コロナ禍におけるプログラマーのテレワークの実態と転職市場に与える影響

2020年3月から新型コロナウイルス感染拡大を機に、都市部を中心にテレワークに移行する企業が増えてきました。緊急事態宣言解除後も、テレワークを継続する企業が少なくありません。

プログラマーはテレワーク向きの職業なので、コロナ禍を機にオフィス勤務から在宅勤務に移行した人もたくさんいます。しかし、実際にテレワークで働くプログラマーの声を調べてみると、必ずしも快適な勤務スタイルとは言えない様子。

プログラマーがテレワーク向きと言われる理由、メリット・デメリットやテレワークの成功事例、コロナ禍のテレワークの実態、求人数の変化を解説します。フルリモートのプログラマー求人の探し方も紹介するので、在宅勤務でワークライフバランスの取れた働き方をしたい人は参考にしてみてください。

プログラマーはテレワーク向きの仕事なの?

テレワーク向きの職業の代表格であるプログラマー。プログラマーがテレワーク向きと言われる理由は、以下の特徴があるからです。

・オフィス勤務でも1人で作業をする機会が多い
・SEと比べて顧客と接する機会が少ない
・チームでやる仕事でも業務を分担しやすい
・システムと目に見える成果物があるので、人事評価がしやすい

ここ数年でチャットツール、ビデオ会議、オンラインストレージなどテレワークで活用できるクラウドサービスが続々と登場しています。在宅勤務を可能にするコミュニケーションツールやデータ共有サービスが豊富にあるため、パソコンやインターネットに接続できる環境であれば、プログラマーはどこでも仕事ができます。

国や民間企業が「新型コロナウイルスによる在宅勤務やテレワーク導入率」を調べた結果、IT企業のテレワーク導入率は6割以上と判明しました。各種調査結果から、プログラマーは、パンデミックや災害など有事の際でも、スムーズにテレワークに移行できる職業と考えてよいでしょう。

プログラマーがテレワークで働くメリット・デメリット

従業員と会社と両方の立場で、プログラマーがテレワークで働くメリット・デメリットを確認しましょう。

テレワークのメリット

プログラマーがテレワークで働くメリットは次の6つ。

・通勤の必要がないので体力消耗せずに時間を有効活用できる
・子育てや介護中でも離職する必要がない
・24時間フルフレックスで働ける
・割込み仕事が入ってこないので自分の業務に集中できる
・人間関係のストレスが減る
・家賃の安い地方に移住できる

会社側もオフィスのテナント代や光熱費などの経費を大幅に削減できます。また、優秀な人材の離職を防ぐことやや全国各地から優秀なプログラマーを採用することも可能です。

テレワークのデメリット

一方、テレワークならではデメリットも見逃せません。従業員側のデメリットは次の6つです。

・オンとオフの差がつきにくい
・勤務中でも家族から用事を頼まれやすい
・家が狭いと業務に集中できるスペースがない
・パソコン、インターネット、デスク周りの環境が整っていないと業務効率が落ちる
・コミュニケーションの機会が減るので孤独を感じやすい
・文章力がないとチャットやメールだけのやり取りだと意図が伝わりづらい

プログラマーの働きぶりが見えないので、人事評価が成果に偏りがちな点が会社側のデメリットでしょう。社外から自社システムにアクセスするため、テレワーク導入前にセキュリティ対策を強化しないと、社外秘の情報が外部に漏れる心配もあります。

テレワークは大企業だけ?ソニックガーデンの成功事例

そもそも、テレワークは、人口減少による労働力の確保やワークライフバランスの充実、業務効率向上など働き方改革を実現するための国策です。新型コロナウイルス感染拡大前から以下の大手企業では、すでにテレワークを導入しています。

■テレワーク導入企業
・リクルートホールディングス
・SCSK
・マイクロソフト
・日立製作所
・NTTデータ
・日本ヒューレット・パッカード
・日本ユニシス
・ベネッセ
・昭和シェル石油
・アサヒビール
・サントリーなど

しかし、完全在宅勤務を認める会社はほとんどありません。在宅勤務ができるのはせいぜい週に1~2回程度です。

一方、システム受託開発企業のソニックガーデンでは、2016年から社員全員のフルリモート勤務を採用しています。約40名いる従業員は、ほぼ全員プログラマー。「納品のない受託開発」「管理職や評価制度なし」「給料は社員全員一律」などユニークな取り組みを行うことで、2011年の創業以来、順調に業績を伸ばし続けています。プログラマーのテレワーク成功事例として、ソニックガーデンの働き方や評価制度を調べてみました。

バーチャルオフィスで円滑なコミュニケーション

ソニックガーデンでは、勤務時間中は従業員全員が自社開発のバーチャルオフィス「Remotty」にアクセスします。「Remotty」はログインすると、パソコンのカメラが2分おきに自分の顔社員を撮影し、社員全員に共有してくれます。そのため、離れた場所にいても、社員全員の顔を見ながら働けるのです。

