IOT化が進む今、サーバーエンジニアの需要は継続するのか?それとも次第に減少するのか?
時代とともに変化を見せるサーバーエンジニアの求人状況を2018年以降で調査、詳しく解説しながら、クラウド化への驚きの実態をご紹介します。
サーバーエンジニアが本当に直面するきつさとは何か、現場の経験を活かした生の声から今が転職する時期なのかを判断します。
未経験を獲得する企業や全体の20%を占めた40代以上の登録者たち
アメリカから起こったITバブルが2000年をピークに衰退し始めた時、多くのITベンチャー企業は倒産に追い込まれ、投資家が資産を失う悲劇が起きました。あれから約20年がたった2020年、IT業界はいずれAIに乗っ取られる日が来るかも、なんてことまで囁かれるようになりました。
そんな今、サーバーエンジニアの求人の状況はどのようになっているのでしょうか。クラウドの台頭で需要が激減するなんて話は本当なのか?まずは2019年以降のサーバーエンジニアの求人動向を細かく調べてみました。
すると2019年以降のサーバーエンジニアの求人登録者数は、2019年から現在まで若干ではあるが伸長していることが分かりました。つまりAI化が進んでいてもサーバーエンジニアに対する求人の数はほとんど増減していなかったのです。
(対象:2019年9月~2020年2月)
サーバーエンジニアへの転職を狙う年齢層はどの世代が最も多いのかというと、年代別で20代後半から30代前半の人が全体の約46%を占めていました。未経験から徐々に実力をつけてきた20代後半から30代前半の働き盛りのエンジニアたちがヘッドハンティングのような好条件で転職を希望することを予想すれば、これはなんらおかしくない結果なのかもしれません。
参考:【doda】ITエンジニアの中途採用市場レポート (https://www.saiyo-doda.jp/report/7047)
サーバーエンジニアの将来性について一時期、クラウドコンピューティングの台頭によりサーバーエンジニアの需要が激減するのではないかといったような、悲観的な予測が見られたことがありました。
この話は本当なのか?コンピューターの自動化が進めばサーバーエンジニアの求人は減ってしまうのか、この話の真相を探ってみました。
まず最初に分かった事は、こうした予測は既に古い話になっていたということ、トレンドの話題からは程遠い、忘れられつつある話題になっているという事実でした。それを裏付けるかのように、現在もサーバーエンジニアに対する求人案件はほとんど減っていないことが分かっています。
給与についても今後は減少する見込みになるのではないかという見方がありましたが、今のところ平均的な給料が450万円から700万円で維持、そのような兆候は見受けられませんでした。
このような結果が出た理由は何なのか。サーバーエンジニアの需要が減らない理由について調べてみると、次の4つの要因が見えてきたのです。
業界の外から見ると、クラウド化した企業がほとんどではないかとイメージする人はたくさんいます。しかし現状ではまだ社内システムがクラウド化されていない企業の方が圧倒的に多かったのです。
なぜクラウド化が進みづらいのかというと、その原因には「費用の問題」「移行するメリットがあまりない」「自社のシステムがクラウドに適さない」「現行のシステムが複雑かつ膨大なため移行したくてもできない」という問題がありました。
中でも4番目の「現行のシステムが複雑かつ膨大なため移行したくてもできない」という問題を抱える企業が多く「とにかく手間が掛かるので担当したくない」「移行の途中で間違いなくどこかで障害が起きるだろう」「移行手順を考えると想像しただけで胃が痛い」など、現状ではほとんど手がつけられない、深刻な状態だったのです。
サーバーエンジニアへの転職を始めると、多くの広告やWEBサイトがこぞって「サーバーエンジニアという仕事は常に新しい情報を耳に入れながら、トレンドを勉強していなければ追いついていけない業種である」などと掲載しているのを目にします。
確かにサーバーエンジニアという仕事は最初に覚えなければならない知識がたくさんあるため、ある程度勉強が好きな人でなければ務まらないかもしれません。しかし基本となる土台をしっかりと身につけてしまえば、実際に就職してからも常に勉強ばかりしているという人は意外と少ないのです。
