毎日の家事や仕事に追われ、気が付いてみると部屋の中はぐちゃぐちゃ。休日に一念発起して掃除を始めてもとても追いつかず、結局は汚れた部屋で妥協してしまう。そんな経験はありませんか。
子どものころから親や先生に口酸っぱく言われてきた「整理整頓」ですが、学校では整理整頓の理論を体系的に勉強させてくれる場はありませんでした。
大人になった今こそ整理整頓の具体的な方法やコツをしっかり身に着けたい。そんな人に注目してほしいのが、整理収納アドバイザーという資格です。整理収納アドバイザーの資格を取得すれば日常の生活を整えるだけでなく、整理整頓に悩んでいる人にアドバイスする専門家として活躍する道も見えてきます。
この記事では整理収納アドバイザー資格の概要や、具体的な資格取得の仕方・費用、仕事への活かし方などについて詳しく解説していきます。
整理収納アドバイザーとは、整理収納の知識を身に着けた人に与えられる資格です。資格を認定しているのは特定非営利活動法人ハウスキーピング協会です。
協会では整理整頓には「物を探す時間を短くする時間的なメリット」「無駄買い、2度買いを防ぐ経済的なメリット」「片付いた空間で過ごせる精神的なメリット」の3つのメリットがあるとしています。このようなメリットを手に入れることができる整理収納アドバイザーは、時短家事を目指す主婦から整理整頓の専門家として仕事に活かしたい人まで幅広い層に人気があります。
整理収納アドバイザーの資格取得は、ハウスキーピング協会が開催している講座受講を前提にしています。そのため、整理整頓が苦手な人でも基礎理論からじっくり学びながら取得を目指せるようになっています。講座を受講することで片付けられない原因や問題点を根本的に見つめなおし、整理整頓の理論を身に着けることができます。
片付けについて体系的に勉強する機会がほしいという人にはぴったりの資格といえるでしょう。
整理収納アドバイザーの資格は国家資格ではなく、ハウスキーピング協会が独自に認定している民間資格です。
医者や弁護士などの国家資格とは性質が違い、整理収納アドバイザーの資格がなければ出来ないという仕事はありません。
また、民間資格でもTOEICやMOS(Microsoft Office Specialist)ほど有名ではなく、転職やキャリアアップのアピール材料には使いづらい一面があります。そのため整理収納アドバイザーの資格を取得することは学費の無駄で意味がない、と捉える人もいます。
整頓アドバイザーの資格が無駄なのかどうか、それは資格をどのように使いたいかという学習者の立場により変わります。
例えば一般事務の仕事に転職しようとしている人が整理収納アドバイザーの資格を取得しても、あまりアピール材料にはならないでしょう。簿記やMOSの資格勉強をした方が意味があります。
しかし家事代行やハウスクリーニング会社への転職活動では、整頓アドバイザーの資格が優遇されたり、アピール材料になることがあります。
整理整頓に自信がある人でも、自分の家事の実力を客観的に証明することはなかなか難しいものです。家事を仕事につなげたい人にとっては整理収納アドバイザーの資格を取ることは一定の意味があります。
次に学習者の今の仕事に整理収納アドバイザーの知識が活かせるかどうかを見てみましょう。
整理収納アドバイザーの知識は自宅の整理整頓以外にも、職場環境を整え仕事の効率化を目指すのに役立ちます。
家事代行以外にも整理収納アドバイザーの資格が役立つ仕事はあります。
例えばヘルパーの仕事をしている人は高齢者が暮らしやすいよう生活環境を整えるために、小売業に携わる人は商品管理を効率化するために整理収納アドバイザーの知識が活きてくるでしょう。
さらに、仕事に使う重要書類をいつも探しているという人、デスク周りが汚く恥ずかしい思いをしている人にとっては整理収納アドバイザーの資格勉強は意味のあるものです。
今携わっている仕事で「整理整頓ができることが業務効率の改善につながる場面」があるなら整理収納アドバイザーの資格を取得することを無駄といいきることはできません。
整理収納アドバイザーの資格は、整理整頓のプロとして活躍したいという場合に肩書として使うこともできます。独自の整理整頓法を持っていて、それを世間に広めたいという場合でも「ただの主婦」より、「整理収納アドバイザー」と名乗れた方が信頼性が高まります。
整理収納アドバイザー1級の資格を取れば、整理整頓の専門家として仕事を行うことができます。具体的にはフリーランスとして片付けに困っている人にアドバイスをしたり、セミナーを開催して整理整頓のノウハウを教えたりします。
