【定年のない仕事】あなたは老後の不安をどう解消する?

定年のない仕事2019年、金融庁の金融審議会が公表したいわゆる『老後2,000万問題』が話題になりました。

老後資金として2,000万円を余裕持って準備できている人は世の中にどれだけいるのでしょうか?

きっと不安に感じた人が多いはずです。

定年後はゆとりある年金暮らしが理想かもしれませんが、そうとも言っていられないのが現実。

それならば、元気なうちは働き続けられる定年のない仕事を考えておくことも選択肢の一つとなります。

少しでも安心して暮らせる老後のために、定年のない仕事・定年後でも働ける仕事を紹介していきます。

日本人の平均寿命

日本は世界でもトップ3に入るほどの長寿国です。

厚生労働省が発表した「平成 30 年簡易生命表の概況」によると、平成30年の平均寿命は男性:81.25歳、女性:87.32歳であり、ここ数年は過去最高を更新し続けています。

定年のない仕事

※参照:厚生労働省「平成 30 年簡易生命表の概況」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life18/index.html

平均寿命の年次推移を見てもらうと、約45年前の昭和50年の平均寿命と比べると男女ともに10歳程度伸びていることが分かります。

厚生労働省の分析では「日本人の三大死因であるがんや心疾患、脳血管疾患などの死亡率の低下が平均寿命を延ばしている。健康意識の高まりで、さらに寿命が延びる可能性がある」としています。

長生きできることは幸せなことでありますが、老後に不安を抱えたままではただ喜ばしいことと素直に思えなくなってしまうのかもしれません。

老後を見据えた資産準備を計画的に行っていく必要があります。

高年齢者雇用安定法

2013年に高年齢者雇用安定法が改正されました。

“少子高齢化が急速に進展し、若者、女性、高齢者、障害者など働くことができる人全ての就労促進を図り、社会を支える全員参加型社会の実現が求められている中、高齢者の就労促進の一環として、継続雇用制度の対象となる高年齢者につき事業主が定める基準に関する規定を削除し、高年齢者の雇用確保措置を充実させる等の所要の改正を行う。”

※引用:厚生労働省「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律の概要」
https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koureisha/topics/dl/tp0903-gaiyou.pdf

高年齢者雇用安定法の内容を分かりやすく説明すると、

  • 労働者の定年の定めをする場合は60歳を下回ることが出来ない
  • 65歳未満の定年の定めをしている事業者は、①定年の引上げ②継続雇用制度の導入(希望者全員を65歳まで継続雇用する制度)③定年廃止 のいずれかの措置を義務付け
  • 継続雇用制度の対象となる高年齢者が雇用される企業の範囲をグループ企業まで拡大する仕組みを設けること
  • 高年齢者確保措置に関する勧告に従わなかった企業名の公表

高年齢者雇用安定法が改正された背景には、少子高齢化の影響と厚生年金の支給開始年齢の段階的な引上げがあります。

雇用の継続もなく、年金の支給もない無収入者が生じる可能性を回避すべく一部を改正した形となりましたが、高齢者の雇用状況は実際どのようになっているのでしょうか?

現状を見ていきましょう。

高年齢者の雇用状況

定年のない仕事

厚生労働省が全国の従業員31人以上の企業156,113社を対象に、平成29年6月1日時点での高年齢者の雇用状況をまとめた資料によると、99.7%もの企業で高年齢者雇用確保措置を実施していることが分かります。

そして、「雇用確保措置の内訳」「継続雇用制度の内訳」は以下のようになっています。
定年のない仕事

定年のない仕事

※参照:厚生労働省「平成30年 高年齢者の雇用状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/11703000/000398101.pdf

継続雇用制度を実施している企業が多くあることが分かると共に、定年の引上げ・定年制の廃止を実施している企業はまだまだ少ないことも読み取れます。

現在働いている会社で制度を利用し長く働き続けるのか?それとも定年のない仕事を探し健康なうちは年齢にかかわりなく働き続けるのかを考えていく必要があるのではないでしょうか?