バーチャルオフィス内には、自分の考えや気になることを気軽につぶやける自席スペースもあります。そこで、仲の良い同僚を呼んで雑談することも可能です。バーチャルオフィス内の会話はタイムインで流れてくるため、直接、チャットやメールでやり取りしない上司や同僚が何をしているのかなんとなく把握できます。Remottyの入退室のログが自動で記録されるため、勤怠管理の手間もかかりません。

徹底したセルフマネジメントで人事評価と管理ゼロを実現

ソニックガーデンでは、人事評価や管理職を設けていません。一般的なシステム受託企業は、プログラマー1人につき1か月〇円という人月ビジネスで会社の利益を得ています。また、システム開発には納期がつきものです。

しかし、ソニックガーデンでは、顧問プログラマーが受注の相談から開発、納品後のアフターフォローを一括して対応します。システム完成後も顧客のビジネスの成長に合わせて、機能の追加や拡張を行うため、納品という概念がありません。そのため、人月ビジネスではなく、月額〇円のサブスプリクション形式で会社の利益を確保しています。顧客のビジネスに合わせて少しずつシステムを開発するスタイルをとっているため、従来の人事評価制度のように短期間でプログラマーを評価できません。

こうした背景から、ソニックガーデンは人事評価の代わりに自分の業務を仕事のゴールから逆算して、それぞれのタスクにかかる時間やコストを正確に見積もるセルフマネジメントを徹底しています。定期的に社長と社員が1on 1で面談することで、自分のやるべき業務やミッションの振り返りを行っているのです。

従業員の給料は一律で時間がインセンティブ

相対的な評価制度がないので、弟子と呼ばれる見習い期間の新卒プログラマーの除き、給料は全員一律です。「全員一律だと頑張った人が不公平に思うのでは?」と疑問に思う人もいるでしょう。仕事が早く終わった人は、空き時間は自由に過ごせる制度となっています。給料の代わりに「自由時間」がインセンティブとして与えられると思えばイメージしやすいでしょう。

コロナ禍におけるプログラマーのテレワークの実態

ソニックガーデンは、ユニークなビジネスモデルや人事制度、バーチャルオフィスなどで社員同士のコミュニケーションを工夫して、プログラマーのテレワークを成功させています。

しかし、すべてのプログラマーがテレワークでうまくいくとは限りません。Twitterをはじめインターネットでコロナ禍を機にテレワークに移行したプログラマーのリアルな声を拾ってみました。

テレワークに対する良い口コミ

まずはテレワークで働くプログラマーの良い口コミを紹介します。

対面のコミュニケーションが苦手な人が、テレワークだとスムーズに働ける一例です。お客様の信頼度もアップしているので良いことだらけですよね。

通勤がなくて便利に思うものの、監視の目がないのでサポってしまうとの声です。

Twitterでは良い口コミがほとんど確認できなかったので、コロナ禍を機にフルリモートに切り替えたアジャイルウェアというシステム受託開発会社の従業員アンケートも調べてみました。その結果、「電話対応や突発的な依頼がないので在宅の方が集中できる」「睡眠時間が確保できる」などテレワークに対する好意的な意見もありました。

テレワークに対する悪い口コミ

次はテレワークに対する否定的な意見です。

次はテレワークに対する悪い口コミです。

チャットだと現場の温度感が知ることがむずかしいというフリーランスのプログラマーの意見です。

投稿者の詳細な状況はわかりませんが、マネージャーの管理スキルがないため、オフィス勤務のときよりも稼働時間が大幅に増える可能性はあるでしょう。

投稿内容からこの人が、1日何件メールを受信しているのかはわかりません。一番集中したい時間帯がメールのやり取りでつぶされるのは困りますよね。

その他にも、「自宅のパソコンのマシンスペックは開発環境向きではない」「顧客企業が金融機関だとオンラインでの打ち合わせを嫌がられた」などの意見も。また、客先常駐するプログラマーの多くは、守秘義務やセキュリティの関係で、コロナ禍でもオフィスで働かざるを得ない状況でした。

テレワークに対する口コミのまとめ

ニュースやネット記事では、テレワークを絶賛する声が多かったので、口コミを調べるまではテレワークを歓迎するプログラマーが多いと思っていました。しかし、インターネットで口コミを調べた結果、予想に反して「テレワークは働きづらい」との声が目立ちました。

プログラマーといえども、本格的にテレワークを始めるには、最適な執務環境を用意したり、コミュニケーションの取り方を工夫したり改善すべき課題が山積みのようです。スムーズにテレワークに移行できる企業は、それほど多くありません。

新型コロナウイルスの影響でプログラマー求人は減った?

