辛い仕事だといわれ続けてきたサーバーエンジニア。確かにやることが多い上に責任がのしかかる難しそうなイメージが先行していました。
しかしAmazonのAWSなどクラウドサービスの台頭により、サーバーエンジニアの業務に大きな変化が起こったのです。
業務が減って管理する部分が増えたおかげで1000万円プレイヤーが増加している、今大注目のサーバーエンジニアについてご紹介します。
情報システムの基盤となる領域を担当するインフラエンジニアの一員として、なくてはならないポジションを築いているサーバーエンジニア。
彼らはITシステムを運用するサーバーを構築したりサーバーソフトの設定をすることが主な仕事です。
これだけを聞くと一見かっこよくて頼もしい業務のように聞こえますが、実際の仕事はサーバーの設計・構築・運用の他にも冗長構成・負荷分散・障害が発生した場合の処理、セキュリティ対策など、常にやることは山積みでした。
毎日忙しいサーバエンジニアですが、目まぐるしく進化を続けるIT業界はさらに彼らに追い打ちを掛けました。2010年1月27日には70億ドルという巨額なお金でオラクルがサンマイクロシステムズを買収するのです。
サーバーエンジニアたちはリースしていたサンのサーバーの契約を見直したり、管理システムに登録してあった会社名の変更など、約1ヵ月間に渡り対応に追われました。
ようやく落ち着きそうかと思われた頃、今度はヒューレットパッカードがブレードという名の、省エネかつ従来のたった10分の1しかないラックサイズの高機能サーバーの販売を開始しました。
価格も安かったことから、この時期に多くのサーバーエンジニアがサンからヒューレットパッカードへサーバーをリプレイスしたのです。
通常の仕事と時代の流れとともに増える業務、サーバーエンジニアは既存システムへの変更対応や新しいサーバーの技術習得など、気の抜けない日々を何年も過ごしていきました。
そんな中、過度なプレッシャーや失敗できない業務の連続で、脱落していった人も多かったと思います。だからサーバーエンジニアはきつい・辛い、そんな声が広がっていきました。
毎日辛い業務が続く中、それでもサーバーエンジニアは多くの人が憧れる仕事であり続けました。
サーバーエンジニアの醍醐味といえば、リクエストされる性能要件を満たすために、どんな構成にすべきなのか。ベストな状態を自分で考えて答えを導き出すところが魅力的です。
日々身につけてきたインフラの知識を駆使しながら自分らしいシステムを構築していく。優秀なサーバーエンジニアたちの後ろ姿は当時まだ若かった私には大変魅力的でした。
サーバーを構築する際はまず最初に、スペックや台数処理能力についてプログラマーなどと相談しながら決定していきます。その上でサーバーエンジニアは電源使用量・可用性コスト・接続するネットワークなどを導き出し、バランスを考えて選定します。
出来上がったシステムが毎年障害を起こさない安定したものであればあるほど、周囲からは尊敬の眼差しが注がれたのです。
辛いけど魅力的だったサーバーエンジニアの仕事に大きな変化をもたらしたのがクラウドの出現です。
ほとんどの企業がオンプレミスでサーバーを構築管理する中、Amazonなどの大企業がサーバー管理をアウトソーシングするクラウドサービスを開始しました。
当初はこれらが安定稼働できるのか、セキュリティ面で問題が起きるのでは…などと不安視する声も上がっていました。しかし蓋を開けてみると最新技術や優秀なエリートたちによる素晴らしいシステムが提供されたのです。
同じ頃、世間ではIoT化が進み、AIなどの実用化が盛んになっていきました。活発になるIT業界は柔軟性を見せるようになり、自社のサーバーでなくてもいいという考え方が定着し始めるのです。
サーバーエンジニアの仕事は徐々にクラウド化していきました。
それまで多忙を極めていたサーバーエンジニアの一部の業務はアウトソーシングされ、めまぐるしかった仕事量は少しずつ落ち着きを見せるようになったのです。
今後このままクラウド化が進むとサーバーエンジニアの仕事は減ってしまうのではないか?そんなデメリットともとれる声も囁かれるようになりました。
しかし実際はオンプレミスとクラウドサービスの両方を上手く組み合わせて、サーバーエンジニアがその両方を管理する立場へと落ち着いていったのです。
仕事量は減り管理する仕事が増える。サーバーエンジニアの未来は一気に明るいものへと変わりました。