整理収納アドバイザーの中には、テレビに出演したり、雑誌に寄稿したりしてとても有名になっている人もいます。ただし整理整頓のプロとして仕事を受注するためには、集客ノウハウやPR力が問われ、活躍できる人の数は決まってきます。成功のためには資格取得以上の努力が必要になってくることを覚えておきましょう。
なお、ハウスキーピング協会では整理収納アドバイザー資格取得者向けのコミュニケーションサイトも用意しています。
講座受講やコミュニケーションサイトでの仲間との交流を通して、仕事や人の縁に繋がれるというのも資格取得のメリットの1つです。
個人的な整理整頓能力を高めたいかどうかという点もポイントです。整理収納アドバイザーの資格取得には数万円の費用が掛かります。
ただ「現状散らかった部屋を片付けたい」というだけなら、既に活躍している整理収納アドバイザーに依頼するだけでも特に問題ありません。逆に自分が片付け上手になりたい、時短家事のコツが知りたいという人なら資格取得を目指すことは無駄ではないでしょう。
整理収納アドバイザーの資格は大きく2つに分かれます。個人的な整理整頓の悩みを解決するための3級・2級・準1級と、プロの整理収納アドバイザーとして仕事ができる1級です。
整理収納アドバイザー3級ではテーマごとの整理整頓術を学びます。
●資格の取り方
整理収納アドバイザー3級は3級認定講座を受講することで取得できます。3級の認定講座には「時間整理術」や「ファッションと整理術」など様々なテーマのものがあります。この中から自分の興味があるものを選んで受講します。講座を受講後、整理収納アドイバイザー3級認定証が発行されます。
●受講資格
なし
●講座にかかる時間
約3時間
●講座受講費用
初めて認定講座を受講する人 9,900 円(税込)
3級・2級・1級を取得している人 5,500 円(税込)
※初めて3級認定講座を受講する場合は認定料を含んだ価格になります。一度3級講座を受講すると3級の資格を得ることができるので、以降は認定料なしの価格で講座受講ができます。
※講座によっては別途資料代やテキスト代がかかる場合があります。
●講座形式
対面もしくはオンライン(講座テーマによって異なる)
整理収納アドバイザー2級では整理整頓の基本を学ぶことができます。
●資格の取り方
2級認定講座を受講後、整理収納アドイバイザー2級認定証が発行されます。
●受講資格
日本語を理解していること(未成年者は親権者の許可を受けること)
※3級資格なしでも2級講座を受講することが可能です。
●講座にかかる時間
約7時間
●講座受講費用
23,600円(税込)
※テキスト代、認定料を含んだ価格になります。
●講座形式
対面もしくはオンライン
整理収納アドバイザー準1級ではより詳しい整理整頓の内容を学ぶことができます。
●資格の取り方
2日間の準1級認定講座を受講することで取得できます。
●講座受講資格
整理収納アドバイザー2級講座受講者
整理収納アドバイザーBAV受講者
整理収納教育士受講者
オフィス環境診断士2級受講者
整理収納アドバイザー オフィス&ホーム認定者(産能大学の通信講座で取得できる資格・整理収納アドバイザー2級に相当する)
●講座にかかる時間
約7時間半×2日
●講座受講費用
36,300円(税込)
※テキスト代を含んだ価格になります。
1級を取得すると、整理収納アドバイザーとして活動することができるようになります。整理収納アドバイザーの仕事をしたい人は1級の取得を目指しましょう。
●資格の取り方
1次試験、2次試験に合格すると整理収納アドバイザー1級を取得することができます。
●1級受験資格
1次試験 2級資格取得者かつ準1級認定講座受講者
2次試験 1次試験合格者
●試験時間
1次試験 90分
2次試験 一人20分間
●試験形式
1次試験 マークシート方式 100問
2次試験 研究発表のプレゼンテーション
●合格基準
1次試験 70点以上
2次試験 70点以上
●受験費用
1次試験 11,000 円(税込)
2次試験 13,200円(税込)
計 60,500円(税込)
●合格率
1次試験 70~80%程度
2次試験 80~90%程度
整理収納アドバイザー3級、2級、準1級の資格はハウスキーピング協会が主催する講座を受講することで取得できました。しかし、通信講座を利用して整理収納アドバイザーの資格を得ることもできます。
ユーキャンの「整理収納アドバイザー講座」はハウスキーピング協会公認の通信講座です。この講座を受講し添削指導に合格すれば、ハウスキーピング協会の講座に出席しなくても整理収納アドバイザー2級と準1級の資格を取得することができます。準1級の資格が認定されれば、ハウスキーピング協会主催の整理収納アドバイザー1級受験資格を得ることが可能です。
「整理収納アドバイザー講座」を受講するメリットは4つあります。
まず、在宅での資格取得が可能だということです。
