デザイナーというと「おしゃれでかっこいい仕事」、そんなイメージを持っている方も多いかと思います。
デザイナーの活躍の分野は、Webデザイナーやインテリアデザイナーなど幅広く、業界や関わるものによってデザイナーの種類や仕事内容は様々。
そのため新卒就職で「クリエイティブな仕事がしたい」とデザイナーを目指している方にとって、デザイナーの種類やそれぞれの仕事内容を理解することは就職成功への第一歩になるでしょう。
そこで今回は、様々な分野で活躍するデザイナーの種類と仕事内容、必要なスキルなど詳しく紹介していきます。
新卒でデザイナーへの就職を目指している方、デザイナーになる方法について知りたい方はぜひ参考にしてください。
まずデザイナーとはどんな職種なのかということをみていきましょう。
デザイナーは、ファッションやWEBサイト、本に関するデザインやレイアウトなど、その活躍の場は多岐に渡ります。
それぞれの領域によって関わるものは異なりますが、全てにおいて「様々なものの形状や構成などデザインを創ること」がデザイナーに求められる仕事です。
デザインそのものが売上につながることも多いので、ターゲットに合わせた魅力的なデザインを創ることが求められるでしょう。
しかし、魅力的でヒットするものをデザインするだけではなくコストや製品の特徴、ユニバーサル性などを考慮する必要があります。
イメージをカタチにし、デザインを通じて製品やプロジェクトのクオリティを上げること、それがデザイナーの腕の見せ所といえるでしょう。
デザイナーの種類は先述したとおり、分野や製品によって多岐に渡り、細かく分類すると30種類以上を超えます。
自分が関わりたい分野が決まっていれば就職先を見極めやすいでしょう。
しかし漠然と「デザイン職になりたい」と思っている方は、まず活躍する分野や仕事内容を知りご自身が目指したいデザイナー像を明確にすることが大切です。
では代表的なデザイナー職について分野ごとにみていきましょう。
おしゃれが好きな方なら一度は憧れる、ファッションに関わるデザイナー。
ここではファッションの流行を生み出すデザイナーをみていきましょう。
ファッションデザイナー
ファッションデザイナーは、洋服やバッグ、靴、帽子など服飾に関わるデザインを手掛ける仕事です。
ブランドコンセプトに合ったファッションアイテムを生み出し、流行を作り上げる役割をもっていますが、ただデザインを作るだけが仕事ではありません。
世間の動向を知るマーケティングやデザインを商品化するプレゼンテーション、パターンの制作など、幅広い業務を担います。
ファッションデザイナーには企業デザイナーやオートクチュールデザイナーがありますが、それぞれで経験を積みデザイナーとして独立を目指す方もいらっしゃいます。
テキスタイルデザイナー
テキスタイルデザイナーは、ファッションデザイナーのデザイン画をもとに適したテキスタイル(布・織物)の素材や柄のデザインをすることが主な仕事です。
ブランドのベースとなるテキスタイルに関わる仕事のため、ブランドコンセプトやターゲットの理解、ファッションデザイナーとのイメージの共有などが大切になります。
布製品の繊維や織り方などのデザインを手掛け生地を作りますが、企業によって業務の範囲は様々です。
生地に使う糸選びから染色、加工方法などテキスタイルデザイナーには生地に関する広い知識が求められるでしょう。
私たちが何気なく目にする広告・パッケージなどの情報や映画、日用品などでもデザイナーが活躍しています。
視覚的に情報やイメージを伝えるデザイナーの種類を紹介します。
グラフィックデザイナー
グラフィックデザイナーは、日常生活で目にする広告やポスター、チラシ、商品パッケージ、シンボルマーク、会社のロゴなどを手掛け、情報や企業イメージを伝える役割を持っています。
ブランドコンセプトや伝えたいイメージに合った商品をデザインし、求められる媒体によって文字やイラストなどを使用し幅広いデザインを考案します。
広告代理店やメーカーで働くグラフィックデザイナーは、イラストレーターやコピーライターなど制作スタッフと共に働きます。
Illustrator、Clip Studio等のイラスト・デザインソフトやPhotoshopなどのスキルが必要です。
CGデザイナー
CGデザイナーの仕事は、映画やアニメ、車などに使用される2Dや3DのCG(コンピュータグラフィックス)を作成することです。