定年のない仕事とは?

資格を取得する意味前置きが長くなりましたが、定年のない仕事にはどのようなものがあるのでしょうか?

もちろん独立開業をすればどんな職種にしても“定年”に縛られず、自分自身が元気なうち、経営が上手くいっているうちは生涯現役として働くことが出来ますが、開業資金や経営面を考えるとリスクが付き物です。

かねてからいずれは独立開業、または定年後の夢として計画的に準備をしてきた人でなければ安易に手を出すことはあまりおすすめできません。

独立開業以外でおすすめな仕事を一つ一つ紹介していきます。

タクシードライバー

普段タクシーを利用する方だと分かると思いますが、タクシードライバーとして働く人は50~60代の人が多くおり、70代の人がいることもあり平均年齢は約60歳。

タクシードライバーとなるために必要な二種免許の取得は21歳以上と定めがありますが、この他に年齢制限はなく定年なしで働くことが出来ます

気になる年収は地域によって差がありますが、全国平均で約330万円。東京では年収400万円を超えています。

これはあくまで平均年収であり、歩合制であるタクシードライバーの中には平均年収の倍以上を稼ぐことも不可能ではありません。

運転をすることが好きであり、ある程度のコミュニケーション能力があれば年齢に関係なく仕事が出来るタクシードライバーはおすすめです。

警備員

タクシードライバーと同じく街中で働く高齢者を見かける機会が多い仕事が警備員です。

こちらも18歳以上であれば年齢制限なく働くことが可能です。

警備業界の人手不足の影響や、企業が60歳以上の高年齢者を1年以上一定の就労時間で雇うことで助成金がもらえる制度もあるため60歳以上でも採用されやすく、60代が全体の30%を占めるほど働きやすい環境にあります。

警備員の平均年収は300万円前後であり、勤務先の規模が大きくなるほど年収が高くなる傾向にあります。

また、警備員として年収アップを目指す場合は「警備員指導教育責任者」「機械警備業務管理者」「警備業務検定」といったような資格を取得することで資格手当が付くことや、業務の幅を広げることに役立ちます。

警備員の仕事に年齢制限はありませんが、仕事によっては長時間屋外で立ち続けることができる体力迅速に対応出来る判断力が必要です。

ドライバー

タクシードライバー以外でもドライバー関連で年齢に関係なく出来る仕事は数多くあります。

・福祉施設や学童施設の送迎ドライバー
・配達、配送ドライバー
・運送ドライバー  など

介護施設の増加、宅配サービスの拡大などからドライバー関連の求人は増加傾向にあります。

運転をするのが好きな人、送迎ドライバーの場合は人とコミュニケーションを取ることが好きな人、基本的に一人で勤務することが苦痛ではない人が向いています。

近頃、高齢ドライバーの痛ましい事故が話題となることも多くありましたが、運転への不安がないこと常に安全運転を意識できることも重要です。

介護職

介護業界は深刻な人手不足であるため、人材を確保するために定年なしで募集をしている事業所も多くあります。

少子高齢化の影響を間近に感じることが出来る職場の一つであり、需要の高い職種であると言えます。

体力的に自信がないとしても、60歳以上の人であれば介護施設の利用者と年齢が近く話が合うことや気持ちが分かり合えることなどが若い世代にはない武器となり、やりがいを感じなから働きやすい環境となります。

未経験からでも採用されやすく、介護関連資格のスタートラインとも言える介護職員初任者研修を受講しておくと更に採用率もアップします。

60歳以上の介護士の平均年収は300万円程度ですが、実務経験を積み介護福祉士やケアマネジャーの資格を取得するとキャリアアップ・年収アップが望めます。

マンション管理人

マンション管理人は契約社員やパート・アルバイトとして、常駐勤務、住み込み勤務、スポット勤務と様々な勤務体制があり65~70歳前後で定年となることもありますが、健康な場合や特に問題がない場合は定年なしで働けるところもあります。

