「好きを仕事に」の理想と現実!新卒入社のアパレルから転職できる?

「ファッションに関わる仕事がしたい」「洋服が好き」と、新卒でアパレル業界に就職された方も多いかと思います。

洋服が好きな方にとって、自分の好きな分野を通じてお客様に喜んでもらえるアパレル業はやりがいがあり、とてもクリエイティブな仕事です。

しかしやりがいがある反面、不規則な勤務や給与面など理想と現実のギャップに悩み退職される方も少なくない業界です。

そこで今回は、新卒でアパレル業界に就職された方の退職理由や辞めたいと思ったときにどうすればいいか、について紹介します。

アパレルの仕事を辞めたい方、将来に悩んでいる方はぜひ参考にしてください。

アパレル業界のリアリティショック!新卒が退職を望む理由とは

アパレル業界は、「ファッションでお客様を笑顔にする」「おしゃれを楽しめる」といった華やかなイメージがあります。

しかしその舞台裏は、不規則勤務で体力勝負、毎月のノルマなどで、「思っていた仕事と違っていた」というリアリティショックが待ち構えているのが実情です。

ここでは新卒がアパレル業界を退職したいと思う理由についてみていきましょう。

ブラック企業だった

近年では、働き方改革の推進や労働環境改善の動向によって、ブラック企業は少なくなっている傾向です。

しかし、新卒で自己分析も企業研究も念入りにしたし、入社する前は想像すらしなかったという方でも「働き出したら実はブラック企業だった」と落胆するケースはまだあります。