コンピュータグラフィック技術を活用し、商品や伝えたい情報のイメージに合わせてCGを作成し、相手に伝えることがCGデザイナーの役割です。
CGはゲームやアニメなどの映像作品だけでなく、Webサイトや建築、医療現場など様々なフィールドで用いられるため、幅広い活躍の場があるでしょう。
グラフィックデザイナーとCGデザイナーの違いは媒体。
グラフィックデザイナーは雑誌の広告やポスターなどの紙媒体を専門に行う。
CGデザイナーはコンピューターを使って2D、3DのCGデータを専門に作成する。
プロダクトデザイナー(インダストリアルデザイナー)
プロダクトデザイナーはペンや食器などの日用品、自動車や電車、飛行機など公共の乗り物、工業製品など人々の生活に関わる様々な製品の設計・デザインをする仕事です。
見た目の美しさだけでなく使いやすさや安全性、素材にもこだわり、新しい製品を生み出していきます。
製品のコンセプトや対象者に合った適切なデザインを考え、マーケティングから関わることも多いです。
プロダクトデザイナーは多種多様な製品のデザインを手掛ける一方で、主に工業製品や機械製品に関するデザインを行うデザイナーはインダストリアルデザイナーと呼ばれています。
書籍や紙製品のデザインに関わるデザイナーもいます。
ここでは主に紙媒体を対象としたデザイナーを紹介します。
ブックデザイナー(装丁家)
ブックデザイナーは書籍の表紙や帯、ブックカバーなど外観のデザインから中身のデザインなど本のトータルデザインをする仕事です。
書籍の外観のデザインのみを行うデザイナーは装丁家と呼ばれています。
ブックデザイナー・装丁家ともに書籍のデザインによって売上に影響するため読者の心に留まるようなデザインが求められます。
ブックデザイナーだけでの生活は厳しいため独立されている方は少ない現状で、グラフィックデザイナーやイラストレーターと兼任されている方が多いでしょう。
DTPデザイナー
DTPデザイナーはパソコンを用いて、雑誌やポスター、広告など紙媒体の印刷物をデザインし、DTPオペレーターと呼ばれることもあります。
写真やイラスト、テキストを効果的にレイアウトし、読みやすく印象的なデザインが求められます。
クライアントのニーズや製品のコンセプトに合ったデザインを行うため、ヒアリングから関わるケースが多いでしょう。
業務内容が重なる部分が多いグラフィックデザイナーが兼任することが多くみられます。
エディトリアルデザイナー
エディトリアルデザイナーは、書籍や紙媒体に関わるデザイナーの中でも雑誌や小説などペース数の多い印刷物のデザインや編集を手掛け、ブックデザイナーと兼任する場合もあります。
制作品のコンセプトやターゲットを見極め、適切なデザインを作成し、時には文字校正や余白などレイアウトの編集も行います。
読みやすく印象的なデザインをすることがエディトリアルデザイナーの役割です。
デザイナーの仕事は「モノ」の形そのものをデザインするだけはなく、IT業界でゲーム業界での活躍の場も広がっています。
Webデザイナー
転職や副業で人気の高いWebデザイナーは、その名のとおりWebサイトのデザインを行うデザイナーです。
クライアントやターゲット層のニーズ、コンセプトに合うWebサイトを作成するため、レイアウトや素材作成を行い、読みやすく理解しやすいデザインを手掛けます。
Webクリエイターと呼ばれることもあり、サイト全体の設計に関わるディレクターとしての役割も兼ねています。
Webデザイナーには、UIデザイナーとUXデザイナーなどがあり、企業によっては明確に業務内容を区分しているところもあります。
ユーザーがWebサイトを使ったときに操作しやすいように、ターゲットの年齢層に応じてフォントやレイアウトを工夫するなど外見に関わるデザインを行います。
UIデザイナーが外見のデザインに特化する一方、UXデザイナーはWebサイトの満足度や理解度に特化しています。
Webサイトを訪れたユーザーが情報を理解しやすく使っていて心地よいと思えるデザインを手掛けています。
ゲームデザイナー
ゲームデザイナーは、システムやバランス、キャラクター、アイテム、レイアウトなどゲームのベースとなるデザインを行います。
グラフィックそのものだけでなくゲームの世界観の演出にも関わることも多いためゲームプランナーと同意義で使われることもあります。
プランナーやディレクターと協力しながらコンセプトに合ったゲームの基本設計に携わるため、やりがいのある仕事といえるでしょう。