現場で見て来た優秀なエンジニアたちは常に勉強するという姿勢よりも、みな一様に「知らなくてもできる」ある共通したスキルを持っていました。覚えるのではなくコツを掴む、そんな風に仕事をするのです。
さらに現場では知識・英語力などのスキルアップ的な勉強よりも、職場の人とコミュニケーションを取りながら円滑に仕事をこなせるかどうかの方がよっぽど大切だったりします。つまりサーバーエンジニアになるために勉強漬けしなくてはいけないきつい期間は最初の土台を身につけるまでの約3ヶ月から半年の間だけなのです。
例えば転職した先に優秀なエンジニアが揃っていたとしましょう。彼らが設計・構築したサーバーなら安定稼働しているはずです。このような状況なら毎日障害が起きて残業なんてことにはならない。そういう場所では落ち着いて自分の仕事を担当できます。視野が広がり次第にサーバーエンジニアとしてのコツを掴んでいけるのです。
たまに試練はやってきます。それは障害が発生してしまった時です。サーバーエンジニアは一旦トラブルが起きてしまった場合、それが深夜だろうが、休日だろうがとにかく復旧するまで作業を休めません。この時ばかりはストレスが溜まり焦ったりするかもしれませんが、きついのは一時的な期間だけです。再度復旧すればまた平穏な運用作業に戻れます。
Point忙しいのは一時的だった
もし今あなたがサーバーエンジニアをしていて、自分の会社はそんな状態ではなく、四六時中忙しい状況なのであれば、そこはもしかしたら優秀なエンジニアが少ないブラック企業である可能性があるのかもしれません。
今までの話が本当ならば、ブラック企業でなければサーバーエンジニアはそれほど忙しくない仕事のはずです。なのに、なぜサーバーエンジニアはいつもきつい仕事だと思われてしまうのでしょうか?実際にサーバーエンジニアとして7年間働いた経験がある私が見てきたことをお話ししておきましょう。
実はサーバーエンジニアが最もきついと感じる理由は仕事が忙しいからではなく、孤独とプレッシャーを感じながら自分一人で闘わなければならない仕事だからなのです。
サーバーエンジニアはひとたび作業に入ってしまえば黙々とサーバーを設計・構築・運用・保守・その他稟議書の作成などの事務作業を永遠とこなしていかなければなりません。優秀なエンジニアは自分一人でなんでもできるがゆえに「一日中誰とも話をしないで退社した」なんて日もあるのです。
サーバーが設置されるラックはほとんどの場合「データセンター」という場所にあります。遠隔で操作できる場合ならまだしも、トラブルによってはこのラックに直接出向き、何時間もの間、機械音しかしない人けのない場所で障害復旧するまでたった一人で作業を続けなければならないのです。
重圧のしかかるトラブル対応
トラブルが起きた場合は、各部署から「一秒でも早く復旧しろ」とのプレッシャーが掛かります。もしまた作業の中でミスを犯してしまえば、復旧はさらに遅延してしまう。「それが自分一人で対応できる問題なのか」「判断を間違わないだろうか」そんな緊張感の中でたった一人何時間も復旧作業に当たらなくてはなりません。孤独と重圧、これが多いのがサーバーエンジニアの仕事です。
不規則な勤務
またサーバーエンジニアには夜勤が伴う場合もあります。1週間に1回から2週間に1回程度、自宅で待機します。万が一トラブルが起きた場合はその時間が深夜・寝ている時間であっても自宅のパソコンから遠隔操作でサーバーを復旧させます。
一人作業の孤独に慣れてしまえば気楽なものです。しかし向かない人にとってはかなりきつい仕事になるでしょう。
サーバーエンジニアの仕事は今後IOT化が進んだとしても、向こう50年は現状維持できるといえます。給料はITバブルの頃と比べると少なくなったものの、未だ高水準を維持している業種です。
売り手の条件が通り易くなった今、サーバーエンジニアに転職する好機が始まったのではないでしょうか。サーバーエンジニアに転職するポイントはできるだけ優秀なエンジニアがいる部署を選ぶこと。
そうすることで地獄のような残業から解放され、余裕のある毎日が送れるようになるはずです。