仕事内容はマンション全般の点検・管理、清掃、管理組合の補助業務などがあります。

月収は10万円~20万円弱と幅がありますが、人の役に立つ仕事としてやりがいを感じ、住人とのコミュニケーションを楽しみにできる人に向いています。

飲食店

飲食チェーン店では人手不足を解消すべく、シニアの採用を積極的に行っているところが増えてきています。

ファミリーレストランのジョイフルでは2016年に正社員の定年制を廃止。パートも65歳定年制を廃止しました。

すかいらーくグループではアルバイト・パートの定年を75歳まで延長したり、モスバーガーやマクドナルドでも60歳以上の採用を積極的に行っています。

定年なしとまではいかないにしても、活躍出来る場所が広がっていることには違いありません。

あなたの選ぶ道は?定年のない仕事へ転職する?

定年のない仕事定年のない仕事の探し方は、現時点での年齢によっても変わってきます。

先ほど挙げた【定年のない仕事】は比較的シニア向けの仕事です。

30代・40代のバリバリ働いている人が急にマンション管理人に転職をすることは滅多にないでしょう。

その他は若いうちから正社員として実務経験を積んでいき生涯現役として働くことも可能ですが、一般的にホワイトカラーと言われる職種で働きたい人には向いていません。

定年まではまだ何十年も先という人は、まず現在の会社の雇用制度とともに高年齢者雇用の雇用状況を確認してみましょう。

この先、制度が変わるかもしれないため現時点では判断が難しいかもしれませんが、将来のキャリアビジョンを今一度再確認するためにも様々な選択肢を持っておくことは大切です。
 

そして、あと数年で定年を迎えるシニア世代の場合も若い世代と同様に高年齢者雇用の雇用状況の確認に加え、定年のない仕事への転職も視野に考えてみてはいかがでしょうか。

仮に継続雇用制度として再雇用された場合でも、仕事内容が変わってしまう・給料が大幅に下がる・雇用形態が変わる(契約社員、嘱託社員など)といったように満足のいく内容でないこともあり得ます。

時には勢いや直感も大切ですが、自分にとって最適な道を時間を掛けて選んでいくことが大切です。

これからの仕事の探し方は?

若い世代、定年間近の世代、定年を迎えた世代。

それぞれに考えることはあると思いますが、定年を気にせず健康なうちは働き続けたいと思っているのであれば、これからの働き方、仕事選びをどうしたらいいのかを真剣に考えてみましょう。

実際に定年を迎え、燃え尽き症候群のような症状が出てしまう人も少なくはありません。

お金のためだけでなく、働くことが生活の一部になっている人にとって急に働かなくてもよくなってしまうのは調子を狂わせてしまいます。

この先も長く働き続けたいと願うのであれば、一度転職のプロである転職エージェントに相談をしてみましょう。

仕事に関する悩みや不安の相談、あなたの希望条件に合った求人を紹介してくれるだけでなく、転職活動に関わる全てをサポートしてくれます。

転職エージェントのサポート

  • キャリアカウンセリング
  • 求人紹介
  • 応募書類作成サポート
  • 面接日程調整、面接アドバイス
  • 雇用条件交渉  など

漠然とした不安を抱えながら仕事を続けていく、ただ闇雲に定年のない仕事を探していくのではなく、自分の理想に近く納得のいく仕事選びを効率良く行っていけるのが転職エージェントです。

これからの働き方に迷いがあるのなら、それぞれの年代に合った転職エージェントに相談をして的確なアドバイスをもらいながら一歩を踏み出してみましょう。

いつまでも笑って暮らせるように

時代は刻々と変化していき、年金だけでは暮らせない世の中が当たり前の認識となってきました。

だからこそ老後に備えて貯蓄しておくわけですが、現実は言葉で言うほどそう簡単なことではありません。

お金のためであれ、やりがい・生きがいのためであれ元気なうちは働きたい!と思うことは自然なこと。

どんなことでも思い立ったときに行動に移せる人が笑顔でいられるのかもしれません。

不安な気持ちはみんな一緒です。いま出来ることから始めてみませんか?


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