県理学療法士会、その他 |
医療法人 | 10 | |
社会福祉法人 | 5 | |
個人 | 6 | |
その他法人本部等 | 317 | |
ヘルスケア産業(健康保持増進) | 171 | 運動(健康を保持・増進するために必要な適度な運動を提供するための機器・用具及び、運動機会を提供する場所(施設)、及び運動に関する教育指導サービス) |
ヘルスケア産業(患者/要支援・要介護者の生活を支援するもの) | 13 | |
スポーツ関連 | 22 | スポーツトレーナー(プロチーム契約) |
その他企業等 | 1,130 | 一般企業 |
その他(上記すべてに該当なし) | 29 |
この統計情報からも、多くの理学療法士が病院や診療所などの医療施設や介護サービス施設・事業所で働いていることが分かります。
具体的には病院の中でも、病気のなり始めで急激に症状が現れる時期である「急性期」で働く理学療法士が28,481人、急性期で回復した身体の機能回復を図る時期である「回復期」で働く理学療法士が15,889人と特に多くなっています。
理学療法士の主な就職先を見ると、さまざまな分野で活躍していることが分かりました。
病院をはじめとして理学療法士に人気がある就職先とそれぞれの特徴・魅力を紹介します。
理学療法士の約8割が働くのが病院やクリニックなどの医療施設です。
病院では入院患者へのリハビリを行い、整形外科・脳神経外科・心臓外科をはじめとしてさまざまな診療科の患者さんに対応します。
急性期、回復期、療養型と各時期によって理学療法士の関わり方が異なります。
・急性期‥ 病気の発症直後や手術後の患者を対象に、短期間で最適なリハビリを行う。
・回復期‥ 病気やケガの状態が安定した患者を対象に、歩行訓練やマット運動などの実践的なリハビリを行う。
・療養型‥ 主に高齢者や療養が必要な患者を対象に、運動能力の維持、日常生活を送るためのリハビリを行う。
幅広い症例を経験でき、研修が充実しているので成長につながりやすい!
無床もしくは19床以下の医療施設がクリニック(診療所)であり、多くの理学療法士は整形外科で活躍しています。
外来患者を対象としているため、退院後のフォローアップや慢性疾患の保存療法としてのリハビリ、生活を継続しながら早期の機能回復を目指すリハビリの提供などをします。
病院よりも専門性を高められる!休日が固定されているところが多くプライベートも充実しやすい。
医療施設に次いで理学療法士の就職先に多いのが介護・福祉施設です。
理学療法士は以下のような介護・福祉施設で活躍しています。
・介護老人保健施設‥ 要介護認定を受けた高齢者を対象に、自宅復帰を目的としたリハビリを行う。
・身体障害者福祉施設‥ 身体的な障害を持つ人を対象に、日常生活動作(ADL)の維持や痛み・痺れの軽減を目的としたリハビリを行う。
・児童福祉施設‥ 障害を持つ子どもを対象に、生活に必要な訓練などを目的としたリハビリを行う。
利用者一人ひとりと深く関わることができる!
リハビリテーションセンターは訪問型と通所型に分かれています。
・訪問型(訪問看護ステーション、病院、診療所、介護老人保健施設など)‥ 通院が困難であり介護が必要な人などを対象に、自宅へ訪問をして利用者一人ひとりに合わせたリハビリを行う。
・通所型(デイサービス、デイケア)‥ 普段は自宅で生活をしている人が通院をして、日常生活の維持を意識したリハビリを行う。
利用者の生活に寄り添ったリハビリを提供できる!
