新卒社会人に人気の高い職種、その一つが「コンサルタント」、略してコンサルです。
バリバリと働き、エリートビジネスマンというイメージを持たれるコンサルですが、新卒には難しいとも言われます。
新卒でコンサルは本当にやめておくべきなのか、仕事内容や年収、就職の対策について詳しく解説していきます。
コンサル業界で働くとどのような仕事内容で、どのくらいの年収になるのか紹介します。
コンサル業界に新卒で入る人は毎年一定数いますが、どの業界でも共通して言えるのが、最初は下積みからスタートするということです。
特にコンサル業界は事業会社の運営や経営戦略に関わるため、失敗が許されない仕事です。
そのため、新人のうちは先輩やベテランの抱えるプロジェクトに入っても、雑務メインでの働きになるでしょう。
一般的にイメージされるかっこいい仕事というよりは、資料作成や財務分析、クライアントを理解するためのキャッチアップなどに多くの時間を費やします。
コンサル業界に入ったからと言って、すぐに「コンサルタント」になるわけではありません。
コンサルティングファームによって名称は異なるものの、役職に応じて色々な呼び方がされます。
代表的なのが、次の4つです。
アナリストはコンサル業界に入りたてで、資料作成や情報の収集・分析を任される役割です。主にコンサルタントやマネージャーの指示の下で働いています。
新卒はまずここからスタートです。
次にコンサルタントが、コンサルティングを行い、プロジェクトの運営なども行う立場です。時にはチームのマネジメントも行います。
マネージャーはコンサルタントを取りまとめる存在で、プロジェクト全体の管理を行う立場です。
クライアントとの交渉も行う総責任者に当たり、現場全体の決定権を持っています。
最後にパートナーやプリンシパルで、こちらは運営責任者や共同経営者の立場です。主にクライアント企業の獲得や人材育成、企業マインドの醸成などコンサルティングファームの経営を行う責任者になります。
コンサル業界は就職の難易度が非常に高く、新卒であっても仕事に求められるレベルが高い仕事です。
その分、年収は非常に高く、一般的な事業会社と比べても突出した年収を得やすいとされています。
あくまで相場ですが、コンサルタントの所属する企業や分野によって20代の平均年収は以下のような金額になります。
令和3年の平均年収では20代前半が301万1,600円、20代後半が372万1,800円であることと比較すれば、コンサル業界の年収がいかに高いかわかるはずです。
参考:e-Stat 令和3年賃金構造基本統計調査 「雇用形態、学歴、年齢階級、勤続年数階級別所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額」 正社員・正職員計
一言でコンサル業界と言っても、色々な分野があります。代表的な11の分類を紹介します。
総合系コンサルティング
上流の戦略立案、業務改善、システム導入など、企業のあらゆる経営課題に対してコンサルティングを行っています。日本だけでなく、世界的にも有名な企業が名前を連ねています。
代表例
戦略系コンサルティング
事業会社の経営陣をクライアントとしており、経営戦略や新規事業の戦略立案、M&A戦略などを行います。世界的に有名なコンサルティングファームが多く、知名度の高い仕事です。
また、コンサル業界では最も難しい分野とも言われています。
代表例
IT系コンサルティング
大企業から中小企業、ベンチャー企業のITプロジェクトの戦略立案、業務改善計画の支援を行います。近年はICT導入企業の増加により、多くのファームがIT系コンサルティングを展開しています。
代表例
シンクタンク系コンサルティング
シンクタンクは経済調査・リサーチ・ITコンサルティング・マネジメントコンサルティングの4部門を備えているところが多く、民間企業や官公庁を相手にプロジェクトを手掛けます。
代表例
医療・ヘルスケア系コンサルティング
病院や介護施設、医薬品・医療機器メーカーなど、医療関連企業の経営基盤強化、経営戦略のコンサルティングを行うファームです。
特化型として薬局や介護、歯科など各領域に分野を展開するファームもあります。
代表例
組織人事コンサルティング
企業のビジョンや人事戦略、評価制度・人事制度の構築などを支援するコンサルティングファームです。
サブテーマとして社会保険や福利厚生、人材開発に取り組むファームもあります。
代表例
財務アドバイザリー系コンサルティング
財務デューデリジェンスやフォレンジック、M&Aアドバイザリーなどのサービスを展開するコンサルティングファームです。
財務に加えて、上流の経営戦略も手掛けるファームが多くなってきています。
代表例
国内独立系コンサルティング
中小企業をメインとして、事業会社の生産性向上や品質管理など現場の競争力を高めることに強みを持ったコンサルティングファームです。
中小企業を相手にサービスを展開し、扱うテーマは多種多様です。
代表例
業務・業界特化系コンサルティング
各業界に特化した知見を持ち、現場レベルにまで踏み込んだコンサルティングファームです。
実務的な経験を持つスペシャリストが多く集まっています。
代表例
監査法人系コンサルティング
BIG4を含めた監査法人が行うマネジメントコンサルやITアドバイザリー、財務デューデリジェンスなどのサービスです。
税務やIPOなどの分野に強みがあり、監査に関連したテーマを手掛けます。
代表例
企業再生・事業再生系コンサルティング
企業再生のサポートや業務改善を行うコンサルティングファームです。
経営戦略のコンサルティングも行いますが、特に企業再生に強みを持っています。
代表例
コンサル業界は新卒も採用していますが、入るにあたって難しい面も多いです。
就職が難しいとされる理由を2つ紹介します。
コンサル業界は新卒からの人気が高く、毎年多くの大学生が希望する職業です。
