【精神障害】「無理なく働き続けられる」仕事の探し方

この記事は、精神障害をお持ちの方の
・仕事がしたい。
・転職したい。
・(再)就職が難しい。
という悩みを解決する内容です。

精神障害をお持ちの方、
「精神障害だと(再)就職は難しいのかな。」
「(休職や退職で)ブランクがあるから転職できるか不安。」
あるいは
「仕事しても続かないのではないか。」
という悩みを抱えていませんか?
再発は恐いし、また辛い思いをするのも嫌ですよね。

ちなみに、これらの悩みに対する回答をすると、
「精神障害をお持ちでも、就職(転職)して仕事をし続けることは可能」です。ただし、ちょっとした知識とコツが必要になります。

そこで今回は、そのための知識とコツを知っていただくために、
・精神障害者が無理なく働ける方法
・仕事の探し方
上記2点をご紹介します。

「精神障害」の症状を確認しよう

まずは、自分の精神障害の症状を確認しましょう。
あらためて障害の症状を確認することで、自分の障害特性への理解が深まります。そして、後述する「周囲へ理解してもらう」さいに役立ちます。

厚生労働省では、「精神障害(精神疾患)の代表例」として、下記の5つを挙げています。
参考:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例」

この5つのなかに、自分と同じ障害があれば確認してください。

①統合失調症
②気分障害(うつ、躁うつ)
③てんかん
④依存症
⑤高次脳機能障害

①統合失調症

ⅰ.主な原因

未だわかっていません。
ただ、下記の原因が合わさって発症すると考えられてます。

・遺伝
・脳の変化(一部が小さい、萎縮など)
・環境
・性格
・心理的ストレス

ⅱ.主な症状

・幻覚、幻聴
・妄想
・会話、行動の障害(会話がかみ合わない、作業ミスが増えるなど)
・感情、意欲の障害(感情が湧かない、相手の感情が理解できない、仕事や日常の生活動作に対する意欲が湧かない)
・自身が病症を認識できない
など

②気分障害(うつ、躁うつ)

ⅰ.主な原因

未だわかっていません。
ただ、「①統合失調症」と同じような原因ではないかと言われています。なにも原因がなくても発症している例もあります。

ⅱ.主な症状

[うつ病]
こころの症状⇒なにに対しても意欲がわかない、常に気分が落ち込んでいる、イライラする、「死にたい」と考えることがある、など
からだの症状⇒食欲がない、疲れやすい、頭痛、動機、めまい、など

[躁うつ病(双極性障害)]
躁状態(ハイテンションな状態)とうつ状態を繰り返します(差が異常に激しい)。
具体的な症状は、話し続ける、睡眠時間が短くなる、人の話を聞かない、など

注 「①統合失調症」と「②気分障害」は似たような症状がありますが、
・統合失調症=「思考」の障害
・気分障害=「気分」の障害
として判別できます。

③てんかん

ⅰ.主な原因

てんかんには主に2種類あり、原因が異なります。
・症候性てんかん⇒先天性脳障害(奇形、異常)、脳外傷、脳炎、など)
・特発性てんかん⇒原因不明。

ⅱ.主な症状

・けいれん
・短時間の失神(意識を失う)
・脱力する
・全身や手足がピクっとする
・感覚や感情の変化
・特殊な行動をする
など

④依存症

代表的な依存症は、
・ギャンブル依存症
・アルコール依存症
・薬物依存症

ⅰ.主な原因

・ギャンブル依存症
⇒ギャンブル中に、脳からドーパミンが出て高揚状態になる。その高揚感が忘れられなく、依存症になってしまう。
・アルコール依存症
⇒長い期間、過度なアルコール摂取を続けていると、依存症になってしまう。
・薬物を使用することにより、脳からドーパミンが出て、その感覚が忘れられなくなってしまう。そして、依存症になってしまう。

ⅱ.主な症状

すべてに共通する症状として、
・(依存対象)をしていないと落ち着かない。
・(依存対象)のことを常に考えてしまう。
・(依存対象)がやめられない。

⑤高次脳機能障害

ⅰ.主な原因

病気やケガによって、脳に損傷を負ってしまうこと。

ⅱ.主な症状

・記憶障害
⇒ものごとをすぐに忘れてしまう。
・注意障害
⇒ミスが多い、集中できないなど。
・遂行機能障害
⇒計画的に、自ら行動できない。
・社会的行動障害
⇒イライラしやすい、すぐ興奮する、すぐ暴力をふるうなど。
・病識欠如
⇒上記の障害に自分で気づかすにトラブルになる。

精神障害者保健福祉手帳を取得しよう

ここで質問です。
あなたは精神障害の診断を受けたあと、「精神障害者保健福祉手帳」を取得しましたか?

