国家資格であり、技術系医療職のひとつである臨床工学技士は、医療機器のスペシャリストともいわれます。
発展著しい現代の医療の現場では、様々な医療機器が導入され運用されています。
それらの動作確認、保守、管理を行うのが臨床工学技士の仕事であり、今やそれらの機器が不安なく稼働しなければ、医療は立ち行かなくなるほど重要な職種となっています。
しかしそんな重要な職種であるのに、その割に年収が低いとも言われます。せっかく取った国家資格、やりがいと共に収入も見合ったものが欲しい。いやむしろ高収入は難しい?
臨床工学技士が転職で年収を上げるにはどうしたらいいのか…年収を上げるためのポイント教えます!
臨床工学技士の年収は、仕事の割に低いと言われています。臨床工学技士は技術系医療職ですが、他の医療職と比べて実際に低いのか、dodaが2022年に公開した『平均年収ランキング』から抜粋して比較してみましょう。
職種 | 年収 |
---|---|
臨床工学技士 | 403万円 |
臨床検査技師 | 391万円 |
診療放射線技師 | 432万円 |
看護師 | 415万円 |
薬剤師 | 501万円 |
歯科衛生士・歯科技工士 | 325万円 |
参照:doda『年収の高い職業は?平均年収ランキング(職種・職業別)』』
臨床検査技師や歯科衛生士・歯科技工士よりは年収が高いですが、全体から見れば確かに高いとは言い難い金額だと感じます。
臨床工学技士は、人工呼吸器や人工心肺などの生命維持に関わる医療機器の他に、人工透析装置やペースメーカー、カテーテル検査装置などの病気治療にも関わります。
手術室や集中治療室に配属になると、緊急性の高い状況の中で多くの患者さんそれぞれに必要な機器を管理しなければなりません。
配属される部署によっては当直や呼び出しにも対応することになり、総合病院などでは他の医療職との連携も多くなるため、年収差にも自然と意識が向いて自分の年収に不満を持ってしまう方もいることでしょう。
臨床工学技士が働く職場は、必ずしも病院とは限りません。
クリニックや医療機器メーカーなどでも活躍しています。
臨床工学技士の資格が利用でき、より年収が高い職場はどこなのか、それぞれの職場の年収も同じくdodaの年収ランキングから比較してみましょう。
職場 | 年収 |
---|---|
病院、大学病院、クリニック | 355万円 |
医療機器メーカー | 537万円 |
SMO(治験施設支援機関) | 492万円 |
参照:doda『年収の高い職業は?平均年収ランキング(職種・職業別)』』
最も入職者が多い病院、大学病院、クリニックは実は一番年収が低い傾向にあり、臨床工学技士の平均年収に大きく届かない結果になっています。
もちろん病院の規模によって給料は高くなる傾向にあります。
クリニックにも透析を専門に行なっているところなどもあり、年収的には『病院』『クリニック』とまとめても規模や専門性によって大きな開きがあります。
対して、SMOや医療機器メーカーで働く臨床工学技士も最近では増えています。
民間企業の方が年収が高い傾向にあり、特に医療機器メーカーでは平均年収が500万円を超えます。50代では平均年収が800万円以上も可能!
