サービス業からの転職を成功させるには?活かせるスキルはある?

「サービス業」と言うとどのようなイメージを持っていますか?

大きくサービス業と言っても、宿泊、飲食、医療・福祉、娯楽、教育、金融などの「便利さ快適さを提供するサービス」、小売り、卸売り、不動産などの「ものを提供するサービス」、通信、放送などの「情報を提供するサービス」など様々な分類に分けられます。

そして、サービス業が含まれる第3次産業(※1)で働く人は全体の約7割を占め多くの人がサービス業で働いていることが分かります。

(※引用:内閣府「サービス産業の生産性」https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/special/future/wg1/0418/shiryou_01.pdf)サービス業とは顧客のニーズを”モノ”だけでなく形にないもの(=サービス)で提供する仕事であり、私たちの生活に於いて欠かすことの出来ない産業の一つなのです。

身近な業種・職種であるサービス業ですが、サービスを提供する事へのやりがいを感じられる反面、転職をする人が多いことも特徴の一つとなっています。なぜサービス業から転職をする人が多いのか?また、サービス業から未経験の仕事にジョブチェンジすることは可能なのか?

サービス業に携わっている人が抱える悩みや不安に答えるべく『サービス業の転職』に焦点をあて詳しく解説していきたいと思います。
(※1)第1次産業‥農業・林業・漁業、第2次産業‥鉱業・建設業・製造業、第3次産業‥第1次産業、第2次産業以外

サービス業から転職する方は多い

先ほど言ったようにサービス業は転職をする人が多い業種です。一般的な考え方として何らかの理由で仕事を辞めたいと思うから転職をする流れになると思います。サービス業を辞めたいと思う理由にはどのようなものがあるのでしょうか?

【辞めたい理由】
・待遇が悪い‥休みが少ない、土日祝日は基本的には休めない、給料が低い、勤務時間が長い
・ストレスが多い‥職場の人間関係、お客様からのクレーム対応、ノルマがある
・刺激が少ない‥店舗など限られた空間で働くため視野が狭くなりがち、マンネリ化してきてしまう
・将来性を感じにくい‥本社勤めになれる可能性より現場(良くて店長クラス)で働き続ける可能性が高い、キャリアアップが見込めない、職場で覚えたことを他で活かしにくい
・イメージとのギャップ‥「楽しそう」「やりがいを感じられそう」と安易に考え就職したものの、実際は思っていたイメージとはかけ離れており限界を感じてしまう

全てのサービス業に当てはまることではないかもしれませんが、上記に挙げた理由の幾つかに該当する人は多いはずです。

例えばサービス業の中でも憧れていた職種(テーマパークスタッフなど)に就いた人は仕事に対する志が高く「待遇 < やりがい」といったように転職を考えることはないかもしれませんが、何となくサービス業に就いた人はやりがいよりも現実的な部分に目が行きがちなので辞めたいと思い転職をする人が多くなることが考えられます。

サービス業は他業界からのイメージが悪い?

サービス業のイメージは『やりがいがありそう』『華やか』な一面もありますが『大変そう』『ブラックな会社が多そう』など悪いイメージを持つ人も多いと思います。
サービス業を辞めたい理由にもあるように”思い描いていたイメージとのギャップ”で退職を選んでしまう人も少なくはありません。
厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(平成 27 年3月卒業者の状況)」(※https://www.mhlw.go.jp/content/11652000/000510780.pdf)によると、平成27年3月新規大卒就職者の産業別離職率では以下のようなランキングになっています。

【離職率の高い産業】
1位 宿泊業・飲食サービス業 49.7%
2位 教育・学習支援業 46.2%
3位 生活関連サービス業・娯楽業 45.0%
4位 医療、福祉 37.8%
5位 小売業 37.7%

ランキングに挙がった産業の共通点は全てサービス業であることです。そして、”他業界からのイメージが悪い”といった部分に関してはサービス業は【BtoC(Business to Consumer)】企業と消費者間での取引をする業界であり、会社勤めをするような一般職は【BtoB(Business to Business)】企業間取引であることが大きな違いとなります。

サービス業で働いていた人はBtoBの経験がないため、「サービス業は誰でも出来る仕事」「サービス業から一般職に転職をしても仕事が出来ないのでは?」と懸念されやすいことが他業界からのイメージが悪いように見られがちですが実際に異業界・異業種への転職は難しいのでしょうか?

サービス業から異業界・異職種に転職することは可能?

