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様々な理由で資格取得を目指す人が多いと思いますが、せっかく資格を取るのであれば仕事に直結するものや需要の高い資格であるに越したことはありません。
不動産業界への就職・転職に有利な資格として挙げられる『宅地建物取引士』は毎年20万人以上が受験する人気資格です。
なぜ宅地建物取引士の資格はここまで人気があるのでしょうか?
ここでは、”宅建”や”宅建士”とも言われる宅地建物取引士の人気のヒミツを探っていくとともに、試験の難易度や合格率、宅建士になるための勉強法なども詳しく解説していきたいと思います。
そして、新型コロナの影響で様々な資格試験の延期や中止が相次ぐ2020年の宅建試験情報もお伝えします。
宅地建物取引士とは、不動産取引の専門家を示す資格であり宅地建物取引業法に基づき定められている国家資格です。
不動産(土地・建物)の売買や賃貸物件のあっせんが行われる際に、専門知識や売買経験のないお客様(売主・買主・貸主・借主など)の権利が守られるよう的確なアドバイスや提案をしてサポートをする仕事であり、不動産業では従業員5人に対し1人以上の割合で宅地建物取引士をおく設置義務があります。
また、宅地建物取引士には不動産売買や仲介を行う際に重要な業務である3つの「独占業務」が法律で決められています。
このようなことからも宅地建物取引士は不動産業で特にニーズの高い資格であることが分かると思いますが、宅地建物取引士の活躍の場は不動産業だけに留まらず金融業界や建築会社でも役立ち幅広い業界で需要のある資格です。
宅地建物取引士になるには宅建試験に合格するだけではなく、合格した後に宅地建物取引士登録を受け、宅地建物取引士証の交付を受けることで宅地建物取引士になることができます。
※宅建業の実務経験が2年未満の人のみ
※都道府県知事の資格登録
※5年ごとの法定講習の受講、宅地建物取引士証の更新が必要
不動産取引の専門家である宅地建物取引士。
先ほどの『宅地建物取引士とは?』で説明した内容からも独占業務があること、不動産業界以外でも需要があることなど宅地建物取引士を取得するメリットを感じ取っていただけたかと思いますが、その他にも宅地建物取引士の資格を取得するメリットがあるので幾つか挙げていきたいと思います。
メリット
宅地建物取引士の年収は年齢や地域・企業規模によって異なりますが、平均年収は約470万円~626万円程度と言われています。
日本の平均年収が約450万円なので、資格手当が付くことの多い宅地建物取引士は日本の平均年収よりも高めであることが分かります。
そして、通信教育講座のユーキャンによると宅地建物取引士の年齢別の平均年収は以下のようになっています。
年齢 | 平均年収 |
---|---|
20代 | 300万円~380万円 |
30代 | 400万円~480万円 |
40代 | 500万円~600万円 |
50代 | 600万円~650万円 |
60代 | 450万円~600万円 |
※引用:ユーキャン https://www.u-can.co.jp/%E5%AE%85%E5%BB%BA/column/column05.html
役職が付く人が多い50代の平均年収が最も高くなっていますが、会社によっては実績に応じてインセンティブを支給しているところもあるため若い世代でも年収600万円以上稼ぐことも十分可能な職種です。
また、宅地建物取引士として独立開業をした場合は企業で働くよりも高年収となる可能性も大いにありますが、個人事業主であるため経営手腕次第であると言わざるを得ません。
ここまでで宅地建物取引士について、宅地建物取引士の資格取得のメリットを理解していただけたと思います。
では、実際に宅地建物取引士の資格取得を目指したいと考えたときに気になるのが【受験資格】ではないでしょうか?
国家資格を受験するために「大卒以上」や「実務経験○年以上」というような要件を定めている資格もありますが、宅地建物取引士試験には年齢、性別、学歴等の制約は一切なく誰でも受験することができます!
中卒でもOK、小学生でもOK、100歳の人でもOKです。
参考までに、宅地建物取引士資格試験を行っている一般財団法人 不動産適性取引推進機構が発表した試験実施結果は以下のようになっています。
参照:一般財団法人 不動産適性取引推進機構「令和元年度宅地建物取引士資格試験実施結果の概要」
https://www.retio.or.jp/exam/pdf/result.pdf
令和元年度の最高齢合格者は89歳、最年少合格者は14歳であることからも、宅地建物取引士試験は幅広い年齢の人が受験する人気資格であることが分かります。
また、職業別構成比では資格が仕事に直結する「不動産業」が最も多いですが、「他業種」や「学生」「主婦」の受験者もいることから就職や転職のための受験者が多いことも読み取れます。
受験資格がなく誰でも受験できる宅地建物取引士試験ですが、試験を受けるための手続きや試験内容はどのようになっているのか受験手続きの流れと試験内容を説明させていただきます。
宅地建物取引士試験は毎年1回・10月の第3日曜日に実施しており、原則として申込み時に住んでいる試験地(都道府県)での受験となり、受験手数料は7,000円です。
受験手続きの流れ
インターネット:毎年7月1日から15日まで
郵送:毎年7月1日から7月31日まで(各都道府県ごとに指定の場所)
インターネット:毎年7月1日から15日まで
郵送:毎年7月1日から7月31日まで
毎年8月頃
毎年9月末頃
原則、毎年10月の第3日曜日
原則、毎年12月の第1水曜日又は11月の最終水曜日
試験内容
宅地建物取引士試験は、四肢択一マークシート方式による50問の筆記試験です。
試験時間は2時間。※登録講習修了者は45問(試験時間:1時間50分)
宅地建物取引士は”士業”と言われる高度な専門知識を持つ国家資格の一つです。
以前は「宅地建物取引員」や「宅地建物取引主任者」という名称でしたが、平成26年に宅地建物取引業法の一部を改正する法律が公布され、平成27年より現在の「宅地建物取引士」となり士業の仲間入りしました。
他の士業である弁護士、公認会計士、司法書士、税理士、一級建築士などと比較すると難易度は低めとも言われていますが、宅地建物取引士の難易度・合格率はどのくらいなのでしょうか?
