身近にいなければ何をしている集団なのかいまいち不明点が多かった社内SEという仕事。
実は業務は簡単でノーストレスなのに給料が割と高い穴場だったのです。
年齢関係なく未経験でも始めやすい、知っておいて損はない社内SEのメリット・デメリットをご紹介します。
社内SEとは自社の情報システムを一手に担い、基幹システムやサーバーの運用保守、社内ネットワークの管理、各社員のパソコン・アカウント・ライセンスの管理、社員に対するサポートなどを担当するシステムエンジニアのことをいいます。
システムエンジニアに多い客先常駐という働き方ではなく、社内SEは自社内勤務が通常です。
客先常駐の場合は、常にクライアントが側にいるため気が抜けない状況が続きますが、それに比べて社内SEは自社でくつろぎながら働けるという働き易さがあります。
未経験でも入り易い業種なので年齢の若い人が比較的多いイメージです。
一般的なSEといえば難解なシステムをあっという間に設定して稼働させてしまうかっこいいイメージがあります。
それに比べて社内SEの仕事はというと、
などの雑務などを引き受けることがほとんどです。
難しい設定作業を求められることがないのでITの深い知識はあまり必要とされません。
常にやることが細々としていてやや面倒、地味な仕事が大半なのです。
年に1回程度、ネットワークに関する新設作業や設定の変更などを担当することがありますが、これも何日も掛けて案を練らなければならないようなものではありません。
SWITCHのポート設定を幾つか変更しケーブルを数本追加するくらいの簡単な作業です。
年齢が若い内はそんな作業でもなんだかエンジニアとしてやって行けてるという達成感が味わえます。しかし、3年も働ければ、ほとんどの人がもっと難しい業種であるシステムエンジニアやネットワークエンジニアに憧れるようになり部署異動や転職を希望するのです。
社内SEと良く比較される業種にSler(エスアイアー)という仕事があります。
彼らも大きな枠でいえば社内SEと同じシステムエンジニアなのですが、どちらかというとやっている業務は社内SEとは真逆です。
Slerとは世の中が必要とする「こういうものがIT化されたらいいな」というクライアントの要望を、実際にシステムに落とし込んで実現していくことを仕事にしている集団です。
英語では「System Integrator」と呼ばれ略してSIer(エスアイアー)と呼ばれています。
年齢は20代後半~40代半ばの人が多数在籍しています。
私はかつて常駐していたSlerと一緒に仕事をした経験がありますが、驚いたことに配置される人材が皆それぞれ大変優秀で、知識も技術もかなりレベルが高かったことを覚えています。
Slerの具体的な業務内容は、クライアントの依頼をヒアリングすることから始まり、ミーティング、問題解決のためのコンサルティング、設計開発、運用保守までを一気に請負います。
最初はある程度チーム単位で動くのが基本ですが、構築作業の段階ではSlerたった一人でクライアントの元を尋ね、業務を行うこともまれではありません。作業の途中で「次はどうしたらいいのですか?」とつまづいたとしても、質問する相手がいません。
一旦アウェイに出向いたら、そこからは自分だけの力でやり切らなければならない、これがSlerの通常業務なのです。
これはかなりのプレッシャーです。恐らくこういった状況がSlerのレベルを押し上げ、優秀な集団へと導いているのではないかと予想しています。
とにかく彼らの生産性は非常に高い印象でした。
そんなSlerに比べて、どちらかというと生ぬるいイメージなのが社内SEです。
プレッシャーが掛かったりミスすれば大きな障害が起きるような業務は年間通してなかったなんて年もあります。
社内SEが普段社内の人から頼まれる仕事は明確なルールがあるわけではないので、「3日後ぐらいには出準備できます」と伝えておけば残業は必要ありません。
作業は自分次第で中断可能、毎日定時で帰れるのです。
そんな社内SEの平均年収ですが、プレッシャーの多いSIerと比較するとそれほど差がないことが判明しました。まずは社内SEの平均年収がどれくらいなのかご紹介します。
2023年7月現在、社内SEの年収について調べると、
このような結果が出てきました。
2022年12月doda調べのものによると、日本人の平均年収は403万円ですので平均よりも高いことがわかります。
参照:doda『平均年収ランキング(年齢・年代別の年収情報)【最新版】』
これに対してSIerの平均年収ですが、直接のデータは算出されていなかったため、2023年7月付けでdodaが募集しているSIerの求人内容を比較してみることにしました。
すると、2023年7月付けのSIerの全求人件数が6,597件だったのに対して、内年収500万円以下の求人が5,074件、さらに絞ってみると内年収450万円以下の求人が3,954件だったことが分かりました。
纏めると以下の通りになります。
つまり2023年7月付けのSIerの求人の内、5,074-3,954=1,120件が社内SEの平均年収よりも約50万円高いこと、そして3,954件の求人は社内SEの平均年収よりも低いことが分かったのです。
仕事内容にかなりの差があるにも関わらず、SIerの約60%の求人が社内SEの平均年収よりも給与が少なかったのです。
業務は楽なのに給与は割と高い社内SE、なぜそんな状況が成り立つのでしょうか?