理学療法士養成施設(大学、短大、専門学校)の教員として、理学療法士を目指す学生たちの教育に携わる理学療法士も増えてきています。
教員になるためには、「5年以上の実務経験」「専任教員養成講習会を修了(または、大学・大学院で教育学に関する科目を4単位以上取得)」の条件を満たす必要があります。
理学療法士を目指す学生の日々の成長を間近で見られること、教育を通して自分自身も喜びを感じられる
就職先としての割合は少ないですが、行政機関で活躍する理学療法士もいます。
主な職場は、保健所・市区町村保健センター・地域包括支援センター・市区町村役場・社会福祉協議会などがあります。
生活習慣病予防指導やリハビリ教室の開催など地域に密着した福祉活動を行うことや、住民への支援以外にも事業の企画立案や予算策定など働く場所によってさまざまな業務に携わり役割も異なります。
公務員として働くことができ、民間の理学療法士よりも給与が高いことが多い!
理学療法士の知識を活かせる仕事として、スポーツチームやフィットネスクラブでも活躍の場が増えてきています。
主な業務は、スポーツでケガをした人へのリハビリの提供、ケガ予防のためのマッサージ、トレーニング指導、食事・睡眠指導などを行うスポーツトレーナーとして働きます。
スポーツ・フィットネス関係の仕事では、それぞれのスポーツに関する専門的な知識が必要であるほか、スポーツ・フィットネス関連の資格「アスレティックトレーナー」や「NSCA認定パーソナルトレーナー」を取得すると活躍の場を広げることができます。
スポーツの現場に携われる!チームや選手のすぐそばでサポートできる!
理学療法士の専門知識や経験を活かせる一般企業に就職をすることも可能です。
適切なアドバイスを行うために理学療法士としての知識・経験が必要なため、臨床経験を積んだ後に転職をすることが一般的です。
・介護・福祉支援事業‥ 訪問看護ステーション、介護サービス企業、リハ関連企業など
・医療・介護福祉器具メーカー‥ 医療機器やリハビリ器具、義肢装具などを開発するためのアドバイス
・住宅メーカー‥ バリアフリー住宅の営業職
・医療介護系の人材紹介‥ 専門職に特化したキャリアアドバイザーとして働く
ワークライフバランスを重視した働き方が可能になることも!
自分に合った就職先に出会うためには、これから紹介する【就職先の選び方】と【就職先の探し方】を参考にしてみましょう。
理学療法士の就職先として最も多い医療施設を例にとってみても、病院の種類(急性期・回復期・療養型など)や医療施設の規模によってリハビリを提供する対象者、業務内容、理学療法士に求められる役割が異なります。
理学療法士としてどのような人にリハビリを提供したいのか?興味のある分野ややりたい業務は?将来的なキャリアプランは?
このようなことを意識しながら就職先を選ぶこと、そして給与や休み、福利厚生などの待遇面のチェックも忘れずにしておきましょう。
このように理学療法士が就職先を探す方法は幾つかありますが、この中でもおすすめしたいのが「転職エージェント」です。
ハローワークは地元の求人を探すことには向いていますが、無料で求人掲載が可能で求人掲載の審査が甘いと言われているためブラックな求人が交ざっている可能性も否めません。
求人サイトは自分のペースで数多くの求人から探すことができることはメリットですが、応募からすべて自分一人で進めていくため就職活動に不安がある人には向いていません。
知人の紹介は職場の内部事情を事前に知ることができる、採用になりやすい点はメリットですが、知人からの紹介のため合わないと感じても辞めにくいなど気を遣う場面に遭遇する可能性も。
その点、転職エージェントは就職・転職のプロによるアドバイスを受けられること、希望条件にマッチした求人の紹介、内部情報の提供、面接対策など手厚いサポートが魅力です。
理学療法士の就職・転職活動に特化したサービスを提供する転職エージェントもあるので上手く利用してみましょう。
マイナビコメディカルは、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士などに特化した転職支援サービスを提供しています。
さまざまな職種の求人を取り扱っていますが、それぞれの業界に精通したアドバイザーのサポートが受けられるため、理学療法士の就職・転職に強みを持つアドバイザーによる適切なアドバイスのもとスムーズな就職・転職活動に期待できます。
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