アパレル業界でもノルマの負担やサービス残業、休日出勤などブラックな現場に身を置き、退職を考える方もいらっしゃいます。

体力的にしんどい

アパレル業界でも販売職は基本的に立ちっぱなしで、品出しやストックの片づけをしなければなりません。

セール期間中は人手不足から体調不良でも休めないことがあり、店舗での販売が終わった後に、売上や在庫管理、棚卸、検品などの作業をこなさなければいけません。

8時間立ちっぱなしの仕事のあとにサービス残業することも珍しくないため、「この先こんな生活が続けられるか」と体力的に不安になる方も多いでしょう。

入社間もない新卒が体力を理由に辞めたいと思うタイミングの多くは、祝日で来客も多く納品も大量にあるゴールデンウィーク明けだそうです。

将来が不安

アパレル業界で働く新卒の不安には、今後のキャリアプランへの悩みもあります。

本社で企画や営業などで就職されている方は将来的なキャリアビジョンも描きやすいかと思いますが、販売職の方は出世の道が厳しいことに悩まれる方が多い傾向です。

基本的に新卒で入社してすぐは“現場を知る”ために、店舗でも販売職を経験するケースがあります。

「販売職を最低〇年続けた後、他の職種や本社に空きがあればキャリアアップできる」という暗黙のルールに将来が不安になる方もいらっしゃいます。

きつい労働環境

アパレル販売職は基本にシフト勤務で、GWやお盆、年末年始など世間がお休みのときは繁盛期となり、休日や連休を取ることは難しいです。

そのため勤務時間や休日など仕事の待遇から退職を考える方が多い傾向があります。

休日が少ない・長期休暇が取れないことで友人と会う機会が少なくプライベートが充実しないことで、仕事へのモチベーションも上がりません。

長時間労働・残業の多さや不規則勤務で体調を崩したり、ゆっくり体を休める時間が少なくストレスを感じるでしょう。

しかし「病院に行きやすい」「テーマパークやレジャー施設が混んでいない」といった平日が休みのメリットを感じている方も多いです。

職場の人間関係が辛い

どんな業界、業種でも退職理由の上位に挙げられる「職場の人間関係」ですが、アパレル業界も例外ではありません。

女性が多く、店舗によってはスタッフが少ない閉鎖的な空間です。

そのため職場の人間関係が密になり過ぎてしまったり、先輩からのノルマへの圧力に悩む方は多いものです。

また、店舗内の人間関係だけでなくお客様との関係もストレスの要因になることも。

お客様からの理不尽なクレームやニーズに対応することの難しさで体調を崩される方も少なくありません。

給料が少ない

アパレル業界、とくに販売職の平均年収は他の業界と比べると低い水準です。

「好きな仕事で頑張りたい」と思って入社しても生活の苦しさから退職を検討せざるを得ない方も少なくありません。

給与の低さに加え、店頭では自社製品を着用しなければいけないため毎月残るお金はごくわずか…という方も多いでしょう。

いつもおしゃれで華やかに見える販売員ですが、実は社販で生活が苦しいといった一面もあります。

では気になるアパレル業界の給料について詳しくみていきましょう。

生活できない!?アパレル業界の給料の実態

実際に働き出して「思ったより給料が低かった」「生活が苦しい」と給料に悩む方が多いアパレル業。

日本人の平均年収と比べると低いといわれていますが、実際にはどれくらいの給料を得ることができるのでしょうか。

アパレル職の給料は日本人の平均年収よりも低め

一般的にアパレル業界の平均年収は300~400万円とされています。

職場によって売上ノルマ達成やインセンティブ次第で大幅な年収アップが期待できますが、他の業界に比べると低い傾向にあります。

厚生労働省による『令和3年賃金構造基本統計調査』を見ると、10人以上の企業規模で働く販売店員(アパレル以外を含む)の給料は以下のとおりです。(*1)

  • きまって支給する現金給与額・・・258万8千円
  • 所定内給与額・・・243万3千円
  • 年間賞与その他特別賞与額・・・442万円

*注:42.1歳・勤続年数11年・所定内実働同時関数164時間・超過実労働時間数8時間の場合

一方、厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査|一般労働者の賃金』をみると、日本人の一般労働者の平均賃金が307.4千円とされています。(*2)