【BtoC】や【BtoB】と言われても肝心なことは異業界・異職種への転職が出来るのか?出来ないか?だと思います。結論から言うとサービス業から異業界・異職種への転職は可能です。
異業種・異職種への転職で得られるメリット・デメリットを挙げるとするならば‥

【メリット】
・労働環境や待遇面を変えられる
・キャリアアップを目指せる環境
・人脈や視野が広がりやすい

【デメリット】
・これまでの経験を活かしにくい
・未経験業界への転職は年齢がネックとなる場合もある
・知識や技術の取得が必要となることも

メリット・デメリットを理解した上で、「環境を変えたい」「違った道で頑張りたい」と思うのであれば何となく転職先を選ぶのではなく、計画的に転職活動を進めていき自分に合った転職先を見つけましょう。

◆サービス業から転職しやすい業界と職種
・製造業(工場勤務など黙々と作業が出来る、休みがしっかり取れる)
・営業職(採用されやすい、対人スキルが活かせる)
・ITエンジニア(人手不足、技術を取得すれば未経験からでも採用されやすい)
・マーケティング(現場での経験が強みになる)

サービス業の中でも飲食業と販売職から転職する人が多い

サービス業には様々な分類がされていると言いましたが、その中でも特に身近に感じることが多い”飲食業”と”販売職”から転職をする人が多いと言われています。学生の頃にアルバイトとして一度は飲食店で働いたことがある人も多いのではないでしょうか?

飲食業や販売職は入りやすい職種ですが、様々なお客様と接する機会が多いことやスタッフが変わりやすい、サービス内容の変更が多い、休みが取りづらい、忙しい割に給料が低い‥などストレスを感じるポイントが比較的多いため転職者も多くなっているのでしょう。
飲食業・販売職の経験者が転職で活かせるポイントをそれぞれ挙げていきたいと思います。

【飲食業経験者が転職で活かせる強み・スキル】
・コミュニケーション能力‥接客の基本とも言えるコミュニケーション能力や、臨機応変な対応力は武器になる
・作業効率能力‥いかに効率良く作業を進めていくかを考えながら仕事をしていたことは他の仕事にも活かせる
・マネジメント能力‥スタッフの管理を任せられていた人はマネジメント経験が活かせる
・マーケティング能力‥現場にいたからこそ分かるマーケティング感覚が強み

【販売職経験者が転職で活かせる強み・スキル】
・コミュニケーション能力‥飲食業経験者と同様にコミュニケーション能力と臨機応変な対応力、接客力が魅力となる
・提案力‥商品のディスプレイ方法から、お客様が求める商品を的確にアドバイスできる力は他の仕事でも活かしやすい
・知識力‥自分が販売していた商品の専門的な知識が活かせる転職先に◎
・マネジメント能力‥店舗マネジメントとスタッフマネジメント経験が活かせる

飲食業、販売職出身者がやってしまう転職のNG

では、転職をする人が多いと言われている飲食業・販売職出身者がついやってしまいがちな転職時のNG行動を一つ一つ見てきたいと思います。

前職の不平不満しか言わない

もちろん、前職に不満があったから転職を決意したわけですが‥面接の場で転職理由を聞かれたときに「休みが少ない」「給料が少ない」「人間関係が悪い」「忙しすぎる」など不平不満ばかり言っている人は印象が良くありません。例えネガティブな理由で退職をしたとしてもポジティブな理由に置き換えて答えるようにしましょう。

働きやすい環境のみを重視する(キャリアビジョンを考えない)

とにかく休みが多い仕事、残業の無い仕事、土日休める仕事、今より給料が高い仕事‥と条件面だけに目が行きすぎて、明確なキャリアビジョンを持たずに転職してしまうこともNG!

入社した直後は前職よりも働きやすい環境に満足かもしれませんが、転職をしたならばスキルアップ・キャリアアップが見込める環境に身を置くことが自身のためになります。

未経験だから入社後は教えてもらいたいという受け身姿勢

多少は年齢にも左右される部分ではありますが、基本的に「未経験だから出来なくても仕方ない」「誰か教えてくれるだろう」という甘い考えを持っている人は採用されません。”未経験だからこそ人の倍以上努力しようとする気持ち”が大切です。行動力・仕事への意欲、考え方を積極的にアピールしてきましょう。

コミュニケーション能力をアピールしすぎる

飲食業・販売業経験者の武器としてコミュニケーション能力の高さが挙げられることが多いですが、コミュニケーション能力ばかりをアピールしても「他には何もないのか?」と思われてしまいます。もちろんコミュニケーション能力は他の仕事にも活かせるスキルですが、冷静に自己分析をしてコミュニケーション能力以外にもアピール出来るポイントがないのかを考えてみましょう。

転職を成功させるにはしっかりとした準備が大切です。今の仕事を辞めたい気持ちが大きすぎて事前の準備(自己分析、情報収集など)をおろそかにし見切り発車とならないように注意しましょう!転職には「経験・スキル」も大事ですが最終的には「人柄」が見られています。前向きな気持ちが伝われば未経験の仕事でもきっとチャンスがあるはずです。

今の状況を変えたいなら‥

サービス業がつらいと感じているのならば、一度他の業界も経験してみましょう。未経験でも大丈夫なのか?と不安はあると思いますが、サービス業の経験を応用して活かせる場面が必ずあります。
何も行動を起こさない、同じサービス業で転職をしても状況が大幅に変わることは期待できません。

もしも、転職活動に不安を感じているなら転職エージェントを利用してみることもおすすめします。転職のプロに相談に乗ってもらうことで新たな可能性を見つけられるかもしれません。
あなたの今後に少しでも役に立てば幸いです。

参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