年収を気にする方は企業への転職を視野に入れてみるのもいいかもしれませんね。
せっかく取った国家資格ですから、臨床工学技士の資格や経験を活かしつつ企業転職はできないものか?と考える方に、臨床工学技士に人気の職種を紹介します。
医療機器メーカーで働く臨床工学技士の多くは、このアプリケーションスペシャリストとして働く人気の職種です。
仕事内容としては、営業に同行し病院などで商品となる医療機器の使い方やメンテナンスなどのデモンストレーションを行います。
実際に臨床工学技士としてレクチャーを受けたという方も多いのではないでしょうか。
アプリケーションスペシャリストは営業ではないので、セールスを行うことはなく、あくまで営業の補助として医療機器のスペシャリストとしての立場から、顧客に対してレクチャーを行うのが仕事となります。
病院などで臨床工学技士として働くよりも、確実に年収は上がることになるでしょうが、その分出張や残業、外回りが多くなります。
病院やSMOに所属し、治験がスムーズに進むよう関係者のスケジュール調整を行ったり、治験の準備・運用、終了時には報告書の提出まで行う仕事です。
臨床検査技師や薬剤師の転職先として人気の職種ですが、昨今では透析装置を使用した治験の実施や、カルテが読める必要があることもあって、臨床工学技士の転職も増えています。
年収を気にするようであれば、病院に所属するよりもSMOに所属するほうが年収が上がる傾向にあります。
臨床工学技士として年収を上げたいと考えるのであれば、スキルアップやキャリアアップを目指して資格を取得するのがおすすめです。
臨床工学技士の資格には、『専門臨床工学技士資格』と『認定臨床工学技士資格』があります。
各領域業務において、臨床工学技士の専門性をより高め、治療技術の向上と指導者育成を目的としています。資格は以下のものがあります。
指定講習会を受講した後、検定試験を受験して合格すれば資格取得になります。詳細は『日本臨床工学技士会』のサイトで確認ができます。(*)
認定臨床工学技士資格は、臨床工学技士の基礎的な資格という位置づけになります。
医療機器をより安全に運用・保守管理ができる人材育成を行うことが目的として作られた制度となっています。資格は以下となっています。
資格取得の流れは専門臨床工学技士と一緒で、指定講習会を受講し検定試験を合格すれば資格取得となります。同じく詳細は『日本臨床工学技士会』のサイトで確認ができます。(*)
臨床工学技士の経験を活かして企業転職をしたいという場合、特別な資格は必要ない場合が多いです。
臨床工学技士の経験が仕事に活かせる職種を選ぶことになるため、資格よりも経験と知識を重視されることになります。
とはいえ、医療系の職種は資格があることで転職時に泊が付くという一面はあります。そのため、専門臨床工学技士の資格は取っておくと、より有利に転職活動ができると思われます。
厚生労働省が運営する職業情報提供サイト『jobtag』によると、ハローワークの求人統計データの有効求人倍率は1.46倍となっています。(*)
決して少ない数字ではありませんし、ハローワークのみでこの倍率なっているため、求人サイトなども加えれば更に高くなるでしょう。
臨床工学技士として転職するのなら、さほど転職活動は難しくないと感じます。
とはいえ、年収を上げたいと考えた時に企業求人を探したいとなればまた違います。
臨床工学技士の経験を活かすことができる、医療系企業求人は思ったよりも限られてしまうのが現実。似たような医療職で言えば、臨床検査技師や薬剤師などの方が実は企業求人の幅が広いです。
とはいえ、それでは臨床工学技士になった以上、企業への転職は無理なのかといえば、もちろんそうではありません。あなたのアピールや転職方法の工夫次第で、十分転職は可能です。
先に言ったように、臨床工学技士が企業求人に挑戦するには、職種によって工夫が必要になります。
しかし転職に慣れているという人の方が少ないでしょうから、「そんな事言われても…」と困ってしまう方も多いでしょう。
そんな方におすすめなのが転職サイトです。
それも総合型の大手転職サイトもいいですが、よりおすすめなのは、『レバウェル医療技師』『CEJP工学技師人材バンク』といった臨床工学技士に特化した特化型転職サイト。
キャリアアドバイザーも求人もより専門性が高く、特にキャリアアドバイザーは職種経験者や資格取得者も在籍しているところが多いので、より親身になった専門的なサポートを受けることができます。
現在、病院勤務で臨床工学技士として働いているけれど、日々の激務の割に給料が低いと感じる。毎日同じ業務の繰り返しで、仕事にも刺激がほしい…。
そんなふうに悩んでいる方は、思い切って企業求人に挑戦してみるのはいかがでしょうか。
臨床工学技士に特におすすめの民間企業求人は医療機器メーカーです。
年収は病院よりも確実に上がること間違いなしですし、日々営業のサポートで様々な顧客の元へ行くため、病院よりは刺激を受けることもできます。
コミュニケーション能力に自信があり、日々仕事から刺激を受けるほうが性に合っているという方には企業への転職がおすすめです!