取得していないのであれば、必ず取得しておきましょう。

現状、65歳未満の「精神障害者保健福祉手帳」取得率は2割以下と、非常に低くなっています。
しかし、「精神障害者保健福祉手帳」を取得することで、以下のメリットを得ることができます。

①障害者雇用で就職できる。

このメリットを得るためには、就職や転職のさい、障害をオープンにしなくてはなりません。
この記事では、障害をオープンにして就職することをおすすめしています。詳しくは、次の章で説明します。

②料金の割引

公共交通機関(電車、バスなど)の利用が割引となります。
自治体によりますが、タクシー利用券などを交付してくれる自治体もあります。そして、企業によっては、独自の障害者割引サービスを実施しているところもあります。

③各種税金の軽減(等級による)

所得金額から、一定の金額(等級による)の控除を受けることができます。そして、場合によっては、同居者にも各種税金の控除が適用されます。

「精神障害でも無理なく働ける仕事」を探すコツ

では、「精神障害を持っていても無理なく働き続けるためのコツ」をご紹介します。
ここでは、「就職(転職)活動前」、「就職(転職)活動時」、「就職(転職)後」の3つに分けて説明します。

【就職(転職)活動前】

必ず担当医の許可がでたら就職(転職)活動を始める

必須事項です。自分で「もう大丈夫。」と感じても、必ず担当医の判断を仰ぎましょう。
症状を再発させないことを最優先に。焦りは禁物です。

リワーク支援を利用する。

リワーク支援とは、「休職している方への職場復帰を目標とする支援」です。
主な対象者は、精神障害をお持ちの方です。
実施している場所は、
・医療機関
・障害者職業センター
・勤務先企業
・就労移行支援事業所
です。
主な支援内容は、リワーク支援を実施している場所によって異なります(医療的ケアがメインか、援助がメインか、など)。
このリワーク支援を受けることによって、再休職率が低下するといった研究結果も出ています。

【就職(転職)活動時】

障害をオープンにする(障害者雇用で働く)。

障害をオープンにして働くことをおすすめします。

たしかに、障害をクローズにして一般雇用を目指す選択肢もあります。
しかし、障害をクローズにして働くと、必要な支援や配慮を受けれない場合が多いです。
そのストレスが原因で症状が再発し、「また休職」となってしまっては元も子もありません。

「無理なく働き続けること」が重要です。

精神障害への理解がある職場を選ぶ

面接などで、精神障害をお持ちのが働いているのか、あるいは、過去に働いていたかを確認しましょう。
過去にいたが現在はいない場合は、その方の継続年数も確認しておきましょう。
精神障害に対して理解があり、配慮してもらえる職場なのかを判断する材料になります。

そして、今後、精神障害による不調で仕事を休むこともあり得ます。
治療を継続するために、通院も必要になります。

それらのことを配慮してもらえる=自分も無理なく働ける仕事ということにつながります。

【就職(転職)後】

自ら、同僚や上司に、精神障害への理解を得るために働きかけましょう。

当然、事前に「精神障害を持った方が就職する。」との情報は流れていることでしょう。
しかし、実際は、自分から「障害の症状」を適切に説明しない限り、周囲の理解を得にくいでしょう。
さらに、それをきっかけにコミュニケーションをとることで、関係性を構築できるチャンスでもあります。

つまり、しっかり障害を理解してもらうことが、「無理なく働き続けること」につながります。

「精神障害をお持ちの方におすすめ」の仕事の探し方

では、どのように仕事を探せばよいのでしょうか。
ここでは、「精神障害をお持ちの方におすすめ」な仕事の探し方をご紹介します。

下記①~③の支援機関がメインとなります。

①ハローワーク
②就労移行支援事業所
③障害者職業センター
+αで
④障害をお持ちの方専門の求人サイト

①ハローワーク

職業安定所です。ほとんどの方は、ここでの仕事探しがメインとなるでしょう。当然、障害者雇用枠の求人もあります。
ハローワークでは、仕事探し以外にも、下記のような支援を実施しています。

1.障害者トライアル雇用事業

障害をお持ちの方を一定期間(原則3ヵ月)試行雇用し、継続雇用への移行のきっかけにするためのサービスです。
「障害者短時間トライアル」というコースもあります。これは「雇い入れ時の週の労働時間を週10時間以上20時間未満にする。トライアル期間中に労働時間週20時間以上を目指す」というものです。
これを利用することで、徐々に職場に慣れることができます。結果、無理なく働き続けることができるでしょう。

2.精神障害者雇用トータルサポーターの設置

「精神障害者雇用トータルサポーター」とは、精神保険福祉士・臨床心理士などの資格がある、精神障害の専門家です。
「精神障害者雇用トータルサポーター」は、以下の役割を持ちます。