実は社内SEを抱える会社はたいてい資本がしっかりしてる企業が多いのです。
つまり社内SEを持つ会社のほとんどはお金持ち企業なのです。
社内SEをお金持ちの会社で優雅に働く有閑社員と例えるなら、Slerは実力だけでのし上がった苦労人集団といえるのかもしれません。
Slerから社内SEに転職した友人の話によると「社内SEは作業が終わらなければ残業すれば良いし、残業代が増えるからむしろやろうと思っている従業員が多い」と語っていました。
お金に余裕のある企業で働くとどこか気持ちにも余裕が生まれるのかもしれません。
ストレスが少ないし急かされない、その上給与が多いし安定している社内SEにはメリットがたくさんあります。
しかし、いざ転職したいという時には不利になる要素があることが分かっています。
社内SEは他のシステムエンジニアと比べると生産性が非常に低い「ぬるま湯」体質という弱点があります。たった一人でなんでもこなせるSlerに対し、社内SEは「使いものにならないシステムエンジニア」くらいに見られてしまうのです。
Slerから社内SEに転職した友人は、新しい職場で働くようになってからストレスがかなり減ったと語っていました。
しかし、技術力の向上や最新技術であるIOTやAI化の知識の取得などには不安を感じているといいます。そのため業務が終わってから自由時間を作りそこで自習するようになりました。
職場ではSlerのような緊張感やスピード感のある仕事は求められていないそうですが、積極的に生産性を上げ残業時間を削減していくことで、次第に上司からは将来のマネージャー候補・優秀な人材として認められるようになりました。
Slerなどから社内SEになった場合は年齢関係なく昇進が期待できるのかもしれません。
いずれにしても常に自主的に新しい技術を習得するという姿勢が必要になりそうです。
社内SEの仕事は、大企業・中小企業・ベンチャー企業によって役割に違いがあります。
自分はどの場所で仕事がしたいのか、予め把握した上で選択して行きましょう。
例えば、大企業の社内SEは情報漏洩・コンプライアンス管理・個人情報の保護・基幹システムのシステム管理・グローバル対応などが求められます。
これに対して中小企業では、通常システムエンジニアが任されるはずのITシステムを使った経営戦略が加えられるケースがあり、さらに加えてITを利用した業務の改善、企業内で使用されている業務システムの運用・管理などが任されます。
さらに、ベンチャー企業となると、急激な会社の成長を求められることが多いため、既存拠点と新拠点の新規構築運用・グループウェアの選定と導入・新入社員に関する効率的な対応フローの完備などが求められます。
これらをシンプルに要約すると、大企業→中小企業→ベンチャー企業、この順に業務内容が難しくなっているのです。
社内SEの醍醐味である楽さを取るなら大企業、将来転職することを想定し技術経験を積みたいならば中小企業かベンチャーを選ぶのが良いでしょう。
ITエンジニアの中で最も楽な仕事だと思うのが社内SEです。
基本的なパソコンの操作さえできればあとはOJTでゆっくり業務を覚えていけば問題ありません。
未経験や年齢関係なく技術力に自信のない方は是非一度社内SEになってみては如何でしょうか。
定時内で全員が帰れる職場で働く、これは想像以上に快適な場所を手に入れるでしょう。
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