平均年収と比べてアパレル業界は、月収にすると約5~6万円程低いことが分かりますね。

上場企業や大企業の本社勤務では高収入を目指すことができますが、中小企業のアパレル販売職では給与や年収の伸びに期待することは難しいかもしれません。

*1)参照:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)』

*2)参照:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査|一般労働者の賃金』

アパレル業界ならではの手当がある

給料の低さが退職理由のひとつとされていますが、アパレル業界ならではの手当はメリットといえるでしょう。

職場によって、ボーナス以外に以下のような手当が支給されます。

インセンティブ・特別ボーナス

ノルマや売上達成など成果によって支給される手当がインセンティブ制度です。

人によってはノルマが負担に感じる方もいますが、成果次第で高収入を目指すことができるのでモチベーションアップにつながる方もいらっしゃいます。

繁忙期手当

お盆や年末年始、セール時期などに出勤した際、基本給にプラスして支給される職場もあります。

制服手当・社販

店舗で着用する衣類を購入するための手当「制服手当」が支給される企業もあります。

数千円から1万円程度が多いですが、洋服代のコストを抑えることができるでしょう。

また自社製品を割引価格で購入できる社販(社員販売)が福利厚生になっているところが多く、30~50%割引で購入することができます。

「自社製品が好き」「おしゃれを楽しみたい」という方にはメリットとなる手当ですね。

辞めたいと思った新卒がすべき行動とは

先述したようにアパレル業界ならではの手当が充実しているといっても、給料が低く昇給の望みもない、となると将来に不安を感じ転職を考える方も多いでしょう。

しかし「仕事を辞めたい」と思ったからといって、安易に退職するのはNGです。

では、アパレル業界を辞めたいと思ったときにどうすればいいのでしょうか。

退職が正解か考える

基本的なことですが、今の仕事を辞めることが正解なのか考えましょう。

なぜアパレル業界に入社したのかを考えると、様々な理由があったからだと思います。

例えば、(入社した企業の)ブランドが好き・ファッションに関わる仕事がしたい、など初心にかえりましょう。

  • アパレルの仕事は好きだけど今の職場が嫌同業種転職
  • アパレル業界の仕事自体が嫌他業種転職

というように、本当に辞めていいのか・今後どうしていきたいかを冷静に判断することが大切です。

この作業は自己分析のひとつで、転職の際の志望動機を書く材料にもなります。

あなた自身のことを振り返ることで、どんな転職先を選べばいいかが見つけやすくなり転職の失敗のリスクを下げることができるでしょう。

アパレル本社の専門職・総合職は慎重に検討しよう

20代の求人は引く手あまたといっても、アパレル業界の中でも専門職や総合職として活躍されていた方は転職について慎重に考える必要があります。

専門職

  • デザイナー
  • パタンナー

総合職

  • MD(マーチャンダイザー)
  • VMD(ヴィジュアルマーチャンダイザー)
  • プレス
  • バイヤー など

同業界での転職を考えたとき、販売職と比べてこれら専門職や総合職の求人数は少なくなるため、転職のハードルは若干高くなる可能性があります。

また応募条件に規定の実務経験を必要とされる場合が多いので、専門職や総合職で転職する場合はスキルや知識を身に着けて転職活動をされる方がスムーズでしょう。

キャリアアップする

アパレル業界は、他業界と比べると給料が低く、昇給も期待できないため転職される方は少なくありません。

また、年齢を重ねるごとに体力的な負担が増したり、若者向けのブランドでは着こなしも難しくなることもあるでしょう。

そこでアパレル販売職として経験を重ねた方は、本社勤務エリアマネージャー店長などキャリアアップして活躍するという道があります。

キャリアアップすることで給料や待遇が上がり、今よりも働きやすい環境を手に入れることができるでしょう。

他業種への転職を考える

新卒でアパレル業界に入社し販売職として活躍されてきた方は、これまで培ったアパレル業特有のスキルを身に着けています。

接客・販売職をされてきた方はお客様とのコミュニケーションスキルに長け、ヒアリングやニーズに合った提案をされてきたでしょう。

このようなスキルは事務職や営業職で重宝されるスキルです。

さらに新卒で入社され数年経過している方は基本的なビジネスマナーも身に着いているはずです。

転職先となる職場にとっても、育成コストを抑えてスキルのある人材を雇用できるため、双方のメリットにつながるでしょう。

アパレル業界で培ったスキルや経験を活かして他業種へ転職するのもひとつの方法です。

転職エージェントに登録する

アパレル業界から転職を考えている方は、転職活動をサポートしてくれる転職エージェントを利用することでスムーズに転職活動を進めることができます。

  • 同業種転職を考えているアパレル業界に強い特化型の転職エージェント
  • 他業種転職を考えている総合型の転職エージェント
  • どちらがいいか迷っている特化型・総合型の転職エージェントを複数利用

いずれの転職エージェントもキャリアカウンセリングを通じて自身に合った求人の紹介や履歴書や職務経歴書のアドバイス、面接対策、アフターフォローなど転職成功までの道のりをサポートしてくれます。

「次もアパレル業界で働きたい」と考えている方は、アパレル業界の転職に特化したエージェントを利用することで今よりも高待遇の求人と出会えるチャンス!

専任のアドバイザーは、業界のことだけでなく職場環境や人間関係など内部事情にも精通しているので入社後のミスマッチが少なくなるメリットがあります。

エージェントは給料や条件交渉にも強いので、これまでの経験やスキルを活かしたキャリアアップ転職も実現できるでしょう。

また非公開求人や独占求人が充実しているエージェントもあるので、思いもかけないホワイト求人と出会えるかもしれませんね。

  • 転職を考えているけれどいい求人と出会う機会がない
  • 自分にはどんな職場が合っているか分からない
  • 今よりも給料や待遇を改善させたい
  • 1人での転職活動は不安

と、悩んでいる方は転職エージェントの利用がオススメです。

【まとめ】ポテンシャルを活かして転職のチャンスを掴もう

新卒でアパレル業界に就職された方の退職理由や辞めたいと思ったときにどうすればいいかについて紹介しました。

「洋服やファッションに関わる仕事がしたい」と希望をもって入社しても、アパレル業界でずっと働いていくのは将来が不安、給料が上がらず生活が苦しいと悩んでいる方は少なくありません。

新卒で入社したから辞めにくいと踏みとどまってしまう方も多いでしょう。

しかし20代だからこそ、ポテンシャルの高さを強みに転職のチャンスは無限にあります。

「無理かも…」と思ったら、まずご自身のやりたいことやキャリアプランを明確にし、早めに行動することがオススメです。


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