・精神障害を持つ求職者に対し、カウンセリングや、就職するための準備プログラムを実施する。
・事業者に対し、精神障害者などの雇用に関する課題解決にむけた相談援助などを実施する。

ハローワーク全体で、約350名配置されています(平成27年時点)。
実際、年間で10万件を超える支援を行っており、そのうち70%以上の方が、就職や職業紹介などのステップに進んでいます。

利用されたい方は、近くのハローワークに「精神障害者雇用トータルサポーターの設置」の有無を事前に確認しておきましょう。

②就労移行支援事業所

一般企業への就職を目指す、障害のをお持ちの方(65歳未満)を対象に、個別で就職に必要な知識やスキル向上のサポートをおこなっています。
そして、就職先はハローワークなどと連携して探します。事業所数は3300ヶ所(平成27年度時点)です。利用料は、世帯収入によって変わります※1。

③障害者職業センター

障害をお持ちの方に対し、無料で職業的自立に向けた支援をします。
具体的には、障害職業カウンセラーや相談支援専門員、ジョブコーチなどを配置し、職業リハビリテーションの実施・助言・援助を行っています。
ただ、事業所が全国52ヵ所と少ないため、単体での利用は不便に思うかもしれません。

④障害をお持ちの方専門の求人サイト(エージェント)

主な仕事探し方法は①~③です。ただ、①~③だけでは選択肢に限りがあります。
そこで活用できるのが、「障害をお持ちの方専門の求人サイト(エージェント)」です。
もちろん、これをメインで活動してもOKです。
上手く活用することで、就職先の選択肢が広がるでしょう。

次の章で、サイトの比較をてします。

世帯の収入状況 負担上限月額
生活保護 生活保護受給世帯 0円
低所得 市町村民税非課税世帯(※1) 0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円(※2)未満)
※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者を除きます(※3)。
9,300円
一般2 上記以外 37,200円

※1 3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象。

※2 収入が概ね600万以下の世帯が対象。

※3 入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム、ケアホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合「一般2」。

障害をお持ちの方専門の求人サイト (エージェント) 比較

精神障害をお持ちの方は、ぜひ求人サイト(エージェント)に登録してください。選択肢の幅や、視野が格段に広がるはずです。

しかし、障害者専門の求人サイトをWebで検索すると、たくさんのサイトが表示されます。すべてに登録するのも良いと思いますが、「登録するのは1つでいい。」という考えの方もいるでしょう。

そこで、大手の障害者専門の求人サイト(エージェント)を比較しました。
下記は、大手3社の比較表です。

転職サイト
(エージェント)名
求人数
(カッコ内は非公開求人数)
精神障害者向けの求人 新卒・第二新卒向けの支援 利用料
1 dodaチャレンジ 約14000
(約12500)
あり。 あり。
(新卒・第二新卒向けの支援がある。)
完全無料
2 atGP 約11000
(約10000)
あり。 あり。
(新卒向けのサービスがある。)
成功型報酬制(中途採用者:理論年収の30%、新卒採用者:理論年収の35%)
3 ランスタッド チャレンジド 約7000
(約6000)
あり。 不明。
(専用のサービスはなし。)
完全無料
転職サイト
(エージェント)名
メリット デメリット
1 dodaチャレンジ ・総合力。
・非公開求人
※2の多さ。
・都市部にしかオフィスがない
2 atGP ・求人数の多さ。
・「リンクビー」という就労支援サービスを持つ。
・atGPを利用して就職したさい、料金が発生する。
3 ランスタッド チャレンジド ・ハイクラス(好待遇)の求人が多い。
・全国120ヵ所にオフィスがある。
・求人が少ない。

ご覧の通り、各社ごとにメリットとデメリットがあります。

「こんな方におすすめ」と表現するならば

・dodaチャレンジ⇒比較的、万人におすすめ。
・atPG⇒お金に余裕があり、手厚い支援を受けたい方におすすめ。
・ランスタッド チャレンジ⇒スキルを持ち、障害の軽い方におすすめ。

障害者支援施設で勤務する筆者の視点では、1つだけ登録するならば「dodaチャレンジが1番無難かな。」と感じます。

【まとめ】精神障害を再発しないように意識して仕事しよう

今回ご紹介した

・自身の障害把握
・精神障害者保健福祉手帳の取得
・仕事探しのコツ
・仕事の探し方

は、すべて「精神障害を再発しないこと」に重点を置いています。

その理由は、精神障害をお持ちの方の多くが「復職(転職)しても、仕事が続かない」と感じているためです。
そして、その原因の多くは、精神障害を再発してしまうことによるものなのです。

あなたの身体は、あなたにしか守れません。
「絶対無理はせずに働き続ける。」ということを念頭に仕事を探すようにしてくださいね。


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