加えて、コンサル業界は頭の良さと機転が利く人材を中心に、優秀な人が多く集まっています。
その中で、競争を勝ち抜いて採用されなければならず、自然と就職が難しくなっていきます。自分の中で、他の就活生よりも優れたポイントを分析し、的確にアピールできなければ就職は難しいでしょう。
多くの就活生は、3年生の終わり頃から4年生の春頃にかけて、本格的な就職活動を開始します。
しかし、コンサル業界は通常よりもかなり早く、3年生の夏にはサマーインターンという形で就職活動が始まります。
サマーインターンに参加できなければ、コンサル業界への就職は非常に難しく、他の就活生よりも早く活動を始めなければなりません。
周囲に就活準備を始める人も少なく、参考にできる人もいないため、自分ですべての準備を進めることになるでしょう。
新卒でコンサル業界に入るなら、やめておけと言われる4つの理由についても知っておくべきです。
どのような理由があるのか紹介します。
新卒でコンサル業界はやめておけと言われる理由の1つに、経験年数に比べてスキルが身に付きにくいという点があります。
コンサル業界は実力主義で、論理的思考が求められます。
コンサル業界の特殊な体質についていくには、かなりの努力が必要です。
実力が認められなければいつまでも雑務ばかりになり、大きなプロジェクトを任されることもないでしょう。
コンサルタントとして活躍できるのは一部の人だけですから、将来性を考えたスキルが身に付きにくく、やめておけと言われるようです。
コンサルティングファームに対して、エリートビジネスマンでバリバリ働いているイメージを持つ方も多いはずです。
実際にコンサル業界で働くと非常に激務が続くため、あながち間違ったイメージではありません。
ただし、終電を過ぎても残業をしていたり、深夜にタクシーで帰ったりすることが日常で、休日出勤も当たり前のようにあります。
ワークライフバランスを重視して働きたいのであれば、コンサルティングファームは絶対にやめた方がいいと言われるほど過酷です。
長時間労働で体調や精神に不調をきたし、休職や退職する人も多い仕事です。
コンサル業界では、新人の頃から徹底的に論理的な思考パターンを叩きこまれます。
少しでも曖昧な部分があれば、先輩やベテランから徹底的に追及される環境です。
資料を作成する際も、論理的な文章を書くことは当然として、その内容を裏付けるファクトやエビデンスも求められます。
ロジカルシンキングは訓練で身に付けられますが、身に付くまでに精神を病んでしまい、仕事に出られなくなる人も多いです。
精神的なタフさもなければ働くのは大変でしょう。
新卒でコンサル業界に入った場合、他の職業や事業会社での社会人経験がありません。
社会人経験のなさが良い方向に働く場合もありますが、コンサルタントとしては想像力の欠如という致命的な問題に繋がります。
コンサルティングファームのクライアントのほとんどは中小企業で、事業会社が中心です。
事業会社はそれぞれの業界のノウハウや経験に基づいて運営されているにも関わらず、新卒の場合は現場経験の少なさから現実離れしたプランを提案しがちです。
自分が新卒で現場経験も少ないと実感しているのであれば、クライアントの職場を訪問し、実際に働く様子を確認して想像力を膨らませることが大切になるでしょう。
新卒でコンサル業界に就職するには、ポイントを押さえた対策が必須です。
就職活動を進めるうえで重要な対策を紹介します。
コンサル業界の就職活動は早いもの勝ちという側面があり、少しでも早く就職活動を準備した方が有利です。
サマーインターンが3年生の夏にあるため、それよりも早く準備を進めておかなければなりません。
3年生の春には準備を開始し、サマーインターンとその後の就活戦線に向けて動きましょう。
また、企業の就活イベントもありますから、そちらに参加して選択肢を広げるのも大事な戦略です。
インターンや就活イベントは自分をアピールする貴重な機会ですから、1つも逃さないように積極的に動いてください。
コンサル業界を目指す新卒にとって、サマーインターンの参加は必須です。
サマーインターンへの参加が応募条件になっていることもあり、参加しなければそもそも挑戦権すら得られません。
目当ての就職先で働くためにも、サマーインターンの情報は逐一チェックし、情報を見逃さないようにしてください。
コンサル業界で働くだけなら資格は必要ありません。
しかし、現実としてコンサルティングファームに採用されるのは、優れた資格を持つ人がほとんどです。
例えば、MBA(経営学修士)や中小企業診断士、税理士、公認会計士などが代表的です。
こうした資格はコンサルティングファームのどの分野でも即戦力になり、就職活動を非常に有利に進められます。
また、TOEICの試験を受けて英語力も高めておけば、外資系のコンサルティングファームで働く道も拓けるでしょう。
新卒がコンサル業界で働くには、現場をよく知るプロのアドバイスも利用すべきです。
そのためには、新卒向けの就職エージェントに登録し、コンサルティングファームへの就職に必要なポイントを教わりましょう。
コンサル業界は早期の対策が必要なことから、効率的な就職活動の準備が求められます。
その点、就職エージェントなら的確なアドバイスが期待でき、しっかりとした対策をして臨めるでしょう。
新卒でコンサル業界に入るのは難しく、働いてからも多忙な業務に追われるため、非常に大変な日々を送ることになります。
一方、コンサル業界で働くことで、キャリアアップや起業など色々な選択肢が見えてくるはずです。
コンサル業界の人は誰もが論理的思考力が高く、新しい物事に取り組む意欲が高いという傾向があります。
そして、多くの人脈を構築する中で、自分なりの仕事観や企業観、コンサルタントとしての実力も磨かれていくでしょう。
仕事には難しい内容も多いですが、やりがいのある仕事を求めるならコンサル業界がおすすめです。