クラウドが定着した後は「SaaS」「PaaS」「IaaS」という3つのサービスが台頭しました。
Software as a Serviceの略で、クラウド上からソフトウェアを提供するサービスです。
Platform as a Serviceの略で、クラウド上からアプリを動かすためのデータベースやプログラムの実行環境を提供するサービスです。Google Apps EngineやMicrosoft AzureなどがPaaSです。
Infrastructure as a Serviceの略で、クラウド上から仮想サーバ・ハードディスク・ファイアウォールなどのインフラを提供するサービスです。
この中で最もサーバーエンジニアが使うのがIaaS、場合によってはPaaSも含まれるでしょう。これらクラウドサービスの人気が進めばサーバーエンジニアの役割が減ってしまうかもという懸念がありました。
しかし各社が提供するクラウドサービスはそれぞれ異なる仕様になっているため、逆に専門的に熟知し、それぞれを管理する役割としてサーバーエンジニアが再び脚光を浴びたのです。
今の内にクラウドの知識を増やしたいという方におすすめしたいのが、Amazonが2016年からスタートした「AWS」というサービスです。AWSはインターネット経由でコンピューター・データベース・ストレージ・アプリケーションなど、様々なITリソースをオンデマンドで利用可能です。
AWSの1番のメリットは必要な時に必要な分だけリソースを低価格で使用できることです。しかも契約が済めば即座に何百でも何千ものサーバーをたった10分で起動し運用まで開始できます。
これまでサーバーエンジニアが何ヵ月も掛けて準備していたものが、たった10分で使えてしまう。画期的なこのAWSは今後多くの企業が利用するサービスへと繋がっていくでしょう。
AmazonのAWS、一体どんな企業が既に利用しているのかというと、大企業であるネスレとドトールがこの新しい試みに挑戦し成功を収めていました。
ネスレ日本株式会社
グローバル管理はこれまでオンプレミスでの運用を続けていましたが、デジタル分野のシステムからクラウド化をスタートしました。現在は一般消費者様向けのECサイト「ネスレ通販」をAWSで運用しています。
株式会社ドトールコーヒー
オンプレミスで運用していた統合データベース「オラクルエクサデータ」をAWSへ移行しました。わずか1ヶ月で構築データセンターにあるサーバーと連携することに成功。現在はAWSをメインデータベースとして利用しています。
AmazonのAWSは様々なサービスが充実しているため、痒いところに手が届いていると高評価を獲得しています。AWSを始めてみたいけれど、既存システムとどう組み合わせればいいのか。いまいち分からないというサーバーエンジニアのためには、AWSの無料セミナーに参加してみるのをおすすめします。このセミナーに参加した後で利用するかどうか決めても遅くないでしょう。
ここ数年、IT業界は未経験でも採用してもらえる機会が増えました。サーバーエンジニアに興味があるけれど面接に行く自信がないという方には、現在注目が集まるAmazonのAWSの資格取得がおすすめです。
引用元:https://itjinzai-lab.jp/article/detail/1553
米グローバルナレッジが2019年、ITスキルと給与調査データによる「稼げるIT認定資格 Top15 2019年」について調査したところ、AWSの資格はTop5の中に2つラインクインしていました。4位にはAWS認定ソリューションアーキテクトアソシエイト(年収は約1440万円)、5位にはAWS認定デベロッパーアソシエイト(年収は約1420万円)がランクインしました。
つまりAWSの資格を持ったITエンジニアの年収は1000万円を優に超えていたのです。今からAWSの取得して転職すれば、念願の年収1000万円越えも夢ではないかもしれません。
サーバーエンジニアの今後は二極化するだろうと予想しています。
レガシー技術しか扱うことができないサーバーエンジニアには厳しい現実が待っているでしょう。
しかしAmazon のAWSなどクラウドについての知識や技術を持ち合わせていれば、成功への道は案外近いものになるかもしれません。そうなれば夢の年収1000万円プレイヤーになってしまう日がくるかもしれません。