ハウスキーピング協会主催の講座にはオンライン受講ができるものもありますが、日程が固定されているため仕事等の都合でどうしても受講できないという場合もあるでしょう。ユーキャンなら自宅で好きな時に資格の勉強を進めることができます。
2つ目は2級と準1級の資格がまとまめて取得できることです。特にプロとして活躍できる1級を目指すなら、2級と準1級を先に取得しておくことが必要です。
3つ目のメリットはプロの整理収納アドバイザーに質問ができるなどサポート体制が充実していることです。この講座の標準学習期間は4か月ですが、サポート期間は8か月と長めにとられていますので疑問点を1つ1つ解消しながらじっくり学ぶことができます。
4つ目のメリットは費用です。ユーキャンの「整理収納アドバイザー講座」は49000円(税込み)となっています。一方ハウスキーピング協会の講座で2級と準1級を取得した場合、総受講費用は59900円(税込み)となります。ユーキャンの方が1万円ほど安くなり、お得です。
ただし、ハウスキーピング協会の講座では短期間で集中して資格取得ができるというメリットがあります。スキマ時間を使ってじっくり学習したいのか、3日(2級1日、準1級2日)の講習ですぐに資格取得したいのか、自分の都合に合う方を選びましょう。
整理収納アドバイザーの資格を取るには、上記で説明したようにハウスキーピング協会が主催する講座を受講するか、通信講座を利用して資格を取得するかのどちらかです。独学だけで整理収納アドバイザーの資格を取得することは、基本的にはできない仕組みになっています。
ただし整理収納アドバイザーの資格取得が目的ではなく、収納の理論を学びたいという場合は本を使って独学をすることも可能です。
整理収納アドバイザーの公式テキストはAmazonなどで一般販売されています。テキストを読むことで、実際に資格を取らなくても整理収納アドバイザーの知識を独学で学ぶことができます。また整理収納アドバイザーとして活躍している人の本もいろいろ出ています。このような本を読んで整理整頓についての考え方を生活に取り入れる方法もあります。
整理収納アドバイザー1級の場合は1次試験、2次試験に備える必要がありますが、独学での合格も可能です。独学で合格するためには、1級試験の準備ともいえる準1級講座の内容をしっかり聞いて、公式テキストをよく読むことが大切です。
なおハウスキーピング協会では1次試験対策用のオンライン学習サイトを提供しています。3年間2400円(税込)で使えて、スマホからもアクセスが可能です。独学での勉強のお供に利用を検討してみるのも良いでしょう。
実は整理収納アドバイザーには3級、2級、準1級、1級以外にもいくつかの種類があります。
企業の整理整頓に特化した整理収納アドバイザーです。効率的な職場環境を作りや接遇の知識を身につけることができます。講座受講で資格取得できます。
ハウスキーピング協会認定の講師として整理収納アドバイザー2級認定講座を開催できるようになるための資格です。整理収納アドバイザー2級認定講師になるためには、まず整理収納アドバイザー1級に合格する必要があります。その後、予備講座の受講と試験を経て、合格した人が資格を取得できます。
ハウスキーピング協会認定の講師として整理収納アドバイザーBAV認定講座を開催できるようになるための資格です。予備講座の受講と講師審査に合格することで資格取得ができます。なお、整理収納アドバイザー2級認定講師を取得し、整理収納アドバイザーBAVの認定を受けていないと予備講座の受講資格は得られません。
整理収納アドバイザーの資格取得にはハウスキーピング協会の開催する講座受講が前提になっています。整理収納に自信がない人でも1から整理術について学ぶことができるため、だれでも資格取得を目指すことができます。
準1級以下は講座を受講するだけで資格が取れますし、1級の試験の合格率もかなり高いので、資格取得の難易度はとても低くなっています。仕事が忙しいなど講座受講に時間が割けない人は、ユーキャンの「整理収納アドバイザー講座」を受講すれば、在宅で準1級までの資格が手に入ります。
誰でもとりやすいため、難関資格のような希少性はありませんが、家事代行などの仕事ではアピール材料の1つになります。
また学んだ知識を上手に使って、時短家事を目指したり、仕事を効率化したりすることもできます。
さらに1級の資格を取れば、整理収納アドバイザーとして仕事をすることも可能になります。
難易度が低い資格は誰でも取れるため意味がないといわれがちですが、資格を取得する過程で学ぶ知識をどう活かすかは一人一人違います。整理整頓がうまくなりたいという気持ちがあるなら、一度講習を受講してみてはいかがでしょうか。