ゲームデザイナーの中にも、キャラクターをデザインする「キャラクターデザイナー」やキャラクターに動きをつける「モーションデザイナー」など区分されていることもあります。
家づくりやインテリアなど建物に関わるデザイナーは、豊かな暮らしに欠かせない存在です。
生活の満足度を左右する、建築物を演出するデザイナーの種類をみていきましょう。
インテリアデザイナー
インテリアデザイナーは、家具やカーテン、照明などのインテリア用品や内装のデザイン、室内空間の演出などインテリアに関わる全体の監修を行います。
個人の住宅だけでなくホテルや公共施設など大規模な建物に関わることもあります。
インテリアに関わるデザイナーには以下のデザイナーも存在します。
家具のデザインに特化したデザイナーで、椅子やソファー、キャビネットなど様々な家具のプロデュースを行います。
照明の光で空間を演出するデザイナーで、イルミネーションやライトアップはじめ、個人の住宅や商業施設、公共施設など様々な場所の照明をデザインします。
スペースデザイナー(空間デザイナー)
スペースデザイナーは、個人の住宅から店舗、駅、ショーウインドウ、エントランス、庭園など様々な空間をデザインし、空間デザイナーとも呼ばれています。
建物の設計から企画に入ったりリフォームに対応したり、引き渡しまで幅広い業務に携わります。
その空間のコンセプトに合ったデザインを心がけ、人々にとって心地よいスペースになるよう設計を行います。
特定の空間に特化したデザイナーには以下のものがあります。
戸建住宅から商業施設、公共施設など建物の庭や門、玄関など外構部分をデザインします。
商業施設のショーウインドウや店内の売り場、展示会などのディスプレイを行います。
戸建住宅の庭や公園、公共施設などを対象に、植物やエクステリアを用いて景観のデザインを行います。
建築デザイナー
建築デザイナーは、住宅やビル、公共施設など建築の外観や空間をデザイン・設計する仕事です。
クライアントやユーザーのニーズ、ライフプランに合わせて、機能性や居住性、見た目の美しさなど総合的にデザインします。
建築意匠設計士とも呼ばれ、資格は一級建築士・二級建築士に区分されています。
国土交通省から認可を受けた国家資格。
設計する建物の規模や構造など制限がなく、戸建て住宅から大規模建築物の設計ができます。
戸建住宅の設計を行う資格として、設計できる建物は、建物高さ13m、軒高9mで木造建築なら3階までと、戸建住宅程度の規模に制限されています。延べ面積の制限もあり、1000㎡以上の建築物設計はできません。
木造建築物以外ではさらに設計できる建物の条件が厳しくなります。
美大やデザインの専門学校を卒業された方でもデザイナー就職は難関といわれ、一般の大学から新卒でデザイナーを目指すのはかなり努力が必要とされています。
新卒の方が気になるのは「新卒でデザイナーになるのは難しいのか?」ではないでしょうか。
確かにハードルは高いですが、ポイントを抑えた就職活動を進めることで新卒でデザイナーになるのは不可能ではありません。
ここでは新卒でデザイナーを志望する方に向けて、必要な就職活動のポイントをお伝えします。
これまでお伝えしたとおり“デザイナー”には多くの種類があり、活躍する業界はもちろん業務内容も様々。
目指すデザイナーの方向性によって求められるスキルが異なりますので、「ただデザイナーになりたい」だけで就職してしまうと後々のミスマッチを生むリスクにつながります。
まずは「どんな業界でどんな仕事をするデザイナーを目指したいか」を明確にすることで、身につけなければいけないスキルやアピールするポイントを見つけやすくなるでしょう。
美大や専門学校卒業の方は基本的なデザインスキルを身に着けていますが、未経験からデザイナーへの新卒就職を目指す場合は、デザインスキルの習得が必須です。
デザイン系のスクールが難しい場合は独学で学び、目指す分野で必要なスキルを習得しましょう。
デザイナーになるために必要なスキルは特にありませんが、実力の証明として資格取得をするのもひとつの方法です。
デザイナー向けの資格は様々ありますので、ご自身の目指す分野に合った資格取得をするとよいでしょう。
デザイナー就職に役立つ資格
ITにも関わるWebデザイナーを目指す場合は、プログラミングスキルやマークアップスキル、コーディングスキルなど基本的なITスキルも身に着けておきましょう。
資格は実力や向上心のアピールにつながる!