【宅地建物取引士 試験実施概況】
※引用:一般財団法人 不動産適性取引推進機構「試験実施概況(過去10年間)」
https://www.retio.or.jp/exam/pdf/zissigaikyo.pdf
これは、不動産適性取引推進機構が発表した宅地建物取引士過去10年間の試験実施概況です。
令和元年度は220,797人が受験し、合格者は37,481人で合格率17.0%でした。
過去10年間の概況を見ると分かるように、宅地建物取引士の合格率は約15~17%であるためしっかりと勉強をしないと合格は難しいでしょう。
ただ、宅地建物取引士試験は受験者数が毎年20万人と他の資格試験と比べ受験者数の多い試験です。
受験者数が多ければ多いほど一般的に合格率が低くなる傾向にあるため合格率ほどの難関試験ではなく、逆を言えばしっかりと勉強をすれば合格できる試験であるとも考えられます。
宅地建物取引士試験の難易度は【普通レベル】とお話しましたが、初心者が独学でも合格可能なレベルなのかは気になるところではないでしょうか?
宅建士になるための勉強方法、またそれぞれの勉強方法についてのメリット・デメリットについてお話していきたいと思います。
勉強方法
勉強方法として考えられるのは、上記に挙げたこの3つがあります。
勉強時間・期間に関してはスクールの短期集中講座で最短2ヶ月~のものもありますが、独学・通信講座・スクールともに標準的な学習期間は6ヶ月ほどと考えておきましょう。
宅建試験日程は毎年10月の第3日曜日であるため、6ヶ月間の勉強期間を考えるとその年の4月頃には勉強を始めておきたい計算になりますが最低でも4ヶ月前(6月頃)には始めることが理想です。
しかし、宅建の勉強・受験が初めての初心者、受験は初めてだが不動産会社に勤めていて多少の知識がある人、受験したことがあるが不合格だった人など、そもそもの宅建理解レベルによって勉強時間・期間や勉強方法も違ってくると思うので、仮に独学で勉強をしようと思っている人は1日に何時間勉強できるのか?などしっかりと計画を立てておかなければいけません。
独学・通信講座・スクールと3つの勉強方法がありますが、それぞれのメリット・デメリットを挙げていきたいと思います。
どの勉強方法が自分に合っているのかの参考にしてみてはいかがでしょうか。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
独学 | ・費用が安く済む ・自分のペースで進められる ・どこでも勉強ができる |
・自分で計画的にスケジュールを進めていく必要がある ・教えてもらえる人がいないと挫折しやすい |
通信講座 | ・添削を受けたり質問もできる ・スクールよりも費用が安い ・どこでも勉強ができる |
・対面や電話で質問できないことが多い ・教材を自主的にやらなければ意味がない |
スクール | ・サポートが充実している(対面授業、直接質問できる) ・他の受講生と一緒に刺激し合える |
・費用が高額となることも ・教室に通わなければいけない |
宅地建物取引士は独学でも十分合格可能な試験ですが、独学の場合はモチベーションを保つことが難しいことや時間が掛かってしまうなど初心者には大変な道のりとなってしまうかもしれません。
時間に余裕がある人は独学でじっくり勉強していくのも良いと思いますが、働きながら資格取得を目指す人やなるべく早く取得したい人は通信講座やスクールを利用する勉強方法がおすすめです。
2020年は新型コロナウイルス感染拡大により、司法試験の日程は5月から8月に延期、司法書士試験は7月から9月に延期、ファイナンシャル・プランニング技能検定(2級・3級)は中止‥など、資格試験にも大きな影響を及ぼしています。
宅地建物取引士試験に関しても令和2年7月1日に以下のようなお知らせが発表されました。
※引用:一般財団法人 不動産適性取引推進機構
https://www.retio.or.jp/exam/takken_shiken.html#topic4
試験会場の不足により、試験が10月18日と12月27日に分けて行われる可能性があるとのことです。
2020年の宅建受験申込みは7月末で締め切られているためすでに申込みを済ませている人以外には影響がありませんが、新型コロナにより今年の受験を見送った人も多いことが予想されるため来年(2021年)は例年以上の受験者となるかもしれません。
就職や転職に強い資格である「宅地建物取引士」。
受験資格がなく誰でも受験できること、資格を取得することで業務の幅を広げることや資格手当がつくこと、キャリアアップや独立開業も目指せるなど実用性と将来性のある資格だからこそ数ある資格の中でも人気が高い理由が分かっていただけたと思います。
誰でも簡単に取得できる資格ではありませんが、自分に合った方法で資格試験までにしっかりと準備をしていけば十分取得可能な資格です。
あなたの可能性を広げるためにも宅地建物取引士の合格を目指してみてはいかがですか。