結論から言うと、プログラマーの求人数は特に新型コロナウイルスの影響を受けていません。DODAの職種別の転職求人レポートを見ると、2020年4月のITエンジニアの求人倍率は10.71倍。2020年2月が8.69倍で、3月が9.41倍と求人倍率に大きな変化は見られません。

IT系転職エージェント・ギーグリーが、採用実績のある企業1340社に2020年4月の採用状況のアンケートした結果、72%の企業が「コロナによる影響は特にない」と回答したことが判明しました。また、18.1%の企業が従来の対面方式の面接からオンライン面接に切り替えています。採用をストップした企業はわずか7.5%でした。indeedの求人情報を見る限りでは、応募から内定まですべてオンラインで採用活動が完結する企業も、それほど増えていませんでした。

コロナショックで、IT業界全体の求人数が減っていないので、プログラマーの求人数も感染拡大前と大きな変化はないと判断してよいでしょう。ただし、コロナ不況で事業会社がITへの設備投資を控える可能性は十分に考えられます。受託開発の企業は、顧客企業の業績次第で、プログラマーの求人数を減るかもしれません。

自社開発の企業は、自社の売上が好調なら、採用活動は従来のままと予測されています。しかし、コロナによる景気の低迷は、1930年代に起きた世界恐慌よりも深刻化すると言われています。長期化する景気低迷を見越して、未経験者のポテンシャル採用は減り、今までよりも即戦力を求める企業が増えるでしょう。

フルリモートのプログラマー求人はあるの?

緊急事態宣言は全国で解除されましたが、国からはテレワーク可能な企業は、在宅勤務を行うよう推奨されています。感染の第2波、第3波を心配して、フルリモート勤務の会社で働くことを希望する人も少なくありません。2020年5月下旬時点で、プログラマー求人の採用後のテレワーク実施状況やフルリモートで働ける会社があるのか調べてみました。

大手転職サイトはテレワーク求人が少ない

リクナビNEXTやen転職、DODAの正社員採用のプログラマー求人は、テレワークを積極的に行う企業は、期待するほど多くありませんでした。テレワーク可の企業の勤務形態は、あくまでも新型コロナウイルスの感染を避けるためにテレワークも相談に応じるスタイル。積極的にテレワークを導入しているわけではありません。

数少ないフルリモート可の求人は、自社開発の会社で経験者のみの採用。フルリモート可の未経験者のプログラマー求人はないと思って問題ないでしょう。フリーのプログラマー求人も同じで、フルリモートを歓迎する企業はほとんどありませんでした。

リモートワーク専門求人ならフルリモートもOK

フルリモートのプログラマー求人を探している人は、リモートワーク専門求人サイトで探してみるとよいでしょう。ここ数年で、リモートワークのみ紹介する転職サイトやエージェントが少しずつ増えてきました。その中でもITエンジニアの求人が多いサイトを2つ紹介します。どちらも無料で利用できるので、興味のある人は登録してみてください。

Remogu(リモグ)

ITエンジニア向けのリモートワーク専門のエージェント。次の3パターンのリモート求人を紹介してくれます。

・フルリモートワーク型:スタートから完全在宅勤務
・シフト型:一定期間のオフィスワークを経て、完全在宅勤務に移行
・ハイブリット型:リモートワークは週2~3日

雇用形態は正社員、フリーランス、契約社員など案件次第。求人紹介前にRemogu担当者とオンライン面談があります。面談のときに希望の勤務形態や条件、ワークスタイルを伝えてみてください。

Reworker

全職種のリモートワーク専門求人。求人の種類は大きく分けて次の2パターンあります。

・Reworker経由でエントリー:運営事務局の推薦がないと応募不可な求人
・企業へ直接応募:運営事務局の推薦なしでも応募できる求人

プログラマー求人は、1か月に決められた稼働時間さえ守れば、24時間好きな時間に働けるフルフレックスであるケースがほとんど。海外在住の人も採用する企業も少なくありません。ただし、どれも運営事務局の推薦がないと応募不可の求人だったので、スキルが高い人でないと書類選考は通らないでしょう。

結論:完全フルリモートの会社への転職はハードルが高い

プログラマーは、比較的テレワークに移行しやすい仕事と言われています。コロナ禍を機にテレワークに移行した現役プログラマーの口コミ情報を調べると、必ずしも良いばかりではないことが判明しました。

「業務に集中できる」「睡眠時間が確保できる」などのメリットがある一方で、コミュニケーションの面で課題があるとの声も目立ちました。

プログラマーの転職市場でも、正社員の求人ではテレワークが許可されるのは、新型コロナウイルスが収束するまでの一時的な期間。完全フルリモートを認める企業は、現時点ではほとんどありません。完全フルリモートの企業で募集する人材はスキルの高い経験者に限定されます。

現時点ではテレワーク向きのプログラマーといえども、完全フルリモートの会社への転職するのは、かなり難易度が高いと考えてよいでしょう。


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参考サイト
厚生労働省
内閣府
ハローワーク
職業情報提供サイト
日本経済連合会
転職コンサルタント
中谷 充宏
梅田 幸子
伊藤 真哉
上田 晶美
ケニー・奥谷