デザイナーとして仕事をする上で必要なスキルは、デザインに関わる専門スキルだけではありません。
様々な専門職と協働して仕事をするため、就職時はポータブルスキルも重視されます。
ポータブルスキルについて、厚生労働省では以下のように定義されています。
「ポータブルスキル」とは、職種の専門性以外に、業種や職種が変わっても持ち運びができる職務遂行上のスキルのことです。
ポータブルスキルは9要素ありますが、新卒就職で重視される主なポータブスキルは以下の3つです。
良好な対人関係を構築するためのスキルでコミュニケーション力も含まれます。
予期せぬトラブルや関係機関との調整など、どんな状況にも冷静に臨機応変に対応できるスキルが対応力です。
多くの情報の中から適切な情報を抽出し、分析、整理してまとめる力で、ビジネスパーソンに必須のスキル。
よい製品の設計をするためにはテーマに関する正しい情報を収集しなければいけません。
どんな業界や職種でも必要なスキルですが、デザイナーにとっても大事なスキルのひとつといえるでしょう。
デザイン業界の就職成功はポートフォリオに左右されるといっても過言ではありません。
一般的に新卒採用のハードルが高いといわれるデザイナー就職でも、企業が欲しい人材と思う印象的な作品であれば採用される可能性もあります。
ポートフォリオは就職したい企業に合わせた作品が良いですが、偏りがあったり限定的なものではNGです。
作品の内容は分野を広げ、バリエーション豊かに作成することをオススメします。
目に留まるポートフォリオがあれば、面接時に質問されることもあるでしょう。
そしてポートフォリオは完成させたからといって終わりではありませんので、「作成」「公開」を繰り返し、ブラッシュアップすることが大切です。
デザイナーの就職で最も大切なことは、自分に合った職場かどうかです。
なかなか就職が決まらないと悩んでいる方の中には、大手企業や上場企業ばかりに応募されている方もいらっしゃいますが、中小企業にも目を向けてみることを心がけましょう。
大手企業と比べると人材不足なので、ポテンシャルを重視して採用されるケースがあります。
デザインを学んでいない新卒の方でも入社できる可能性がありますので、ぜひ積極的に検討してみましょう。
一般の大学からデザイン業界へ就職したい新卒の方は、デザイナーに特化した転職エージェントなど転職サービスを利用することをオススメします。
転職エージェントはデザイン業界に精通し、各企業と太いパイプラインがあります。
そのため職場の内部事情や採用のポイントなどを把握しているケースが多く、就職ノウハウが豊富。
また充実した求人情報のほかに、一般の求人情報にはない独占求人や非公開求人なども保有しているため、未経験の方やスキルに自信がない方の就職にも強いことがメリットです。
専任のキャリアアドバイザーが履歴書や職務経歴書のアドバイス、面接対策までサポートしてくれるエージェントもあるので心強いですね。
デザイナーの仕事は多岐に渡り、それぞれ活躍する業界や必要な専門スキルがあることがお分かりいただけたかと思います。
憧れの気持ちから就職を目指す方もいらっしゃいますが、分野の見極めやスキル不足はミスマッチを引き起こす要因となります。
明確なキャリアプランと自分磨きを行い、デザイン業界への就職成功を実現させましょう。
ご自身だけでの就活が不安な方は、デザイナー就職に特化した転職エージェントの活用も検討されてみてくださいね。